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 今日は、昭和時代中期の1953年(昭和28)に、人類学者・考古学者・民族学者鳥居龍蔵の亡くなった日です。
 鳥居龍蔵(とりい りゅうぞう)は、1870年5月4日(明治3年4月4日)に、阿波国徳島(現在の徳島県徳島市船場町)で、煙草問屋の次男として生まれました。
 1883(明治16)に公立新町小学校の中等科第3級卒業後、高等科を中途で退学し、独学で人類学を学びます。1886年(明治19)に結成されたばかりの東京人類学会に入会し、1890年(明治23)には、東京人類学会の坪井正五郎を頼って単身上京しました。
 1892年(明治25)に一家で東京に移住し、翌年には、東京帝国大学人類学教室の標本整理係の職に就きます。1895(明治28)に東京人類学会より派遣され、初の海外調査である遼東半島調査を行うなど、考古学、人類学を研究に励みました。
 1898年(明治31)に東京帝国大学助手、1905年(明治38)に同講師、1922年(大正11)には助教授になります。その間、千島列島、台湾、中国東北部、朝鮮半島などを精力的に調査・研究し、『千島アイヌ』(1903年)、『蒙古及満洲』(1915年)、『有史以前乃日本』(1918年)などを著しました。
 1923年(大正12)に國學院大學教授に就任し、翌年には東京帝国大学を辞職し、鳥居人類学研究所を設立しました。1928年(昭和3)には上智大学の設立に尽力し、文学部長・教授となります。
 1939年(昭和14)には、中国北京のハーバード・燕京研究所の招聘で、客座教授に就任し、1951年(昭和26)に帰国しました。日本考古学の先駆者であり、北東アジア諸民族の物質文化研究の開拓者となりましたが、1953年(昭和28)1月14日に、東京において、82歳で亡くなります。
 尚、その功績を伝えるため1965(昭和40)に徳島県立鳥居記念博物館が開館しました。

〇鳥居龍蔵の主要な著作

・『千島アイヌ』吉川弘文館(1903年)
・『人種学』大日本図書(1904年)
・『苗族調査報告』(1907年)
・『蒙古旅行』博文館(1911年)
・『蒙古及満洲』冨山房(1915年)
・『有史以前乃日本』磯部甲陽堂(1918年)
・『武蔵野及其周囲』磯部甲陽堂(1924年)
・『人類学及人種学上より見たる北東亜細亜 西伯利, 北満, 樺太』岡書院(1924年)
・『日本周囲民族の原始宗教 神話宗教の人種学的研究』岡書院(1924年)
・『武蔵野及其有史以前』磯部甲陽堂(1925年)
・『人類学上より見たる我が上代の文化 第1』叢文閣(1925年)
・『有史以前の跡を尋ねて』雄山閣(1925年)
・『人類学上より見たる西南支那』冨山房(1926年)
・『極東民族 第1巻』文化生活研究会(1926年)
・『上代の東京と其周囲』磯部甲陽堂(1927年)
・『満蒙の調査』万里閣書房(1928年)
・『満蒙を再び探る』鳥居きみ子共著、六文館(1932年)
・『満蒙其他の思ひ出』岡倉書房(1936年)
・『遼の文化を探る』章華社(1937年)
・『黒竜江と北樺太』生活文化研究会(1943年)
・『ある老学徒の手記』朝日新聞社(1953年)