前野良沢は、江戸時代の蘭学者・医師で、『解体新書』の翻訳者の一人として知られていますが、名は熹、字は子悦、号は楽山、蘭化といいました。
江戸時代中期の1723年(享保8)に、筑前藩士谷口新介の子として江戸牛込矢に生まれます。幼少の時、父母を亡くし、淀藩の医師で伯父の宮田全沢に養育されました。
1748年(寛延元)に、中津藩医師前野東元の養子となり、吉益東洞流医学を修め、その後中津藩医となります。
40代で蘭学を志し、青木昆陽についてオランダ語を学び、長崎への遊学もしました。その時に、西洋の解剖書『ターヘル・アナトミア』を手に入れ、江戸に持ち帰って、杉田玄白、中川淳庵、桂川甫周らと翻訳に励みます。3年5ヶ月を費やして、翻訳書『解体新書』(1774年刊行)を完成させました。
それからも医学、語学、物理、地理、歴史、築城など多方面のオランダ書の翻訳に打ち込みましたが、1803年(享和3年10月17日)に、81歳で亡くなります。
〇前野良沢の主な著訳書
・『管蠡秘言』
・『和蘭訳筌』
・『和蘭築城書』
・『輿地図編小解』
・『西洋画賛訳文稿』
・『仁言私説』
・『和蘭訳文略』
・『蘭語随筆』
・『魯西亜本紀』
・『蘭学階梯』
・『魯西亜本記略』
・『字学小成』
・『翻訳運動法』
・『東砂葛記』
・『魯西亜大統略記』、
・『和蘭築城法』