「徴兵適齢臨時特例」(ちょうへいてきれいりんじとくれい)は、太平洋戦争時に戦局の悪化による兵力不足を補うために、当面の間、徴兵年齢を1歳引き下げ、20歳から19歳へ変更する勅令(昭和18年勅令第939号)でした。まず、兵力不足に対応するため、大学や専門学校などに通う理工系と教員養成系を除く学生・生徒の徴兵猶予を取り消し(学徒出陣)を決め、1943年(昭和18)10月2日に勅令「在学徴集延期臨時特例」が公布・施行されます。
さらに、10月12日に「教育ニ関スル戦時非常措置方策」が閣議決定され、文科系の高等教育諸学校の縮小と理科系への転換、在学入隊者の卒業資格の特例なども定められました。続いて、この勅令が12月24日に出され、徴兵年齢が1歳引き下げられ19歳に拡大され、翌年10月18日には、「兵役法施行規則改正」(陸軍省令第49号)で、11月1日付けで17歳以上が兵役に編入されます。こうして、若者が次々と召集されて、戦地に赴くこととなりました。
以下に、「徴兵適齢臨時特例」(昭和18年勅令第939号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。
さらに、10月12日に「教育ニ関スル戦時非常措置方策」が閣議決定され、文科系の高等教育諸学校の縮小と理科系への転換、在学入隊者の卒業資格の特例なども定められました。続いて、この勅令が12月24日に出され、徴兵年齢が1歳引き下げられ19歳に拡大され、翌年10月18日には、「兵役法施行規則改正」(陸軍省令第49号)で、11月1日付けで17歳以上が兵役に編入されます。こうして、若者が次々と召集されて、戦地に赴くこととなりました。
以下に、「徴兵適齢臨時特例」(昭和18年勅令第939号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「徴兵適齢臨時特例」(昭和18年勅令第939号)1943年(昭和18)12月24日公布・施行
兵役法第二十四条ノ二ノ規定ニ依リ当分ノ内同法第二十三条第一項及第二十四条ニ規定スル年齢ハ十九年ニ変更ス
附 則
1 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮民事令中戸籍ニ関スル規定ノ適用ヲ受クル者ニ対シテハ別ニ定ムル期日ヨリ之ヲ適用ス
2 昭和十八年十二月一日ヨリ昭和十九年十一月三十日迄ノ間ニ於テ年齢二十年ト為ル者ニ付テハ本令ヲ適用セズ
<現代語訳>
「兵役法」第24条の二の規定によって、当分の間同法第23条第1項および第24条に規定する年齢は、19年に変更する。
付則
1 本令は公布の日より施行する。ただし、朝鮮民事令戸籍に関する規定の適用を受けている者に対しては別に定める期日より適用する。
2 昭和18年12月1日より昭和19年11月30日までの間に年齢が20年となる者については本令を適用しない。
☆学徒出陣関係略年表
<1941年(昭和16)>
・10月16日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ臨時短縮ニ関スル件」(勅令第924号)が出される
・10月16日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ昭和16年度臨時短縮ニ関スル件」(文部省令第79号)で、1941年度卒業生は修業年限が3ヵ月短縮される
・11月1日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ昭和17年度臨時短縮ニ関スル件」(文部省令第81号)で、1942年度卒業生は修業年限6ヵ月短縮される(予科と高等学校も含む)
・12月 同年の卒業生を対象に臨時徴兵検査を実施する
<1942年(昭和17)>
・2月 修業年限3ヶ月短縮の臨時徴兵検査合格者を入隊させる
・10月16日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ昭和18年度臨時短縮ニ関スル件」(文部省令第68号)で、1943年度卒業生は修業年限6ヵ月短縮される
<1943年(昭和18)>
・1月21日 「高等学校令中改正」(勅令第38号)、「大学令中改正」(勅令第40号)で、高等学校・大学予科の修業年限を2年に短縮し、1943年入学者から適用する
・3月8日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ臨時短縮ニ関スル件」改正(勅令第111号)で、大学の在年限短縮を例年続けることを決定する
・10月1日 閣議において、大学や専門学校などに通う理工系と教員養成系を除く学生・生徒の徴兵猶予を取り消しを決める
・10月2日 勅令「在学徴集延期臨時特例」が公布・施行され、文科系学生の徴兵猶予が撤廃される
・10月12日 「教育ニ関スル戦時非常措置方策」が閣議決定され、文科系の高等教育諸学校の縮小と理科系への転換、在学入隊者の卒業資格の特例なども定められる
・10月12日 「在学徴集延期停止ニ関スル件」文部次官通達で、徴集延期中の学生・生徒に、全員10月25日~11月5日まで本籍地での徴兵検査を受けることを指示する
・10月21日 明治神宮外苑競技場で出陣学徒壮行会が開かれ、関東地方の入隊学生を中心に7万人が集う
・11月25日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ昭和19年度臨時短縮ニ関スル件」(文部省令第74号)で、1944年度卒業生は修業年限が6ヵ月短縮される
・12月24日 「徴兵適齢臨時特例」(勅令第939号)で、徴兵年齢を19歳に引き下げる
<1944年(昭和19)>
・10月18日 「兵役法施行規則改正」(陸軍省令第49号)で、11月1日付けで17歳以上を兵役に編入される
<1945年(昭和20)>
・3月19日 「大学学部等ノ在学年限又ハ修業年限ノ昭和20年度臨時短縮ニ関スル件」(文部省令第74号)で、医学部,医学専門部,臨時教員養成所等の学生も含め、1944年度卒業生は修業年限が6ヵ月短縮される。
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
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