今日は、昭和時代前期の1942年(昭和17)に、東京府立美術館で「第一回大東亜戦争美術展」が始まった日(~12月25日まで)です。
大東亜戦争美術展(だいとうあせんそうびじょつてん)は、大東亜戦争勃発一周年を記念して、朝日新聞社主催、陸軍省・海軍省後援、陸軍美術協会・大日本海洋美術協会・大日本航空美術協会協賛で、12月3日~25日まで東京府立美術館で開催された美術展でした。展覧会場は、油絵、彫塑、油画、日本画、水彩画、ポスターに分けられ、306作品が出品され、陸軍と海軍の作戦記録画が一堂に会しています。
第二回は、翌年12月~翌々年1月9日まで開催され、出品370点と戦時中の戦争美術展で最大規模となったものの、海軍の作戦記録画のみの展示で、東京の後は、5都市(大阪、京都、福岡、佐世保、名古屋)を巡回しました。その後、第三回も予定されていましたが、戦況の悪化を受けて見送られています。
〇大東亜戦争美術展の趣旨
御稜威の下、大東亜戦争は緒戦以来雄渾無比なる大戦果を挙げ、南方建設も亦順次その緒につきつゝあることは、一億国民の感謝に堪へざる処である。然しながら、米英の実力を粉砕殲滅し去るには愈々長期戦、総力戦の態勢を堅持し、飽迄米英両国を破槯し支那事変処理、北辺警備、南方建設に邁進し、以つて大東亜共栄圏を確立せねばならぬ。
本社はこれが一端に資するため、聊か皇軍将兵の活躍と労苦を美術を通じて銃後に伝へ、国民の精神作興に資すると同時に、戦史未曽有の大業に我等同胞の敢闘する姿を後世に残さんため本展覧会を開催する。
※旧字を新字に直してあります。
☆戦時下(1937~45年)の美術界の出来事
<1938年(昭和13)>
・4月1日 「国家総動員法」の公布によって、絵具や彫刻制作のための銅を含めた資材の使用制限が行なわれるようになる
・4月 「支那事変海軍従軍画家スケッチ展」が開催される
・6月 陸軍省が大日本陸軍従軍画家協会を結成し、戦地へ従軍画家を派遣するようになる
・7月 「支那事変勃発一周年記念陸軍従軍画家スケッチ展」が開催される
<1939年(昭和14)>
・4月 陸軍美術協会が設立される
・7月 陸軍美術協会主催の「第一回聖戦美術展」(於:東京府立美術館)が開催される
<1940年(昭和15)>
・5月 「紀元二千六百年記念日本文化史展」「紀元二千六百年記念海戦美術展」が開催される
・10月 「紀元二千六百年奉祝美術展」が開催される
<1941年(昭和16)>
・7月 陸軍美術協会主催の「第二回聖戦美術展」が開催される
・9月 「第一回航空美術展」が開催される
<1942年(昭和17)>
・1月 「大東亜戦争美術展覧会」が開催される
・9月 「大東亜共栄圏美術展」が開催される
・12月3日 「第1回大東亜戦争美術展」(於:東京府立美術館)が開催される(~12月25日)
<1943年(昭和18)>
・5月18日 大日本美術報国会(会長:横山大観)が創立される
・12月8日 「第2回大東亜戦争美術展」が開催される(~翌年1月9日)
<1944年(昭和19)>
・10月 「戦時特別美術展」が開催される
<1945年(昭和20)>
・4月 「戦争記録画展」が開催される
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
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