ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

2021年04月

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 今日は、明治時代前期の1886年(明治19)に、秋田県で秋田大火(俵屋火事)が起き、死者17名、負傷者186名、焼失戸数3,554戸を出した日です。
 秋田大火(あきたたいか)は、この日の午後11時10分頃に、秋田県秋田の川反四丁目(現在の秋田市)の田原吉之助、亀谷東吉両家の間を仕切っている羽目板から出火した火災で、俵屋火事とも呼ばれてきました。出火当時は東南方向からの強風(風速21.8m/s)が吹き荒れていて、たちまち本町四丁目、茶町梅ノ丁、大町三丁目、上米町二丁目、下米町、寺町等に延焼し、飛びて八橋村公園地、転じて寺内村、国幣小社古四王神社に飛び火、さらに秋田亀ノ丁上丁十六番地、岡本賢長屋より出火、西土手亀ノ丁、横町、鉄砲町、四十間堀に延焼します。
 青森歩兵第五聯隊は兵士350名を出動させ、県庁周辺の破壊消防に従事させたりして、ようやく鎮火したのは翌5月1日午前7時の事でした。この大火によって、町村戸長役場5か所、巡査派出所、小学校、電信分局、駅逓(現在の郵便局)出張所各1か所、秋田四十八銀行、東京第一銀行支店、口伝取締所など、ほかに劇場2ヶ所、会社3ヶ所、土蔵205棟、板倉(板張倉庫)82棟などに及び、総計で死者17名、負傷者186名、焼失戸数3,554戸を出し、2,000人を超える人たちが避難生活を余儀なくされます。

〇日本の明治時代の大火一覧(3,500戸以上焼失した火事)

・1872年(明治5年2月26日) - 銀座大火(東京・銀座)焼死8名、負傷者60名、焼失戸数4,874戸
・1880年(明治13年)8月7日 - 新潟大火(新潟県新潟町)焼失戸数6,000戸以上
・1881年(明治14年)1月26日 - 両国大火(東京・両国)焼失戸数15,000余戸
・1886年(明治19年)4月30日 - 秋田大火[俵屋火事](秋田県秋田町)死者17名、負傷者186名、焼失戸数3,554戸
・1900年(明治33年)6月27日 - 高岡大火(富山県高岡市)焼失戸数3,600戸
・1909年(明治42年)7月31日 - 北の大火(大阪府大阪市)焼失戸数11,365戸
・1910年(明治43年)5月3日 - 青森大火(青森県青森市)死者26名、負傷者160名、焼失戸数5,200戸以上
・1911年(明治44年)4月9日 - 吉原大火(東京府江戸町2丁目発生)焼失戸数6,573戸
・1912年(明治45年)1月16日 - 南の大火(大阪市南区)死者4名(消防夫2名を含む)、焼失戸数5,200戸

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1358年(正平13)室町幕府初代将軍足利尊氏の命日(新暦6月7日)詳細
1926年(大正15)小説家河野多惠子の誕生日詳細
1950年(昭和25)図書館法」が公布される(図書館記念日)詳細
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 今日は、明治時代後期の1912年(明治45)に、北炭夕張炭鉱(第一坑第二斜坑ほか)で、ガス爆発事故が起こり、死者269人、負傷者4人を出した日です。
 このガス爆発事故は、北海道炭鉱鉄道(株)が経営する夕張炭鉱の第一坑第二斜坑北一番で午前11時に起き、爆発の勢いは猛烈を極め、主要坑道は一気に落盤し、勢い余ったガスが炎となって坑口から吹き出しました。付近にあった事務室、安全灯室、扇風機座を半ば破壊、作業中の運搬夫6名が即死しましたが、会社では延焼を怖れ、直ちに現場の北一番と北二番の坑口を密閉しています。これによって、入坑中の坑夫を含め269人が死亡、4人が負傷するという大惨事となりましたが、爆発の原因は発破による炭じん爆発と推測されてきました。尚、この年の12月23日にも、同炭鉱の第二斜坑ほかにて爆発事故が起き、死者216人を出しています。

〇北炭夕張炭鉱とは?

 北海道夕張市北西部にあった北海道炭礦汽船(北炭)が経営する炭鉱です。明治時代前期の1874年(明治7)に、お雇い外国人のベンジャミン・スミス・ライマン(アメリカ人地質学者)が、夕張川上流に石炭層の存在を推定し、1888年(明治21)に坂市太郎がシホロカベツ川上流で石炭の大露頭を発見しました。
 翌年、堀基(もとい)により、北海道炭礦鉄道会社が発足、夕張採炭所創設され、1890年(明治23)から夕張炭鉱の開発に着手、第一鉱を開坑(以後第二鉱、第三鉱、清水沢鉱も開坑)します。2年後には採炭が開始され、追分駅~夕張駅間に鉄道も敷設されました。
 1896年(明治29)に北海道炭礦鉄道株式会社に社名変更、1906年(明治39)の「鉄道国有法」公布に伴い、北海道の幹線鉄道約200kmを国に売却し、北海道炭礦汽船株式会社となります。優良な鉄鋼コークス用原料炭を産出しましたが、1912年(明治45)4月29日に第二斜坑ほかの爆発事故(死者269人)を起こして以後、1920年(大正9)6月14日の北上坑(死者・行方不明者209人)、1938年(昭和13)10月6日の天龍坑(死者161人)など、何度も爆発事故を起こし、多くの犠牲者も出してきました。
 1960年代の最盛期には、年間100~150万tの出炭量を誇ったものの、採炭条件の悪化などにより、1971年(昭和46)に第二鉱閉山、1973年(昭和48)に第一鉱閉山に追い込まれます。しかし、1975年(昭和50)に、東部地区に開発された北炭夕張新炭鉱の営業出炭を開始して挽回しつつ、1977年(昭和52)北炭夕張新第二炭鉱が閉山しました。ところが、1981年(昭和56)10月16日に、夕張新鉱でのガス突出事故で死者93人を出す惨事を招いて経営が悪化、同年12月に「会社更生法」を申請して事実上倒産、この夕張新鉱も翌年10月に閉山して従業員約 2,000人全員が解雇されるに至ります。
 炭鉱の跡は、現在では「石炭博物館」という文化施設となり、見学することが可能となっています。石炭と炭鉱のテーマに分け、石炭の生成から開発、利用など技術や労働、生活を実物の資料、坑道、石炭層などから紹介し、採炭現場の動態展示など石炭産業関連としては世界でも有数の博物館となりました。

<北炭夕張炭鉱の主要な爆発事故>
・1912年(明治45)4月29日 北炭夕張炭鉱(第二斜坑ほか)にて爆発事故で死者269人
・1912年(大正元)12月23日 北炭夕張炭鉱(第二斜坑ほか)にて爆発事故で死者216人
・1920年(大正9)6月14日 北炭夕張炭鉱(北上坑)にて爆発事故で死者209人
・1938年(昭和13)10月6日 北炭夕張炭鉱(天竜坑)にて爆発事故で死者161人
・1960年(昭和35)2月1日 北炭夕張炭鉱(第二鉱)にて爆発で死者42人
・1965年(昭和40)2月22日 北炭夕張炭鉱(第二鉱)にて爆発で死者62人
・1981年(昭和56)10月16日 夕張新鉱でのガス突出・爆発事故で死者93人 

