今日は、昭和時代後期の1970年(昭和45)に、小説家・検察官・弁護士佐賀潜の亡くなった日です。
佐賀潜(さが せん)は、1909年(明治42)3月21日に、東京において、代々佐賀鍋島藩に仕えた松下家を継ぐ父の子として生まれましたが、本名は松下幸徳(まつした ゆきのり)と言いました。中央大学法学部へ入学し、在学中に司法試験に合格、卒業後司法修習を終えて、1940年(昭和15)に検事となり、福岡、千葉、東京などの地検検事を務めます。
太平洋戦争後の1946年(昭和21)に検事を辞めて、弁護士事務所を開業し、森脇将光事件などを手掛け、日本推理作家協会の顧問弁護士ともなりました。その一方で、推理小説を書き始め、1959年(昭和34)に短編を集めた『ある殺意』、翌年『ある疑惑』を刊行、さらに、長編『第三の殺人』、『むらさきの女』を1961年(昭和36)に刊行して、作家としての地歩を固めます。
翌年には弁護士経験を生かして書いた『華やかな死体』で第8回江戸川乱歩賞を受賞、その後も次々と弁護士を主人公とした推理小説などを発表して、人気作家となりました。また、1967年(昭和42)から光文社のカッパビジネスシリーズとして刊行された『民法入門』(1967年)、『商法入門』(1967年)、『刑法入門』(1968年)、『労働法入門』(1968年)などの法律入門書がベストセラーとなります。
テレビの法律相談等でも活躍しましたが、1970年(昭和45)8月31日に、胃がんのために61歳で亡くなりました。
〇佐賀潜の主要な著作
・短編集『ある殺意』(1959年)
・短編集『ある疑惑』(1960年)
・長編『第三の殺人』(1961年)
・長編『むらさきの女』(1961年)
・長編『華やかな死体』(1962年)第8回江戸川乱歩賞受賞
・長編『黒の記憶』(1963年)
・長編『特捜圏外』(1963年)
・長編『恐喝』(1964年)
・長編『黒幕』(1965年)
・長編『総理大臣秘書』(1967年)
・法律入門書『民法入門 金と女で失敗しないために』(1967年)
・法律入門書『商法入門 ペテン師・悪党に打ち勝つために』(1967年)
・法律入門書『刑法入門 臭い飯を食わないために』(1968年)
・法律入門書『労働法入門 がっぽり給料をもらうために』(1968年)
・法律入門書『道路交通法入門 お巡りさんにドヤされないために』(1968年)
・法律入門書『税法入門 脱税者の汚名を受けないために』(1968年)
・法律入門書『不動産法入門 悪徳業者の口車にのらないために』(1969年)
・法律入門書『憲法入門 二度と兵隊にとられないために』(1970年)