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 今日は、昭和時代中期の1950年(昭和25)に、静岡県の熱海大火で、市街地の4分の1に延焼し、979棟が焼失した日です。
 熱海大火(あたみたいか)は、静岡県熱海市において、午後5時15分頃に渚町の海岸埋め立て工事現場で、たばこに火を付けたマッチの不始末が原因で火災が発生、折からの東風(平均風速15mほど)に煽られて、たちまち内陸に燃え広がりました。出火と同時に全市の消防団が出動し懸命の消化に努めましたが、当時の熱海は水利が悪く、狭い坂道の町で、井戸がなく、肝心の水道は水圧が低く使い物にならず、ホースをつないで海水を使用しようととしたり、糸川、初川の水を利用としたが思うにまかせず、延焼します。
 東町・渚・銀座・浜町・本町・糸川町・新宿・下天神町・天神町など、市の中心部、繁華街を総なめにし、上天神町の一部も焼いて、翌日の午前0時半頃にようやく鎮火したものの、40余軒の温泉旅館をはじめ、市役所、郵便局、公会堂、警察署、消防署、病院、百貨店、住宅などを焼失しました。これによる被害は、死者はいなかったものの、979名が重軽傷を負い、全焼戸数979棟、延焼面積約13ha(市街地の4分の1)、罹災世帯1,461世帯5,745名、被害総額は当時の金額で推定54億7千万円とされます。
 静岡県は「災害救助法」を発動して必要物資を急送し、5月1日には静岡県熱海復興事務所が開かれ、都市計画も含めた本格的な復興が始まりました。そして4ヶ月後の8月1日には、「日本国憲法」第95条に基づく特別法として、「熱海国際観光温泉文化都市建設法」が制定されて、復興が始まりましたが、これは熱海の温泉観光資源を日本の発展に役立てようと、国が熱海市に対してさまざまな援助を行うもので、町並みの整備から大学の設置までが構想されています。

〇「日本国憲法」第95条による特別法とは?

 一つの地方公共団体のみに適用される特別な法律です。「日本国憲法」第95条の規定に基づき、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、この法律を制定することができないとされていました。1949年(昭和24)8月6日公布・施行の「広島平和記念都市建設法」をはじめとして、1951年(昭和26)8月15日公布の「軽井沢国際親善文化観光都市建設法」まで15の特別法が制定されましたが、その後は新たには制定されていません。

☆「日本国憲法」第95条【特別法の住民投票】

「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」

☆制定された特別法一覧

・1949年(昭和24)8月6日 「広島平和記念都市建設法」
・1949年(昭和24)8月9日 「長崎国際文化都市建設法」
・1950年(昭和25)6月28日 「首都建設法」
・1950年(昭和25)6月28日 「旧軍港市転換法」(横須賀、舞鶴、呉、佐世保)
・1950年(昭和25)7月18日 「別府国際観光温泉文化都市建設法」
・1950年(昭和25)7月25日 「伊東国際観光温泉文化都市建設法」
・1950年(昭和25)8月1日 「熱海国際観光温泉文化都市建設法」
・1950年(昭和25)10月21日 「横浜国際港都建設法」
・1950年(昭和25)10月21日 「神戸国際港都建設法」
・1950年(昭和25)10月21日 「奈良国際文化観光都市建設法」
・1950年(昭和25)10月22日 「京都国際文化観光都市建設法」
・1951年(昭和26)3月1日 「松江国際文化観光都市建設法」
・1951年(昭和26)3月3日 「芦屋国際文化住宅都市建設法」
・1951年(昭和26)4月1日 「松山国際観光温泉文化都市建設法」
・1951年(昭和26)8月15日 「軽井沢国際親善文化観光都市建設法」

☆「熱海国際観光温泉文化都市建設法」(昭和25年法律第233号)

(目的)

第一条 この法律は、国際文化の向上を図り、世界恒久平和の理想を達成するとともに観光温泉資源の開発によつて経済復興に寄与するため、熱海市を国際観光温泉文化都市として建設することを目的とする。

(計画及び事業)

第二条 熱海国際観光温泉文化都市を建設する都市計画(以下「熱海国際観光温泉文化都市建設計画」という。)は、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第一項に定める都市計画の外、国際観光温泉文化都市としてふさわしい諸施設の計画を含むものとする。
2 熱海国際観光温泉文化都市を建設する都市計画事業(以下「熱海国際観光温泉文化都市建設事業」という。)は、熱海国際観光温泉文化都市建設計画を実施するものとする。

