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 今日は、明治時代後期の1897年(明治30)に、「帝国図書館官制」が公布(官報公示)され、上野の東京図書館を帝国図書館とした日で、「国会図書館開館記念日」とも呼ばれています。
 帝国図書館の前身は、1872年(明治5年8月1日)文部省によって博物局内に開設されたされた「書籍館(しょじゃくかん)」で、その後一時東京府に移管されたものの、1880年(明治13)に再び文部省の所管となって、「東京図書館」と改称されました。
 1885年(明治18)に上野公園内に移転し、1889年(明治22)3月2日に「東京図書館官制」が規定されて、文部行政のもとにおいて運営されます。
 そして、1897年(明治30)4月27日に、「帝国図書館官制」が公布(官報公示)され、「帝国図書館」となりますが、欧米の国会図書館に倣って整備拡充を図ることを目指したものでした。
 同令第一条では「帝国図書館ハ文部大臣ノ管理ニ属シ内外古今ノ図書ヲ蒐集保存シ及衆庶ノ閲覧参考ノ用ニ供ズル所トス」と規定し、日本で唯一の国立図書館として国内の新刊書の大部分を収蔵することとなります。
 しかし、1898年(明治31)に新館建設に着手されたものの、日露戦争による財政逼迫によって、全設計の1/4の規模で1906年(明治38)3月20日の開館を余儀なくされました。
 それでも、文部省年報によれば、同館の蔵書総数は、1897年(明治30)で164,219冊、1902年(明治35)、217,092冊、1907年(明治40)には260,771冊と着実に増加しています。
 1921年(大正10)からは、文部省の図書館員教習所(後の図書館情報大学)も館内に設置されるなど、図書館行政の拠点となり、戦前の日本の図書館界を主導していきます。
 太平洋戦争後は、1947(昭和22)12月4日に「国立図書館」と改称され、1949年(昭和24)には、「国立国会図書館」に統合され、「国立国会図書館支部上野図書館」となりました。
 その後この建物は、1999年(平成11)に東京都選定歴史的建造物に指定され、2000年(平成12)に、建設時の庁舎を利用して「国立国会図書館」の支部図書館である「国際子ども図書館」へと改装開館されています。

〇「帝国図書館官制」(全文)1897年(明治30)4月27日公布(官報公示)

朕帝国図書館官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
睦仁
明治三十年四月二十二日

内閣総理大臣臨時代理枢密院議長伯爵黒田清隆
文部大臣候爵蜂須賀茂韶

勅令第百十号 帝国図書館官制

第一条 帝国図書館ハ文部大臣ノ管理ニ属シ内外古今ノ図書記録ヲ蒐集保存シ及衆庶ノ閲覧参考ノ用ニ供スル所トス

第二条 帝国図書館ニ左ノ職員ヲ置ク 館長 一人 奏任 司書長 一人 奏任 司書 九人 判任 書記 三人 判任

第三条 館長ハ文部大臣ノ命ヲ承ケ館務ヲ掌理シ所属職員ヲ監督ス

第四条 司書長ハ館長ノ命ヲ承ケ図書記録及閲覧ニ関スル事務ヲ掌理ス

第五条 司書ハ上官ノ命ヲ承ケ図書記録ノ整理保存及閲覧ニ関スル事務ニ従事ス

第六条 書記ハ館長ノ命ヲ承ケ庶務会計ニ従事ス

第七条 図書記録ノ選定若ハ分類等ニ関シ必要アルトキハ館長ハ文部大臣ノ許可ヲ得テ臨時ニ嘱託員ヲ置クコトヲ得

第八条 文部大臣ハ館務上ノ須要ニ依リ帝国図書館ニ商議委員会ヲ設クルコトアルヘシ其ノ委員ハ文部大臣之ヲ命ス

附則

第九条 明治二十四年勅令第百三十八号東京図書館管制ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス

          「国立公文書館デジタルアーカイブ」より

 ※縦書き原文を横書きに改め、旧字を新字に直してあります。