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 今日は、昭和時代中期の1952年(昭和27)に、「旧日米安全保障条約」に関わり、日本とアメリカ両国の政府間で「日米行政協定」が調印(同年4月28日発効)された日です。
 「日米行政協定(にちべいぎょうせいきょうてい)」は、1951年(昭和26)9月8日に「サンフランシスコ平和条約」と共に締結された、「(旧)日米安全保障条約」第三条に基づき、在日米軍の日本国内とその周辺における権利その他を定めた二国間協定で、正式には「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定」と言いました。前文と本文29ヶ条および末文から成り、交換公文と議事録が付属、内容は基地施設、経費分担、裁判管轄権などについて詳細に規定、日米合同委員会を紛争処理機関として設置していますが、アメリカ軍人に対し治外法権を認めるなどの不平等性があり、同年4月28日発効しています。
 1960年(昭和35)6月23日の「新日米安全保障条約」発効に伴い、この協定も施設区域の運営管理、通関、民事請求権、防衛分担金等の規定を変更し、「日米地位協定」として継承されました。
 以下に、「日米行政協定」を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「日米行政協定」 1952年(昭和27)2月28日調印、4月28日発効

日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定

前文
 日本国及びアメリカ合衆国は、千九百五十一年九月八日に、日本国内及びその附近における合衆国の陸軍、空軍及び海軍の配備に関する規定を有する安全保障条約に署名したので、
 また、同条約第三条は、合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は両政府間の行政協定で決定すると述べているので、
 また、日本国及びアメリカ合衆国は、安全保障条約に基く各自の義務を具体化し、且つ、両国民間の相互の利益及び敬意の緊密なきずなを強化する実際的な行政取極を締結することを希望するので、
 よつて、日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、次に掲げる条項によりこの協定を締結した。

第一条
 この協定において、
(a)「合衆国軍隊の構成員」とは、日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。
(b)「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に在留する者及び第十四条1に掲げる者を除く。)をいう。この協定のみの適用上、合衆国及び日本国の二重国籍者で合衆国が日本国に入れたものは、合衆国国民とみなす。
(c)「家族」とは、次のものをいう。
 (1) 配偶者及び二十一才未満の子
 (2) 父母及び二十一才以上の子で、その生計費の半額以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属に依存するもの

第二条
1 日本国は、合衆国に対し、安全保障条約第一条に掲げる目的の遂行に必要な施設及び区域の使用を許すことに同意する。個個の施設及び区域に関する協定は、この協定の効力発生の日までになお両政府が合意に達していないときは、この協定の第二十六条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。
2 日本国及び合衆国は、いずれか一方の当事者の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。
3 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなつたときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。
4(a)合衆国軍隊が射撃場及び演習場のような施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国の当局及び国民は、それを臨時に使用することができる。但し、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとつて有害でないことが合意された場合に限る。
(b)合衆国軍隊が一定の期間を限つて使用すべき射撃場及び演習場のような施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。

第三条
1 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、使用、運営、防衛又は管理のため必要な又は適当な権利、権力及び権能を有する。合衆国は、また、前記の施設及び区域に隣接する土地、領水及び空間又は前記の施設及び区域の近傍において、それらの支持、防衛及び管理のため前記の施設及び区域への出入の便を図るのに必要な権利、権力及び権能を有する。本条で許与される権利、権力及び機能を施設及び区域外で行使するに当つては、必要に応じ、合同委員会を通じて両政府間で協議しなければならない。
2 合衆国は、前記の権利、権力及び権能を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によつては行使しないことに同意する。合衆国が使用する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、相互の取極により解決しなければならない。一時的の措置として、合衆国軍隊は、この協定が効力を生ずる時に留保している電力、設計、放射の型式及び周波数の電子装置を日本側からの放射による妨害を受けないで使用する権利を有する。
3 合衆国軍隊が使用する施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払つて行わなければならない。

第四条
1 合衆国は、この協定の期間満了の際又はその前に日本国に施設及び区域を返還するに当つて、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代りに日本国に補償する義務を負わない。
2 日本国は、この協定の期間満了の際又はその前における施設及び区域の返還の際、当該施設及び区域に加えられている改良又はそこに残される建物若しくはその他の工作物について、合衆国にいかなる補償をする義務も負わない。
3 前記の規定は、合衆国が日本国との特別取極に基いて行う建設には適用しない。

