今日は、江戸時代後期の1835年(天保6)に、日本画家橋本雅邦が生まれた日ですが、新暦では8月21日となります。
橋本雅邦(はしもと がほう)は、江戸木挽町(現在の東京都中央区)の狩野家の邸内において、武蔵国川越藩の御用絵師橋本晴園養邦の子として生まれましたが、幼名は千太郎(のち長卿)と言いました。1847年(弘化4)に13歳で狩野勝川院雅信に入門しましたが、狩野芳崖とは同じ頃の入門で、勝川門の二神足と称され、1854年(安政元)には塾頭となります。
1860年(万延元)に勝園雅邦(ただくに)の号を与えられ、独立を許されたものの、幕末の混乱期で困窮を極め、中国向け輸出の扇子絵描きなどで糊口をしのぎました。1870年(明治3)に木挽町狩野家は火災で焼失、財産のほとんどを失い、妻は発狂し、苦労を重ねます。
翌年から、生活のため海軍兵学寮に製図係として出仕し、ウィーン万博出品の日本全国地図などを制作しました。一方、1882年(明治15)の第1回内国絵画共進会では、『琴棋書画図』が銀印主席を取り、1884年(明治17)の第2回内国絵画共進会展にも出品し、岡倉天心、フェノロサに認められます。
1886年(明治19)には海軍兵学校を辞し、文部省の絵画取調所に出仕するようになり、東京美術学校(のちの東京芸術大学)設立にも尽力し、1889年(明治22)開校とともに初代教授となって、後進の育成にあたりました。同年に最初の帝室技芸員ともなり、翌年の第3回内国勧業博覧会には審査官として『白雲紅樹』を出品し、1等妙技賞を受賞します。
1898年(明治31)の天心の美術学校退職と行をともにし、日本美術院の創立に参加、主幹となって、横山大観、菱田春草、下村観山らを指導しました。狩野派の伝統的手法による穏やかな写実的作風で、近代日本画の礎を築きましたが、1908年(明治41)1月13日に、東京において、数え年74歳で亡くなっています。
〇橋本雅邦の主要な作品
・油絵『豫譲』川越市立美術館蔵
・油絵『水雷命中』(1868年)東京国立博物館蔵
・『琴棋書画図』(1882年)第1回内国絵画共進会銀印主席 MOA美術館蔵
・『竹に鳩』(1882年)三の丸尚蔵館蔵
・『秋景山水』(1884年頃)練馬区立美術館蔵
・『月夜山水』(1889年)東京芸術大学蔵
・『白雲紅樹』(1890年)第3回内国勧業博覧会1等妙技賞受賞 東京芸術大学蔵 国指定重要文化財
・『竜虎図屏風』(1895年)静嘉堂文庫庫蔵 国指定重要文化財
・『春秋山水図』(1901年)宮内庁三の丸尚蔵館蔵
・『瀟湘八景』東京国立博物館蔵
橋本雅邦(はしもと がほう)は、江戸木挽町(現在の東京都中央区)の狩野家の邸内において、武蔵国川越藩の御用絵師橋本晴園養邦の子として生まれましたが、幼名は千太郎(のち長卿)と言いました。1847年(弘化4)に13歳で狩野勝川院雅信に入門しましたが、狩野芳崖とは同じ頃の入門で、勝川門の二神足と称され、1854年(安政元)には塾頭となります。
1860年(万延元)に勝園雅邦(ただくに)の号を与えられ、独立を許されたものの、幕末の混乱期で困窮を極め、中国向け輸出の扇子絵描きなどで糊口をしのぎました。1870年(明治3)に木挽町狩野家は火災で焼失、財産のほとんどを失い、妻は発狂し、苦労を重ねます。
翌年から、生活のため海軍兵学寮に製図係として出仕し、ウィーン万博出品の日本全国地図などを制作しました。一方、1882年(明治15)の第1回内国絵画共進会では、『琴棋書画図』が銀印主席を取り、1884年(明治17)の第2回内国絵画共進会展にも出品し、岡倉天心、フェノロサに認められます。
1886年(明治19)には海軍兵学校を辞し、文部省の絵画取調所に出仕するようになり、東京美術学校(のちの東京芸術大学)設立にも尽力し、1889年(明治22)開校とともに初代教授となって、後進の育成にあたりました。同年に最初の帝室技芸員ともなり、翌年の第3回内国勧業博覧会には審査官として『白雲紅樹』を出品し、1等妙技賞を受賞します。
1898年(明治31)の天心の美術学校退職と行をともにし、日本美術院の創立に参加、主幹となって、横山大観、菱田春草、下村観山らを指導しました。狩野派の伝統的手法による穏やかな写実的作風で、近代日本画の礎を築きましたが、1908年(明治41)1月13日に、東京において、数え年74歳で亡くなっています。
〇橋本雅邦の主要な作品
・油絵『豫譲』川越市立美術館蔵
・油絵『水雷命中』(1868年)東京国立博物館蔵
・『琴棋書画図』(1882年)第1回内国絵画共進会銀印主席 MOA美術館蔵
・『竹に鳩』(1882年)三の丸尚蔵館蔵
・『秋景山水』(1884年頃)練馬区立美術館蔵
・『月夜山水』(1889年)東京芸術大学蔵
・『白雲紅樹』(1890年)第3回内国勧業博覧会1等妙技賞受賞 東京芸術大学蔵 国指定重要文化財
・『竜虎図屏風』(1895年)静嘉堂文庫庫蔵 国指定重要文化財
・『春秋山水図』(1901年)宮内庁三の丸尚蔵館蔵
・『瀟湘八景』東京国立博物館蔵