日ソ基本条約（にっそきほんじょうやく）は、日本と革命後のソ連との間に結ばれた国交樹立のための条約で、正式名称は「日本国及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦間ノ関係ヲ律スル基本的法則ニ関スル条約」と言いました。当初は、シベリアに成立した極東共和国と交渉し決裂、同国のソ連統合後の1923年（大正12）の後藤=ヨッフェ会談も決裂しましたが、翌年に北京でカラハン・芳沢謙吉が会談を開始、都合44回の交渉の末、1925年（大正14）1月20日にようやく調印し、同年2月27日に公布されています。
これによって、日ソ両国は1917年（大正6）のロシア革命以後断絶していた外交・領事関係を確立（第1条）、1905年（明治38）に日露戦争の講和として締結された「ポーツマス条約」が完全に効力を存続することを確認（第2条）、漁業条約の改訂（第3条）、通商航海条約の調印（第4条）などを定めました。また、同条約議定書により、日本は当時北樺太を占領していた日本国軍隊を同年5月15日までに撤退させること、ソ連は北樺太における油田開発の利権を、日本に許与することを約しています。
日ソ国交樹立によって、国内に共産主義が広がることを恐れた日本は、同条約に秩序と安寧を危うくするようなことは行わないとの項（第5条）を入れさせると共に、国内では同年4月22日に「治安維持法」を公布（5月12日施行）しました。
以下に、「日ソ基本条約」（議定書甲・乙付属）を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。
これによって、日ソ両国は1917年（大正6）のロシア革命以後断絶していた外交・領事関係を確立（第1条）、1905年（明治38）に日露戦争の講和として締結された「ポーツマス条約」が完全に効力を存続することを確認（第2条）、漁業条約の改訂（第3条）、通商航海条約の調印（第4条）などを定めました。また、同条約議定書により、日本は当時北樺太を占領していた日本国軍隊を同年5月15日までに撤退させること、ソ連は北樺太における油田開発の利権を、日本に許与することを約しています。
日ソ国交樹立によって、国内に共産主義が広がることを恐れた日本は、同条約に秩序と安寧を危うくするようなことは行わないとの項（第5条）を入れさせると共に、国内では同年4月22日に「治安維持法」を公布（5月12日施行）しました。
以下に、「日ソ基本条約」（議定書甲・乙付属）を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「日本国及「ソヴィエト」社会主義共和国連邦間ノ関係ヲ律スル基本的法則ニ関スル条約」（日ソ基本条約）1925年（大正14）1月20日調印、1925年（大正14）2月27日公布
條約第五號
日本國及「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦間ノ關係ヲ律スル基本的法則ニ關スル條約
日本國及「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ハ兩國間ニ善隣及經濟的協力ノ關係ヲ促進セムコト ヲ希望シ右關係ヲ律スル基本的法則ニ關スル條約ヲ締結スルコトニ決シ之ガ爲左ノ如ク其ノ全權 委員ヲ任命セリ
日本國皇帝陛下
支那共和國駐剳特命全權公使從四位勳一等芳澤謙吉
「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ中央執行委員會
支那共和國駐剳大使「レフ、ミハイロヴィチ、カラハン」
右各委員ハ互ニ其ノ全權委任状ヲ示シ之ガ良好妥當ナルコトヲ認メタル後左ノ如ク協定セリ
第一條
兩締約國ハ本條約ノ實施ト共ニ兩國間ニ外交及領事關係ノ確立セラルヘキコトヲ約ス
第二條
「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ハ千九百五年九月五日ノ「ポーツマス」條約カ完全ニ效力ヲ存 續スルコトヲ約ス
千九百十七年十一月七日前ニ於テ日本國ト露西亞國トノ間ニ締セラレタル條約、協約及協定ニ シテ右「ポーツマス」條約以外ノモノハ兩締約國ノ政府間ニ追テ開カルヘキ會議ニ於テ審査セラルヘク且變化シタル事態ノ要求スルコトアルヘキ所ニ從ヒ改訂又ハ廢棄セラレ得ヘキコトヲ約ス