第五条
1 合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課せられないで日本国の港又は飛行場に出入する権利を与えられる。この協定による免除を与えられない貨物又は旅客がそれらの船舶又は航空機に積載されているときは、日本国の当局に通告を与えなければならず、それらの貨物又は旅客は、日本国の法令に従つて入国させなければならない。
2 1に掲げる船舶及び航空機、合衆国政府所有の車両(機甲車両を含む。)並びに合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、合衆国軍隊が使用する施設及び区域に出入し、それらの間を移動し、並びにそれらの施設及び区域と日本国の港との間を移動する権利を与えられる。
3 1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。前記の船舶は、強制水先を免除される。但し、水先人を使用したときは、相当な料率で水先料を支払わなければならない。

第六条
1 すべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発達を図るものとし、且つ、集団安全保障の利益を達成するため必要な程度に整合するものとする。この協調及び整合を図るため必要な手続及びそれに対するその後の変更は、相互の取極によつて定める。
2 合衆国軍隊が使用する施設及び区域並びにそれらに隣接する領水又はそれらの近傍に置かれ、又は設置される燈火その他の航行補助施設及び航空保安施設は、日本国で使用されている様式に合致しなければならない。これらの施設を設置した日本国及び合衆国の当局は、その位置及び特徴を相互に通告しなければならず、且つ、それらの施設を変更し、又は新たに設置する前に予告をしなければならない。

第七条
 合衆国軍隊は、日本国政府の各省各庁に当時適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府に属し、又は日本国政府によつて管理され、若しくは規制されるすべての公益事業及び公共の役務を利用する権利並びにその利用における優先権を享有する権利を有する。

第八条
 日本国政府は、現行の手続で、次の気象業務を合衆国軍隊に提供することを約束する。但し、その手続は、随時に両政府間で合意されるべき変更又は日本国が国際民間航空機関若しくは世界気象機関の加盟国となつた結果として生ずべき変更を受けるものとする。
(a)地上及び海上からの気象観測(「X」及び「T」という位置にある気象観測船からの観測を含む。)
(b)気象資料(中央気象台の定期的概報及び過去の資料を含む。)
(c)航空機の安全且つ正確な運航のため必要な気象情報を報ずる電気通信業務
(d)地震観測の資料(地震から生ずる津波の予想される程度及びその津波の影響を受ける区域の予報を含む。)

第九条
1 合衆国は、この協定の目的のため合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族である者を日本国に入れる権利を有する。
2 合衆国軍隊の構成員は、日本国の旅券及び査証に関する法令の適用から除外される。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。但し、日本国の領域に永久的な居住又は住所を有する権利を取得するものとみなしてはならない。
3 合衆国軍隊の構成員は、日本国への入国又は日本国からの出国に当つては、次の文書を携行しなければならない。
(a)氏名、生年月日、階級及び番号、軍の区分並びに写真を掲げる身分証明書
(b)合衆国軍隊の構成員としての個人の身分又は集団の地位及び命令された旅行を証明する個別的又は集団的旅行の命令書
 合衆国軍隊の構成員は、日本国にある間の身分証明のため、前記の身分証明書を携行しなければならない。
4 軍属、その家族及び合衆国軍隊の構成員の家族は、合衆国の当局が発給した適当な文書を携行し、日本国への入国若しくは日本国からの出国に当つて又は日本国にある間その身分を日本国の当局が確認することができるようにしなければならない。
5 本条1に基いて日本国に入国した者の身分に変更があつてその者が前記の入国の権利を有しなくなつた場合には、合衆国の当局は、日本国の当局に通告するものとし、また、その者が日本国から退去することを日本国の当局によつて要求されたときは、日本国政府の負担によらないで相当の期間内に日本国から輸送することを確保しなければならない。

第十条
1 日本国は、合衆国が合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対して発給した運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証を、運転者試験又は手数料を課さないで、有効なものとして承認するものとする。
2 合衆国軍隊及び軍属の公用車両は、それを容易に識別させる明確な番号標又は個別の記号を付けていなければならない。
3 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両は、日本国民に適用される条件と同一の条件で取得する日本国の登録番号標を付けていなければならない。

