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 今日は、昭和時代後期の1977年(昭和52)に、北海道の有珠山が32年ぶりに噴火(1977年有珠山噴火)した日です。
 有珠山(うすざん)は、北海道・洞爺湖の南に位置する標高737mの活火山ですが、1977年(昭和52年)8月6日から有感群発地震が発生する中で、翌日午前9時12分頃に山頂カルデラ、小有珠斜面からのプリニー式噴火が始まりました。
 32年ぶりの大噴火で、噴煙は高さ12,000mに達し、約1億立方mの火山灰を噴出、洞爺湖周辺の農地、林地、洞爺湖温泉、壮瞥温泉の両集落に多大な損害を与えます。降灰区域は北海道の約半分(119市町村)に及び、農作物に多大な被害を発生させ、気象庁はこの噴火を「1977年有珠山噴火」と命名しました。
 これ以降、火口原での地殻変動が、1982年(昭和57年)3月まで4年半ほど続き、山頂部の小有珠とオガリ山の中間点に新たな潜在溶岩円頂丘(有珠新山)が形成され、この間に降雨に伴う泥流が発生、1978年(昭和53)10月には死者2名、行方不明者1名が出ます。
 この教訓を後世に伝えるため、「1977年火山遺構公園ジオサイト」(噴火で断層ができて建物が破壊された跡)が残されました。
 その後、2000年(平成12年)にも噴火が起き、大きな被害を出します。

〇有珠山(北海道有珠郡壮瞥町・虻田郡洞爺湖町・伊達市)とは?

 洞爺湖の南に位置する二重式火山で、直径約1.8 km の外輪山の中に大有珠(標高737m)、小有珠などの溶岩円頂丘やオガリ山、有珠新山(669m)などの潜在円頂丘が形成されています。また、山麓にも溶岩円頂丘の昭和新山や、潜在円頂丘の金比羅山、四十三山(明治新山)などが有りました。
 江戸時代から噴火活動が活発化し、20世紀中だけでも4度も噴火活動が観測された、活発な活火山です。
 有珠善光寺・善光寺自然公園には、大小様々な溶岩の塊が散在していますし、昭和新山は、1944-45年(昭和19-20)の有珠山噴火で隆起して出来た溶岩ドームとして有名になりました。1977年(昭和52)の噴火で断層ができて建物が破壊された跡が、火山遺構公園として残されていますし、2000年(平成12)の噴火で落下した噴石の直撃を受けた建物跡である旧とうやこ幼稚園や熱泥流が発生して埋まった建物跡が遺構公園しとして保存されています。
 また、拠点施設としては、「道の駅 そうべつ情報館」「洞爺湖ビジターセンター・火山科学館」があって、見学しながらいろいろと学ぶことができました。
 尚、「洞爺湖有珠山ジオパーク」として、2008年(平成20)12月8日に、初めて「日本ジオパーク」に認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に「世界ジオパーク」にも認定されています。

〇「洞爺湖有珠山ジオパーク」とは?

 2008年(平成20)12月8日に、初めて「日本ジオパーク」に認定された7地域の一つで、翌年8月に最初に「世界ジオパーク」にも認定されています。
 北海道の洞爺湖、有珠山を中心とし、火山活動により形成された地質や自然、さらにはそうした自然に育まれた縄文文化の遺跡群などを含む、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の4市町がその対象地域となりました。
 洞爺湖ジオサイト(神秘の水をたたえるカルデラ湖)、中島ジオサイト(噴火で形成された溶岩ドーム群からなる)、北黄金貝塚ジオサイト(縄文時代早期~中期頃の遺跡群)、カムイチャシ史跡公園ジオサイト(アイヌの砦・館跡)、小幌洞窟ジオサイト(先史時代の遺跡)、有珠善光寺・善光寺自然公園ジオサイト(大小様々な溶岩の塊が散在しています)、昭和新山ジオサイト(1944-45年の有珠山噴火で隆起して出来た溶岩ドームが有名)、1977年火山遺構公園ジオサイト(噴火で断層ができて建物が破壊された跡)、旧とうやこ幼稚園ジオサイト(2000年噴火で落下した噴石の直撃を受けた建物跡)、2000年噴火遺構公園ジオサイト(熱泥流が発生して埋まった建物跡)などが見所です。
 拠点施設としては、「道の駅 そうべつ情報館」「洞爺湖ビジターセンター・火山科学館」があって、見学しながらいろいろと学ぶことができました。

〇「ジオパーク」とは?

 地質学(geology)と公園(park)の合成語で、「大地の公園」「大地の遺産」「地質遺産」などとも表現されていました。地球科学的な価値を持つ遺産を保全し、教育やツーリズムに活用しながら、持続可能な開発を進める地域認定プログラムです。
 2004年(平成16)に、「国際連合教育科学文化機関(UNESCO)」の支援により、「世界ジオパークネットワーク(GGN)」が発足し、各国のジオパーク委員会による推薦地域を審査し,条件を備えた地域を世界ジオパークに認定してきました。日本でも、2008年(平成20)に「日本ジオパーク委員会(JGC)」が設立され、国内のジオパーク認定、および世界ジオパークへの加盟申請などを行っています。また,日本ジオパークに認定されたところ、および日本ジオパークを目指す地域協議会などにより、「日本ジオパークネットワーク」が設立されました。
 そして、2008年(平成20)12月8日に、初めて7地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、アポイ岳、南アルプス[中央構造線エリア]、山陰海岸、室戸)が日本ジオパークに決まり、同時に、世界ジオパークへの3地域(洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島)の推薦が決定したのです。その後、日本ジオパークの認定と世界ジオパークへの加盟申請が順次行われてきて、2017年(平成29)7月現在、43地域が日本ジオパークに認定され、その内8地域が世界ジオパークに認定されました。これらの地域では、地史や地質現象を示す地質遺産を保全し、地球科学や環境問題の教育・普及活動を行うとともに、観光資源として地域の活性化を目指すと共に、地質災害に対する理解や防災への取り組みも行われています。

〇「活火山」とは?

