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 今日は、平成時代の1989年(平成元)に、小説家森敦の亡くなった日です。
 森敦(もり あつし)は、明治時代後期の1912年(明治45)1月22日に、長崎市銀屋町で生まれました。少年時代は朝鮮の京城府(現在のソウル市)で暮らし、京城中学校で学びます。1931年(昭和6)に旧制第一高等学校理科に入学しましが、小説がいかにあるべきかを追求するジッドに関心をもち、また禅や華厳経の世界に興味を抱いて、翌年退学します。
 その後、横光利一に師事し、その推薦により、1934年(昭和9)に「東京日日新聞」、「大阪毎日新聞」に『酩酊舟〔よいどれぶね〕』を連載して文壇に登場、太宰治・檀一雄らと文芸同人誌「青い花」を創刊しました。その頃から各地を放浪するようになり、奈良市や松本市などを転々とします。
 1941年(昭和16)に横光利一夫妻の媒酌により前田暘と結婚、1945年(昭和20)頃から妻の故郷である山形県酒田市に住み、1951年(昭和26)から翌年にかけて、湯殿山注連寺に滞在しました。1955年(昭和30)に「立像」を創刊、1957年(昭和32)には、三重県の電源開発に、1962年(昭和37)には東京の近代印刷に勤務しています。
 1968年(昭和43)から「ポリタイア」に小説を書くようになり、1973年(昭和49)に、「季刊芸術」に発表した『月山』で第70回芥川賞を受賞、当時の最高齢(62歳)受賞者として話題になりました。それからも、小説集『鳥海山』(1974年)、エッセイ集『意味の変容』(1984年)、『マンダラ紀行』(1986年)などを出し、1987年(昭和62)の長編小説『われ逝くもののごとく』で第40回野間文芸賞を受賞しています。
 しかし、1989年(平成元)7月29日に、東京において、77歳で亡くなりました。

〇森敦の主要な著作

・『酩酊船(よいどれぶね)』(1934年)
・『月山(がっさん)』(1974年)第70回芥川賞受賞
・小説集に『鳥海山』(1974年)
・エッセー集『文壇意外史』(1974年)
・作品集『私家版柳斎志異』(1979年)
・エッセー集『わが青春わが放浪』(1982年)
・エッセー集『わが風土記』(1982年)
・エッセイ集『意味の変容』(1984年)
・エッセイ集『マンダラ紀行』(1986年)
・『われ逝(ゆ)くもののごとく』(1987年)第40回野間文芸賞受賞
・短編集『浄土』(1989年)
・自伝『楽しかりし日々』