第十一条
1 この協定中に規定がある場合を除く外、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国の税関当局によつて執行される法令に服するものとする。
2 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十五条に定める諸機関が合衆国軍隊の公用のため又は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の使用のため輸入するすべての資材、需品及び備品並びに合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品は、日本国に入れることを許される。この輸入には、関税その他の課徴金を課さない。前記の資材、需品及び備品は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十五条に定める諸機関が輸入するものである旨の適当な証明書(合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は前記の軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品にあつては、合衆国軍隊が前記の目的のために受領すべき旨の適当な証明書)を必要とする。
3 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に仕向けられ、且つ、これらの者の私用に供せられる財産には、関税その他の課徴金を課する。但し、次のものについては、関税その他の課徴金を課さない。
(a)合衆国軍隊の構成員若しくは軍属が日本国で勤務するため最初に到着した時に輸入し、又はそれらの家族が当該合衆国軍隊の構成員若しくは軍属と同居するため最初に到着した時に輸入するこれらの者の私用のための家具及び家庭用品並びにこれらの者が入国の際携行する私用のための携帯品
(b)合衆国軍隊の構成員又は軍属が自己又はその家族の私用のため輸入する車両及び部品
(c)合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私用のため合衆国において通常日常用として購入されるような種類の相当量の衣類及び家庭用品で、合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送されるもの
4 2及び3で与える免除は、物品の輸入の場合のみに適用するものとし、輸入の際税関当局が徴収する関税及び内国消費税が既に徴収された物品を購入する場合にその関税及び内国消費税を払いもどすものと解してはならない。
5 税関検査は、次の場合には行わないものとする。
(a)命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊又は合衆国軍隊の構成員
(b)公用の封印がある公文書
(c)合衆国軍事郵便線路上にある郵便物及び合衆国政府の船荷証券により船積される軍事貨物
6 日本国及び合衆国の当局が相互に合意する条件に従つて処分を認める場合を除く外、関税の免除を受けて日本国に輸入された物品は、関税の免除を受けて当該物品を輸入する権利を有しない者に対して日本国内で処分してはならない。
7 2及び3に基いて関税その他の課徴金の免除を受けて日本国に輸入された物品は、関税その他の課徴金の免除を受けて再輸出することができる。
8 合衆国軍隊は、日本国の当局と協力して、本条に従つて合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に与えられる特権の濫用を防止するため必要な措置を執らなければならない。
9(a)日本国政府の税関当局により執行される法令に対する違反行為を防止するため、日本国の当局及び合衆国軍隊は、調査の実施及び証拠の収集について相互に援助しなければならない。
(b)合衆国軍隊は、日本国政府の税関当局によつて行われ、又は税関当局に代つて行われる差押を受けるべき物件が税関当局に引き渡されることを確保するため、可能なすべての援助をあたえなければならない。
(c)合衆国軍隊は、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族が納付すべき関税、租税及び罰金の納付を確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。
(d)日本国政府の関税又は財政に関する法令に対する違反行為に関連して日本国政府の税関当局が差し押えた合衆国軍隊に属する車両及び物件は、関係部隊の当局に引き渡さなければならない。

第十二条
1 合衆国は、この協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行われるべき工事のため、供給者又は工事を行う者の選択に関して制限を受けないで契約する権利を有する。
2 現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは、日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て調達しなければならない。
3 合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が適当な証明書によつて日本国で公用のため調達する資材、需品、備品及び役務は、日本国の次の租税を免除される。
(a)物品税
(b)通行税
(c)揮発油税
(d)電気ガス税
 最終的には合衆国軍隊が使用するため調達される資材、需品、備品及び役務は、合衆国軍隊の適当な証明書によつて、物品税及び揮発油税を免除される。本条に特に掲げない日本国の現行の又は将来の租税で、合衆国軍隊によつて調達され、又は最終的には合衆国軍隊が使用するため調達される資材、需品、備品及び役務の購入価格の相当な且つ容易に判別することができる部分をなすと認められるものに関しては、両政府は、本条の目的に合致する免除又は救済を与えるための手続について合意するものとする。
4 合衆国軍隊又は軍属の現地の労務に対する需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。
5 所得税及び社会保障のための納付金の源泉徴収及び納付の義務並びに、別に相互に合意される場合を除く外、賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。
6 軍属は、雇用の条件に関して日本国の法令に服さない。
7 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国における物品及び役務の個人的購入に関して日本国の法令に基いて課せられる租税その他類似の公課の免除を本条により享有することはない。
8 日本国及び合衆国の当局が相互に合意する条件に従つて処分を認める場合を除く外、3に掲げる租税の免除を受けて日本国で購入した物品は、当該租税の免除を受けて当該物品を購入する権利を有しない者に対して日本国内で処分してはならない。