☆日本の主な炭鉱事故一覧

<明治時代>
・1899年6月15日 豊国炭鉱(福岡県)爆発事故[死者・行方不明者210人]
・1907年7月20日 豊国炭鉱(福岡県)爆発事故[死者・行方不明者365人] 明治期最悪の事故
・1909年11月24日 大之浦炭鉱(福岡県)爆発事故[死者・行方不明者243人]
・1912年4月29日 北炭夕張炭鉱(北海道)爆発事故[死者・行方不明者269人]

<大正時代>
・1912年12月23日 北炭夕張炭鉱(北海道)爆発事故[死者・行方不明者216人]
・1913年2月6日 二瀬炭鉱(福岡県)爆発事故[死者・行方不明者101人]
・1914年11月28日 新夕張炭鉱(北海道)爆発事故[死者・行方不明者423人]
・1914年12月15日 方城炭鉱(福岡県)爆発事故[死者・行方不明者687人] 日本の近代史上最悪の事故
・1915年4月12日 東見初炭鉱(山口県)海水流入事故[死者・行方不明者235人]
・1917年12月21日 大之浦炭鉱(福岡県)爆発事故[死者・行方不明者369人]
・1920年6月14日 北炭夕張炭鉱北上坑(北海道)爆発事故[死者・行方不明者209人]

<昭和時代>
・1927年3月27日 内郷炭鉱(福島県)坑内火災[死者・行方不明者136人]
・1935年5月6日 大倉鉱業茂尻炭鉱鉱慶三坑(北海道)爆発事故[死者95人]
・1938年10月6日 北炭夕張炭鉱天竜坑(北海道)爆発事故[死者・行方不明者161人]
・1939年1月21日 筑豊炭田貝島大之浦炭鉱東三坑(福岡県)爆発事故[死者92人]
・1941年3月18日 美唄炭鉱(北海道)爆発事故[死者・行方不明者177人]
・1943年2月3日 長生炭鉱(山口県)海水流入事故[死者・行方不明者183人]
・1944年5月16日 美唄炭鉱(北海道)爆発事故[死者・行方不明者109人]
・1958年9月25日 池本鉱業大昇炭鉱(福岡県山田市)ガス爆発[死者14人]
・1960年9月20日 豊州炭鉱(福岡県)落盤[死者・行方不明者67人]
・1960年2月1日 北炭夕張炭鉱(北海道夕張市)ガス爆発[死者42人]
・1961年3月9日 上清炭鉱(福岡県)坑内火災[死者71人]
・1961年3月16日 大辻炭鉱(福岡県)坑内火災[死者26人]
・1963年11月9日 三井三池炭鉱(福岡県大牟田市)爆発事故[死者458人] 太平洋戦争後最悪の事故
・1965年2月22日 北海道炭砿汽船夕張鉱業所(北海道夕張市)爆発事故[死者・行方不明者62人]
・1965年6月1日 三井山野炭鉱(福岡県嘉穂郡稲築町)爆発事故[死者・行方不明者237人]
・1970年 三井芦別炭鉱(北海道芦別市)ガス爆発事故[死者5人・重軽傷者7人]
・1972年11月2日 石狩炭鉱石狩鉱業所(北海道空知郡奈井江町)ガス爆発事故[死者31人]
・1977年5月12日 三井芦別炭鉱(北海道芦別市)ガス爆発事故[死者25人・重傷者8人]
・1981年10月16日 北炭夕張新炭鉱(北海道夕張市)ガス突出・爆発事故[死者は93人]
・1984年1月18日 三井三池炭鉱有明抗(福岡県三池郡高田町)坑内火災[死者83人]
・1985年5月17日 三菱南大夕張炭鉱(北海道夕張市)爆発事故[死者62人]

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1855年(安政2)経済学者・史学者・政治家田口卯吉の誕生日(新暦6月12日)詳細
1951年(昭和26)沖縄社会大衆党、沖縄人民党を中心に「日本復帰促進期成会」が結成される詳細
2006年(平成18)生口島北IC~生口島南IC(生口島道路)の開通で西瀬戸自動車道が全通する詳細
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 今日は、明治時代前期の1876年(明治9)に、長野県松本市の和洋折衷建築の小学校・旧開智学校(国宝)で上棟式が行われた日です。
 旧開智学校(きゅうかいちがっこう)は、長野県松本市にあり、明治時代前期の1876年(明治9)4月28日に竣工した擬洋風建築の校舎で、文明開化時代の小学校建築を代表する建物とされてきました。地元の大工棟梁立石清重が設計施工したもので、木造2階建の漆喰塗の擬洋風建築で、正面中央に車寄せ、玄関、バルコニー、中央の屋根上に八角形の塔を備えています。その後、1935年(昭和10)までは開智小学校の本館として用いられ、1961年(昭和36)に国の重要文化財となり、1963年(昭和38)には現在地に移築・復元されました。1965年(昭和40)から、内部は教育博物館となり、江戸時代から現在までの各種教育資料(約11万点収蔵)が展示されていて、明治時代の教育を知る上でも重要な資料を見ることができます。尚、2019年(平成31)には近代学校建築としては初めて国宝に昇格指定されました。

〇近代学校建築について

 明治時代前期、1872年(明治5)の学制発布を期に、小学校の建築が求められるようになり、この頃の地方の公共建築と共に洋風化した建物が模索されるようになります。そこで、各地の大工の棟梁は東京、横浜、長崎などへ出向いて、洋式建築を見聞し、それをもとに、小学校や役所などを建築することとなりました。しかし、見よう見まねで造ったので、西洋建築に由来する形を真似ながら、和風や中国風の要素が混合されたものとなり、これを擬洋風建築と呼んだのです。
 現在残されているものとしては、長野県の中込学校(1875年)や開智学校(1876年)、格致学校(1878年)、山形では師範学校(1878年)、東京では学習院(1877年)などでした。しかし、小学校建築も、1877年(明治10)前後から各県において学校建築法が制定され、学校建築に計画概念が導入されはじめ、1890年(明治23)には小学校設備準則、1895年(明治28)には文部省から「学校建築図説明及設計大要」が令達されのます。それらによって、学校建築は政府によって一元的に指導されるようになり、擬洋風建築は姿を消すことになりました。その後は、木造の和風建築が主流となりましたが、1920(大正9)年に横浜と神戸で鉄筋コンクリート造の校舎が建設されるようになります。
 その後、1923年(大正12)の関東大震災、1934年(昭和9)の室戸台風の防災上の教訓から、鉄筋コンクリート造の校舎が普及するようになりました。現在でも、明治時代~大正時代に建てられた、学校建築がいくつか残り、文化財に指定され、内部は教育資料館などとなっていて見学可能なところがあります。

☆近代学校建築の文化財一覧

【北海道】
・遺愛学院(旧遺愛女学校)本館[北海道函館市]1908年築洋風<2004年国指定重文>
・旧札幌農学校演武場(時計台)[北海道札幌市中央区]1878年築洋風<1970年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・事務所[北海道札幌市北区]1910年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・種牛舎[北海道札幌市北区]1877年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・牧牛舎[北海道札幌市北区]1909年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・産室・追込所及び耕馬舎[北海道札幌市北区]1877年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・穀物庫[北海道札幌市北区]1877年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・収穫室及び脱ぷ室[北海道札幌市北区]1911年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・秤量場[北海道札幌市北区]1910年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・釜場[北海道札幌市北区]1910年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部(旧東北帝国大学農科大学)第二農場・製乳所[北海道札幌市北区]1911年築<1969年国指定重文> 
・北海道大学農学部植物園・博物館・博物館本館[北海道札幌市中央区]1882年築<1989年国指定重文> 
・北海道大学農学部植物園・博物館・博物館事務所[北海道札幌市中央区]1900年築<1989年国指定重文> 
・北海道大学農学部植物園・博物館・博物館倉庫[北海道札幌市中央区]1884年築<1989年国指定重文> 
・北海道大学農学部植物園・博物館・植物園門衛所[北海道札幌市中央区]1911年築<1989年国指定重文> 
・北海道家庭学校礼拝堂[北海道紋別郡遠軽町]1919年築<2015年道指定文化財> 