 活動的で近い将来噴火を起こす可能性のある火山のことですが、日本では、おおむね過去1万年以内に噴火した記録があるか、現在活発な噴気活動のある火山とされています。
 火山噴火予知連絡会によって、(1)過去1万年間の噴火の頻度、規模、爆発性などを定量化した1万年活動度指数、(2)過去100年間の観測データに基づく100年活動度指数。の2つの尺度が決められ、これによって、活火山はA・B・Cの3段階に分類されました。(ただし、海底火山と北方領土の火山は、データ不足のため評価の対象外)2017年(平成29)7月現在、Aランク(最も活動度が高い)の火山は13、Bランク(活動度は中程度)は36、Cランク(活動度は最も低い)の火山は38、対象外の火山は23で、合計110となっています。

☆日本の活火山一覧(火山噴火予知連絡会、活動度による分類)

<北海道>
・十勝岳(北海道)ランクA
・樽前山(北海道)ランクA
・有珠山(北海道)ランクA
・北海道駒ケ岳(北海道)ランクA
・浅間山(長野県・群馬県)ランクA
・知床硫黄山(北海道)ランクB
・羅臼岳(北海道)ランクB
・摩周(北海道)ランクB
・雌阿寒岳(北海道)ランクB
・恵山(北海道)ランクB
・渡島大島(北海道)ランクB
・アトサヌプリ(北海道)ランクC
・丸山(北海道)ランクC
・大雪山(北海道)ランクC
・利尻山(北海道)ランクC
・恵庭岳(北海道)ランクC
・倶多楽(北海道)ランクC
・羊蹄山(北海道)ランクC
・ニセコ(北海道)ランクC

<東北>
・岩木山(青森県)ランクB
・十和田(青森県・秋田県)ランクB
・恐山(青森県)ランクC
・八甲田山(青森県)ランクC
・秋田焼山(秋田県)ランクB
・岩手山(岩手県)ランクB
・八幡平(岩手県・秋田県)ランクC
・秋田駒ヶ岳(秋田県)ランクB
・鳥海山(秋田県・山形県)ランクB
・栗駒山(宮城県)ランクB
・蔵王山(宮城県・山形県)ランクB
・鳴子(宮城県)ランクC
・肘折(山形県)ランクC
・吾妻山(福島県)ランクB
・安達太良山(福島県)ランクB
・磐梯山(福島県)ランクB
・沼沢(福島県)ランクC
・燧ヶ岳(福島県)ランクC

<関東>
・那須岳(栃木県)ランクB
・高原山(栃木県)ランクC
・男体山(栃木県)ランクC
・日光白根山(栃木県・群馬県)ランクC
・榛名山(群馬県)ランクB
・草津白根山(群馬県)ランクB
・赤城山(群馬県)ランクC
・伊豆大島(東京都)ランクA
・三宅島(東京都)ランクA
・伊豆鳥島(東京都)ランクA
・神津島(東京都)ランクB
・西之島(東京都)ランクB
・硫黄島(東京都)ランクB
・新島(東京都)ランクB
・利島(東京都)ランクC
・御蔵島(東京都)ランクC
・八丈島(東京都)ランクC
・青ヶ島(東京都)ランクC
・箱根山(神奈川県)ランクB

<中部>
・新潟焼山(新潟県)ランクB
・妙高山(新潟県)ランクC
・横岳(長野県)ランクC
・焼岳(長野県・岐阜県)ランクB
・御嶽山(長野県・岐阜県)ランクB
・乗鞍岳(長野県・岐阜県)ランクC
・アカンダナ山(岐阜県)ランクC
・白山(福井県・岐阜県)ランクC
・弥陀ヶ原(富山県)ランクC
・富士山(静岡県・山梨県)ランクB
・伊豆東部火山群(静岡県)ランクB

<中国>
・三瓶山(島根県)ランクC
・阿武火山群(山口県)ランクC

<九州>
・雲仙岳(長崎県)ランクA
・福江火山群(長崎県)ランクC
・阿蘇山(熊本県)ランクA
・九重山(大分県)ランクB
・鶴見岳・伽藍岳(大分県)ランクB
・由布岳(大分県)ランクC
・霧島山(鹿児島県・宮崎県)ランクB
・桜島(鹿児島県)ランクA
・薩摩硫黄島(鹿児島県)ランクA
・諏訪之瀬島(鹿児島県)ランクA
・米丸・住吉池(鹿児島県)ランクC
・池田・山川(鹿児島県)ランクC
・開聞岳(鹿児島県)ランクC
・中之島(鹿児島県)ランクB
・硫黄鳥島(鹿児島県)ランクB
・口之島(鹿児島県)ランクC
・口永良部島(鹿児島県)ランクB

A:100年活動度または1万年活動度が特に高い活火山
B:100年活動度または1万年活動度が高い活火山
C:100年活動度および1万年活動度がともに低い活火山
注:上記以外にデータ不足で対象外となっている北方領土や海底の火山があります