第十三条
1 合衆国軍隊は、合衆国軍隊が日本国において所有し、使用し、又は移転する財産について租税その他類似の公課を課せられない。
2 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者の合衆国軍隊における勤務又は合衆国軍隊若しくは第十五条に定める諸機関による雇用の結果として受ける所得について、日本国政府又は日本国にあるその他の徴税機関に対して日本国の租税を納付する義務を負わない。本条の規定は、前記の個人に対し、日本国の源泉から発生する所得についての日本国の租税の納付を免除するものではなく、また、合衆国の所得税に関し日本国に居所を有することを援用する合衆国市民に対し、所得についての日本国の租税の納付を免除するものではない。前記の者が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族であるという理由のみによつて日本国にある期間は、日本国の税法の適用上、日本国に居所又は住所を有する期間とは認めない。
3 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者が一時的に日本国にあるという理由のみによつて日本国に所在する有体又は無体の動産の所有、使用、これらの者相互間の移転又は死亡による移転について、日本国における課税を免除される。但し、この免除は、投資のため若しくは事業を行うため日本国において所有される財産又は日本国において登録された無体財産権には適用しない。本条の規定は、私有車両による道路の使用に関して納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。

第十四条
1 通常合衆国に居住する人(合衆国の法律に基いて組織された法人を含む。)及びその被用者で合衆国軍隊のための合衆国との契約の履行のみを目的として日本国にあるものは、本条に規定がある場合を除く外、日本国の法令に服さなければならない。
2 前記の人及びその被用者は、その身分に関する合衆国の当局の証明があるときは、この協定による次の利益を与えられるものとする。
(a)第五条2に定める出入及び移動の権利
(b)第九条の規定による日本国への入国
(c)合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について第十一条3に定める関税その他の課徴金の免除
(d)合衆国政府により認められたときは、第十五条に定める諸機関の役務を利用する権利
(e)合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について第十九条2に定めるもの
(f)合衆国政府により認められたときは、第二十条に定めるところにより軍票を使用する権利
(g)第二十一条に定める郵便施設の利用
(h)雇用の条件に関する日本国の法令の適用からの除外
3 前記の人及びその被用者は、その身分の者であることが旅券に記載されていなければならず、その到着、出発及び日本国にある間の居所は、合衆国軍隊が日本国の当局に随時に通知しなければならない。
4 前記の人及びその被用者が1に掲げる契約の履行のためにのみ所有し、使用し、又は移転する減価償却資産(家屋を除く。)については、合衆国軍隊の権限のある官憲の証明があるときは、日本国の租税その他類似の公課を課せられない。
5 前記の人及びその被用者は、合衆国軍隊の権限のある官憲の証明があるときは、これらの者が一時的に日本国にあるという理由のみによつて日本国に所在する有体又は無体の動産の所有、使用、死亡による移転又はこの協定に基いて租税の免除を受ける権利を有する人若しくは機関への移転について、日本国における課税を免除される。但し、この免除は、投資のため若しくは他の事業を行うため日本国において所有される財産又は日本国において登録された無体財産権には適用しない。本条の規定は、私有車両による道路の使用に関して納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。
6 1に掲げる人及びその被用者は、この協定に定めるいずれかの施設又は区域の建設、維持又は運営に関して合衆国政府と合衆国において結んだ契約に基いて発生する所得については、日本国政府又は日本国にあるその他の徴税機関に対して所得税又は法人税を納付する義務を負わない。6の規定は、これらの者に対し、日本国の源泉から発生する所得についての所得税又は法人税の納付を免除するものではなく、また、合衆国の所得税に関し日本国に居所を有することを援用する前記の人及びその被用者に対し、所得についての日本国の租税の納付を免除するものではない。これらの者が合衆国政府との契約の履行に関してのみ日本国にある期間は、前記の課税上、日本国に居所又は住所を有する期間とは認めない。
7 日本国の当局は、本条1に掲げる人及びその被用者に対し、日本国において犯す罪で日本国の法律によつて罰すべきものに関して裁判権を行使する第一次の権利を有する。日本国の当局が前記の裁判権を行使しないことに決定した場合には、日本国の当局は、合衆国の軍当局にできるだけすみやかに通告しなければならない。この通告があつたときは、合衆国の軍当局は、前記の者に対し、合衆国の法律によつて与えられた裁判権を行使する権利を有する。

