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 今日は、平成時代の1994年(平成6)に、青森市の三内丸山遺蹟で巨大建造物の木柱や大量の土器が出土し、国内最大級の縄文時代集落跡であると報道された日です。
 三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)は、青森県青森市大字三内字丸山の丘陵地帯にある縄文時代前期中頃から中期末までを中心とした大規模な集落跡でした。遺跡としては古くから知られ、江戸時代に山崎立朴が弘前藩の諸事情を記した『永禄日記』や菅江真澄の紀行文『栖家の山』などにも見られ、太平洋戦争後は学術調査や小規模な開発事前調査も行われています。
 1992年(平成4)からの青森県総合運動公園の拡張による新県営野球場建設に伴う発掘調査によって、「国内最大級の縄文集落」であることが明らかになり、1994年(平成6)7月16日の「東奥日報」朝刊、「朝日新聞」夕刊の報道をきっかけに、開発か保存かで、大問題となりました。しかし、スポーツ施設より遺跡保存を望む多くの世論によって、同年8月1日には工事を中止し遺跡を保存することになりました。
 発掘調査の結果、竪穴住居跡、大型竪穴住居跡、大人や子供の墓、盛り土、掘立柱建物跡、大型掘立柱建物跡、貯蔵穴、粘土採掘坑、捨て場、道路跡などが発見され、縄文土器、石器、土偶、土・石製の装身具、木器、骨角牙貝製器など膨大な量の発掘物が出ています。また、1995年(平成7)から遺跡の整備と公開を行い、1997年(平成9)に国史跡となり、2000年(平成12)には、縄文時代の遺跡としては、全国で3番目となる国の特別史跡に指定、2002年(平成14)には「縄文時遊館」が開館しました。
 そして、2003年(平成15年)に出土遺物1,958点は、国の重要文化財となり、土偶や土器、ヒスイなどの装身具等多くが展示されています。遺跡は、公開されているだけで約5万屬△蝓復元された大型竪穴式住居、掘立柱建物、盛土、直径2mの柱穴が6個並ぶ大型掘立柱建物跡、墓地などを巡回しながら見ることができるようになりました。
 今までの縄文時代のイメージをうち破るもので、縄文人が定住生活し、大規模な集落を営んでいた様子をボランティアの人による定時の遺跡案内によって知ることも可能です。

〇縄文時代とは?

 今から約1万6,500年前から約3,000年前までの縄文土器の使用と竪穴住居の拡大、貝塚の形式などに特徴づけられます。終期は、地域差が大きいものの、定型的な水田耕作を特徴とする弥生時代の登場を契機とすると考えられています。時期区分は、草創期、早期、前期、中期、後期、晩期の6つに分けるのが一般的です。この時代は小集団による狩猟中心で、獲物を取り尽くすと住居を転々と変えていた。そんな感じがありましたが、青森県で三内丸山遺跡が発見され、そのイメージは大きく塗り替えられました。

☆縄文時代の主要遺跡一覧

・三内丸山遺跡(青森県青森市)前~中期 特別史跡―2000年(平成12)指定
・大平山元遺跡(青森県東津軽郡外ヶ浜町)草創期 国史跡―2013年(平成25)指定
・亀ヶ岡遺跡(青森県つがる市)晩期 国史跡―1944年(昭和19)指定
・是川遺跡(青森県八戸市)晩期 国史跡―1957年(昭和32)指定
・御所野遺跡(岩手県一戸市)中期 国史跡―1993年(平成5)指定
・大湯環状列石(秋田県鹿角市)後期 特別史跡―1956年(昭和31)指定
・伊勢堂岱遺跡(秋田県北秋田市)後期 国史跡―2001年(平成13)指定
・山王囲遺跡(宮城県栗原市)晩期 国史跡―1971年(昭和46)指定
・加曾利貝塚(千葉県千葉市若葉区)前~後期 特別史跡―2017年(平成29)指定
・堀之内貝塚(千葉県市川市)後~晩期 国史跡―1964年(昭和39)指定
・黒浜貝塚(埼玉県蓮田市)前~中期 国史跡―2006年(平成18)指定
・水子貝塚(埼玉県富士見市)前期 国史跡―1969年(昭和44)指定
・中里貝塚(東京都北区)中~後期 国史跡―2000年(平成12)指定
・大森貝塚(東京都大田区・品川区)後~晩期 国史跡―1955年(昭和30)指定
・勝坂遺跡(神奈川県相模原市南区)中期 国史跡―1974年(昭和49)指定
・夏島貝塚(神奈川県横須賀市)早期 国史跡―1972年(昭和47)指定
・馬高・三十稲場遺跡(新潟県長岡市)中期 国史跡―1979年(昭和54)指定
・笹山遺跡(新潟県十日町市)中~後期 市史跡―1992年(平成4)指定
・長者ヶ原遺跡(新潟県糸魚川市)早~後期 国史跡―1971年(昭和46)指定
・尖石遺跡(長野県茅野市)中期 特別史跡―1952年(昭和27)指定
・井戸尻遺跡(長野県諏訪郡富士見町)中期 国史跡―1966年(昭和41)指定
・釈迦堂遺跡(山梨県笛吹市・甲州市)早~後期
・蜆塚遺跡(静岡県浜松市中区)後~晩期 国史跡―1959年(昭和34)指定
・吉胡貝塚(愛知県田原市)晩期 国史跡―1951年(昭和26)指定
・炉畑遺跡(岐阜県各務原市)中~晩期 県史跡―1974年(昭和49)指定
・桜町遺跡(富山県小矢部市)中~後期
・真脇遺跡(石川県鳳珠郡能登町)前~晩期 国史跡―1989年(平成元)指定
・鳥浜貝塚(福井県三方上中郡若狭町)草創~前期
・津雲貝塚(岡山県笠岡市 晩期)国史跡―1968年(昭和43)指定
・上黒岩遺跡(愛媛県上浮穴郡久万高原町)草創~後期 国史跡―1971年(昭和46)指定
・板付遺跡(福岡県福岡市博多区)晩期 国史跡―1976年(昭和51)指定
・菜畑遺跡(佐賀県唐津市)晩期 国史跡―1983年(昭和58)指定
・泉福寺洞窟遺跡(長崎県佐世保市)草創~晩期 国史跡―1986年(昭和61)指定
・福井洞窟遺跡(長崎県佐世保市)草創~早期 国史跡―1978年(昭和53)指定
・上野原遺跡(鹿児島県霧島市)早~晩期 国史跡―1999年(平成11)指定