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 今日は、江戸時代後期の1863年(文久3)に洋画家原田直次郎の生まれた日ですが、新暦では10月12日となります。
 原田直次郎(はらだ なおじろう)は、江戸小石川において、岡山藩士で幕府蕃書調所出役の兵学者だった父・原田一道と母・あいの次男として生まれました。1868年(明治元)に岡山に転居しましたが、翌年に上京し、浅草の池田侯の邸に住みます。
 1870年(明治3)に大阪に転居し、大阪開成学校に入学してフランス語を学びましたが、1873年(明治6)に東京の駿河台に転居し、東京外国語学校フランス語科に入学しました。在学中に山﨑成章に洋画を学ぶようになり、1881年(明治14)卒業後に大久保さだと結婚します。
 翌年、天絵学舎で高橋由一に師事して洋画を学び、1884年(明治17)に絵を学ぶため、妻子を残してドイツへ自費留学して、ミュンヘンの美術学校に入学しました。ガブリエル・マックスについて写実技法と歴史画を学び、『ドイツの少女』、『靴屋の阿爺(おやじ)』(2002年に国指定重要文化財)、『風景』などを制作します。
 1887年(明治20)に帰国、翌年本郷にアトリエを新築、1889年(明治22)からアトリエで画塾「鐘美舘」を開き、和田英作、三宅克己らの後進を指導しました。この年同志たちと明治美術会を創立、翌年第3回内国勧業博覧会の審査官となり、大作『騎竜観音』(2007年に国指定重要文化財)を出品したほか、シカゴ万国博覧会のための鑑査官などを務めます。
 1895年(明治28)に第4回内国勧業博覧会に歴史画の大作『素尊斬蛇』を出品し妙技3等賞を受賞しました。この間、森鴎外の『於母影』などの挿絵や『めさまし草』の表紙絵も描きます。
 しかし、病を得て1898年(明治31)に神奈川県子安村に転居して療養したものの、翌年12月26日に、東京の病院において、36歳の若さで亡くなっています。

〇原田直次郎の主要な作品

・『神父』(1885年)信越放送株式会社蔵
・『老人像』(1886年頃)三重県立美術館蔵
・『老人』(1886年頃)東京芸術大学大学美術館蔵
・『靴屋の阿爺(おやじ)』(1886年)東京芸術大学大学美術館蔵 国指定重要文化財
・『風景』(1886年)岡山県立美術館蔵
・『ドイツの少女』(1886年頃)東京国立博物館蔵
・『西洋婦人像』(制作年不詳)岡山県立美術館蔵
・『島津久光像』(1888年)尚古集成館蔵
・『上野東照宮』(1889年)岡山県立美術館蔵
・『毛利敬親像』(1890年)山口県立山口博物館蔵 第3回内国勧業博覧会妙技3等賞受賞
・『騎竜観音(きりゅうかんのん)』(1890年)護国寺蔵(東京国立近代美術館寄託)第3回内国勧業博覧会出品 国指定重要文化財
・『新島襄像』(1890年)同志社大学同志社社史資料センター蔵
・『横井小楠像』(1890年)同志社大学同志社社史資料センター蔵
・『素尊斬蛇』(1891年)第4回内国勧業博覧会妙技3等賞受賞
・『雪景』(制作年不詳)森鴎外記念館(津和野町)蔵
・『連池』(制作年不詳)森鴎外記念館(津和野町)蔵
・『徳富淇水像』(1893年)水俣市立蘇峰記念館蔵
・『高橋由一像』(1993年)東京芸術大学大学美術館蔵
・『伊藤快彦像』(制作年不詳)京都市美術館蔵
・『海浜風景』(1897年)東京芸術大学大学美術館蔵 第8回明治美術会展出品
・『安藤信光像』(1898年)東京国立博物館蔵 絶筆