【東北】
・弘前学院外人宣教師館[青森県弘前市]1906年築洋風<1978年国指定重文> 
・旧東奥義塾外人教師館[青森県弘前市]1903年築洋風<1993年県指定文化財>  
・旧青森県尋常中学校本館[青森県弘前市]1894年築洋風<1993年県指定文化財>  
・旧八戸小学講堂[青森県八戸市]1881年築擬洋風<1991年県指定文化財>  
・岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)旧本館[岩手県盛岡市]1912年築洋風<1994年国指定重文> 
・岩手大学農学部(旧盛岡高等農林学校)門番所[岩手県盛岡市]1902年頃築洋風<1994年国指定重文> 
・旧登米高等尋常小学校校舎[宮城県登米市]1888年築擬洋風<1981年国指定重文>
・金成小学校校舎[宮城県栗原市]1887年築擬洋風<1979年県指定文化財>  
・旧山形師範学校本館[山形県山形市]1901年築洋風<1973年国指定重文> 
・旧山形師範学校講堂[山形県山形市]1901年築洋風<1998年県指定文化財> 
・旧米沢高等工業学校本館[山形県米沢市]1910年築洋風<1973年国指定重文> 
・三中分校旧校舎[山形県西村山郡朝日町]1882年築擬洋風<2013年県指定文化財> 
・旧福島県尋常中学校本館[福島県郡山市]1889年築擬洋風<1977年国指定重文> 

【関東】
・旧茨城県立太田中学校講堂[茨城県常陸太田市]1904年築洋風<1976年国指定重文> 
・旧茨城県立土浦中学校本館[茨城県土浦市]1904年築洋風<1976年国指定重文> 
・水海道小学校玄関[茨城県水戸市]1881年築擬洋風<1958年県指定文化財> 
・旧吾妻第三小学校校舎[群馬県吾妻郡中之条町]1885年築擬洋風<1978年県指定文化財> 
・旧大岩学校[群馬県吾妻郡中之条町]1879年築擬洋風<1988年町指定文化財> 
・旧学習院初等科正堂[千葉県成田市]1899年築洋風<1973年国指定重文> 
・学習院旧正門[東京都新宿区]1877年築擬洋風<1973年国指定重文> 
・旧東京医学校本館[東京都文京区]1876年築擬洋風<1970年国指定重文> 
・旧東京音楽学校奏楽堂[東京都台東区]1890年築洋風<1988年国指定重文> 
・慶應義塾図書館[東京都港区]1911年築<1969年国指定重文> 
・慶応義塾三田演説館[東京都港区]1875年築擬洋風<1967年国指定重文> 
・自由学園明日館中央棟[東京都豊島区]1921年築洋風<1997年国指定重文> 
・自由学園明日館東教室棟[東京都豊島区]1925年築洋風<1997年国指定重文> 
・自由学園明日館西教室棟[東京都豊島区]1922年築洋風<1997年国指定重文> 
・自由学園明日館講堂[東京都豊島区]1927年築洋風<1997年国指定重文> 
・早稲田大学大隈記念講堂[東京都新宿区]1927年築<2007年国指定重文> 
・明治学院インブリー館[東京都港区]1889年頃築<1998年国指定重文>

【中部】
・旧富山県立農学校本館(富山県立福野高等学校巌浄閣)[富山県南砺市]1903年築洋風<1997年国指定重文> 
・旧第四高等中学校本館[石川県金沢市]1891年築煉瓦造<1969年国指定重文> 
・旧睦沢学校校舎[山梨県甲府市]1872年築擬洋風<1967年国指定重文> 
・旧津金学校校舎[山梨県北杜市]1875年築擬洋風<1992年県指定文化財> 
・旧舂米学校校舎[山梨県南巨摩郡富士川町]1876年築擬洋風<1975年県指定文化財> 
・旧尾県学校校舎[山梨県都留市]1878年築擬洋風<1975年県指定文化財> 
・旧開智学校校舎[長野県松本市]1876年築擬洋風<1961年国指定重文・2019年国宝> 
・旧松本高等学校・本館[長野県松本市]1920年築洋風<2007年国指定重文> 
・旧松本高等学校・講堂[長野県松本市]1922年築洋風<2007年国指定重文> 
・旧山辺学校校舎[長野県松本市]1885年築擬洋風<1985年県指定文化財> 
・旧中込学校校舎[長野県佐久市]1875年築擬洋風<1969年国指定重文> 
・旧長野県師範学校教師館[長野県長野市]1875年築擬洋風<1971年県指定文化財> 
・旧和学校校舎[長野県東御市]1879年築擬洋風<1979年県指定文化財> 
・旧格致学校校舎[長野県埴科郡坂城町]1878年築擬洋風<1976年県指定文化財> 
・旧岩科学校校舎[静岡県賀茂郡松崎町]1880年築擬洋風<1975年国指定重文> 
・旧見付学校[静岡県磐田市]1875年築擬洋風<1969年国指定史跡>
・三重県尋常師範学校・蔵持小学校(明治村に移築)[愛知県犬山市]1888年築<2003年国登録文化財> 
・千早赤阪小学校講堂(明治村に移築)[愛知県犬山市]1897年頃築<2003年国登録文化財> 
・第四高等学校物理化学教室(明治村に移築)[愛知県犬山市]1890年築<2003年国登録文化財> 
・第四高等学校武術道場無声堂主屋(明治村に移築)[愛知県犬山市]1917年築<2004年国登録文化財> 
・第四高等学校武術道場無声堂弓道場(明治村に移築)[愛知県犬山市]1917年築<2004年国登録文化財> 

【近畿】
・旧小田小学校本館[三重県伊賀市]1881年築擬洋風<1975年県指定文化財> 
・旧三重県第三尋常中学校校舎 付 正門[三重県伊賀市]1900年築擬洋風<1989年県指定文化財> 
・旧柳原学校校舎[滋賀県近江八幡市]1876年築擬洋風<1959年県指定文化財> 
・同志社(旧英学校、神学校及び波理須理科学校)彰栄館[京都府京都市上京区]1884年築<1979年国指定重文> 
・同志社(旧英学校、神学校及び波理須理科学校)ハリス理化学館[京都府京都市上京区]1890年築<1979年国指定重文> 
・同志社(旧英学校、神学校及び波理須理科学校)有終館 (京都府)[京都府京都市上京区]1887年築<1979年国指定重文> 
・同志社(旧英学校、神学校及び波理須理科学校)礼拝堂[京都府京都市上京区]1886年築<1963年国指定重文> 
・同志社(旧英学校、神学校及び波理須理科学校)クラーク記念館[京都府京都市上京区]1894年築<1979年国指定重文> 
・龍谷大学本館[京都府京都市下京区]1879年築擬洋風<1964年国指定重文> 
・龍谷大学南黌[京都府京都市下京区]1879年築擬洋風<1998年国指定重文> 
・龍谷大学北黌[京都府京都市下京区]1879年築擬洋風<1998年国指定重文> 
・龍谷大学旧守衛所[京都府京都市下京区]1879年築<1998年国指定重文> 
・愛珠幼稚園園舎[大阪府大阪市中央区]1901年築<2007年国指定重文> 
・旧新田小学校 校舎(現 教育資料館)[大阪府豊中市]1900年築和風<1975年府指定文化財>
・奈良女子大学(旧奈良女子高等師範学校)旧本館[奈良県奈良市]1909年築<1994年国指定重文>
・奈良女子大学(旧奈良女子高等師範学校)守衛室[奈良県奈良市]1909年築<1994年国指定重文>
・旧氷上郡各町村組合立高等小学校校舎[兵庫県丹波市]1885年築擬洋風<2009年県指定文化財> 
・旧兵庫県豊岡尋常中学校本館(豊岡高校達徳会館)[兵庫県豊岡市]1896年築擬洋風<2008年県指定文化財> 

