この文章自体は由利公正が起草し、福岡孝弟が修正したものに、さらに木戸孝允が編集をして成立したとされています。
この内容は、「広く会議を開いて、すべての政治は人々の意見によって行われるように」、「上の者も下の者も心を1つに、国を治めていこう」、「身分にかかわらずに、誰もが志を全うし、その意思を達成できるように」、「今までの悪しき習慣はやめて、国際社会に合った行動を」、「新しい知識を世界から学び、天皇が国を収める基礎を築くように」というものでした。
この翌日に、「五榜の掲示」も公示されています。
〇五箇条の御誓文 (全文) 1868年4月7日(慶応4年3月15日)公示
五箇条の御誓文
一、広ク会議ヲ興シ万機[1]公論[2]ニ決スヘシ
一、上下[3]心ヲ一ニシテ盛ニ経綸[4]ヲ行フヘシ
一、官武[5]一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン[6]事ヲ要ス
一、旧来ノ陋習[7]ヲ破リ天地ノ公道[8]ニ基クヘシ
一、智識ヲ世界ニ求メ大イニ皇基[9]ヲ振起スヘシ
我国未曽有[10]ノ変革ヲ為ントシ、朕躬ヲ以テ衆ニ先ンシ、天地神明ニ誓ヒ、大ニ斯国是[11]ヲ定メ、万民保全ノ道ヲ立ントス、衆亦此旨趣ニ基キ、協心努力セヨ。
「法令全書」より
【注釈】
[1]万機:ばんき=すべての政治。国家のまつりごと。
[2]公論:こうろん=公平な議論。
[3]上下:じょうげ=身分の上下。
[4]経論:けいろん=国家を治め整えること。国の政策。
[5]官武:かんぶ=公家と武家。
[6]倦マサラシメン:うまさらしめん=人々の気持ちを飽きさせない。
[7]旧来ノ陋習:きゅうらいのろうしゅう=昔からの悪習。ここでは攘夷の風潮のこと。
[8]天地ノ坑道:てんちのこうどう=世界共通の正しい道理。国際法のこと。
[9]皇基:こうき=皇国のもとい。天皇国家の基礎。
[10]未曽有:みぞう=今までに一度もなかったこと。非常に珍しいこと。希有。
[11]国是:こくぜ=国政の基本方針。
<現代語訳>
五箇条の御誓文
一、広く会議を開いて、すべての政治は公平な議論によって行われるべきである
一、上の者も下の者も心を一つにして、さかんに国を治め整えていくべきである
一、公家と武家が一体になり、庶民に至るまで、それぞれが志を全うし、人々の心をあきさせないことが必要である
一、昔からの悪しき習慣はやめて、世界共通の正しい道理に合った行動をするべきである
一、新しい知識を世界から学び、天皇国家の基礎を築くようにするべきである
わが国は、今までにない変革を行い、私(明治天皇)は自ら皆に先立って、天地神明に誓い、おおいに国政の基本方針を定め、すべての民を守る道を志そうとしている。皆はまたこの趣旨に基づいて、協力して努力せよ。