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 今日は、昭和時代前期の1945年(昭和20)に、国際連合食糧農業機関(FAO)が設立された日です。
 国際連合食糧農業機関(こくさいれんごうしょくりょうのうぎょうきかん)は、英語では、 Food and Agriculture Organization of the United Nationsといい、FAO(ファオ)と通称され、国際連合の専門機関の一つとなりました。1943年(昭和18)に、アメリカ合衆国で開催された連合国食糧農業会議は、人類の栄養不良、飢餓の問題に対処する常設機関の設立を決議し、1945年(昭和20)10月にカナダのケベックで FAO憲章が署名され、第1回総会が開催されて10月16日に設置されます。
 その目的は、人々が健全で活発な生活を送るために十分な品質の食料への、定期的なアクセスを確保し、すべての人々の食料安全保障を達成することで、具体的には、食糧、農産物の生産加工、流通の改善、栄養水準の向上と農村住民の生活向上を図り、飢餓をなくすことを目指してきました。現在、194加盟国,1加盟組織(欧州連合(EU))、2準加盟国で構成されていますが、日本は1951年(昭和26)の総会で加盟を認められています。
 1947年(昭和22)にイタリアのローマ所在の万国農業協会(1905設立の政府間機関)を吸収し、1951年(昭和26)に本部をローマに定めました。1961年(昭和36)には、開発途上国のために世界食糧計画(WFP)という共同援助を決議、事務局をローマに設置、また農林漁業の各分野で環境問題もとり上げて広範な活動を展開し、年次報告『世界農業白書』が発表されています。
 1996年(平成8)11月13日~17日には、国際連合食糧農業機関設立50周年を記念して、イタリアのローマにおいて、「世界食糧サミット」が開催され、 2002年(平成14)にも「世界食料サミット2002」が開催されました。そして、2009年(平成21)11月16日から18日午前までの2日半にわたり、イタリアのローマにおいて、国際連合食糧農業機関主催としては3回目となる「世界食料安全保障サミット(World Summit on Food Security)」が開催され、「FAO世界食料安全保障サミット宣言」が採択されています。
 以下に、「FAO世界食料安全保障サミット宣言文」(日本語訳)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「FAO世界食料安全保障サミット宣言文」(日本語訳) 2009年(平成21)11月18日

我々、政府首脳または各国代表、欧州共同体代表及び関係者代表は、世界から飢餓を撲滅するための緊急行動をとることを目的として、食料安全保障に関する世界サミットのためにローマに集った。
1. この宣言の採択に際し、我々は、飢餓、栄養不足及び食料不安に苦しむ人々の増加に直ちに歯止めをかけ、そして大幅に削減するために、国、地域、世界レベルでまた全ての国家及び政府に求められるあらゆる必要な行動を起こすことに合意する。我々は、ミレニアム開発目標の目標1と過去の世界食料サミットの目標を2015年までに達成するために、我々の全ての取組を強化する。我々は、可及的速やかな飢餓の撲滅に向けた行動をとることにコミットする。
2. 我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を超えたことに不安を抱いている。これは世界の人口の六分の一の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害である。食料安全保障、農業及び農村開発への長期にわたる投資不足の影響は、数ある要因の中でも食料、金融及び経済危機によって、最近になり一層悪化した。進歩は見られたが、これまでの取組は全体としてミレニアム開発目標及び世界食料サミットのコミットメントの達成には不十分である。我々は、このような傾向を反転させ、そして、各国の食料安全保障に照らし、適切な食料の権利の漸進的実現の達成への道を切り開くために、共同で歩みを加速しなければならない。
3. 緊急性の意識と世界的食料危機を解決するためのコミットメントは、世界食料安全保障委員会(CFS)が中心的な要素である農業、食料安全保障及び栄養に関するグローバル・パートナーシップを通じ、食料安全保障のための国際的な協調及びガバナンスを強化するための触媒として作用してきた。既存の機関の上に、実効的なパートナーシップを醸成しつつ、グローバル・ガバナンスを強化することが必要である。
4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人口を養うためには、現在からそれまでに農業生産量を70%増加させる必要があると推計される。これに付随して、特に女性及び子供にとっての十分なアクセスに注意を払いつつ、全ての人々が十分で安全、かつ栄養のある食料に物理的、社会的及び経済的にアクセスできるようにするための措置を講ずることが必要である。食料を政治的及び経済的圧力のための手段として使用すべきでない。我々は、国際法及び国連憲章に沿わない、また食料安全保障を脅かすような一方的措置を控える必要性と同様に、国際協力及び連帯の重要性を再確認する。我々は、世界的な食料安全保障の対応に不可欠な要素である開かれた市場を求める。
5.気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加的な深刻なリスクをもたらす。想定される影響は、途上国、特にLDC諸国の小規模農業者や脆弱層にとっての危険をはらんでいる。気候変動の課題に対応するためのいかなる方策も、食料及び農業のための遺伝資源の保全と持続可能な利用を含む、農業における緩和の選択肢や適応への確固たるコミットメントを考慮に入れるものでなければならない。
6. 最近、主要な地域的及び国際会議は、国及び国際レベルでの農業、農村開発及び食料安全保障に対する支援を増加するとのコミットメントに帰結している。我々は、また、いくつかの国における飢餓人口の削減の成功をもとに、飢餓を撲滅するための諸国及び地域の期限を定めた政治的コミットメントを推奨されている。それにも拘わらず、更なる緊急的かつ確固とした措置が必要であり、その措置は、コミットメントから我々の目標の達成に向けて必要な政治的意思を伴うものでなければならない。

