イメージ 1

 今日は、昭和時代中期の1947年(昭和22)に、静岡市で1943年に発見された登呂遺跡の総合的な発掘調査が始まった日です。
 この遺跡は、静岡県静岡市駿河区にあり、戦時中の1943年(昭和18)に軍需工場の建設現場で発見されました。1947年(昭和22)7月10日から、考古学者、人類学者、地質学者など各分野の専門家が参加した、日本初の総合的な発掘調査が行われます。
 1950年(昭和25)にかけての大々的な発掘調査となり、水田や井戸の跡、住居や高床式倉庫の遺構が発見されたほか、鍬・鋤・田下駄・双手槽・丸木舟など農耕や狩猟、漁労のための木製道具や火起こしの道具、占い用の骨などが出土しました。
 日本の弥生時代研究の上で大きな役割を果たし、その成果は、報道、教科書、各種出版物等を通じて、国民に広く知らされます。また、これを契機として考古学者の組織である日本考古学協会が設立されるなど学史的意義も大きいものでした。
 1952年(昭和27)には、弥生時代の遺跡として初めて、国の特別史跡に指定され、遺跡公園となります。その後、1999年(平成11)からの再発掘調査で銅釧や漆塗りの琴、祭殿跡などが見つかりました。
 2016年(平成28)には発掘品が、「静岡県登呂遺跡出土品(考古資料)」として、国の重要文化財にも指定されています。
 現在は、集落跡と水田跡が残され、竪穴式住居、高床式倉庫なども復元されていて見て回ることが出来、当時の生活を知る上でとても貴重なものとなっています。出土品は、遺跡内にある「市立登呂博物館」で見学でき、体験展示室もあって、土器などのモノづくり、田植え、稲刈り、脱穀、火起こしなどの模擬的な体験もできるようになりました。

〇「弥生時代」とは?
 弥生時代は約紀元前3世紀~紀元後3世紀中頃までの時代で、水稲耕作による稲作の始まりによる弥生式土器に特徴づけられてきました。
 しかし、近年になって縄文時代の遺跡から、プラント・オパール(イネ科植物の葉などの細胞成分)が発見され、陸稲による稲作は縄文時代に始まっていたのではないかとの説が出されています。また、北海道と沖縄では弥生時代の区分は使われていません。
 時期区分は、前期、中期、後期の3つに分けるのが一般的ですが、稲作の開始された従来の縄文時代晩期に食い込んで早期を設けて4つに分ける考え方も提案されています。

☆主要な弥生遺跡一覧

・砂沢遺跡(青森県弘前市) 前期
・垂柳遺跡(青森県南津軽郡田舎館村) 中期---国史跡 2000年(平成12)指定
・地蔵田遺跡(秋田県秋田市) 前期---国史跡 1996年(平成8)指定
・弥生二丁目遺跡(東京都文京区)---国史跡 1976年(昭和51)指定
・大塚・歳勝土遺跡(神奈川県横浜市都築区) 中期---国史跡 1986年(昭和61)指定
・三殿台遺跡(神奈川県横浜市磯子区) 前~後期---国史跡 1966年(昭和41)指定
・神崎遺跡(神奈川県綾瀬市) 後期---国史跡 2011年(平成23)指定
・登呂遺跡(静岡県静岡市駿河区) 後期---特別史跡 1952年(昭和27)指定
・瓜郷遺跡(愛知県豊橋市) 中~後期---国史跡 1953年(昭和28)指定
・見晴台遺跡(愛知県名古屋市南区) 後期
・朝日遺跡(愛知県清須市・名古屋市西区) 前~後期---国史跡 1971年(昭和46)指定
・唐古・鍵遺跡(奈良県磯城郡田原本町) 後~晩期---国史跡 1999年(平成11)指定
・纏向遺跡(奈良県桜井市) 後期---国史跡 2006年(平成18)指定
・池上・曽根遺跡(大阪府和泉市・泉大津市) 中期---国史跡 1976年(昭和51)指定
・田能遺跡(兵庫県尼崎市) 前~後期  国史跡 1969年(昭和44)指定
・妻木晩田遺跡(鳥取県米子市・西伯郡大山町) 中~後期---国史跡 1999年(平成11)指定
・荒神谷遺跡(島根県出雲市) 中期---国史跡 1987年(昭和62)指定
・加茂岩倉遺跡(島根県雲南市) 中~後期---国史跡 1999年(平成11)指定
・百間川遺跡(岡山県岡山市) 前~後期
・土井ヶ浜遺跡(山口県下関市) 中~後期---国史跡 1962年(昭和37)指定
・紫雲出山遺跡(香川県三豊市) 中期
・板付遺跡(福岡県福岡市博多区) 前~後期---国史跡 1976年(昭和51)指定
・須玖岡本遺跡(福岡県春日市) 中期---国史跡 1986年(昭和61)指定
・平原遺跡(福岡県前原市) 後期---国史跡 1982年(昭和57)指定
・菜畑遺跡(佐賀県唐津市) 前~中期---国史跡 1983年(昭和58)指定
・原の辻遺跡(長崎県壱岐市) 前~後期---特別史跡 2000年(平成12)指定
・吉野ヶ里遺跡(佐賀県神埼郡吉野ヶ里町) 前~後期---特別史跡 1999年(平成11)指定