今日は、平成時代の2003年(平成15)に、編集者・紀行作家宮脇俊三の亡くなった日です。
宮脇 俊三(みやわき しゅんぞう)は、大正時代の1926年(大正15)12月9日に、埼玉県川越市で、陸軍大佐だった父・宮脇長吉の7人兄弟の末子(三男)として生まれました。父の陸軍予備役編入と共に、東京市渋谷町(現在の東京都渋谷区)に一家で移住します。
東京府青山師範学校附属小学校を経て、旧制成蹊高等学校卒業後、1945年(昭和20)に東京帝国大学理学部地質学科に入学しました。その後、文学部西洋史学科に移って、1951年(昭和26)に卒業、中央公論社(現在の中央公論新社)に入社します。
翌年に肺結核のために休職し、熱海の妻の実家で療養しましたが、1954年(昭和29)には休職期限が切れ退社しました。1956年(昭和31)に中央公論社に復帰、以後編集者として活躍し、『中央公論』編集長に就任、以後『婦人公論』編集長、開発室長、編集局長、常務取締役などを歴任します。
その間に、「世界の歴史」シリーズ、「日本の歴史」シリーズ、「中公新書」などの刊行に関わりました。1978年(昭和53)に中央公論社を退社、同年に国鉄全線完乗の旅をつづった『時刻表2万キロ』で作家デビューし、第5回日本ノンフィクション賞と第9回新評賞を受賞します。
その後、1981年(昭和56)に『時刻表昭和史』で第6回交通図書賞、1985年(昭和60)に短編小説集『殺意の風景』で第13回泉鏡花文学賞、1992年(平成4)に『韓国・サハリン鉄道紀行』でJTB第1回紀行文学大賞、1999年(平成11)には、作家活動全般に対して第47回菊池寛賞を受賞するなど数々の栄誉に輝きました。鉄道紀行文を文芸ジャンルとして確立し、小説や歴史紀行も手がけましたが、2003年(平成15)2月26日に入院中の東京・虎の門病院で肺炎のため、76歳で亡くなっています。
〇宮脇俊三の主要な著作
・『時刻表2万キロ』(1978年)第5回日本ノンフィクション賞・第9回新評賞受賞
・『最長片道切符の旅』(1979年)
・『汽車旅12カ月』(1979年)
・『時刻表昭和史』(1980年)交通図書賞受賞
・『台湾鉄路千公里』(1980年)
・『終着駅は始発駅』(1982年)
・『シベリア鉄道9400キロ』(1983年)
・『殺意の風景』(1985年)第13回泉鏡花文学賞受賞
・『中国火車旅行』(1988年)
・『古代史紀行』(1990年)
・『韓国・サハリン鉄道紀行』(1992年)第1回JTB紀行文学大賞受賞
・『平安鎌倉史紀行』(1994年)
・『昭和八年澁谷驛』(1995年)
・『室町戦国史紀行』(2000年)
☆宮脇俊三関係略年表
・1926年(大正15)12月9日 埼玉県川越市で7人きょうだいの末子(三男)として生まれる
・1942年(昭和17) 開通した関門トンネルを通ってみたいが故に、戦時下にもかかわらず列車に乗って旅行に行く
・1945年(昭和20) 東京帝国大学理学部地質学科に入学する
・1951年(昭和26) 東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社(現在の中央公論新社)に入社する
・1951年(昭和26)10月、日本女子大学史学科の学生だった荒木愛子と結婚する
・1952年(昭和27) 肺結核のために休職し、熱海の妻の実家で療養する
・1953年(昭和28) 脳出血で父親が急逝する
・1954年(昭和29)、休職期限が切れ退社する
・1956年(昭和31)9月 中央公論社に復帰する。以後編集者として活躍
・1965年(昭和40) 5年前から別居していた妻・愛子と離婚する
・1977年(昭和52)5月28日 国鉄足尾線を最後に国鉄全線を完乗する
・1978年(昭和53)6月30日 常務取締役編集局長を最後に中央公論社を退社する
・1978年(昭和53)7月10日 国鉄全線完乗の旅をつづった『時刻表2万キロ』で作家デビューする
・1978年(昭和53)12月12日 『時刻表2万キロ』で第5回日本ノンフィクション賞を受賞する
・1981年(昭和56) 『時刻表昭和史』で第6回交通図書賞を受賞する
・1985年(昭和60) 短編小説集『殺意の風景』で第13回泉鏡花文学賞を受賞する
・1992年(平成4) 『韓国・サハリン鉄道紀行』でJTB第1回紀行文学大賞を受賞する
・1999年(平成11) 第47回菊池寛賞を受賞する
・2003年(平成15)2月26日 入院中の東京・虎の門病院で肺炎のため、76歳で亡くなる
・2008年(平成20)7月12日~9月15日 東京都世田谷区の世田谷文学館で「没後5年 宮脇俊三と鉄道紀行展」が開催される
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
1873年(明治6) | 俳人・随筆家・書家河東碧梧桐の誕生日 | 詳細 |
1936年(昭和11) | 二・二六事件(高橋蔵相らが暗殺される)が起こる | 詳細 |