これは、都市計画学者の關一第7代大阪市長により計画され、1930年(昭和5)に、東京に次ぐ日本2番目の地下鉄として、梅田~心斎橋間の工事が始まりました。そして、1933年(昭和8)5月20日に、全国初の公営地下鉄として、梅田(仮駅)~心斎橋駅間(3.1km)が開通します。
当初は1両編成の単行運転でしたが、駅のホームは将来を見越して、8両編成に対応するようにつくられました。最初に出来た心斎橋駅、淀屋橋駅のホームはドーム状の高い天井とシャンデリア風の蛍光灯照明を有していて、とても立派に作られているので、一見の価値があります。
その後、次々と新路線がつくられたり、延伸されたりして、 現在では、御堂筋線(江坂駅~中百舌鳥駅)、谷町線(大日駅~八尾南駅)、四つ橋線(西梅田駅~住之江公園駅)、中央線(コスモスクエア駅~長田駅)、千日前線(野田阪神駅~南巽駅)、堺筋線(天神橋筋六丁目駅~天下茶屋駅)、長堀鶴見緑地線(大正駅~門真南駅)、今里筋線(井高野駅~今里駅)の8路線129.9kmを運行する、日本第2位の事業者となりました。
尚、2018年(平成30)3月31日付けで、大阪市営地下鉄としては運営を終了し、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)へ事業を譲渡しています。
〇地下鉄とは?
地下鉄道の略語で、地下にトンネルを掘り、そこに敷設された都市高速電気鉄道のことですが、一部地上を走る部分も含めて言う場合が多くありました。日本での法規上は、大阪市営地下鉄を除き「鉄道事業法」に基づくものです。大都市部では、鉄道用地取得が困難なため、やむを得ず地下に建設したもので、建設費はかかりますが、用地買収の手数が少く、道路との交差がないので高速運行が可能で、市街地景観も維持でき、沿線の騒音も小さいなどの利点があります。
日本最初の地下鉄は、昭和時代前期の1927年(昭和2)に、東京市の上野駅~浅草駅間(2.2km)の開通によるものでした。この路線は、1939年(昭和14)までに延伸されて、浅草駅~渋谷駅間が全通し、1941年(昭和16)に設立された帝都高速度交通営団に引き継がれ、営団地下鉄銀座線となります。一方、大阪市では、1933年(昭和8)に、梅田(仮駅)~心斎橋駅間(3.1km)が開通しました。
太平洋戦争後は、東京でも大阪でも新しい路線の建設や延伸が行われ、他の都市でも、1957年(昭和32)の名古屋市の名古屋駅~栄町駅間(2.4km)の開通を皮きりに広がって行きます。その後、札幌市(1971年)、横浜市(1972年)、神戸市(1977年)、京都市(1981年)、福岡市(1981年)、仙台市(1987年)などで開業し、2001年(平成13)時点の営業キロ数は672.9kmに達しました。それからも各地で新路線や延伸が進み、2017年現在、15事業者49路線で、営業キロ数は796.4kmとなっています。
☆日本で営業中の「地下鉄」(日本地下鉄協会の分類)一覧
・札幌市営地下鉄(札幌市交通局)3路線48.0km 46駅 日本唯一のゴムタイヤ式地下鉄
・仙台市地下鉄(仙台市交通局)2路線28.7km 29駅
・埼玉高速鉄道線(埼玉高速鉄道)1路線14.6km 8駅 総延長の97%が地下区間
・都営地下鉄(東京都交通局)4路線109.0km 98駅
・東京メトロ(東京地下鉄) 9路線195.1km 141駅
・りんかい線(東京臨海高速鉄道)1路線12.2km 8駅
・東葉高速線(東葉高速鉄道)1路線16.2km 9駅
・横浜市営地下鉄(横浜市交通局)3路線53.5km 40駅
・みなとみらい線(横浜高速鉄道)1路線4.1km 6駅
・名古屋市営地下鉄(名古屋市交通局)6路線93.2km 87駅
・京都市営地下鉄(京都市交通局)2路線31.2km 31駅
・大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)8路線129.9km 100駅
・神戸市営地下鉄(神戸市交通局)4路線30.6km 25駅
・アストラムライン(広島高速交通)1路線0.3km 2駅 総延長の10%が地下区間
・福岡市地下鉄(福岡市交通局)3路線29.8km 35駅