イメージ 1


 今日は、昭和時代中期の1949年(昭和24)に、「広島平和記念都市建設法」が公布・施行された日です。
 「広島平和記念都市建設法(ひろしまへいわきねんとしけんせつほう)」は、太平洋戦争末期の1945年(昭和20)8月6日に投下された原子爆弾によって、壊滅的な被害を受けた広島市を復興させるための都市建設に関する法律(昭和24年法律第219号)でした。1946年(昭和21)11月3日に公布、翌年5月3日に施行された「日本国憲法」第95条による初めての特別法(特定の地方公共団体のみに適用される法律として住民投票による過半数の賛成を要件とする)として制定されています。
 太平洋戦争後、廃墟となった広島市を復興させるため、国による補助率の引き上げや国有財産の譲与を認めることが検討されました。その中で、「日本国憲法」第95条による特別法の制定が考えられ、市、市議会、地元選出国会議員など多くの人の尽力によって、法案が国会に提出され、1949年(昭和24)5月10日に衆議院で可決、翌日には参議院でも可決されます。
 そこで、同年7月7日に広島市で住民投票が実施され、投票率65.02%で、賛成 71,852票(91.89%)、反対6,340票(8.11%)と過半数の賛成を得て、同年8月6日に公布・施行されました。

〇「広島平和記念都市建設法」に関する住民投票の結果

<投票実施日> 1949年(昭和24)7月7日
<投票結果>
・賛成 71,852票(91.89%)
・反対 6,340票(8.11%)
・有効投票数 78,192票(99.02%)
・無効または空白投票数 770票(0.98%)
・投票総数 78,962票(100.00%)
・登録有権者 121,437人
・投票率 65.02%

〇「広島平和記念都市建設法」の制定までの動き

<1945年(昭和20)>
・8月6日 原子爆弾投下  
・11月 木原市長、特別援助を国に申請 国有財産の払下げ・特別補助の陳情

<1946年(昭和21)>
・1月 旧軍用地の無償払い下げ申請(木原市長)
・10月 復興都市計画の決定

<1948年(昭和23)>
・11月 「復興国営化請願書」を市議会が議決 復興の国営化の請願運動

<1949年(昭和24)>
・2月11日 同請願書を国会の関係議員などに配付
・2月13日 請願運動の方針を参議院議長公舎にて検討、寺光参議院議事部長より法律制定の提案 平和記念都市法制定の運動
・2月14日 寺光部長により法案(第1次)が起草
・4月25日 長崎市が平和都市法へ共同参画の意思表示
・5月4日 GHQが法案を承認
・5月10日 衆議院で法案可決
・5月11日 参議院で法案可決
・7月7日 広島市で全国初の住民投票を実施(賛成多数)  
・8月6日 「広島平和記念都市建設法」の公布、施行

<1952年(昭和27)>  
・3月31日 広島平和記念都市建設計画の決定  

〇「日本国憲法」第95条による特別法とは?

 一つの地方公共団体のみに適用される特別な法律です。「日本国憲法」第95条の規定に基づき、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、この法律を制定することができないとされていました。1949年(昭和24)8月6日公布・施行の「広島平和記念都市建設法」をはじめとして、1951年(昭和26)8月15日公布の「軽井沢国際親善文化観光都市建設法」まで15の特別法が制定されましたが、その後は新たには制定されていません。

☆「日本国憲法」第95条【特別法の住民投票】
「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」

☆制定された特別法一覧

・1949年(昭和24)8月6日 「広島平和記念都市建設法」
・1949年(昭和24)8月9日 「長崎国際文化都市建設法」
・1950年(昭和25)6月28日 「首都建設法」
・1950年(昭和25)6月28日 「旧軍港市転換法」(横須賀、舞鶴、呉、佐世保)
・1950年(昭和25)07月18日 「別府国際観光温泉文化都市建設法」
・1950年(昭和25)07月25日 「伊東国際観光温泉文化都市建設法」
・1950年(昭和25)08月01日 「熱海国際観光温泉文化都市建設法」
・1950年(昭和25)10月21日 「横浜国際港都建設法」
・1950年(昭和25)10月21日 「神戸国際港都建設法」
・1950年(昭和25)10月21日 「奈良国際文化観光都市建設法」
・1950年(昭和25)10月22日 「京都国際文化観光都市建設法」
・1951年(昭和26)3月1日 「松江国際文化観光都市建設法」
・1951年(昭和26)3月03日 「芦屋国際文化住宅都市建設法」
・1951年(昭和26)4月01日 「松山国際観光温泉文化都市建設法」
・1951年(昭和26)8月15日 「軽井沢国際親善文化観光都市建設法」

〇「広島平和記念都市建設法」(昭和24年法律第219号) 1949年(昭和24)8月6日公布・施行

(目的)

第一条 この法律は、恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として、広島市を平和記念都市として建設することを目的とする。

(計画及び事業)

第二条 広島平和記念都市を建設する特別都市計画(以下平和記念都市建設計画という。)は、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第一項に定める都市計画の外、恒久の平和を記念すべき施設その他平和記念都市としてふさわしい文化的施設の計画を含むものとする。

2 広島平和記念都市を建設する特別都市計画事業(以下平和記念都市建設事業という。)は、平和記念都市建設計画を実施するものとする。

(事業の援助)

第三条 国及び地方公共団体の関係諸機関は、平和記念都市建設事業が、第一条の目的にてらし重要な意義をもつことを考え、その事業の促進と完成とにできる限りの援助を与えなければならない。

(特別の助成)

第四条 国は、平和記念都市建設事業の用に供するために必要があると認める場合においては、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十八条の規定にかかわらず、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を譲与することができる。

(報告)

第五条 平和記念都市建設事業の執行者は、その事業が速やかに完成するように努め、少なくとも六箇月ごとに、国土交通大臣にその進捗状況を報告しなければならない。

2 内閣総理大臣は、毎年一回国会に対し、平和記念都市建設事業の状況を報告しなければならない。

(広島市長の責務)

第六条 広島市の市長は、その住民の協力及び関係諸機関の援助により、広島平和記念都市を完成することについて、不断の活動をしなければならない。

(法律の適用)

第七条 平和記念都市建設計画及び平和記念都市建設事業については、この法律に特別の定がある場合を除く外、都市計画法の適用があるものとする。

附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律施行の際現に執行中の広島特別都市計画事業は、これを平和記念都市建設事業とする。

附 則 (昭和四三年六月一五日法律第一〇一号) 抄

この法律(第一条を除く。)は、新法の施行の日から施行する。

附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

(施行期日)

第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日

  「法令全書」より