第十五条
1(a)合衆国の軍当局が公認し、且つ、規制する海軍販売所、ピー・エックス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞その他の歳出外資金による諸機関は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の用に供するため、合衆国軍隊が使用する施設及び区域内に設置することができる。この協定中に特別の規定がある場合を除く外、前記の諸機関は、日本国の規制、免許、手数料、租税その他類似の管理に服さないものとする。
(b)合衆国の軍当局が公認し、且つ、規制する新聞が一般の公衆に販売されるときは、当該新聞は、その頒布に関する限り、日本国の規制、免許、手数料、租税その他類似の管理に服するものとする。
2 前記の諸機関による商品及び役務の販売には、1(b)に定める場合を除く外、日本国の租税を課さない。但し、これらの諸機関による商品及び需品の日本国内における購入には、日本国の租税を課する。
3 日本国及び合衆国の当局が相互に合意する条件に従つて処分を認める場合を除く外、前記の諸機関が販売する物品は、これらの諸機関から購入することを認められない者に対して日本国内で処分してはならない。
4 所得税及び社会保障のための納付金の源泉徴収及び納付に関する義務並びに、別に相互に合意される場合を除く外、賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。
5 本条に掲げる諸機関は、日本国の当局に対し、日本国の税法が要求するところにより資料を提供するものとする。

第十六条
 日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に、政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である。

第十七条
1 千九百五十一年六月十九日にロンドンで署名された「軍隊の地位に関する北大西洋条約当事国間の協定」が合衆国について効力を生じたときは、合衆国は、直ちに、日本国の選択により、日本国との間に前記の協定の相当規定と同様の刑事裁判権に関する協定を締結するものとする。
2 1に掲げる北大西洋条約協定が合衆国について効力を生ずるまでの間、合衆国の軍事裁判所及び当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族(日本の国籍のみを有するそれらの家族を除く。)が日本国内で犯すすべての罪について、専属的裁判権を日本国内で行使する権利を有する。この裁判権は、いつでも合衆国が放棄することができる。
3 2に定める裁判権が行われる間は、次の規定を適用する。
(a)日本国の当局は、合衆国軍隊が使用する施設及び区域外において、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族を犯罪の既遂又は未遂について逮捕することができる。しかし、逮捕した場合には、逮捕された一又は二以上の個人を直ちに合衆国軍隊に引き渡さなければならない。合衆国軍隊の裁判権からのがれ、且つ、施設及び区域外の場所で発見された者は、要請に基いて、日本国の当局が逮捕し、且つ、合衆国の当局に引き渡すことができる。
(b)合衆国の当局は、合衆国軍隊が使用する施設又は区域内において、専属的逮捕権を有する。日本国の裁判権に服する者で前記の施設又は区域内で発見されたものは、要請に基いて、日本国の当局に引き渡すものとする。
(c)合衆国の当局は、前記の施設又は区域の近傍で、当該施設又は区域の安全に対する犯罪の既遂又は未遂の現行犯に係る者を法の正当な手続に従つて逮捕することができる。前記の者で合衆国軍隊の裁判権に服さないものは、直ちに日本国の当局に引き渡さなければならない。
(d)3(c)の規定に従うことを条件として、施設及び区域外における合衆国軍隊の軍事警察の活動は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の秩序及び紀律の維持並びにそれらの者の逮捕のため必要な範囲内に限定される。
(e)日本国及び合衆国の当局は、それぞれの裁判所における刑事上の捜査その他の手続のため証人及び証拠を提供することについて協力し、且つ、捜査を行うことについて相互に援助しなければならない。何人も自己に対する刑事裁判権を有しない裁判所に対する裁判所侮辱、偽証又は審判妨害を行つたときは、これを犯した者に対する裁判権を有する裁判所は、その者が当該裁判所に対してこれらの罪を犯したものとみなしてその者を裁判するものとする。
(f)合衆国軍隊は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族を日本国から退去させる専属的権利を有する。合衆国は、日本国政府が正当な事由により前記のいずれかの者の退去を要請するときは、この要請に好意的考慮を与えるものとする。
(g)日本国の当局は、合衆国軍隊が使用する施設及び区域内にある者若しくは財産について、又は所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について捜索又は差押を行う権利を有しない。合衆国の当局は、日本国の当局の要請があつたときは、その権限の範囲内で前記の捜索及び差押を行い、且つ、その結果について日本国の当局に通知することを約束する。前記の財産(合衆国政府が所有し、又は使用する財産を除く。)に関する判決があつた場合には、合衆国は、日本国の当局にこれを判決に従つて処分するため引き渡すものとする。日本国の当局は、合衆国軍隊が使用する施設及び区域外で、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の身体又は財産について捜索又は差押を行う権利を有しない。但し、本条3(a)に従つて逮捕することができる者に関する場合及び前記の捜索が日本国の裁判権の下にある犯人の逮捕のため必要とされる場合は、この限りでない。
(h)死刑の判決は、日本国の法制が同様の場合に死刑の刑を規定していない場合には、合衆国軍隊が日本国で執行してはならない。
4 合衆国は、合衆国の軍事裁判所及び当局が、日本国の法令に違反するすべての罪で合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族が日本国内で犯したと認められることについて充分な証拠があるものを裁判し、且つ、有罪の判決をしたときは、処罰する意思及び能力を有すること並びに合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族が犯したと認められる罪で、日本国の当局が通告するもの又は合衆国の軍事裁判所及び当局が発見するものを捜査し、且つ、正当に処理する意思及び能力を有することを約束する。合衆国政府は、更に、4に基いて生ずるすべての事件について合衆国の軍事裁判所が行つた処分を日本国の当局に通告することを約束する。合衆国は、4に基いて生ずる事件で日本国政府がそれに対する合衆国の裁判権の放棄を特に重要と認めるものについて、日本国の当局がその放棄を要請するときは、この要請に好意的考慮を与えなければならない。この放棄があつたときは、日本国は、その裁判権を行使することができる。
5 日本国が1に掲げる選択をしなかつた場合には、2以下に定める裁判権は、引き続き行われるものとする。前記の北大西洋条約協定がこの協定の効力発生の日から一年以内に効力を生じなかつた場合において、日本国政府の要請があつたときは、合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族が日本国で犯した罪に対する裁判権の問題を再考慮するものとする。

