東京大空襲(とうきょうだいくうしゅう)は、太平洋戦争下で、この日の未明にマリアナ諸島から飛来した、米軍のB-29爆撃機約300機による東京への大規模な空襲でした。東京下町地区を中心にした2時間半の爆撃によって、約1,700tの焼夷弾が投下され、早暁にかけて大規模な火災による旋風が発生、約40平方km(東京の4分の1)が焦土と化します。
これによる被害は、警視庁調査では、焼失268,358戸、罹災者1,008,005人、死者83,793人、負傷者40,918人とされますが、実際には死者10万人以上、焼失27万余戸とも言われてきました。東京における空襲ではこの日に最大の被害が出ましたが、1942年(昭和17)4月18日の東京、名古屋、神戸などに対するドウリットル指揮の16機の米陸軍機B-25による空襲に始まり、本格的には1944年(昭和19)11月24日のB-29による初空襲以降、敗戦までに東京は106回の空襲を受け、特に1945年(昭和20)のこの日と4月13日、4月15日、5月24日未明、5月25日-26日の5回は大規模で、大きな被害が出ています。
以後、3月12日名古屋、14日大阪、17日神戸、19、20日名古屋、29日北九州、4月13日東京西部地域、15日東京・横浜・川崎と大都市への夜間空襲を続け、5月24日未明と5月25日-26日に再び東京と大都市が空襲されました。その後、空襲は地方の中小都市へと移り、8月6日の広島原爆投下、8月9日の長崎原爆投下へと至って、日本全土が多大な被害を受け、8月15日の敗戦となりました。
尚、東京都は1990年(平成2)に、「東京都平和の日条例」を制定し、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、3月10日を「東京都平和の日」と定め、記念式典及び関連事業を開催しています。
〇太平洋戦争下の主要な空襲一覧
<1942年(昭和17)>
・4月18日 東京、名古屋、神戸などが初空襲される(ドウリットル指揮の16機の米陸軍機B-25による)
<1944年(昭和19)>
・11月24日 B-29による初めての東京空襲が行われる
<1945年(昭和20)>
・1月19日 阪神地方へ初の本格的空襲が行われる
・3月10日 東京大空襲か行われ、死傷10万人以上、焼失27万余戸、罹災100余万人が出る
・3月12日 名古屋大空襲で中心街が消失する(家屋25,734棟棟被災、105,093人罹災、死者519人、負傷者負傷者734人)
・3月13~14日 大阪へ初の大空襲が行われる
・3月17日 神戸大空襲が行われ神戸市西部が消失する(約65,000棟が全半焼、死者2,598人)
・3月19日 名古屋大空襲で名古屋駅が炎上する(家屋39,893棟被災、151,332人罹災、死者826人、負傷者2,728人)
・3月29日 北九州が空襲される
・4月13日 東京空襲(西部地域)が行われる
・4月15日 東京・横浜・川崎の空襲が行われる
・5月14日 名古屋空襲で名古屋城が焼失する(家屋21,905棟被災、66,585人罹災、死者338人、負傷者783人)
・5月24日 東京へ250機来襲し、皇居が炎上する
・5月25~26日 東京空襲(山手地域)が行われる
・5月29日 京浜へ600機来襲し、川崎、横浜が被災する
・6月1日 大阪、尼崎等へ400機来襲する
・6月5日 兵庫県神戸市へ350機来襲する(西部の神戸市垂水区から東部の西宮市まで広範囲が爆撃される)
・6月7日 大阪周辺へ250機来襲する
・6月29日 岡山空襲で岡山城が焼失する(家屋12,693棟被災、死者が1,737人)
・7月9日 和歌山大空襲で和歌山城が消失する(焼失家屋31,137戸、被災者113,548人、死者・行方不明者1,424人)
・7月14日 青函連絡船の翔鳳丸など9隻が米艦載機の攻撃を受けて沈没する
・8月5日 B-29爆撃機92機が前橋市・高崎市を空襲し、死傷者1,323人が出る
・8月6日 B-29が広島に原子爆弾を投下し、市街地は廃墟と化し、20万人以上の人命が喪われる
・8月7日 愛知県の豊川海軍工廠が爆撃され女子挺身隊員・国民学校児童ら2,477人の死者を出す
・8月8日 福山大空襲で福山城が消失する(焼失家屋数10,179戸、被災者数47,326人、死者354人)
・8月9日 B-29が長崎にも原子爆弾を投下し、市街地は廃墟と化し、8万人弱の人命が喪われる