第三條
兩締約國ノ政府ハ本條約實施ノ上ハ千九百七年ノ漁業協約ノ締結以後一般事態ニ付發生シタルコ トアルヘキ變化ヲ考量シ右漁業協約ノ改訂ヲ爲スヘキコトヲ約ス
右改訂協約ノ締結ニ至ル迄ノ間「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ日本國臣民ニ對スル漁 區ノ貸下ニ關シ千九百二十四年ニ確立セラレタル實行方法ヲ維持スヘシ
第四條
兩締約國ノ政府ハ本條約實施ノ上ハ左記ノ原則ニ從ヒ通商航海條約ノ締結ヲ爲スヘク且右條約ノ 締結ニ至ル迄ノ間兩締約國ノ一般交通ハ右原則ニ依リ律セラルヘキコトヲ約ス
（一）兩締約國ノ一方ノ臣民又ハ他方ノ法令ニ從ヒ（イ）其ノ領域内ニ至リ、旅行シ且居住
スルノ完全ナル自由ヲ有スヘク（ロ）身體及財產ノ安全ニ對シ恆常完全ナル保護ヲ享有スヘ シ
（二）兩締約國ノ一方ハ私有財產權竝通商、航海、產業及其ノ他ノ平和的業務ニ從事スルノ自由
ヲ最廣キ範圍ニ於テ且相互條件ノ下ニ他方ノ臣民又ハ人民ニ對シ自國領域内ニ於テ自國ノ法 令ニ從ヒ付與スヘシ
（三）自國ニ於ケル國際貿易ノ制度ヲ自國ノ法令ヲ以テ定ムルノ各締約國ノ權利ヲ害スルコトナ ク、兩國ノ通商、航海及產業ヲ成ルヘク最惠國ノ地歩ニ置クハ兩締約國ノ意嚮ナルニ依リ兩 締約國ハ兩國間ノ經濟上又ハ其ノ他ノ交通ノ増進ヲ妨クルニ至ルコトアルヘキ禁止、制限又 ハ課金ヲ他方締約國ニ對シ差別的ニ行フコトナカルヘキモノトス
又兩締約國ノ政府ハ兩國間ニ於ケル經濟上ノ關係ヲ調整シ且促進スル爲通商及航海ニ關聯スル特 別ノ協定ヲ締結スルノ目的ヲ以テ事態ノ要求スルコトアルヘキ所ニ從ヒ隨時商議ヲ爲スコトヲ約 ス
第五條
兩締約國ハ互ニ平和及友好ノ關係ヲ維持スルコト、自國ノ法權内ニ於テ事由ニ自國ノ生活ヲ律ス ル當然ナル國ノ權利ヲ充分ニ尊重スルコト、公然又ハ陰密ノ何等カノ行爲ニシテ苟モ日本國又ハ 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ領域ノ何レカノ部分ニ於ケル秩序及安寧ヲ危殆ナラシムルコ トアルヘキモノハ之ヲ爲サス且締約國ノ爲何等カノ政府ノ任務ニ在ル一切ノ人及締約國ヨリ何等 カノ財的援助ヲ受クル一切ノ團體ヲシテ右ノ行爲ヲ爲サシメサルコトノ希望及意嚮ヲ嚴肅ニ確認 ス
又締約國ハ其ノ法權内ニ在ル地域ニ於テ（イ）他方ノ領域ノ何レカノ部分ニ對スル政府ナリト稱スル 團體若ハ集團又ハ（ロ）右團體若ハ集團ノ爲政治上ノ活動ヲ現ニ行フモノト認メラルヘキ外國人タル臣民若ハ人民ノ存在ヲ許ササルヘキコトヲ約ス
第六條
兩國間ノ經濟上ノ關係ヲ促進スル爲又天然資源ニ關スル日本國ノ需要ヲ考量シ「ソヴィエト」社會 主義共和國聯邦政府ハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ一切ノ領域内ニ於ケル鐵產、森林及其 ノ他ノ天然資源ノ開發ニ對スル利權ヲ日本國ノ臣民、會社及組合ニ許與スルノ意嚮ヲ有ス
第七條
本條約ハ批准セラルヘシ
各締約國ノ右批准ハ成ルベク速ニ其ノ北京駐箚外交代表者ニ由リ他方ノ政府ニ通知セラルヘク且 本條約ハ右通知中後ニ爲サレタルモノノ日ヨリ完全ニ實施セラルヘシ
批准書ノ正式交換ハ成ルヘク速ニ北京ニ於テ行ハルヘシ
右證據トシテ各全權委員ハ英吉利語ヲ以テシタル本條約二通ニ署名調印セリ
千九百二十五年一月二十日北京ニ於テ作成ス
芳澤謙吉（印）
エル、カラハン（印）
議定書（甲）
大正一四年（一九二五年）一月二〇日北京ニ於テ記名
大正一四年（一九二五年）二月二七日公布
日本國及「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ハ兩國間ノ關係ヲ律スル基本的法則ニ關スル條約ニ本日署名スルニ當リ同條約ニ關聯スル諸問題ヲ規定スルノ有益ナルコトヲ認メ其ノ各全權委員ニ由リ左ノ諸條ヲ協定セリ
第一條 各締約國ハ他方ノ大使館及領事館ニ屬スル動產及不動產ニシテ自國ノ領域內ニ現存スルモノヲ右他方ニ引渡スコトヲ約ス
東京ニ於テ前露西亞國政府ノ占有シタル土地カ東京ノ都市計畫又ハ公共ノ目的ノ爲ニスル事業ニ對シ支障ト爲ルカ如キ位置ニ在リト認メラルル場合ニ於テハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ右支障除去ノ爲日本國政府ノ爲スコトアルヘキ提議ヲ考慮スルノ意嚮アルモノトス
