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 今日は、昭和時代後期の1983年(昭和58)に、「国立歴史民俗博物館」(通称:歴博)が開館した日です。
 国立歴史民俗博物館(こくりつれきしみんぞくはくぶつかん)は、千葉県佐倉市城内町にある国立大学法人法に基づいて設置された、大学共同利用機関法人人間文化研究機構を構成する研究機関で、原始・古代から現代までの日本の歴史・民俗に関する研究を行い、関連資料を展示してきました。
 日本には、太平洋戦争前からの美術系博物館として「帝室博物館」(東京・京都・奈良)があり、戦後「国立博物館」となりました。しかし、歴史系の国立博物館を設置すべく、1966年(昭和41)に「明治百年」記念事業の一環として歴史博物館の設置が決定し、以後検討されていきます。
 1971年(昭和46)には、文化庁内に博物館設置のための基本構想委員会が置かれ、1978年(昭和53)には、文化庁内に国立歴史民俗博物館設立準備室が設置されました。同準備室室長として、歴史学者の井上光貞が就任し、開館へ向けての準備が本格化していきます。
 そして、1981年(昭和56)に「国立歴史民俗博物館」が発足、歴史学、考古学、民俗学の三分野の統合的な研究を行なうことを目的とし、歴史・考古・民俗・情報資料の4研究部に分かれ、それぞれ部門ごとに専門家を置く、大学共同利用機関となりました。
 1983年(昭和58)3月16日には、展示施設としてオープンしますが、常設展示室は、最初第1展示室(原始・古代)と第2展示室(中世)だけとなります。その後、1983年(昭和58)に第3展示室(近世)、1985年(昭和60)に第4展示室(民俗)、1995年(平成7)に第5展示室(近代)、2010年(平成22)に第6展示室(現代)が一般公開され、6つの常設展示室がそろいました。
 その中でも、展示内容は順次リニューアルされ、企画展示室では、年に何回か企画展も行われてきています。また、野村正治郎収集近世衣装コレクション、秋岡武次郎収集古地図コレクション、上田綱治郎収集甲冑武具コレクションなどを持ち、国宝となっている「宋版漢書(慶元刊本)61冊」、「宋版後漢書(慶元刊本)60冊」、「宋版史記(黄善夫刊本)90冊」、「額田寺伽藍並条里図(麻布)、「後宇多院宸記(文保三年具注暦)自筆本」(東寺旧蔵)をはじめ、多数の国指定重要文化財を収蔵してきました。
 尚、2004年(平成16)から「国立民族学博物館」などとともに、大学共同利用機関法人〈人間文化研究機構〉を構成する機関の一つとなっています。

〇博物館とは?

 広辞苑によると、「古今・東西にわたって考古学資料・美術品・歴史的遺物、その他の学術的資料を博く蒐集し、これを組織的に陳列して一般公衆の展覧に供し、学術研究の資とし、社会教育に寄与するための施設。」となっていました。
 また、博物館法では、「博物館は、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し(育成を含む)、展示して教育的配慮のもとに一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせて、これらの資料に関する調査研究をする機関である」とされています。
 日本では、明治時代前期の1872年(明治5)に文部省博物局の管轄で湯島の聖堂に開設されたのが最初とされ、1875年(明治8)になって内務省管轄の博物館が設置されました。この博物館は、帝国博物館、東京帝室博物館などと名称を変え、太平洋戦争後、国立博物館となり、1952年(昭和27)に現在の東京国立博物館になったのです。
 そして、戦後になって博物館の数は急速に増えていきました。日本では現在、博物館の数は増加傾向にあり、文部科学省の調査では、2011年(平成23)10月現在で、5,747館があります。