「児童福祉法」は、児童の心身の健全な成長、生活の保障、愛護を理念として、その目的達成のために必要な諸制度を定めた総合的法律で、社会福祉六法の1つとされてきました。
太平洋戦争後、親や家族、家を失って食べることも儘ならない児童が都市部中心に溢れ、一刻も早く救済・保護することが求められることになります。その中で、1947年(昭和22)5月5日に施行された「日本国憲法」が規定した基本的人権の考え方に基づいて作られました。
第一特別国会で制定され、1947年(昭和22年)12月12日に法律第164号として公布、翌年4月1日に施行されます。
「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」(第1条)とされ、そのための国・地方公共団体の責任、児童福祉司などの専門職員、育成医療の給付等福祉の措置、児童相談所、保育所等の施設、費用問題等について定められました。
その後の社会変化に応じて、度々改正が繰り返され、1997年(平成9)の改正では、親の希望による保育所の選択、年齢に応じた保育費の均一化、2004年(平成16)の改正では児童虐待に対応するための措置が盛り込まれています。
〇「児童福祉法」(抄文)
第一章 総 則
第一条 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
2 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。
第二条 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。
第三条 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。
第一節 定 義
第四条 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一 乳児 満一歳に満たない者
二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者
2 この法律で、障害児とは、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害児を含む。)又は治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であつて障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第四条第一項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度である児童をいう。
第五条 この法律で、妊産婦とは、妊娠中又は出産後一年以内の女子をいう。
第六条 この法律で、保護者とは、第十九条の三、第五十七条の三第二項、第五十七条の三の三第二項及び第五十七条の四第二項を除き、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。
(以下略)
「法令全書」より