「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ領域內ニ設置セラルヘキ日本國大使館及領事館ニ對スル相當ノ敷地及建物ノ選定ニ付一切ノ適當ナル便益ヲ日本國政府ニ與フヘシ
第二條 前露西亞國政府卽チ露西亞帝國政府及之ヲ繼承シタル臨時政府ノ發行シタル公債及國庫證券ニ依リ日本國ノ政府又ハ臣民ニ對シテ負ヘル債務ニ關スル一切ノ問題ハ日本國政府ト「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府トノ間ノ將來ノ商議ニ於ケル調整ニ留保セラルルコトヲ約ス
尤モ右問題ノ調整ニ當リ日本國ノ政府又ハ臣民ハ一切ノ他ノ條件ニシテ均シキニ於テハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府カ同樣ノ問題ニ付他ノ何レノ國ノ政府又ハ國民ニ與フルコトアルヘキモノヨリモ不利益ナル地位ニ置カルルコトナカルヘシ又締約國ノ一方ノ政府ノ他方ノ政府ニ對スル請求權又ハ締約國ノ一方ノ國民ノ他方ノ政府ニ對スル請求權ニ關スル一切ノ問題ハ日本國政府ト「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府トノ間ノ將來ノ商議ニ於ケル調整ニ留保セラルルコトヲ約ス
第三條 北「サガレン」ニ於ケル氣候ノ状態カ現ニ同地方ニ駐屯スル日本國軍隊ノ卽時本國輸送ヲ妨クルニ鑑ミ右軍隊ハ千九百二十五年五月十五日迄ニ同地方ヨリ完全ニ撤退セラルヘシ
右撤退ハ氣候ノ狀態カ之ヲ許スニ至ラハ直ニ開始セラルヘク且日本國軍隊ノ撤退シタル北「サガレン」ノ總テノ地方ハ直ニ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦ノ當該官憲ニ完全ナル主權ニ於テ還付セラルヘシ
行政ノ引渡及占領ノ終了ニ關スル細目ハ「アレクサンドロウスク」ニ於テ日本國占領軍司令官ト「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦代表者トノ間ニ協定セラルヘシ
第四條 兩締約國ハ其ノ一方カ何レカノ第三國ト結ヒタル軍事同盟ノ條約若ハ協定又ハ其ノ他ノ秘密協定ニシテ他方締約國ノ主權、領土權又ハ國家的安全ニ對スル侵害又ハ脅威ト成ルヘキモノノ現ニ存在セサルコトヲ互ニ聲明ス
第五條 本議定書ハ同日附ヲ以テ署名セラレタル日本國及「ソヴィェト」社會主義共和國聯邦間ノ關係ヲ律スル基本的法則ニ關スル條約ノ批准ト共ニ批准セラレタルモノト看倣サルヘシ
右證據トシテ各全權委員ハ英吉利語ヲ以テシタル本議定書二通ニ署名調印セリ
千九百二十五年一月二十日北京ニ於テ作成ス
芳澤謙吉（印）
エル、カラハン（印）
議定書（乙）
大正一四年（一九二五年）一月二〇日北京ニ於テ記名
大正一四年（一九二五年）二月二七日公布
兩締約國ハ日本國ト「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦トノ全權委員間ニ本日署名セラレタル議定書（甲）第三條ニ規定セラレタル所ニ從ヒ日本國軍隊カ北「サガレン」ヨリ完全ニ撤退シタル日ヨリ五月内ニ締結セラルヘキ利權契約ニ對スル基礎トシテ左ノ如ク協定セリ
一 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ日本國代表者ニ依リ千九百二十四年八月二十九日聯邦ノ代表者ニ交付セラレタル覺書ニ記載セラルル北「サガレン」ニ於ケル油田ノ各ノ地積五割ノ開廢ニ對スル利權ヲ日本國政府ノ推薦スル日本國當業者ニ許與スルコトヲ約ス右開發ノ爲日本國當業者ニ貸付セラルヘキ地積ヲ決定スルノ目的ヲ以テ右油田ノ各ハ各十五乃至四十「デシァティン]ノ碁盤目方形ニ區分セラルヘク且全地積ノ五割ニ相當スル右方形ノ數ハ日本人ニ割當テラルヘシ但シ右日本人ニ貸付セラルヘキ方形ハ原則トシテ相隣接スヘカラサルモ日本人ノ現ニ掘盤又ハ作業中ナル一切ノ抗井ヲ包含スヘキモノトス右覺書ニ記載セラルル油田中貸付セラレサル殘餘ノ地區ニ關シテハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府カ右地區ノ全部又ハ一部ヲ外國人ノ利權ニ提供スルコトニ決スルトキハ日本國當業者ハ右利權ニ關スル事項ニ付均等ノ機會ヲ與ヘラルヘキコトヲ約ス