第十八条
1 各当事者は、その軍隊の構成員又はその文民たる政府職員が公務の執行に従事している間に日本国において被つた負傷又は死亡については、その負傷又は死亡が公務執行中の他方の当事者の軍隊の構成員又は文民たる職員によるものであるときは、他方の当事者に対するすべての請求権を放棄する。
2 各当事者は、日本国において所有する財産に対する損害については、その損害が公務執行中の他方の当事者の軍隊の構成員又は文民たる政府職員によるものであるときは、他方の当事者に対するすべての請求権を放棄する。
3 契約による請求を除く外、公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは被用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、非戦闘行為に伴つて生じ、且つ、日本国において第三者に負傷、死亡又は財産上の損害を与えたものから生ずる請求は、日本国が次の規定に従つて処理するものとする。
(a)請求は、請求が生じた日から一年以内に提起するものとし、日本国の被用者の行動から生ずる請求に関する日本国の法令に従つて審査し、且つ、解決し、又は裁判する。
(b)日本国は、前記のいかなる請求も解決することができるものとし、合意され、又は裁判により決定された額の支払は、日本国が円でする。
(c)前記の支払(解決によつてされたものであると日本国の管轄裁判所による事件の裁判によつてされたものであるとを問わない。)又は支払を認めない日本国の管轄裁判所による最終の裁判は、拘束力を有する最終的のものとする。
(d)前諸号に従い請求を満足させるために要した費用は、両国政府が合意する条件で分担する。
(e)日本国が3に従つて承認した又は承認しなかつたすべての請求の明細及び各事件についての認定並びに日本国が支払つた額の明細は、定められるべき手続に従つて、合衆国が支払うべき分担額に対する弁償の要請とともに、合衆国に定期的に送付する。この弁償は、できるだけすみやかに円で行わなければならない。
4 各当事者は、前諸項の実施に当り、その人員が公務の執行に従事していたかどうかを決定する第一次の権利を有する。この決定は、当該請求が提起された後できるだけすみやかに行わなければならない。他方の当事者がこの決定に同意しなかつたときは、その当事者は、この協定の第二十六条の規定に基いて協議のためにその問題を合同委員会に付託することができる。
5 日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行われたものでないものから生ずる合衆国軍隊の構成員又は被用者に対する請求は、次の方法で処理するものとする。
(a)日本国の当局は、当該事件に関するすべての事情(損害を受けた者の行動を含む。)を考慮して、公平且つ公正に請求を審査し、及び請求人に対する補償金を査定し、且つ、その事件に関する報告書を作成する。
(b)報告書は、合衆国の当局に交付されるものとし、合衆国の当局は、遅滞なく、慰しや料{しやに強調}の支払を申し出るかどうかを決定し、且つ、申し出る場合には、その額を決定する。
(c)慰しや料{しやに強調}の支払の申出があつた場合において、請求人がその請求の完全な弁済としてこれを受諾したときは、合衆国の当局は、自ら支払をし、且つ、その決定及び支払つた額を日本国の当局に通知する。
(d)5のいかなる規定も、請求の完全な弁済として支払が行われたのではない限り、合衆国軍隊の構成員又は被用者に対する訴を受理する日本国の裁判所の裁判権に影響を及ぼすものではない。
6(a)合衆国軍隊の構成員及び文民たる被用者(日本の国籍のみを有する被用者を除く。)は、3に掲げる請求に関しては、日本国において訴を提起されることがないが、その他のすべての種類の事件については、日本国の裁判所の民事裁判権に服する。
(b)合衆国軍隊が使用する施設及び区域内に日本国の法律に基き強制執行を行うべき私有の動産(合衆国軍隊が使用する動産を除く。)があるときは、合衆国の当局は、日本国の裁判所の要請に基き、それらの財産を差し押えて日本国の当局に引き渡さなければならない。
(c)合衆国の当局は、日本国の裁判所における民事訴訟のため証人及び証拠を提供することについて、日本国の当局と協力しなければならない。
7 合衆国軍隊による又はそのための物資、需品、備品、役務及び労務の調達に関する契約から生ずる紛争でその契約の当事者によつて解決されないものは、合同委員会に調停のために付託することができる。但し、7の規定は、契約の当事者が有することのある民事の訴を提起する権利を害するものではない。

