品川灯台(しながわとうだい)は、お雇い外国人のF・L・ヴェルニーを首長とするフランス人技術者の手によって建設された4つの洋式灯台(観音崎、野島崎、城ヶ島、品川)の一つで、日本の洋式灯台としては、1869年2月11日(旧暦:明治2年1月1日)初点灯の観音埼灯台、1870年1月19日(旧暦:明治2年12月18日)初点灯のの野島埼灯台に続いて、3番目として東京湾品川沖の第二台場に建設され、初点灯したものでした。
レンガ造の円形灯台で、灯器はフランスから輪入、石油を燃やして発光させ、光の明るさは100燭光、回転しない不動燈で、光の届く距離は約18kmとされています。避雷針先端までの高さは約9m、光源の高さは地上から19尺(約5.8m)、海面上52尺(約16m)、煉瓦造漆喰塗で、基礎、入口周り、内部螺旋階段、デッキの支えなどに石材を組み入れ、創建時には塔身の廻りに半円形の前室がありました。
品川台場は、江戸防備のため江川太郎左衛門の計画に基づき幕末に急造された人工島で、当初は大砲を備えていましたが、品川灯台のあった第二台場は、東京湾の航路の妨げになるということで1957年(昭和32)に撤去されることとなり、その際に灯台は廃灯になりました。
しかし、愛知県犬山市の「博物館明治村」に1964年(昭和39)に塔身だけ移築復元され、翌年の「博物館明治村」オープンに伴って公開されるようになります。観音崎、野島埼灯台が地震により倒壊し、この灯台は現存する日本最古の洋式灯台となるため、1968年(昭和43)には、国の重要文化財に指定されました。
〇初点灯とは?
灯台が、その場所ではじめて正式に点灯(本点灯)した日をいいます。日本で最初に点灯した洋式灯台は、1869年2月11日(旧暦:明治2年1月1日)の観音埼灯台で、2番目は、1870年1月19日(旧暦:明治2年12月18日)の野島埼灯台で、共にレンガ造りでしたが、いずれも地震で倒壊し、現在では、鉄筋コンクリート造りとなりました。しかし、F・L・ヴェルニー等によって、1870年4月5日(旧暦:明治3年3月5日)に建設され3番目に初点灯したレンガ造りの品川灯台(旧:東京都品川区)は、愛知県犬山市の「博物館明治村」に移設保存されて、現存しています。以下に、初点灯の古い洋式灯台ベスト20を新暦で本点灯の年月日順に記しました。
☆初点灯の古い洋式灯台ベスト20
観音埼灯台(神奈川県横須賀市)1869年2月11日(旧暦:明治2年1月1日)
野島埼灯台(千葉県南房総市)1870年1月19日(旧暦:明治2年12月18日)
品川灯台(旧:東京都品川区)1870年4月5日(旧暦:明治3年3月5日)
樫野埼灯台(和歌山県串本町)1870年7月8日(旧暦:明治3年6月10日)
城ヶ島灯台(神奈川県三浦市)1870年9月8日(旧暦:明治3年8月13日)
神子元島灯台(静岡県下田市)1871年1月1日(旧暦:明治3年11月11日)
剱埼灯台(神奈川県三浦市)1871年3月1日(旧暦:明治4年1月11日)
江埼灯台(兵庫県北淡町)1871年6月14日(旧暦:明治4年4月27日)
伊王島灯台(長崎県長崎市)1871年9月14日(旧暦:明治4年7月30日)
石廊埼灯台(静岡県南伊豆町)1871年10月5日(旧暦:明治4年8月21日)
佐多岬灯台(鹿児島県佐多町)1871年11月30日(旧暦:明治4年10月18日)
六連島灯台(山口県下関市)1872年1月1日(旧暦:明治4年11月21日)
部埼灯台(福岡県北九州市)1872年3月1日(旧暦:明治5年1月22日)
友ヶ島灯台(和歌山県和歌山市)1872年8月1日(旧暦:明治5年6月27日)
納沙布岬灯台(北海道根室市)1872年8月15日(旧暦:明治5年7月12日)
和田岬灯台(兵庫県神戸市)1872年10月1日(旧暦:明治5年8月29日)
天保山灯台(大阪府大阪市)1872年10月1日(旧暦:明治5年8月29日)
鍋島灯台(香川県坂出市)1872年12月15日(旧暦:明治5年11月15日)
安乗埼灯台(三重県阿児町)1873年(明治6)4月1日
釣島灯台(愛媛県松山市)1873年(明治6)6月15日