(事業の援助)

第三条 国及び地方公共団体の関係諸機関は、熱海国際観光温泉文化都市建設事業が第一条の目的にてらし重要な意義をもつことを考え、その事業の促進と完成とにできる限りの援助を与えなければならない。

(特別の助成)

第四条 国は、熱海国際観光温泉文化都市建設事業の用に供するために必要があると認める場合においては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十八条の規定にかかわらず、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を譲与することができる。

(報告)

第五条 熱海国際観光温泉文化都市建設事業の執行者は、その事業が速やかに完成するように努め、少なくとも六箇月ごとに、国土交通大臣にその進行状況を報告しなければならない。
2 内閣総理大臣は、毎年一回国会に対し、熱海国際観光温泉文化都市事業の状況を報告しなければならない。

(熱海市長の責務)

第六条 熱海市の市長は、その住民の協力及び関係諸機関の援助により、熱海国際観光温泉文化都市を完成することについて、不断の活動をしなければならない。

(法律の適用)

第七条 熱海国際観光温泉文化都市建設計画及び熱海国際観光温泉文化都市建設事業については、この法律に特別の定めがある場合を除く外、都市計画法の適用があるものとする。

附 則 抄

1 この法律は、公布の日から施行する。
3 この法律施行の際現に執行中の熱海都市計画事業は、これを熱海国際観光温泉文化都市建設事業とする。

附 則 (昭和四三年六月一五日法律第一〇一号) 抄

この法律(第一条を除く。)は、新法の施行の日から施行する。

附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日

   「法令全書」より

☆太平洋戦争後の日本の大火(500棟以上の焼失で、地震によるものを除く)

・1947年(昭和22)4月20日 - 飯田大火(長野県飯田市)
  死者・行方不明者3名、焼失棟数3,742棟、焼損面積約48ha、罹災戸数4,010戸、罹災人員17,778名
・1949年(昭和24)2月20日 - 第一次能代大火(秋田県能代市)
  死者3名、負傷者132名、焼失家屋2,237棟、焼失面積83.6ha、罹災世帯1,755世帯、罹災人員8,790名
・1950年(昭和25)4月13日 - 熱海大火(静岡県熱海市)
 死者なし、負傷者979名、全焼戸数979棟、延焼面積約13ha、罹災世帯1,461世帯5,745名、被害総額54億7千万円
・1952年(昭和27)4月17日 - 鳥取大火(鳥取県鳥取市)
  死者3名、罹災家屋5,228戸、罹災面積約160ha、罹災者2万451人
・1954年(昭和29)9月26日 - 岩内大火(北海道岩内郡岩内町)
  死者35名、負傷者551名、行方不明3名、焼失戸数3,298戸、焼失面積約106ha、罹災者16,622名
・1955年(昭和30)10月1日 - 新潟大火(新潟県新潟市)
  行方不明者1名、負傷者175名、焼失棟数892棟、焼失面積約26ha、罹災世帯1,193世帯、罹災人員5,901名
・1956年(昭和31)3月20日 - 第二次能代大火(秋田県能代市)
  死者なし、負傷者194名、焼失家屋1,475棟、焼失面積約31.5ha、罹災世帯1,248世帯、罹災人員6,087名
・1956年(昭和31)9月10日 - 魚津大火(富山県魚津市)
  死者5名、負傷者170名(うち重傷者5名)、焼失戸数1,583戸、罹災者7,219名
・1965年(昭和40)1月11日 - 伊豆大島大火(東京都大島町)
  死者なし、全焼戸数584棟418戸、焼失面積約16.5ha、罹災世帯408世帯1,273名、被害総額20億7千万円
・1976年(昭和51)10月29日 - 酒田大火(山形県酒田市)
  死者1名、焼失棟数1,774棟、焼失面積約22.5ha、被災者約3,300名、被害総額約405億円

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1776年(安永5)南画家・書家池大雅の命日(新暦5月30日)詳細
1818年(文化15)商人・測量家伊能忠敬の命日(新暦5月17日)詳細
1903年(明治36)小学校令」が改正され、教科書検定制から国定教科書制になる詳細