 戦略的目標

7. 我々は、以下を決意する。

7.1. 2015年までに飢餓と栄養不足に苦しむ人口の割合と数をそれぞれ半減するという、ミレニアム開発目標ゴール1のターゲット及び1996年の世界食料サミットの目標を完全に達成するために、各国、地域、世界的な緊急的行動を確保する。
7.2. ガバナンス及び協力を強化するため、世界、地域、国レベルにおけるより良い調整を促進するため、また、各国及び地域の関心が適切に表明、考慮されることを確保するため、既存の構造をもとに、農業、食料安全保障及び栄養に関するグローバル・パートナーシップへ我々の取組と専門性を結集させる。それゆえ、我々は、CFS改革の完全な実施にコミットする。改革されたCFSは、協働することにコミットしている広範な関係者のための主要な国際的・政府間の包含的なプラットフォームであり、農業、食料安全保障及び栄養に関するグローバル・パートナーシップを一層前進させる我々の取組の中心的な要素である。
7.3. 開発途上国の農業、食料安全保障及び農村開発のための国内的及び国際的な資金の減少を反転させる。持続可能な農業生産・生産性を増加させ、貧困を削減し、新たな投資を促進するための食料安全保障の達成及び全ての人々の食料へのアクセスの確保に向け共同する。
7.4. 気候変動が食料安全保障に与える課題及び農業における適応と緩和の必要性に対し、積極的に取り組む。小規模農業生産者及び脆弱層に対する特段の配慮のもと、農業生産者の気候変動に対する強靭さを高める。
8. 以上の戦略的目標を達成するため、我々は、我々のコミットメントと行動の基礎を次の「持続可能な世界の食料安全保障のためのローマ五原則」に置く。