【中国・四国】
・岡山県立津山高等学校(旧岡山県津山中学校)本館[岡山県津山市]1900年築擬洋風<1995年国指定重文> 
・旧旭東幼稚園園舎[岡山県岡山市]1908年築<2007年国指定重文> 
・旧遷喬尋常小学校校舎[岡山県真庭市]1907年築擬洋風<1999年国指定重文> 
・成羽町立吹屋小学校校舎 本館・東校舎・東廊下・西校舎・西廊下 (五棟)[岡山県高梁市]1900・1909年築和風<2003年県指定文化財> 
・旧滝部小学校本館[山口県下関市]1924年築洋風<1979年県指定文化財> 
・岩国学校校舎[山口県岩国市]1870年築折衷<1969年県指定文化財> 
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【九州】
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・旧第五高等中学校・表門[熊本県熊本市中央区]1889年築煉瓦造<1969年国指定重文> 
・熊本大学工学部(旧熊本高等工業学校)旧機械実験工場[熊本県熊本市中央区]1908年築<1994年国指定重文>

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shyouwadenkoujiken01

 今日は、昭和時代中期の1948年(昭和23)に、衆議院不当財産取引委員会で昭和電工への復金融資をめぐる贈収賄(昭和電工事件)が問題化した日です。
 昭和電工事件(しょうわでんこうじけん)は、復興金融金庫から昭和電工株式会社への融資にからむ政官界への贈収賄事件で、昭電疑獄とも呼ばれてきました。昭和電工は森コンツェルンの重要な総合的化学工業会社でしたが、戦災のため中心の川崎工場が壊滅的な打撃を受け、その設備拡充のため、1948年(昭和23)までに復興金融金庫から約26億4千万円の融資を受けています。
 この利権を手にするため日野原らは約1億円に上る金品を政府高官・復金幹部らに贈りました。同年4月27日に、野党の民主自由党は衆議院不当財産取引委員会で倒閣をねらってその不正を暴露したため政治問題化します。
 5月に警視庁捜査二課が昭電本社を捜索した証拠書類を押収、1948年(昭和23)6月23日に、当時の昭和電工社長日野原節三と興業銀行副総裁二宮善基が検挙されました。9月13日には福田赳夫大蔵省主計局長を10万円の収賄容疑で逮捕、9月18日には大野伴睦民自党顧問が20万円の収賄容疑で逮捕、9月30日には栗栖赳夫経済安定本部総務長官が30万円と他の収賄容疑で逮捕、10月6日には西尾末広前副総理(社会党書記長)が100万円の収賄容疑で逮捕と政治家の逮捕が続きます。
 このため、10月7日に芦田内閣は総辞職に追い込まれまれ、民主自由党の吉田茂内閣の成立をもたらしました。12月6日には、衆議院本会議で芦田、北浦圭太郎、川橋豊治郎の3氏に対する逮捕請求が20票の差で許諾され、翌日に芦田均前首相らの逮捕となります。
 総逮捕者数は64名に及び、内37名が起訴されましたが、他は不起訴処分となりました。1952年(昭和27)に一審判決が出され、1958~59年(昭和33~34)に控訴審判決が出、1962年(昭和37)4月13日に最高裁で日野原元社長に懲役1年(執行猶予5年)の確定判決、同年11月に栗栖の懲役8ヶ月(執行猶予1年)追徴金150万円が確定します。
 事件発生以来14年半の時日を要しましたが、日野原、栗栖らが有罪(執行猶予)となったのみで、収賄側の他の政治家は政治資金と考え、賄賂と認識しなかったとしていずれも無罪となり、結局実刑を受けた者は1人も出ないことになりました。尚、事件の背景には連合国最高司令部(GHQ)内のGS(民政局)とG2(幕僚情報局)との対立もあり、検察内の対立もからんだ事件とされています。

〇昭和電工事件の推移

<1948年(昭和23)>
・4月27日 野党の民主自由党は衆議院不当財産取引委員会で倒閣をねらってその不正を暴露し政治問題化する
・5月 警視庁捜査二課が昭電本社を捜索した証拠書類を押収する
・6月23日 当時の昭和電工社長日野原節三と興業銀行副総裁二宮善基が検挙される
・9月13日 福田赳夫大蔵省主計局長を10万円の収賄容疑で逮捕される
・9月18日 大野伴睦民自党顧問が20万円の収賄容疑で逮捕される
・9月30日 栗栖赳夫経済安定本部総務長官が30万円と他の収賄容疑で逮捕される
・10月6日 西尾末広前副総理(社会党書記長)が100万円の収賄容疑で逮捕される
・10月7日 芦田内閣は総辞職に追い込まれまれる
・10月15日 民主自由党の第2次吉田茂内閣の成立をもたらす
・12月6日 衆議院本会議で芦田、北浦圭太郎、川橋豊治郎の3氏に対する逮捕請求が20票の差で許諾される
・12月7日 芦田均前首相らの逮捕となる

<1952年(昭和27)>
・一審判決が出される

<1958~59年(昭和33~34)>
・控訴審判決が出される、

<1962年(昭和37)>
・4月13日 最高裁で日野原元社長に懲役1年(執行猶予5年)の確定判決が出される
・11月 栗栖の懲役8ヶ月(執行猶予1年)追徴金150万円が確定する

☆戦後の政治家がかかわった主要な汚職事件(贈収賄・利益供与など)

・1947年(昭和22) - 炭鉱国管疑獄
・1948年(昭和23) - 昭和電工事件
・1954年(昭和29) - 造船疑獄
・1954年(昭和29) - 日興連汚職事件
・1957年(昭和32) - 売春汚職事件
・1961年(昭和36) - 武州鉄道汚職事件
・1965年(昭和40) - 東京都議会黒い霧事件
・1965年(昭和40) - 九頭竜川ダム汚職事件
・1966年(昭和41) - 田中彰治事件
・1966年(昭和41) - 共和製糖事件
・1967年(昭和42) - 大阪タクシー汚職事件
・1968年(昭和43) - 日通事件
・1976年(昭和51) - ロッキード事件
・1979年(昭和54) - ダグラス・グラマン事件
・1980年(昭和55) - KDD事件
・1986年(昭和61) - 撚糸工連事件
・1988年(昭和63) - リクルート事件
・1991年(平成3) - 共和汚職事件
・1992年(平成4) - 東京佐川急便事件
・1993年(平成5) - ゼネコン汚職事件
・2000年(平成12) - KSD事件
・2000年(平成12) - 若築建設事件
・2001年(平成13) - 中洲カジノバー汚職事件
・2002年(平成14) - 鈴木宗男事件
・2004年(平成16) - 日歯連・中医協汚職事件

