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 今日は、昭和時代中期の1951年(昭和26)に、「日本国憲法」の精神に基づき、「児童憲章」が制定された日です。
 「児童憲章(じどうけんしょう)」は、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福を図るために定められた児童の権利宣言でした。各界からの代表者による「児童憲章制定会議」が結成され、2年余の討論の末、5月5日の子どもの日を期して、自主的に宣言されたものです。
 前文と本文の基礎になる3原則を示した総則、12ヶ条の本文とから成り、前文で「日本国憲法の精神」にもとづき正しい児童観を確立し、「すべての児童の幸福をはかる」ことを確認、総則で「児童は、人として尊ばれる。」、「児童は、社会の一員として重んぜられる。」、「児童は、よい環境の中で育てられる。」の三原則を述べ、各条で、児童の生活権や学習権の保障、児童の心身の保護などにわたって定めていますが、法的拘束力はないものでした。これが、制定された背景には、1947年(昭和22)5月3日に「日本今憲法」が施行され、同年12月12日に「児童福祉法」が制定されましたが、太平洋戦争後の社会的、経済的に混乱した状況下のため、戦災孤児や浮浪児などの問題が深刻化しており、社会や国民一般の児童に対する責任を明確にする必要に迫られたものです。
 尚、この後、国連においては、1959年(昭和34)11月20日に「児童の権利宣言」が、1989年(昭和64)11月20日の第44回総会では、「子どもの権利に関する条約」が採択され、日本も1994年(平成6)に批准しました。
 以下に、「児童憲章」を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「児童憲章」全文 1951年(昭和26)5月5日制定

・昭和二十六年五月五日

われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

児童は、人として尊ばれる。

児童は、社会の一員として重んぜられる。

児童は、よい環境の中で育てられる。

一 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保証される。

二 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。

三 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。

四 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。

五 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。

六 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整った教育の施設を用意される。

七 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。

八 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。

九 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。

十 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。

十一 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不充分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。

十二 すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。

                    「文部科学省ホームページ」より

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