 コミットメント及び行動

原則1:良く設計された、成果重視の計画及びパートナーシップに資源を結び付けることを目指し、各途上国が主体的に取り組む開発計画に投資する。

9. 我々は、食料安全保障は各国の責務であり、食料安全保障問題の課題に取り組むためのいかなる計画も国家として組織化し、設計し、自らのものとして主導し、全ての主要な関係者との協議に基づくものでなければならないことを再確認する。我々は、食料安全保障に高い優先順位を与え、これを国家の計画と予算に反映させる。
10. 我々は、途上国及び地域主導の実効的な戦略の前進、途上国主導の投資計画の策定、相互の責任、透明性及び説明責任の促進を図る国際的な支援を強化する。これらの要素の優良事例は、アクラ行動計画に含まれる。我々は、「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)における包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)が農業及び食料安全保障に関する我々の支援を調整できる枠組みを提供する優良事例であることを認識し、これを支持する。また、我々は、「ラテンアメリカ及びカリブの飢餓撲滅2025イニシアチブ」、「アセアンの統合食料安全保障枠組」、「世界的食料危機に立ち向かうためアラブ地域協力の強化のためのリヤド宣言」など、他の地域における同様の取組も認識し、これを支持する。

原則2:ガバナンスを向上し、資源配分の改善を促進し、取組の重複を避け、対策の乖離を特定するための、国、地域及び世界レベルにおける戦略的調整を発展させる。

11. 農業、食料安全保障及び栄養に関するグローバル・パートナーシップは、国、地域及び世界レベルにおける取組の戦略的な調整の達成に努める。これは既存の構造を基礎とし、包括的な参加を確保し、現場の経験と成果に基づく真のボトムアップ・アプローチを促進する。
12. それゆえ、我々は、全ての関係者、特に食料不安の影響を最も受ける人々の声が聞き届けられるためのCFSの取組を歓迎する。我々は、CFSの役割が、政府、地域機関、国際機関、NGO、市民社会組織、食料生産者組織、民間部門、慈善団体及び他の関係者が、各国特有の状況及びニーズに沿った形で、協調的行動を強化するための議論と調整を行うプラットフォームの提供であることを承認する。
13. 我々は、特に世界レベルにおける調整、政策の収斂、各国及び地域に対する支援及び助言促進の分野でのCFSの重要な役割を完全に支持する。CFS改革に示された実行計画の中で、CFSは段階的に追加的な役割、例えば、国及び地域レベルでの調整の促進、あらゆるレベルにおける説明責任の促進と優良事例の共有、食料安全保障と栄養に関する世界的戦略枠組みの策定等を担う。
14. 我々は、各国に対し、国レベルにおける行動の一貫性を強化するため、食料安全保障の調整メカニズムを主導、強化することを要請する。
15. 改革されたCFSの中に、我々は、科学的根拠及び知見に基づく助言を恒常的に行うことを確保することを目指す、ハイレベル専門家パネル(HLPE)の創設を支持する。

原則3:食料安全保障に対する包括的なツイントラック・アプローチに向け努力する。これは次により構成される:1)最も脆弱な人々の飢餓に直ちに取り組む直接的な行動、2)飢餓と貧困の根本的原因を除去する中・長期的な持続可能な農業、食料安全保障、栄養及び農村開発の計画、これは適切な食料の権利の漸進的実現によるものも含む。