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WIPO01

 今日は、昭和時代後期の1970年(昭和45)に、「世界知的所有権機関を設立する条約」が発効し、同機関が発足した日で、「世界知的所有権の日(World Intellectual Property Day)」ともされています。
 世界知的所有権機関(WIPO)は、知的財産の利用と保護の促進を目的とする国際機関(本部はスイスのジュネーブ)で、1974年(昭和49)に国際連合の14番目の専門機関となりました。産業財産権及び著作権など知的財産権の保護、管理を目的として、1967年(昭和42)7月14日調印の「世界知的所有権機関を設立する条約」(ストックホルム条約)が、1970年(昭和45)4月26日に発効したことによって設立され、2019年(平成31)現在、192ヶ国が加盟(日本は1975年加盟)しています。
 従来は、産業財産権は「工業所有権の保護に関するパリ条約」(略称バリ条約)、著作権は「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」(略称ベルヌ条約)でそれぞれ保護されてきましたが、「ストックホルム条約」によって世界知的所有権機関(WIPO)による一元管理が決まり、この2つを補完する21の国際条約併せて管理してきました。定例総会は年1回、臨時総会を年1~2回開催し、発明や科学技術への途上国のアクセスを支援し、行政的な活動として、商標など工業所有権の国際登録事務に携わっています。
 尚、2000年(平成12)6月に特許出願手続きを簡素化する「特許法条約」を採択、2005年(平成17)6月から電子出願に限って受理することを容認しています。
 以下に、「世界知的所有権機関を設立する条約」を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「世界知的所有権機関を設立する条約」1967年(昭和42)7月14日調印、1970年(昭和45)4月26日発効

 前文

締約国は,
各国の主権及び平等の尊重を基礎として,相互の利益のため,諸国間のよりよき理解及び協力に貢献することを希望し,
創作活動を助長するため,全世界にわたつて知的所有権の保護を促進することを希望し,
工業所有権の保護並びに文学的及び美術的著作物の保護の分野において設立された各同盟の独立性を十分に尊重しつつ,これらの同盟の管理を近代化しかつ一層効果的なものとすることを希望して,
次のとおり協定する。

 第1条 機関の設立

この条約により世界知的所有権機関を設立する。

 第2条 定義

この条約の適用上,
 (ⅰ) 「機関」とは,世界知的所有権機関(WIPO)をいう。
 (ⅱ) 「国際事務局」とは,知的所有権国際事務局をいう。
 (ⅲ) 「パリ条約」とは,1883年3月20日に署名された工業所有権の保護に関する条約及びその改正条約をいう。
 (ⅳ) 「ベルヌ条約」とは,1886年9月9日に署名された文学的及び美術的著作物の保護に関する条約及びその改正条約をいう。
 (ⅴ) 「パリ同盟」とは,パリ条約によつて設立された国際同盟をいう。
 (ⅵ) 「ベルヌ同盟」とは,ベルヌ条約によつて設立された国際同盟をいう。
 (ⅶ) 「同盟」とは,パリ同盟,パリ同盟に関連して作られた特別の同盟及び協定,ベルヌ同盟並びに知的所有権の保護の促進を目的とする他の国際協定であつて機関が第4条(iii)の規定に基づきその管理を引き受けるものをいう。
 (ⅷ) 「知的所有権」とは,文芸,美術及び学術の著作物,実演家の実演,レコード及び放送,人間の活動のすべての分野における発明,科学的発見,意匠,商標,サービス・マーク及び商号その他の商業上の表示,不正競争に対する保護,に関する権利並びに産業,学術,文芸又は美術の分野における知的活動から生ずる他のすべての権利をいう。

 第3条 機関の目的

機関の目的は,次のとおりとする。
 (ⅰ) 諸国間の協力により,及び適当な場合には他の国際機関との協力により,全世界にわたつて知的所有権の保護を促進すること
 (ⅱ) 管理に関する同盟間の協力を確保すること

 第4条 任務

第3条に定める目的を達成するため,機関は,その適当な内部機関を通じて,各同盟の権限を侵すことなく,
 (ⅰ) 全世界にわたつて知的所有権の保護を改善すること及びこの分野における各国の国内法令を調和させることを目的とする措置の採用を促進する。
 (ⅱ) パリ同盟,パリ同盟に関連して設立された特別の同盟及びベルヌ同盟の管理業務を行う。
 (ⅲ) 知的所有権の保護を促進することを目的とする他の国際協定の管理を引き受けること又はその管理に参加することに同意することができる。
 (ⅳ) 知的所有権の保護を促進することを目的とする国際協定の締結を奨励する。
 (ⅴ) 知的所有権の分野において法律に関する技術援助を要請する国に協力する。
 (ⅵ) 知的所有権の保護に関して情報を収集し及び広報活動を行い,この分野における研究を行い及び促進し,並びにその研究の成果を公表する。
 (ⅶ) 知的所有権の国際的保護を容易にするための役務を提供し,また,適当な場合には,この分野における登録業務を行い及びその登録に係る事項を公表する。
 (ⅷ) その他すべての適当な措置をとる。

 第5条 加盟国の地位

(1) 機関の加盟国の地位は,第2条(vii)に定義する同盟のいずれかに属する国に対して開放される。
(2) 機関の加盟国の地位は,いずれの同盟にも属しない国に対しても,次のいずれかのことを条件として開放される。
 (ⅰ) その国が,国際連合,国際連合と連携関係を有する専門機関若しくは国際原子力機関の加盟国であること又は国際司法裁判所規程の当事国であること。
 (ⅱ) その国が,一般総会によりこの条約の締約国となるよう招請された国であること。

 第6条 一般総会

(1) (a) いずれかの同盟に属するこの条約の締約国で構成する一般総会を設置する。
 (b) 各国の政府は,1人の代表によつて代表されるものとし,代表は,代表代理,顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
 (c) 各代表団の費用は,その代表団を任命した政府が負担する。
(2) 一般総会は,次のことを行う。
 (ⅰ) 調整委員会の指名に基づいて事務局長を任命すること
 (ⅱ) 事務局長の機関に関する報告を検討し及び承認し,並びに事務局長に対しすべての必要な指示を与えること
 (ⅲ) 調整委員会の報告及び活動を検討し及び承認し,並びに調整委員会に対し指示を与えること
 (ⅳ) 同盟共通経費の2年予算を採択すること
 (ⅴ) 第4条(iii)に規定する国際協定の管理に関して事務局長が提案する措置を承認すること
 (ⅵ) 機関の財政規則を採択すること
 (ⅶ) 国際連合の慣行を考慮して事務局の業務用語を決定すること
 (ⅷ) 第5条(2)(ii)の国に対しこの条約の締約国となるよう招請すること
 (Ⅸ) 機関の加盟国でない国並びに政府間機関及び国際的な非政府機関で一般総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること
 (ⅹ) その他この条約に基づく必要な任務を遂行すること

