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 今日は、大正時代の1925年(大正14)に、「陸軍現役将校学校配属令」が発せられた日ですが、官報公示は4月13日付となっています。
 これは、大学を除く官公立の中等以上の学校(師範学校、中学校、実業学校、高等学校、大学予科、専門学校、高等師範学校など)の男子生徒の軍事教練を担当するために、陸軍現役将校を各学校に配属することが定められたものでしたが、大学と私立学校とは申出により配属されることとされていました。
 しかし、検定に合格すると、徴集された場合の在営期間が通常の二年から一年に短縮され、予備役将校となる幹部候補生の資格が与えられるなどの特典があったので、すべての大学及び中等以上の私立学校でも配属将校を受け入れることになります。
 必修科目の体操の中に位置付けられ、射撃など武器の使い方や手旗信号、軍事講話、距離測量、戦史などを教え、演習も行ない、戦時下では、少年に「一日入営」と称して軍隊生活を経験させる等の方策も実施されました。
 第1次世界大戦後の軍縮で過剰となった将校を温存するという側面もあったとされますが、学校内でこの将校が一般教員よりも優位に立つ場合も多く、学校教育を軍国主義化へ導く役割を果たします。
 1939年(昭和14)には大学でも必須化されるなど年々強化されたものの、太平洋戦争後の1945年(昭和20)11月に廃止されました。

〇「 陸軍現役将校学校配属令」(全文) 1925年(大正14)4月11日(勅令第135号)官報4月13日付

陸軍現役将校学校配属令

第一条 官立又ハ公立ノ師範学校、中学校、実業学校、高等学校、大学予科、専門学校、高等師範学校、臨時教員養成所、実業学校教員養成所又ハ実業補習学校教員養成所ニ於ケル男生徒ノ教練ヲ掌ラシムル為陸軍現役将校ヲ当該学校ニ配属ス但シ戦時事変ノ際其ノ他巳ムヲ得サル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依ル将校ノ配属ハ陸軍大臣文部大臣ト協議シテ之ヲ行フ
配属将校ハ教練ニ関シテハ当該学校長ノ指揮監督ヲ承ク

第二条 私立ノ中学校、実業学校、高等学校、大学予科若ハ専門学校又ハ徴兵令第十三条第一項第二号ノ規定ニ依ル認定ヲ受ケタル私立学校ニ於ケル男生徒ノ教練ヲ掌ラシムル為当該学校ノ申請ニ因リ陸軍現役将校ヲ之ニ配属スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リテ将校ヲ配属スル場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス
大学学部ノ申出アルトキハ前二項ノ規定ニ準シテ陸軍現役将校ヲ之ニ配属スルコトヲ得

第三条 陸軍大臣及文部大臣ハ特別ノ事由アルトキハ本令ニ依ル将校ノ配属ヲ止ムルコトヲ得

第四条 陸軍大臣ハ現役将校ヲシテ本令ニ依リテ将校ヲ配属シタル学校ニ於ケル教練実施ノ状況ヲ査閲セシメルコトヲ得

第五条 官立又ハ公立ノ商船専門学校及商船学校ニハ第一条ノ規定ニ拘ラス将校ヲ配属セサルコトヲ得
尋常小学校卒業程度ヲ以テ入学資格トスル修業年限五年ノ実業学校又ハ之ト同等以上ノ実業学校以外の実業学校、修業年限二年未満ノ実業補習学校教員養成所及夜間ニ於テ教練ヲ課スル学校ニ付テハ第一条及第二条ノ規定ヲ適用セス

第六条 配属将校傷痍疾病其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因リ服務シ難キトキハ陸軍大臣ハ文部大臣ト協議シテ他ノ現役将校ヲシテ其ノ職務ヲ代理セシムルコトヲ得

附則

本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

第一条又ハ第二条ニ規定スル学校ニシテ徴兵令第十三条第一項第二号ノ規定ニ依ル認定ヲ受ケサルモノ及大正十四年二月一日以降ニ於テ設立シタルモノニハ当分ノ内将校を配属セサルコトヲ得

「国立公文書館デジタルアーカイブ」より