今日は、明治時代後期の1898年(明治31)に、安部磯雄・片山潜・幸徳秋水らを中心に「社会主義研究会」が創立された日です。
「社会主義研究会(しゃかいしゅぎけんきゅうかい)」は、社会主義理論の研究を目的として結成された社会主義研究団体でした。それまでの「社会問題研究会」を受け継いで発足し、「概則」で、「本会ハ社会主義ノ原理ト之ヲ日本ニ応用スルノ可否ヲ考究スルヲ目的トス」とうたい、会長は村井知至、会員は片山潜、安部磯雄、佐治実然、幸徳秋水、河上清、木下尚江ら10数名とされています。
本拠を東京・三田のユニテリアン協会の惟一館(いいつかん)に置き、月1回の例会を原則とし、サン・シモン、フーリエ、ラサール、マルクスなどを研究しました。会員の多くはユニテリアン協会員のクリスチャンで、その他のメンバーも加わりましたが、次第に人道主義的傾向と実践的傾向に分裂し、実践的方向に沿って、「普通選挙運動への参加」という方向に向かいます。
その結果、1900年(明治33)1月28日の第11回例会で、実践を重視する「社会主義協会」に改組され、「社会主義の原理を討究し、之を我邦に応用するを以て目的とす。」(規約第2条)という性格をもつ団体となりました。会長は安部磯雄、幹事は片山潜となり、本部は片山潜がセツルメントの拠点として経営するキングスレー館に設置することになります。
その後、「平民社」と一体となって草創期の日本社会主義に大きな足跡を残したものの、日露戦争中の1904年(明治37)11月に警察当局から解散を命じられました。
〇「社会主義研究会」の例会一覧
<1898年(明治31)>
・第1回(10月18日) 13名で創立(会長は村井知至、会員は片山潜、安部磯雄、佐治実然、幸徳秋水、河上清ら)、講師は村井知至で、社会主義の研究、報告、討論を行った
・第2回(11月20日) 講師は村上清で、研究課題は英国の地主制度
<1899年(明治32)>
・第3回(1月15日) 講師は岸本能武太で、研究課題はサン・シモンの社会主義
・第4回(2月19日) 講師は河上清で、研究課題はフーリエの社会主義
・第5回(3月19日) 講師は片山潜で、研究課題はフェルジナンド・ラサールの社会主義
・第6回(4月16日) 講師は村井知至で、研究課題はカール・マルクスの社会主義
・第7回(5月28日) 講師は安部磯雄で、研究課題はヘンリー・ジョンソンの社会主義
・第8回(6月25日) 講師は幸徳秋水で、研究課題は現今の政治社会と社会主義
・第9回(10月22日) 講師は安部磯雄で、研究課題は実際的研究方法について、また講師は河上清で、研究課題は市街鉄道問題
・第10回(11月26日) 講師は安部磯雄で、研究課題はニュージーランドの土地制度
<1900年(明治33)>
・第11回(1月28日) 社会主義団体「社会主義協会」へ改組され、講師は北川筌因で、研究課題は普通選挙
以後は、「社会主義協会」の例会として研究が継続された
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
1939年(昭和14) | 「価格等統制令」が公布され、物価などの価格が統制される | 詳細 |
1945年(昭和20) | 小説家葉山嘉樹の命日 | 詳細 |
1955年(昭和30) | 長崎県大村湾口に当時日本一長さ(支間長:216m)の西海橋が開通する | 詳細 |