16. 我々は、各国の食料安全保障に照らし、適切な食料の権利の漸進的実現に沿った、全ての者が安全かつ十分で栄養価の高い食料にアクセスする権利を有することを確認する。我々は、各国が「自国の食料安全保障に即した適切な食料の権利の漸進的実現のための任意ガイドライン」を実施する飢餓の無い世界のために懸命に努力し、また我々は、参加、透明性及び説明責任の原則に則って同ガイドラインを実際に適用することを支持する。
17. 我々は、貧困の克服と食料へのアクセス向上を図り、農村開発、雇用創出及びより衡平な所得の創出と配分を支持する。我々は、持続可能な農業が有する気候変動の緩和の潜在能力を認識し改良種子及び農業資材へのアクセスや、農業の気候変動への適応を含め生産増加に資する環境整備を行う。我々は、道路、貯蔵施設、かんがい、通信インフラ、教育、技術支援及び保健をはじめとする、農村インフラ及び支援サービスに関する途上国が策定する計画に対する公的投資の増加と民間投資の促進に取り組む。
18. 我々は、食料安全保障との関連性において、FAO及びIFAD等により行われる、農地改革・農村開発に関する国際会議(ICARRD)のフォローアップ活動に注目する。
19. 我々は、政策、制度、国民、特に小規模農業者及び女性を重視した総合的な行動に焦点を置いた能力強化にコミットする。我々は、開発途上国に対し、食料へのアクセスを確保し、栄養不足に対処し、小規模農業者の技術、農業資材、資本財、資金及び市場へのアクセスを可能とする実効的で根拠に基づく政策を立案、実施するための制度上の能力強化の重要性を特に強調する。我々は、適切な場合には、農業者及び農業者組織の能力強化を行う。
20. 我々は、自国民、特に脆弱層が、安全で、適当で、栄養価が高く、入手可能な食料へのアクセスを確保するよう努力する。我々は、地域社会や各家庭が経済的、社会的利益を享受し、社会の安定に貢献できるよう、社会保護の措置及びプログラムの強化に取り組む。これには、現金支給/バウチャーや母子栄養プログラムなど食料摂取を確保するセーフティネットが含まれる。我々は、このようなセーフティネットの構築及び運営のために開発途上国を支援する、WFP、UNICEF等の国際・国内機関の役割を認識する。
21. 我々は、安全な緊急食料・人道支援の提供とこれら支援への制約の無いアクセス、及び最も脆弱な人々の支援の実施に引き続きコミットする。我々は、食料を現地で調達する価値、すなわちそれが地元の市場を支えることを認識する。我々は食料の輸出規制あるいは非商業的かつ人道目的で購入された食料に対する過剰な課税を撤廃し、そのような新たな制限を課す前に事前に協議し、かつ、通報する。
22. 我々は、国内、地域、国際市場の機能を改善し、全ての者、特に開発途上国の小規模農業者及び女性農業者の公平なアクセスを確保する政策及び戦略を追求する。我々は、開発途上国の小規模農業者に対し生産へのインセンティブをもたらし、また、これら農業者が生産性を高め世界の市場においてより平等な立場で競争できるようにする、WTOに整合的で、貿易を歪曲しない特別措置を支持する。我々は、各国政府が世界、地域、国内の食料安全保障に甚大な悪影響を与えるWTOルールと整合的でない措置の行使を控えることに合意する。我々は、食料安全保障の改善に重要であろう貿易交渉に関するドーハ開発ラウンドの野心的、包括的かつバランスの取れた時宜を得た妥結への支持を改めて表明する。我々は、また、開発途上国の農業者及び生産者が農業における供給面での課題解決と農産物の生産、流通及び貿易の能力向上を図る、貿易のための援助イニシアチブを支持し、マラケシュ合意の完全な実施を要求する。
23. 我々は、食料市場の変動の貧困層への影響を緩和するための、市場を歪曲しない国際的な方策の検討を行う。我々は、過度の価格変動及び気候事象の悪影響を管理する方策の開発を奨励する。我々は、良く機能する市場、より良い情報、透明性及び競争を促進する政策を奨励する。
