長沢蘆雪は、1754年(宝暦4)に、山城国淀藩の下級武士上杉和左衛門の子として生まれましたが、本名は政勝と言いました。
後に長沢家を継ぎ、京都に上って、円山応挙に師事したとされています。そして、1778年(安永7)の『東山名所図』(個人蔵)などの作を成し、1782年(天明2)版『平安人物志』の画家部に名が載るようになりました。
丸山派の技法を習得し、源琦と並んで応挙門下の俊英とうたわれます。奇抜な構図と奔放な筆致で障壁画を多く描き、紀州の無量寺蔵(1786年)、成就寺蔵(1786年)、草堂寺蔵(1787年)のものは代表作で、いずれも国指定重要文化財となりました。
花鳥・動物・人物画に異彩を放ちましたが、おだやかな水墨山水画も残しています。その後の代表作としては、西光寺(島根県)障壁画、正宗寺(愛知県)旧方丈障壁画、大乗寺(兵庫県)障壁画(1795年)、絵馬『山姥(やまんば)図』、『関羽図』(共に1797年)厳島神社(広島県)蔵、『月夜山水図』穎川美術館蔵、『海浜奇勝図』メトロポリタン美術館蔵などがあげられてきました。
しかし、1799年(寛政11年6月8日)に、大坂において、45歳で亡くなっています。
〇長沢蘆雪の主要な作品
・障壁画『竜虎図』『唐子琴棋書画図』(1786年)無量寺蔵 [国指定重要文化財]
・障壁画『花鳥群狗図』『群雀図』(1786年)成就寺蔵 [国指定重要文化財]
・障壁画『岩上白猿図』『朝顔図』(1787年)草堂寺蔵 [国指定重要文化財]
・『寒山拾得図』(1787年)高山寺(和歌山県)蔵 [県指定文化財]
・障壁画『竜図』西光寺(島根県)蔵 [市指定文化財]
・旧方丈障壁画『蘭亭曲水図』『花鳥図』正宗寺(愛知県)蔵 [国指定重要文化財]
・『宮島八景図帖』(1794年)文化庁保管 [国指定重要文化財]
・・障壁画『群猿図』(1795年)大乗寺(兵庫県)蔵 [国指定重要文化財]
・絵馬『山姥(やまんば)図』(1797年)厳島神社(広島県)蔵 [国指定重要文化財]
・『関羽図』(1797年)厳島神社(広島県)蔵 [国指定重要文化財]
・『花鳥游魚(ゆうぎょ)図巻』個人蔵
・『月夜山水図』穎川美術館蔵
・『海浜奇勝図』メトロポリタン美術館蔵