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 今日は、昭和時代中期の1948年(昭和23)に、「政令201号」により公務員の団体交渉権が厳しく制限され、争議権が否認された日です。
 この政令は、正式には、「昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令」といい、芦田均首相あてのマッカーサー書簡に基づいて発せられた政令(ポツダム政令)の一つで、公布されたその日に施行されました。
 1946年(昭和21)11月3日に公布、翌年5月3日に施行された「日本国憲法」によって、労働三権(団結権・団体交渉権・争議権)が保障されたのですが、この政令により、公務員労働者から団結権のみを残し、団体交渉権を厳しく制限し、争議権を奪うものとなります。
 違反した者は任命または雇用上の権利をもって対抗できず、「これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する」とされました。そして、この代償措置として人事院・人事委員会の給与勧告制度、身分保障その他を設けることになります。
 背景には、占領軍の戦後民主化政策の転換があり、3月闘争(全逓三月闘争)後、再び盛り上がろうとしていた官公労の労働運動を抑圧することになります。
 この政令は「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)により、1952年(昭和27)10月25日をもって失効しましたが、その実体は「国家公務員法」、「公共企業体等労働関係法」が継承し、公務員の労働権制限は現在まで続けられてきました。
 以下に、「政令201号」の条文を掲載しておきますのでご参照ください。

〇昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基く臨時措置に関する政令(昭和23年政令第201号)

第一条 任命によると雇傭によるとを問わず、国又は地方公共団体の職員の地位にある者(以下公務員といい、これに該当するか否かの疑義については、臨時人事委員会が決定する。)は、国又は地方公共団体に対しては、同盟罷業、怠業的行為等の脅威を裏付けとする拘束的性質を帯びた、いわゆる団体交渉権を有しない。但し、公務員又はその団体は、この政令の制限内において、個別的に又は団体的にその代表を通じて、苦情、意見、希望又は不満を表明し、且つ、これについて十分な話合をなし、証拠を提出することができるという意味において、国又は地方公共団体の当局と交渉する自由を否認されるものではない。
2 給与、服務等公務員の身分に関する事項に関して、従前国又は地方公共団体によつてとられたすべての措置については、この政令で定められた制限の趣旨に矛盾し、又は違反しない限り、引きつづき効力を有するものとする。
3 現に繋属中の国又は地方公共団体を関係当事者とするすべての斡旋、調停又は仲裁に関する手続は、中止される。爾后臨時人事委員会は、公務員の利益を保護する責任を有する機関となる。

第二条 公務員は、何人といえども、同盟罷業又は怠業的行為をなし、その他国又は地方公共団体の業務の運営能率を阻害する争議手段をとつてはならない。
2 公務員でありながら前項の規定に違反する行為をした者は、国又は地方公共団体に対し、その保有する任命又は雇傭上の権利をもつて対抗することができない。

第三条 第二条第一項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

  附 則 (抄)

2 この政令は、昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡にいう国家公務員法の改正等国会による立法が成立実施されるまで、その効力を有する。

                           「官報」より