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 今日は、昭和時代後期の1980年(昭和55)に、版画家長谷川潔の亡くなった日です。
 長谷川潔(はせがわ きよし)は、明治時代後期の1891年(明治24)12月9日に、神奈川県横浜市で、銀行家であった父・長谷川一彦、母・欣子の長男として生まれました。1902年(明治35)に父・一彦の転勤で大阪に移住しましたが、1904年(明治37)に父が死去したので、東京に移住し、その都度小学校を転校します。
 1905年(明治38)に麻布中学校に入学したものの、1910年(明治43)に母・欣子が亡くなり、その年に、麻布中学校を卒業しました。翌年頃に菱橋洋画研究所に入り黒田清輝に素描を学び始め、1912年(明治45)には本郷洋画研究所に入り岡田三郎助、藤島武二に油絵を学び始めます。
 1913年(大正2)に自画自刻の創作板目木版画や木口木版画・銅版画を製作し始め、文芸同人誌『仮面』主催洋画展に「幕の女」など木版、ガラス版、銅版もよる作品12点を出品しました。1916年(大正5)に広島晃甫、永瀬義郎と共に日本版画倶楽部を結成しましたが、1918年(大正7)にアメリカ経由でフランスへ出立し、翌年パリに至ります。
 様々な銅版画の技法を習熟し、細点刻や交差線による独特な技法を開発し、1923年(大正12)にサロン・ドートンヌに出品、1925年(大正14)に版画による初個展を開催、翌年にはサロン・ドートンヌ版画部会員となりました。1928年(昭和3)に春陽会会員、1931年(昭和6)に日本版画協会が創立し会員ともなり、1935年(昭和10)にフランス政府からレジオン・ドヌール勲章を受章、1937年(昭和12)にはパリ万国博覧会で金賞牌を受けます。
 しかし、1939年(昭和14)に第二次世界大戦勃発すると状況は一変し、フランス在住の多くの画家が帰国してしまう中、パリに留まり結婚もしたものの、各地を転々とし、1945年(昭和20)にパリ中央監獄、ドランシー収容所に収監されました。戦後は、再び創作を再開してその評価を高め、1964年(昭和39)にフランス芸術アカデミーコレスポンダン会員となり、1966年(昭和41)にはオードル・ド・ザール・エ・レットル章(フランス文化勲章)をも受章します。
 日本でも、1966年(昭和41)に現代日本美術展で特賞を受賞、1967年(昭和42)に勲三等瑞宝章を授与されたりして、国際的に高い評価を得ましたが、1980年(昭和55)12月13日に、フランスのパリの自宅において89歳で亡くなりました。

〇長谷川潔関係略年表

・1891年(明治24)12月9日 神奈川県横浜市で、銀行家であった父・長谷川一彦、母・欣子の長男として生まれる
・1898年(明治31) 横浜市戸部小学校に入学する
・1902年(明治35) 父・一彦の転勤で大阪に移住し、大阪市立愛日小学校に転校する
・1904年(明治37) 父・一彦が死去したので、東京に移住し、鞆絵高等小学校に転校する
・1905年(明治38) 麻布中学校に入学する
・1910年(明治43) 母・欣子没後、麻布中学校を卒業する
・1911年(明治44) 菱橋洋画研究所に入り黒田清輝に素描を学び始める
・1912年(明治45) 本郷洋画研究所に入り岡田三郎助、藤島武二に油絵を学び始め、大森に転居する
・1913年(大正2) 自画自刻の創作板目木版画や木口木版画・銅版画を製作し始める
・1913年(大正2) 文芸同人誌『仮面』主催洋画展に「幕の女」など木版、ガラス版、銅版もよる作品12点を出品する
・1914年(大正3) 来日中のバーナード・リーチに銅版画技法についてたずねる
・1916年(大正5) 広島晃甫(広島新太郎)、永瀬義郎と共に日本版画倶楽部を結成する
・1918年(大正7)12月 アメリカ経由でフランスへ出立する
・1919年(大正8)4月 フランスに到着する
・1923年(大正12) サロン・ドートンヌに出品する
・1925年(大正14) 版画による初個展を開催する
・1926年(大正15) サロン・ドートンヌ版画部会員となる
・1928年(昭和3) 春陽会会員となる
・1931年(昭和6) 日本版画協会が創立し会員となる
・1935年(昭和10) フランス政府からレジオン・ドヌール勲章を受章する
・1937年(昭和12) パリ万国博覧会で金賞牌を受ける 
・1939年(昭和14) 第二次世界大戦勃発する
・1943年(昭和18) ミシェリーヌ・M・ビアンキと結婚する
・1945年(昭和20) パリ中央監獄、ドランシー収容所に収監される
・1964年(昭和39) フランス芸術アカデミーコレスポンダン会員となる
・1966年(昭和41) オードル・ド・ザール・エ・レットル章(フランス文化勲章)を受章する
・1966年(昭和41) 現代日本美術展で特賞を受賞する
・1967年(昭和42) 勲三等瑞宝章を授与される
・1980年(昭和55) 京都国立近代美術館で大回顧展「銅版画の巨匠・長谷川潔展」が開催される
・1980年(昭和55)12月13日 フランスのパリの自宅において89歳で亡くなる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1924年(大正13)東京で市川房枝らが婦人参政権獲得期成同盟会を発足する詳細
1969年(昭和44)小説家・演出家獅子文六の命日詳細