(3) (a) 各国は,1の同盟に属するか2以上の同盟に属するかを問わず,一般総会において1の票を有する。
 (b) 一般総会の構成国の2分の1をもつて定足数とする。
 (c) 一般総会は,(b)の規定にかかわらず,いずれの会期においても,代表を出した国の数が一般総会の構成国の2分の1に満たないが3分の1以上である場合には,決定を行うことができる。ただし,その決定は,一般総会の手続に関する決定を除くほか,次の条件が満たされた場合にのみ効力を生ずる。すなわち,国際事務局は,代表を出さなかつた一般総会の構成国に対し,その決定を通知し,その通知の日から3箇月の期間内に賛否又は棄権を書面によつて表明するよう要請する。その期間の満了の時に,賛否又は棄権を表明した国の数が当該会期の定足数の不足を満たすこととなり,かつ,必要とされる多数の賛成がなお存在する場合には,その決定は,効力を生ずる。
 (d) (e)及び(f)の規定が適用される場合を除くほか,一般総会は,投じられた票の3分の2以上の多数による議決で決定を行う。
 (e) 第4条(iii)に規定する国際協定の管理に関する措置の承認には,投じられた票の4分の3以上の多数による議決を必要とする。
 (f) 国際連合憲章第57条及び第63条の規定に基づく国際連合との協定の承認には,投じられた票の10分の9以上の多数による議決を必要とする。
 (g) 事務局長の任命((2)(i)),国際協定の管理に関して事務局長が提案する措置の承認((2)(v))及び本部の移転(第10条)については,一般総会においてのみでなくパリ同盟の総会及びベルヌ同盟の総会においても,それぞれ必要とされる多数の賛成が得られなければならない。
 (h) 棄権は,投票とみなさない。
 (i) 代表は,1の国のみを代表し,その国の名においてのみ投票することができる。
(4) (a) 一般総会は,事務局長の招集により,2年ごとに1回,通常会期として会合する。
 (b) 一般総会は,調整委員会の要請又は一般総会の構成国の4分の1以上の要請があつたときは,事務局長の招集により,臨時会期として会合する。
 (c) 会合は,機関の本部において開催する。
(5) いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国は,一般総会の会合にオブザーバーとして出席することを認められる。
(6) 一般総会は,その手続規則を採択する。

 第7条 締約国会議

(1) (a) この条約の締約国(いずれかの同盟に属するかどうかを問わない。)で構成する締約国会議を設置する。
 (b) 各国の政府は,1人の代表によつて代表されるものとし,代表は,代表代理,顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
 (c) 各代表団の費用は,その代表団を任命した政府が負担する。
(2) 締約国会議は,次のことを行う。
 (ⅰ) 同盟の権限及び自主性を尊重しつつ,知的所有権の分野における一般的な事項について討議し及びそのような事項に関して勧告を採択すること。
 (ⅱ) 締約国会議の2年予算を採択すること。
 (ⅲ) 締約国会議の予算の範囲内で,法律に関する技術援助の2年計画を定めること。
 (ⅳ) 第17条に定めるところに従い,この条約の改正を採択すること。
 (ⅴ) 機関の加盟国でない国並びに政府間機関及び国際的な非政府間機関で締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを認められるものを決定すること。
 (ⅵ) その他この条約に基づく必要な任務を遂行すること。
(3) (a) 各加盟国は,締約国会議において1の票を有する。
 (b) 加盟国の3分の1をもつて定足数とする。
 (c) 第17条の規定が適用される場合を除くほか,締約国会議は,投じられた票の3分の2以上の多数による議決で決定を行う。
 (d) いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の分担金の総額は,投票によつて決定するものとし,その投票には,それらの国の代表のみが参加する権利を有する。
 (e) 棄権は,投票とみなさない。
 (f) 代表は,1の国のみを代表し,その国の名においてのみ投票することができる。
(4) (a) 締約国会議は,事務局長の招集により,一般総会と同一期間中に同一の場所において通常会期として会合する。
 (b) 締約国会議は,加盟国の過半数の要請があつたときは,事務局長の招集により,臨時会期として会合する。
(5) 締約国会議は,その手続規則を採択する。

 第8条 調整委員会

(1) (a) この条約の締約国であつて,パリ同盟の執行委員会若しくはベルヌ同盟の執行委員会の構成国であるもの又は双方の執行委員会の構成国であるものから成る調整委員会を設置する。ただし,いずれの執行委員会も,その構成国の数がその執行委員会を選出した総会の構成国の数の4分の1を超える場合には,その執行委員会の構成国の中から,調整委員会の構成国となる国を指定するものとし,その数は,前記の4分の1を超えてはならない。この場合において,その領域内に機関の本部が所在する国は,その4分の1の計算に含めない。
 (b) 調整委員会の各構成国の政府は,1人の代表によつて代表されるものとし,代表は,代表代理,顧問及び専門家の補佐を受けることができる。
 (c) 調整委員会が,締約国会議の事業計画,予算若しくは議事日程に直接の関係がある事項又はいずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の権利若しくは義務に影響を及ぼすようなこの条約の改正の提案を審議する場合には,いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の4分の1が,調整委員会の構成国と同一の権利をもつて調整委員会の会合に参加する。会合に参加すべき国は,締約国会議が各通常会期において指定する。
 (d) 各代表団の費用は,その代表団を任命した政府が負担する。
(2) 機関が管理業務を行つている他の同盟がその同盟として調整委員会において代表されることを希望する場合には,その代表者は,調整委員会の構成国の中から任命しなければならない。
(3) 調整委員会は,次のことを行う。
 (ⅰ) 2以上の同盟に又は1若しくは2以上の同盟と機関とに共通の利害関係のあるすべての管理上及び財政上の事項その他の事項について,特に同盟共通経費の予算について,同盟の内部機関,一般総会,締約国会議及び事務局長に助言を与えること
 (ⅱ) 一般総会の議事日程案を作成すること
 (ⅲ) 締約国会議の議事日程案,事業計画案及び予算案を作成すること
 (ⅳ) 削除
 (ⅴ) 事務局長の任期が満了する際に又は事務局長が欠けた場合に,一般総会による事務局長の任命のため,候補者を指名すること。一般総会がその候補者を任命しなかつた場合には,調整委員会は,別の候補者を指名する。この手続は,一般総会が指名された候補者を任命するまで繰り返す。
 (ⅵ) 一般総会の会期から会期までの間に事務局長が欠けた場合に,新事務局長が就任するまでの間について事務局長臨時代理を任命すること
 (ⅶ) その他この条約に基づいて調整委員会に与えられる任務を遂行すること
(4) (a) 調整委員会は,事務局長の招集により,毎年1回,通常会期として会合する。調整委員会は,通常,機関の本部において会合する。
 (b) 調整委員会は,事務局長の発意により又は調整委員会の議長若しくはその構成国の4分の1以上の要請に基づき,事務局長の招集により,臨時会期として会合する。
(5) (a) 各国は,(1)(a)に規定する執行委員会のいずれか一方の構成国であるか双方の構成国であるかを問わず,調整委員会において1の票を有する。
 (b) 調整委員会の構成国の2分の1をもつて定足数とする。
 (c) 代表は,1の国のみを代表し,その国の名においてのみ投票することができる。
(6) (a) 調整委員会は,投じられた票の単純多数による議決で,意見を表明し及び決定を行う。棄権は,投票とみなさない。
 (b) 単純多数の賛成が得られた場合にも,調整委員会の構成国は,投票後直ちに,その投票について次のような方法で特別再計算を行うよう要請することができる。すなわち,2の別個の名簿を作成し,その一方にはパリ同盟の執行委員会の構成国の国名を,他方にはベルヌ同盟の執行委員会の構成国の国名を記載する。各国の票は,その国名を記載した名簿ごとに,その国名に対応して記載する。この特別再計算の結果,それぞれの名簿において単純多数の賛成が得られたことが示されない場合には,その投票に係る提案は,採択されたものとされない。
(7) 調整委員会の構成国でない機関の加盟国は,調整委員会の会合にオブザーバーを出席させることができる。オブザーバーは,討議に参加する権利を有するが,投票する権利を有しない。
(8) 調整委員会は,その手続規則を採択する。

