『続日本後紀』(しょくにほんこうき)は、平安時代前期に成立した歴史書で、「六国史」の第四にあたり、『日本後紀』に続き833年(天長10)から850年 (嘉祥3) にいたる18年間を扱う、仁明天皇一代の編年史でした。
文徳天皇の勅命により、855年(斉衡2)に編纂を開始し、869年(貞観11)に完成して、8月14日に清和天皇に撰上されました。藤原良房、藤原良相、伴善男、春澄善縄、県犬養貞守の5人が編集にあたったのですが、途中で、良相は病死し、善男は応天門の変によって伊豆に流され、貞守は駿河守となって赴任したため、奏上した時は、良房、善縄の2人でした。
内容は、漢文の編年体で記され、天皇の動静の記録を詳述し、全二十巻からなっていて、天皇親政から摂関政治へうつる時代の根本史料ですが、現在残されている写本には錯簡、脱文、省略等が多いことが指摘されています。
〇「六国史」とは?
奈良時代から平安時代前期に、編纂された以下の6つの官撰の正史のことで、おおむね編年体で記されています。
(1)『日本書紀』 720年(養老4)完成 撰者は、舎人親王
全30巻(他に系図1巻は失われた)で、神代から持統天皇まで(?~697年)を掲載する
(2)『続日本紀』 797年(延暦16)完成 撰者は、菅野真道・藤原継縄等
全40巻で、文武天皇から桓武天皇まで(697~791年)を掲載する
(3)『日本後紀』 840年(承和7)完成 撰者は、藤原冬嗣・藤原緒嗣等
全40巻(10巻分のみ現存)で、桓武天皇から淳和天皇まで(792~833年)を掲載する
(4)『続日本後紀』 869年(貞観11)完成 撰者は、藤原良房・春澄善縄等
全20巻で、仁明天皇の代(833~850年)を掲載する
(5)『日本文徳天皇実録』 879年(元慶3)完成 撰者は、藤原基経・菅原是善・嶋田良臣等
全10巻で、文徳天皇の代(850~858年)を掲載する
(6)『日本三代実録』 901年(延喜元)完成 撰者は、藤原時平・大蔵善行・菅原道真等
全50巻で、清和天皇から光孝天皇まで(858~887年)を掲載する