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 今日は、昭和時代前期の1939年(昭和14)に、「国家総動員法」に基づいて「価格等統制令」が公布された日(施行は同月20日)です。
 「価格等統制令(かかくとうとうせいれい)」は、「国家総動員法」第19条に基づいて、物価のみならず、運送費、保管料、損害保険料、賃貸料などほとんどすべての価格を、同年9月18日現在の水準に釘づけする(公定価格)ことを目的としたもので、「9・18停止令」とも呼ばれました。同時に「地代家賃統制令」、「賃金臨時措置令」、「会社職員給与臨時措置令」も公布され、地代、家賃、賃金等も凍結されます。
 この背景には、日中戦争の長期化により生活に必要な物資や食糧が欠乏した上、さらに1939年(昭和14)9月には、ヨーロッパで第二次世界大戦が始まり、諸物価が上昇したことがありました。しかし、表向きでは物資の値上げは出来なくなったものの、いわゆる闇価格が横行して、賃金が据え置かれた国民の窮乏化はさらに促進されることになります。
 ちなみに、1940年(昭和15)5月に司法省経済実務家会同に提出された資料によると、闇取引価格は、公定価格に対して綿糸・綿製品で4倍余、キャラコ・別珍で3~9倍、米・木炭で約4倍、丸釘・ブリキ・亜鉛板などが3~9倍となっていました。また、これによる経済の混乱は著しく、統制経済違反で多くの国民が摘発を受けることにもなります。
 この勅令は、太平洋戦争後の1946年(昭和21)3月3日に「物価統制令」が公布されたことにより廃止されました。
 以下に、「価格等統制令」(全21条)の最初の部分(第1条・第2条)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「価格等統制令」(全21条) 昭和14年10月16日勅令第703号

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ南洋群島二於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十九条ノ規定ニ基キ価格、運送賃、保管料、損害保険料、賃貸料又ハ加工賃(以下価格等ト称ス)ニ関シ必要ナル命令ヲ為スハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 価格等ハ昭和十四年九月十八日(以下指定期日ト称ス)ニ於ケル額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ但シ閣令ノ定ムル所ニ依リ価格等ノ支払者又ハ受領者ニ於テ行政官庁ノ許可ヲ受ケタル場合及本令施行ノ際現ニ存スル契約ニシテ其ノ際左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
一 注文生産品ノ価格ニ付生産者ガ生産ニ着手シタルモノ
ニ 其ノ他ノ価格ニ付買主其ノ他ノ支払者ガ目的物ノ引渡ヲ受ケタルモノ
三 運送賃又ハ加工賃ニ付運送人又ハ加工者ガ目的物ノ引渡ヲ受ケタルモノ
四 保管料、損害保険料又ハ賃貸料ニ付支払者ガ履行遅滞ニ在ルモノ
前項ノ指定期日ニ於ケル額ハ価格等ノ受領者ニ付テノ額ニ依リ受領者別ニ定マルモノトシ指定期日ニ為シタル契約アル場合ハ其ノ契約額(同ジ事情ノ下ニ於テ数種ノ契約額アリタルトキハ其ノ最高額)、偶々指定期日ニ為シタル契約ナカリシ場合ハ契約ヲ為シタルベキ額とス
価格等ニ付前項ノ規定ニ依ル額ナキ場合ニ於テハ閣令ノ定ムルモノヲ以テ指定期日ニ於ケル額トス

 (以下略)

 注:縦書きの原文を横書きに改め、旧字を新字に置き換えてあります。

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