 第9条 国際事務局

(1) 国際事務局を機関の事務局とする。
(2) 国際事務局は,事務局長が指揮するものとし,事務局長は,2人以上の事務局次長の補佐を受ける。
(3) 事務局長は,一定の任期をもつて任命されるものとし,その任期は,6年以上とする。事務局長は,一定の任期をもつて引き続き任命されることができる。当初の任期及びその後の任期並びに任命に関するその他のすべての条件は,一般総会が定める。
(4) (a) 事務局長は,機関の主席行政官とする。
 (b) 事務局長は,機関を代表する。
 (c) 事務局長は,機関の内部の及び対外的な問題に関し,一般総会に報告を行い,その指示に従う。
(5) 事務局長は,事業計画案,予算案及び活動に関する定期報告を作成する。事務局長は,それらを関係国政府並びに同盟及び機関の権限のある内部機関に送付する。
(6) 事務局長及びその指名する職員は,一般総会,締約国会議,調整委員会その他委員会又は作業部会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長又はその指名する職員は,当然にこれらの内部機関の事務局の職務を行う。
(7) 事務局長は,国際事務局の任務の効果的な遂行に必要な職員を任命する。事務局長は,調整委員会の承認を得て事務局次長を任命する。雇用条件は,事務局長の提案に基づいて調整委員会が承認する職員規則で定める。職員の採用及び勤務条件の決定に当たつては,最高水準の能率,能力及び誠実を確保することに最大の考慮を払う。できる限り広い地理的基礎に基づいて職員を採用することが重要であることについても,十分な考慮を払う。
(8) 事務局長及び職員の責任の性質は,専ら国際的なものである。事務局長及び職員は,その任務の遂行に当たつて,いかなる政府又は機関外のいかなる当局にも指示を求めてはならず,また,その指示を受けてはならない。事務局長及び職員は,国際公務員としての立場を損なうおそれのあるいかなる行動をも差し控えるものとする。各加盟国は,事務局長及び職員の責任の専ら国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者に対してその任務の遂行について影響を及ぼそうとしないことを約束する。

 第10条 本部

(1) 機関の本部をジュネーヴに置く。
(2) 本部の移転は,第6条(3)(d)及び(g)に定めるところに従つて決定することができる。

 第11条 財政

(1) 機関は,同盟共通経費の予算及び締約国会議の予算の2の別個の予算を有する。
(2) (a) 同盟共通経費の予算には,2以上の同盟に関係する経費を計上する。
 (b) この予算は,次のものを財源とする。
 (ⅰ) 同盟の分担金。各同盟の分担金の額は,その同盟の総会が,共通経費からのその同盟の受益の程度を考慮して,決定する。
 (ⅱ) 国際事務局がいずれの同盟とも直接の関係なく提供する役務について支払われる料金(国際事務局が法律に関する技術援助の分野において提供する役務について受領するものを除く。)
 (ⅲ) 国際事務局の刊行物でいずれの同盟とも直接の関係がないものの販売代金及びこれらの刊行物に係る権利の使用料
 (ⅳ) 機関に与えられる贈与,遺贈及び補助金((3)(b)(iv)に規定するものを除く。)
 (ⅴ) 機関が受領する賃貸料,利子その他の雑収入
(3) (a) 締約国会議の予算には,締約国会議の会期の経費及び法律に関する技術援助計画の費用を計上する。
 (b) この予算は,次のものを財源とする。
 (ⅰ) いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の分担金
 (ⅱ) この予算に対する同盟の拠出金。各同盟の拠出金の額は,その同盟の総会が決定するものとし,各同盟は,この予算への拠出を義務づけられない。
 (ⅲ) 国際事務局が法律に関する技術援助の分野において提供する役務について受領する料金
 (ⅳ) (a)の目的のために機関に与えられる贈与,遺贈及び補助金
(4) (a) いずれの同盟にも属しないこの条約の各締約国は,締約国会議の予算に対する自国の分担額の決定上,次のいずれかの等級に属するものとし,次に定める単位数に基づいて年次分担金を支払う。

等級及び単位数

等級A   等級B   等級C
10     3     1

 (b) 上に規定する各国は,第14条(1)の手続を行う際に,自国が属することを欲する等級を指定する。いずれの国も,その等級を変更することができる。一層低い等級を選択する国は,その旨を締約国会議に対しその通常会期において表明しなければならない。その変更は,その会期の年の翌年の初めに効力を生ずる。
 (c) 上に規定する各国の年次分担金の額は,その額とそれらのすべての国の締約国会議の予算への分担金の総額との比率が,その国の属する等級の単位数とそれらのすべての国の単位数の総数との比率に等しくなるような額とする。
 (d) 分担金は,毎年1月1日に支払の義務が生ずる。
 (e) 予算が新会計年度の開始前に採択されなかつた場合には,財政規則の定めるところにより,前年度の予算をもつて予算とする。
(5) いずれの同盟にも属しないこの条約の締約国であつてこの条の規定に基づく分担金の支払が延滞しているもの及びいずれかの同盟に属するこの条約の締約国であつて当該同盟への分担金の支払が延滞しているものは,その未払の額が当該年度に先立つ2年度においてその国について支払の義務の生じた分担金の額以上のものとなつたときは,機関の内部機関で自国が構成国であるものにおいて,投票権を行使することができない。ただし,その内部機関は,支払の延滞が例外的なかつ避けることのできない事情によるものであると認める限り,その国がその内部機関において引き続き投票権を行使することを許すことができる。
(6) 国際事務局が法律に関する技術援助の分野において提供する役務について支払われる料金の額は,事務局長が定めるものとし,事務局長は,それを調整委員会に報告する。
(7) 機関は,調整委員会の承認を経て,政府,公私の組織,団体又は個人から直接に贈与,遺贈及び補助金を受けることができる。
(8) (a) 機関は,同盟及びいずれの同盟にも属しないこの条約の各締約国の1回限りの支払金から成る運転資金を有する。運転資金は,十分でなくなつた場合には,増額される。
 (b) 各同盟の1回限りの支払金の額及び運転資金の増額の部分に対する各同盟の分担額は,その同盟の総会が決定する。
 (c) いずれの同盟にも属しないこの条約の各締約国の1回限りの支払金の額及び運転資金の増額の部分に対するその国の分担額は,運転資金が設けられ又はその増額が決定された年のその国の分担金に比例する。その比率及び支払の条件は,締約国会議が,事務局長の提案に基づきかつ調整委員会の助言を受けた上で定める。
(9) (a) その領域内に機関の本部が所在する国との間で締結される本部協定には,運転資金が十分でない場合にその国が立替えをすることを定める。立替えの額及び条件は,その国と機関との間の別個の取極によつてその都度定める。その国は,立替えの義務を有する限り,当然に調整委員会に議席を有する。
 (b) (a)の国及び機関は,それぞれ,書面による通告により立替えをする約束を廃棄する権利を有する。廃棄は,通告が行われた年の終わりから3年を経過した時に効力を生ずる。
(10) 会計検査は,財政規則の定めるところにより,1若しくは2以上の加盟国又は外部の会計検査専門家が行う。これらの加盟国又は会計検査専門家は,一般総会がこれらの加盟国又は会計検査専門家の同意を得て指定する。

