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 今日は、明治時代前期の1878年(明治11)に、箱根の「富士屋ホテル」が開業した日です。
 このホテルは、神奈川県足柄下郡箱根町の宮ノ下温泉にある日本のホテルの草分けです。
 その後、外国人専門の洋式ホテルとして、箱根を国際観光地として発展させる先駆的役割を果たしました。開業時の建物は木造3階建てで、疑洋風建築でしたが、惜しくも1883年(明治16)の宮ノ下大火にあって全焼してしまいます。しかし、翌年には本格的な洋風建築として立て替えられ、その後、移築や内部改装されたものの現存して、営業を続けているのです。
 箱根には旧東海道沿いに古来から温泉が湧いていて、湯治場としてにぎわっていました。江戸時代には箱根7湯といわれて、繁栄していましたが、明治の文明開化以後、街道から鉄道へ交通体系が変わりつつあり、諸分野で、近代化が求められるようになってきました。
 その中、日本にたくさん来るようになってきた外国人に目をつけ、7湯のひとつ宮ノ下温泉に、外国人専門の洋式ホテルとして開業したものです。
 尚、1997年(平成9)に、主要な建物が国の登録有形文化財になり、2007年(平成19)には、近代化産業遺産群「富士屋ホテルと箱根観光関連遺産」に認定されました。

〇「富士屋ホテル」の沿革
・1878年(明治11)7月15日:山口仙之助が藤屋旅館を買収・改装して開業する。
・1883年(明治16):火災により焼失。
・1884年(明治17):平屋建て客室12室として再建される。
・1891年(明治24):本館が竣工する。
・1893年(明治26):外国人専用ホテルとなる(~1912年まで)。
・1931年(昭和6):タイ王国国王と王妃が滞在する。
・1932年(昭和7):チャールズ・チャップリンが来館する。
・1936年(昭和11):花御殿が竣工する。
・1937年(昭和12):ヘレン・ケラーが、花御殿に宿泊する。
・1945年(昭和20):連合国軍のレストホテルとして接収される。
・1946年(昭和21):高松宮家別邸(旧宮ノ下御用邸)の払い下げを受け、菊華荘とする。
・1950年(昭和25):政府登録国際観光旅館となる。
・1954年(昭和29):一般自由営業を再開する。
・1965年(昭和40):昭和天皇が宿泊する。
・1966年(昭和41):国際興業グループに株を譲渡され、山口一族による経営が終わる。
・1997年(平成9):本館、一号館、二号館、アイリー、花御殿、食堂、菊華荘が登録有形文化財となる。
・2007年(平成19):本館、西洋館、食堂棟、花御殿、カスケードルーム、厨房が近代化産業遺産群になる。