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 今日は、明治時代前期の1872年(明治5)に、官営模範工場の一つ富岡製糸場が操業を開始した日ですが、新暦では11月4日となります。
 群馬県富岡市にあり、明治政府の富国強兵策に基づいて、明治時代前期の1872年(明治5)に造られた官営模範工場の一つで、1893年(明治26)に三井財閥に121,460円で払下げられました。
 その後、1902年(明治35)に原富太郎の原合名会社に譲渡され、1939年(昭和14)に片倉に合併されて、片倉富岡製糸所となります。それからも、1987年(昭和62)の操業停止までまで、一貫して製糸工場として機能していました。
 今でも開業当時の繰糸所、繭倉庫などの建物が残され、2005年(平成17)「旧富岡製糸場」として国の史跡に指定されます。そして、2006年(平成18)には、1875年(明治8)以前の建造物が国の重要文化財に、2007年(平成19)には、経済産業省により、近代化産業遺産に認定され、2014年(平成26)にはその一部が国宝に指定されました。
 さらに、2014年(平成26)に「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産として、世界遺産(文化遺産)に登録されまます。内部を見学することが出来、当時の製糸工場の様子がよくうかがえるので、多くの人が訪れるようになりました。

〇「官営模範工場」とは?
 明治時代前期の資本主義成立の過程で、殖産興業を推進する明治政府が設立した、民間の模範となる産業の工場や鉱山のことです。旧幕府や諸藩所管の洋式の工場・鉱山などを官収して、それを基礎に官営工業を発足させ、率先して欧米の新産業を移植し新技術を導入しました。
 それは、軍事工業(兵器廠)、製鉄、造船、鉱山(官営鉱山)、鉄道、製糸・紡績等に及び資本主義の発達に大きな役割を果たします。しかし、多くのところで経営がうまくいかず、欠損を累積させました。
 このため、政府は1880年(明治13)「工場払下概則」を布達するとともに、翌年、農商務省の設置を図り、官営事業の整理、縮小の方針をとったのです。その結果、一部は農商務省に移管されたものの、1880年代中頃以降、順次民間に払い下げられました。

☆「官営模範工場」一覧

・高島炭鉱(1874年払下げ) 後藤象二郎 55万円
・広島紡績所(1882年開設→1882年払下げ) 広島綿糸紡績 12,570円
・油戸炭鉱(1879年開設→1874年払下げ) 27,943円
・摂綿篤製造所(1874年払下げ) 浅野総一郎 61,741円
・深川白煉化石(1874年払下げ) 西村勝三 12,121円
・小坂銀山(1874年払下げ) 久原庄三郎 273,659円
・梨本村不熔白煉化石製造所(1874年払下げ) 稲葉来蔵 101円
・深川セメント製造所(1873年頃開設→1884年払下げ) 浅野総一郎・西村勝二 61,742円
・院内銀山(1884年払下げ) 古河市兵衛 108,977円
・阿仁銅山(1885年払下げ) 古河市兵衛 337,766円
・品川硝子(1885年払下げ) 西村勝三他 79,950円
・大葛鉱山(1885年払下げ) 阿部潜 117,142円
・札幌麦酒醸造所(1876年開設→1886年払下げ) 大倉喜八郎 27,672円
・愛知紡績所(1881年開設→1886年払下げ) 篠田直方
・新町紡績所(1877年開設→1887年払下げ) 三井財閥 141,000円
・長崎造船所(1868年開設→1887年払下げ) 三菱財閥 459,000円
・兵庫造船所(1869年開設→1887年払下げ) 川崎正蔵 188,029円
・千住製絨所(1879年開設→1888年陸軍省へ)
・釜石鉄山(1888年払下げ) 田中長兵衛 12,600円
・三池炭鉱(1873年開設→1888年払下げ) 佐々木八郎 4590,439円
・三田農具製作所(1888年払下げ) 子安峻他 33,795円
・播州葡萄園(1880年開設→1888年払下げ) 前田正名 5,377円
・釜石鉄山(1888年払下げ) 田中長兵衛 12,600円
・幌内炭鉱・鉄道(1889年払下げ) 北海道炭礦鉄道 352,318円
・紋鼈製糖所(1890年払下げ) 伊達邦成 994円
・富岡製糸場(1872年開設→1893年払下げ) 三井財閥 121,460円
・佐渡銀山・生野銀山(1896年払下げ) 三菱財閥 2560,926円