 第12条 法律上の能力並びに特権及び免除

(1) 機関は,各加盟国の領域において,その国の法令に従い,機関の目的の達成及びその任務の遂行に必要な法律上の能力を享有する。
(2) 機関は,スイス連邦(後に本部が他の国に置かれた場合には,その国)との間で本部協定を締結する。
(3) 機関は,機関,その職員及びすべての加盟国の代表者が機関の目的の達成及びその任務の遂行に必要な特権及び免除を享有することができるように,前項の国以外の加盟国との間で二者間協定又は多数者間協定を締結することができる。
(4) 事務局長は,(2)及び(3)に規定する協定を交渉することができるものとし,また,調整委員会の承認を得た上で機関のためにそれらの協定を締結し,署名する。

 第13条 他の機関との関係

(1) 機関は,適当な場合には,他の政府間機関との間に業務上の連携を設定し,これと協力する。このためにそれらの機関との間で締結される一般協定は,事務局長が調整委員会の承認を得た上で締結する。
(2) 機関は,その権限内の事項に関し,国際的な非政府機関と,及び関係政府の同意を得て国内の政府機関又は民間団体と協議し及び協力するため,適当な取決めを行うことができる。そのような取決めは,事務局長が調整委員会の承認を得た上で行う。

 第14条 この条約の締約国となるための手続

(1) 第5条に規定する国は,次のいずれかの手続により,この条約の締約国となり,機関の加盟国となることができる。
 (ⅰ) 批准を条件としないで署名すること
 (ⅱ) 批准を条件として署名し,その後に批准書を寄託すること
 (ⅲ) 加入書を寄託すること
(2) パリ条約,ベルヌ条約又はその双方の条約の締約国は,この条約の他のいかなる規定にもかかわらず,同時に次のいずれかの条約を批准し若しくはそれに加入する場合又はそれを批准し若しくはそれに加入した後においてのみ,この条約の締約国となることができる。
パリ条約のストックホルム改正条約(その全体又はその第20条(1)(b)(i)に定める制限のみを付したもの)
ベルヌ条約のストックホルム改正条約(その全体又はその第28条(1)(b)(i)に定める制限のみを付したもの)
(3) 批准書又は加入書は,事務局長に寄託する。

 第15条 この条約の効力発生

(1) この条約は,パリ同盟の10の同盟国及びベルヌ同盟の7の同盟国が第14条(1)の手続を行つた後3箇月で効力を生ずる。いずれかの国が双方の同盟に属している場合には,その国は,双方の同盟国に数えられるものとする。これらの2の同盟のいずれにも属しない国であつて,この条約の効力発生の日の3箇月前までに第14条(1)の手続を行つたものについても,この条約は,同じ日に効力を生ずる。
(2) この条約は,その他の国については,その国が第14条(1)の手続を行つた日の後3箇月で効力を生ずる。

 第16条 留保

この条約に対するいかなる留保も,認められない。

 第17条 改正

(1) この条約の改正の提案は,加盟国,調整委員会又は事務局長が行うことができる。その提案は,遅くとも締約国会議による審議の6箇月前までに,事務局長が加盟国に送付する。
(2) 改正は,締約国会議が採択する。改正がいずれの同盟にも属しないこの条約の締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものである場合には,それらの国も,投票権を有する。他のすべての改正案については,いずれかの同盟に属するこの条約の締約国のみが投票権を有する。改正は,投じられた票の単純多数による議決で採択される。ただし,締約国会議は,パリ同盟の総会及びベルヌ同盟の総会がそれぞれの条約の管理規定の修正の採択について適用される各自の規則に従つてあらかじめ採択した改正の提案についてのみ投票を行う。
(3) 改正は,締約国会議がその改正を採択した時に(2)の規定に基づき改正の提案について投票権を有していた機関の加盟国の4分の3から,それぞれの憲法上の手続に従つて行われた受諾についての書面による通告を事務局長が受領した後1箇月で効力を生ずる。このようにして受諾された改正は,その改正が効力を生ずる時に機関の加盟国であるすべての国又はその後に機関の加盟国となるすべての国を拘束する。ただし,加盟国の財政上の義務を増大する改正は,その改正の受諾を通告した国のみを拘束する。

 第18条 廃棄

(1) いずれの加盟国も,事務局長にあてた通告により,この条約を廃棄することができる。
(2) 廃棄は,事務局長がその通告を受領した日の後6箇月で効力を生ずる。

 第19条 通告

事務局長は,すべての加盟国政府に対し次の事項を通告する。
 (ⅰ) この条約の効力発生の日
 (ⅱ) 署名及び批准書又は加入書の寄託
 (ⅲ) この条約の改正の受諾及びその改正が効力を生ずる日
 (ⅳ) この条約の廃棄

 第20条 最終規定

(1) (a) この条約は,ひとしく正文である英語,フランス語,ロシア語及びスペイン語による本書1通について署名するものとし,スウェーデン政府に寄託する。
 (b) この条約は,1968年1月13日まで,ストックホルムにおいて署名のために開放しておく。
(2) 事務局長は,関係政府と協議の上,ドイツ語,イタリア語,ポルトガル語及び締約国会議が指定する他の言語による公定訳文を作成する。
(3) 事務局長は,パリ同盟又はベルヌ同盟の同盟国政府に対し,他の国がこの条約に加入する際にその国の政府に対し,及び要請があつたときはその他の国の政府に対し,この条約及び締約国会議が採択した改正の認証謄本2通を送付する。これらの政府に送付されるこの条約の署名本書の謄本は,スウェーデン政府が認証する。
(4) 事務局長は,この条約を国際連合事務局に登録する。

 第21条 経過規定

(1) 最初の事務局長が就任するまでは,この条約において国際事務局又は事務局長というときは,それぞれ,工業的,文学的及び美術的所有権の保護のための合同国際事務局(知的所有権保護合同国際事務局(BIRPI)とも称する。)又はその事務局長をいうものとする。
(2) (a) いずれかの同盟に属する国であつてこの条約の締約国となつていないものは,希望するときは,この条約の効力発生の日から5年間,この条約国の締約国となつた場合と同一の権利を行使することができる。それらの権利を行使することを希望する国は,その旨の書面による通告を事務局長に寄託するものとし,その通告は,その受領の日に効力を生ずる。それらの国は,その5年の期間が満了するまで,一般総会及び締約国会議の構成国とみなされる。
 (b) それらの国は,この5年の期間が満了したときは,一般総会,締約国会議及び調整委員会において投票権を有しない。
 (c) それらの国は,この条約の締約国となつたときは,再び投票権を有する。
(3) (a) パリ同盟及びベルヌ同盟のすべての同盟国がこの条約の締約国とならない限り,国際事務局及び事務局長は,それぞれ,工業的,文学的及び美術的所有権の保護のための合同国際事務局及びその事務局長としての任務をも行う。
 (b) この条約の効力発生の日に上にいう合同国際事務局に雇用されている職員は,(a)の経過期間中,国際事務局にも雇用されているものとみなす。
(4) (a) パリ同盟のすべての同盟国が機関の加盟国となつたときは,パリ同盟事務局の権利,義務及び財産は,機関の国際事務局が承継する。
 (b) ベルヌ同盟のすべての同盟国が機関の加盟国となつたときは,ベルヌ同盟事務局の権利,義務及び財産は,機関の国際事務局が承継する。

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