24. 我々は、関連国際機関に対し、投機と農産物価格の変動との間の考え得る連関について、また在庫管理システムが、人道的緊急事態への対処又は価格の変動を制限する手段として、有効たり得るかについて検討することを要請する。
25. 我々は、各国の多様な条件を考慮し、農業生産の増大及び生産性の向上の支援、収穫前及び収穫後ロスの削減にコミットする。我々は、責任ある漁業、資源利用の改善、環境保護、天然資源の保全及び生態系サービスの利用拡大を含む、持続可能な方法を実施する。我々は、小規模農業者に焦点を当てた作物生産及び畜産システム、水産及び養殖、森林及び木材資源に特別に配慮する。我々は、土地と水へのアクセスと持続可能な利用、全ての生態系の健全性と生産性の維持、食料及び農業に関連する生物多様性のより良い管理に取り組む。我々は、一例として、チャド湖の危険な状態に留意し、これを保護するためのすべての努力を奨励する。我々は、国内法及び国際合意に沿って、遺伝資源の保全とアクセス、その利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を支持する。
26. 我々は、食料生産のための土地の拡大と水利用に制限がある中で、農業生産性の向上が、増大する食料需要への主要な手段であることを認識する。我々は、バイオ技術及び他の新技術、並びに、安全かつ効果的、環境的に持続可能な技術革新のレビュー、承認、導入を含む、生産性向上に必要な資金の動員を追求する。
27. 我々は、全ての農業者、特に最も気候変動の影響に対して脆弱な国の女性及び小規模農業者が気候変動の影響に適応し及びこれを緩和することが可能となるように、気候変動の影響に対する営農システムの強靭さを強化し、ひいては食料安全保障を強化するための適切な技術と実践方法を通じて必要な手段を講じる。我々は、小規模農業者がアクセス可能で、衡平、透明かつ効果的な組織体制に基づき、気候変動への適応と緩和を支援するための、資金メカニズム及び他の適切な措置の強化及び発展を目指す。我々は、食料安全保障を確保するため、社会保護プログラムやセーフティネットを通じて、最も脆弱な人々による適応を支援する。
28. 我々は、気候変動への適応と緩和を含む食料と農業に関する研究と、国、地域、国際レベルにおける研究成果と技術へのアクセスを促進する。我々は、特にアフリカにおける各国の研究システムの再活性化を行い、情報及び優良事例を共有する。我々は知識へのアクセスを改善する。我々は、適切な農業政策及び戦略のための基礎を提供するため、各国の農業統計の質と食料不安及び脆弱性に関する早期警戒及び予報システムを改善する。我々は南北、南南、三角協力を最大限活用する。
29. 我々は、食品の安全性と動植物の衛生に資する、越境性動植物病害虫の予防と管理を含む、国、地域、国際的計画を支持する。我々は、効果的な国の食品安全システムを促進するため、フードチェーン全体にわたり、全ての関係者を巻き込み、科学的根拠に基づく国際基準への準拠を確保し、食品の安全と品質の向上に資する政策と計画を採択する。我々は、食品の消費、特に地元で入手可能な食品の消費を積極的に奨励する。このことは、特に弱者層の微量栄養素の欠損及びその他の形態の栄養不足に対処する最善の方策として、多様でバランスの取れた食事に貢献する。
30. 我々は、世界の食料安全保障、エネルギー及び持続可能な開発の必要性の観点から、バイオ燃料による課題と好機に継続して取り組む。我々は、詳細な研究の継続が、持続可能な開発の3本柱に従ったバイオ燃料の持続可能な生産と利用を確実なものとするため、世界の食料安全保障を達成及び維持する必要性を考慮するために、必要であると確信する。我々は、バイオ燃料の技術、基準、規則についての経験の共有が望ましいことを更に確信する。我々は、FAOを含む関連政府間組織がそのマンデートと専門性の分野において、各国政府、パートナーシップ、民間及び市民社会の関与を得つつ、食料安全保障と持続可能な開発の必要性の観点からバイオ燃料についての一貫した、効果的で結果指向の国際的対話を育むことを求める。