第十九条
1 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国政府の外国為替管理に服する。
2 1の規定は、合衆国ドル若しくはドル証券で、合衆国の公金であるもの、この協定に関連する勤務若しくは雇用の結果として合衆国軍隊の構成員及び軍属が取得したもの又は前記の者及びそれらの家族が日本国外の源泉から取得したものの日本国内又は日本国外への移転を妨げるものと解してはならない。
3 合衆国の当局は、2に定める特権の濫用又は日本国の外国為替管理の回避を防止するため適当な措置を執らなければならない。

第二十条
1(a)ドルをもつて表示される合衆国軍票は、合衆国によつて認められた者が、合衆国軍隊の使用する施設及び区域内における内部の取引のため使用することができる。合衆国政府は、認められた者が、合衆国の規則により認められる場合を除く外軍票を用いる取引に従事することを禁止されることを確保するため適当な措置を執るものとする。日本国政府は、認められない者に対し軍票を使用する取引に従事することを禁止するため必要な措置を執るものとし、また、合衆国の当局の援助を得て、偽造軍票の製造又は行使に関与する者で日本国の裁判権の下にあるものを逮捕し、及び処罰するものとする。
(b)合衆国の当局が、認められない者に対し軍票を行使する合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族を逮捕し、及び処罰すること並びに、日本国における軍票の認められない使用の結果として、合衆国又はその機関が、これらの認められない者又は日本国政府若しくはその機関に対していかなる義務も負うことはないことが合意される。
2 軍票の管理を行うため、合衆国は、その監督の下に、合衆国が軍票の使用を認めた者の用に供する施設を維持し、及び運営する一定のアメリカの金融機関を指定する権利を有する。軍用銀行施設を維持することを認められた金融機関は、その施設を当該機関の日本国における商業金融業務から場所的に分離して設置し、及び維持するものとし、これに、この施設を維持し且つ運営することを唯一の任務とする職員を置く。この施設は、合衆国通貨による銀行勘定を維持し、且つ、この勘定に関するすべての金融取引(この協定の第十九条2に定める範囲内における資金の受領及び送付を含む。)を行うことを許される。

