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 今日は、太平洋戦争後の1945年(昭和20)に、GHQの最高司令官マッカーサーが日本政府に「農地改革に関する覚書」(SCAPIN-411)を送った日です。
 これは、農地改革を進め「数世紀にわたる封建的圧制の下、日本農民を奴隷化してきた経済的桎梏を打破する」ことを指示したものでした。
 これ以前に日本政府により国会に提案されていた「農地調整法」改正による第一次農地改革は、この後GHQに拒否され、日本政府はGHQの指示により、より徹底的な「自作農創設特別措置法」、「農地調整法」改正による第二次農地改革案を作成、これは1946年(昭和21)10月に国会で成立します。
 この結果、農地改革が推進され、1950年(昭和25)までにほぼ完了し、寄生地主制は解体、農家の90%以上が自作農か自小作農となりました。しかし、山林や原野はほとんど解放されず残され、山林地主などは存続することとなります。

〇農地改革に関する覚書(抄文) 1945年(昭和20)12月9日に指示

昭和二十年十二月付 農地改革指令

第一項 日本帝国政府は民主主義的傾向の復活強化に対する経済的障礙を除き 去り人民の権威尊重を樹立し、日本農民を数世紀におよぶ封建的抑圧のもと においてきた経済的束縛を破壊するための日本の土地を耕すものがかれらの 労働の果実を享受する平等な機会を持つことを保障するやうな措置をとるやう指令される。

第二項 この指令の目的は全人口の殆んど半分が農耕に従事してゐる日本の農 業構造を永きにわたってむしばんできた害毒を除去するにある。その病根の主たるものを掲げれば次の如し
(A)極端なる零細農形態 …
(B)極めて不利なる小作条件下における小作農の夥多 …
(C)極めて高率の農村金利の下における農村負担の重圧 …
(D)商工業に対比し格段に農業上に不利なる政府の財政政策 …
(E)農民の利害を無視せる農民乃至農村団体に対する政府の権力的統制 …

第三項 従って日本政府は本司令部に対し農地改革計画を一九四六年三月十五 日或ひはそれ以前に提出することを命ぜられる。この計画は次の諸計画を含 むべきである。
(A)不在地主から耕作者への土地所有権の移転。
(B)公正な価格で農地を非耕作者から購入する規定。
(C)小作人の所得に相応した年賦による小作人の土地購入に関する規定。
(D)小作人たりしものが再度小作人に転落することを合理的に防止する規定 …

第四項 日本政府は以上のほか農業に対しその貢献に相応する国民所得の分前 を保障するために必要と思はれる他の提案をも提出することを要求される。

              『農地改革顛末概要』より