原則4:多国間機関の効率、対応、調整及び有効性の持続的向上による多国間システムの強い役割を確保する。

31. 食料安全保障の課題の世界的広がりは、その問題の原因に対処し、影響を緩和し、地球上から飢餓と栄養不足を根絶する支援に必要な方策を構築または強化するための、迅速で、確固たる、調整された行動を必要とする。
32. この観点において、我々は多国間主義に関する我々のコミットメントを再確認する。また、我々は、国連機関、特にFAO、IFAD及びWFP、及び他の世界、地域、国レベルの多国間機関が、飢餓の根本原因を理解する役割を果たし、適切な対応をとるため、それら機関の能力を強化することにコミットする。我々は、それゆえ、飢餓と栄養不足への取組に資源を充て、政策を促進する多国間システムを強化することにコミットする。
33. 我々は、全ての人々に利益をもたらし、開発途上国の多角的貿易体制への統合の促進に貢献する、適切に機能する多角的貿易体制を支持する。
34. 我々は、全ての国連機関、特にFAO、IFAD、WFP及び国際金融機関(IFIs)間のより強化された調整を奨励する。国連機関は、その実効性を増大させるために、それぞれのマンデートに従い、システムとして引き続き協働しなければならない。この点に関し、世界の食料安全保障危機に関する国連ハイレベルタスクフォース(HLTF)の重要な取組を認識する。我々は、国連の開発活動の効率性と効果の向上を目的とする国連改革の取組を奨励するとともに、この観点から、国連システムの一貫性イニシアチブについての進行中の政府間の検討に留意する。我々は、HLTF及び関連国連機関並びにIFIs が参加する改革されたCFSを通じた調整を含む、国際的な調整を強化することにコミットする。
35. 我々は、進行中のFAO改革プロセスを支持し、FAO加盟国のニーズへのよりよい対応及び新たな戦略的枠組に含まれる目標の達成を目指す、FAOの即時行動計画の適時かつ完全な実施にコミットする。また我々は、世界農業研究フォーラムを通じた国際農業研究協議グループ及び世界的農業研究システムの進行中の改革プロセスを支持する。

原則5:複数年にわたる計画及びプログラムを意図して、必要とされる資源の適時のかつ信頼性のある供与を通じた、農業、食料安全保障及び栄養における全ての投資パートナーによる持続的で十分なコミットメントを確保する。

36. この重要な時期において、我々は、開発途上国の農業セクターへの短期・中期・長期の国内及び国際投資を増加の方向へ向けて極めて重要かつ断固たる転換を行うことにコミットする。我々は、アフリカの指導者が、2003年のマプト宣言において財政支出に占める農業・農村開発の割合を最低10%に増加させるとするコミットメントを歓迎する。また、他の地域にも同様の量的な、目標期限を定めたコミットメントを採択することを奨励する。
37. 我々は、多くの先進国が、2015年までに開発途上国向け政府開発援助(ODA)を国民総生産(GNP)の0.7%とする目標を達成し、2010年までにODAを少なくともGNPの0.5%のレベルまで引き上げ、また、後発開発途上国向けのODAをGNPの0.15~0.2%とするとのコミットメントを含む、すべてのODAに関するコミットメントの達成が極めて重要であることを強調する。
38. 我々は、1980年に農業分野へのODAの割合が19%に達していたが、2006年には3.8%に下落したことに注目する。しかしながら、この傾向が反転しているとの兆候がある。我々は、途上国主導の要請に基づきODAに占める農業と食料安全保障の割合を大幅に増加させることにコミットする。我々は、国際金融機関や地域開発銀行が同様のコミットメントを行うことを奨励する。我々は、向こう3年間で200億ドルの支出を目指すことを含む、世界の食料安全保障に関する2009年7月の「ラクイラ」共同声明のコミットメントを歓迎し、このコミットメントが達成されることを求める。我々は、近年の民間慈善財団による農業及び食料安全保障に対する関心と資源の提供を高く評価する。
39. 我々は、既存の手続を活用し、ドナーのプレッジ及びコミットメント、地域及び国レベルのイニシアチブや計画に関する事項を含む、世界、地域及び国レベルにおける相互の説明責任と透明性の強化に努力する。
40. 我々は、ハイレベル専門家フォーラム「2050年の世界をどう養うか」の呼び掛け、とりわけ、開発途上国の農業セクターへの投資の大幅な増加の必要性に留意する。我々は、開発途上国の農業及び食料安全保障に対する官民連携、ならびに、国内及び海外民間投資を支持する。我々は、農業、栄養、食料安全保障及び農村開発への民間投資を促進し、持続させる国内法制度の創設を、必要に応じて、支持する。我々は、責任ある国際農業投資を促進する行動原則及び優良事例に関する研究を継続することに合意する。
41. 我々は本宣言の実施に向けた行動及び支援を誓約する。

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