二 又「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ利權契約締結ノ後一年內ニ選定セラルヘキ一千平方「ヴェルスト」ノ地積ニ旦リ北「サガレン」ノ東海岸ニ於テ五年乃至十年ノ期間油田ヲ調査試掘スルコトヲ日本國政府ノ推薦スル日本國當業者ニ許可スルコトヲ約ス又油田カ日本人ニ依ル右調査試掘ノ結果確定セラレタル場合ニ於テハ右確定セラレタル油田ノ地積五割ノ開發ニ對スル利權ハ日本人ニ許與セラルヘシ
三 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ利權契約ニ於テ決定セラルヘキ特定ノ地積ニ亘リ北「サガレン」ノ西海岸ニ於テ炭田ノ開發ニ對スル利權ヲ日本國政府ノ推薦スル日本國當業者ニ許與スルコトヲ約ス「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ利權契約ニ於テ決定セラルヘキ特定ノ地積ニ亘リ「ドゥーエ」地方ニ於ケル炭田ニ關スル利權ヲ右日本國當業者ニ許與スルコトヲ約ス又前二項ニ揭ケラルル特定ノ地積以外ノ炭田ニ關シテハ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府カ之ヲ外國人ノ利權ニ提供スルコトニ決スルトキハ日本國當業者ハ右利權ニ關スル事項ニ付均等ノ機會ヲ與ヘラルヘキコトヲ約ス
四 前諸號ニ規定セラルル油田及炭田ノ開發ニ對スル利權ノ期間ハ四十年乃至五十年タルヘシ
五 日本人タル利權取得者ハ右利權ニ對スル報償トシテ炭田ノ場合ニ於テハ其ノ總產額ノ五分乃至八分ヲ又油田ノ場合ニ於テハ其ノ総產額ノ五分乃至一割五分ヲ「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ニ對シ毎年提供スヘシ但シ自噴油井ノ場合ニ於テハ右報償ハ其ノ總產額ノ四割五分迄之ヲ增加スルコトヲ得
報償トシテ提供セラルヘキ産額ノ割合ハ利權契約ニ於テ確定的ニ定メラルヘク且右契約中ニ定メラルヘキ方法ニ依リ年產額ノ率ニ應シ等差ヲ設ケラルヘシ
六 右日本國當業者ハ企業ノ目的ニ要スル木材ヲ伐採スルコトヲ且交通竝物資及生產物ノ運輸ヲ容易ナラシムル爲諸般ノ施設ヲ爲スコトヲ許サルヘシ右ニ關スル細目ハ利權契約ニ於テ定メラルヘシ
七 前記ノ報償ニ鑑ミ又企業カ當該地區ノ地理上ノ位置及其ノ他ノ一般狀態ニ依リ受クヘキ不利益ヲ考量シ右企業ニ要スル又ハ之ヨリ得タル何等カノ物件、物資又ハ生產物ノ輸入及輸出ハ無稅ニテ許可セラルヘク且右企業ハ其ノ收益的經營ヲ事實上不可能ナラシムルコトアルヘキ如何ナル課稅又ハ制限ヲモ加ヘラルルコトナカルヘキコトヲ約ス
八 「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦政府ハ右企業ニ對シ一切ノ適當ナル保護及便益ヲ與フヘシ
九 前諸號ニ關聯スル細目ハ利權契約ニ於テ協定セラルヘシ
本議定書ハ同日附ヲ以テ署名セラレタル日本國及「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦間ノ關係ヲ律スル基本的法則ニ關スル條約ノ批准ト共ニ批准セラレタルモノト看做サルヘシ
右證據トシテ各全權委員ハ英吉利語ヲ以テシタル本議定書二通ニ署名調印セリ
千九百ニ十五年一月二十日北京ニ於テ作成ス
芳澤謙吉（印）
エル、カラハン（印）
「ポーツマス」條約締結の責任に關する聲明書
大正一四年（一九二五年）一月二〇北京ニ於テ
大正一四年（一九二五年）二月二七日告示
「ソヴィエト」社會主義共和國聯邦及日本國間ノ關係ヲ律スル基本的法則ニ關スル條約ニ本日署名スルニ當リ「ソヴィエト」社會圭義共和國聯邦ノ全權委員タル下名ハ本國政府ニ於テ千九百五年九月五日ノ「ポーツマス」條約ノ效力ヲ承認スルコトハ同國政府ニ於テ右條約ノ締結ニ付前帝政政府ト政治上ノ責任ヲ分ツコトヲ何等意味セサルコトヲ聲明スルノ光榮ヲ有ス
千九百二十五年一月二十日北京ニ於テ
エル、カラハン（印）
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