第二十一条
 合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族が利用する合衆国軍事郵便局を、日本国にある合衆国軍事郵便局間及びこれらの軍事郵便局と他の合衆国郵便局との間における郵便物の送達のため、合衆国軍隊が使用する施設及び区域内に設置し、及び運営する権利を有する。

第二十二条
 合衆国は、日本国に在留するすべての適格の合衆国市民を合衆国軍隊の予備役団体に編入し、及び訓練する権利を有する。但し、日本国政府が雇用している者の場合には、日本国政府の事前の同意を得なければならない。

第二十三条
 日本国及び合衆国は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族並びにこれらのものの財産の安全を確保するため随時に必要となるべき措置を執ることについて協力するものとする。日本国政府は、その領域において合衆国の設備、備品、財産、記録及び公務上の情報の充分な安全及び保護を確保するため、並びに適用されるべき日本国の法令に基いて犯人を罰するため、必要な立法を求め、及び必要なその他の措置を執ることに同意する。

第二十四条
 日本区域において敵対行為又は敵対行為の急迫した脅威が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府は、日本区域の防衛のため必要な共同措置を執り、且つ、安全保障条約第一条の目的を遂行するため、直ちに協議しなければならない。

第二十五条
1 日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除く外、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。
2 日本国は、次のことを行うことが合意される。
(a)第二条及び第三条に定めるすべての施設、区域及び路線権(飛行場及び港における施設及び区域のように共同に使用される施設及び区域を含む。)をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供し、且つ、相当の場合には、施設、区域及び路線権の所有者及び提供者に補償を行うこと。
(b)定期的再検討の結果締結される新たな取極の効力発生の日までの間、合衆国が輸送その他の必要な役務及び需品を日本国で調達するのに充てるため、年額一億五千五百万ドルに相当する額の日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供すること。円の支払が貸記される際の為替相場は、公定の平価又は次の相場、すなわち、日本国政府が認める相場又は日本国政府、その機関若しくは外国為替取引を行うことを認可された日本国の銀行が何人かとのいずれかの取引において用いる相場で支払の日に何人かが利用することができるもののうち、合衆国が最も有利と認めるもので、両国が国際通貨基金と平価について合意しているときは、国際通貨基金協定で禁止されていないものとする。
3 この協定に基いて生ずる資金上の取引に適用すべき経理のため、日本国政府と合衆国政府との間に取極を行うことが合意される。

第二十六条
1 この協定の実施に関して相互の協議を必要とするすべての事項に関する日本国と合衆国との間の協議機関として、合同委員会を設置する。合同委員会は、特に、合衆国が安全保障条約第一条に掲げる目的の遂行に当つて使用するため必要とされる日本国内の施設又は区域を決定する協議機関として、任務を行う。
2 合同委員会は、日本国の代表者一人及び合衆国の代表者一人で組織し、各代表者は、一人又は二人以上の代理及び職員団を有するものとする。合同委員会は、その手続規則を定め、並びに必要な補助機関及び事務機関を設ける。合同委員会は、日本国又は合衆国のいずれか一方の代表者の要請があるときはいつでも直ちに会合することができるように組織する。
3 合同委員会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府に更に考慮されるように移すものとする。

第二十七条
1 この協定は、日本国と合衆国との間の安全保障条約が効力を生ずる日に効力を生ずる。
2 この協定の各当事者は、この協定の規定中その実施のため予算上及び立法上の措置を必要とするものについて、必要なその措置を立法機関に求めることを約束する。

第二十八条
 いずれの当事者も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。その場合には、両政府は、適当な経路を通じて交渉するものとする。

第二十九条
 この協定及びその合意された改正は、安全保障条約が有効である間、有効とする。但し、それ以前に両当事者間の合意によつて終了させたときは、この限りでない。
 以上の証拠として、両政府の代表者は、このために正当な委任を受け、この協定に署名した。
 千九百五十二年二月二十八日に東京で、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国政府のために
岡崎勝男

アメリカ合衆国政府のために
ディーン・ラスク
アール・ジョンソン

   「日本外交主要文書・年表(1)」条約集第30集第11巻より

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