ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

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 今日は、江戸時代の1693年(元禄6)に、俳諧師・浮世草子作家 井原西鶴が亡くなった日(西鶴忌)ですが、新暦では、9月9日となります。
 井原西鶴は、江戸時代中期の俳人・浮世草子作家です。1642年(寛永19)に、大坂・難波の富商の家に生まれ、本名は平山藤五と伝えられています。
 15歳の頃から俳諧を学び、21歳で点者となったとされています。西山宗因の談林派に加わり、天下一の速吟として名を成しました。
 1682年(天和2)に、浮世草子『好色一代男』を発表して作家へと転進し、以後『好色五人女』、『武家義理物語』、『日本永代蔵』、『世間胸算用』などを発表します。
 そして、現実主義的な庶民文学を確立し、文学史上に一時期を画しましたが、1693年(元禄6)に52歳で亡くなっています。

〇井原西鶴の代表的作品
・『好色一代男』1682年10月
・『諸艶大鑑(しょえんおおかがみ)(好色二代男)』1684年
・『西鶴諸国ばなし』1685年
・『好色五人女』1686年2月
・『好色一代女』1686年6月
・『本朝二十不孝』168611月、
・『男色大鑑(なんしょくおおかがみ)』1687年1月
・『懐硯(ふところすずり)』1687年3月
・『武道伝来記』1687年4月
・『日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)』1688年1月
・『武家義理物語』1688年2月
・『嵐無常物語(あらしはむじょうのものがたり)』1688年3月
・『色里三所世帯(いろざとみところしょたい)』1688年6月
・『新可笑記』1688年11月、
・『好色盛衰記』1688年
・『一目玉鉾(ひとめたまぼこ)』1689年1月
・『本朝桜陰比事(おういんひじ)』1689年1月
・『世間胸算用(せけんむなざんよう)』1692年
・『西鶴置土産(おきみやげ)』1693年

☆『好色一代男』とは?
 井原西鶴著の浮世草子第一作で、江戸時代中期の1682年(天和2)に、大坂の池田屋と江戸の奈良屋から同時刊行されました。8巻54章からなり、一人の男性(世之介)の54年間にわたる好色生活を描き、庶民男性の一つの理想的な生き方を描きだすことで大人気を博したのです。

☆『日本永代蔵』とは?
 井原西鶴著で、江戸時代中期の1688年(貞享5)に刊行された浮世草子の町人物の代表作の一つで、6巻30章の短編からなっています。金持ちはいかにして金持ちになったか、町民の生活の心得を率直に描いた内容となっています。

☆『世間胸算用』とは?
 井原西鶴著の浮世草子町人物の代表作の一つで、江戸時代中期の1692年(元禄5)に、大坂・伊丹屋太郎右衛門、京都・上村平左衛門、江戸・万屋清兵衛を版元として刊行されました。副題は、「大晦日は一日千金」で、5巻20章の短編からなり、大晦日に時間を絞って、町人の生活を描いた町人物の傑作です。
 以下に、冒頭部分を引用しておきます。

巻一 長刀はむかしの鞘
 元朝に日蝕六十九年以前に有りて、又元禄五年みづのえ、さる程にこの曙めづらし。
 暦は持統天皇四年に儀凰暦より改りて、日月の蝕をこよみの証拠に、世の人これを疑ふ事なし。
 口より見尽して末一段の大晦日になりて、浄瑠り小うたの声も出ず、けふ一日の暮せはしく、こと更小家がちなる所は、喧と洗濯と壁下地つゞくると、何もかも一度に取りまぜて、春の用意とていかな事、餅ひとつ小鰯一疋もなし。
 世に有る人と見くらべて、浅間敷哀れなり。

 (後略)
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 今日は、明治時代の小説家・歌人・詩人 大塚楠緒子の誕生日です。
 大塚楠緒子(おおつかくすおこ)は、明治時代後期に活躍した小説家・歌人・詩人で、「なおこ」とも読みます。明治時代前期の1875年(明治8)8月9日に、東京市麹町区(現在の東京都千代田区)で、東京控訴院長大塚正男と伸の長女として生まれました。
 富士見小学校を経て、東京女子師範附属女学校(現在のお茶の水女子大学附属中学校・高等学校)を卒業、佐佐木信綱、夏目漱石らに師事して和歌や小説などを学びましたが、才色兼備で知られるようになります。
 1895年(明治28)に美学者小屋保治を婿養子として迎え、『文芸倶楽部』に小説「くれゆく秋」を発表しました。1905年(明治38)に雑誌『太陽』1月号に発表した詩「お百度詣」は、日露戦争へ出征した夫の無事を祈ったもので、与謝野晶子の詩「君死にたまふことなかれ」と並ぶ反戦詩として有名です。
 また、「万朝報」「朝日新聞」に連載小説を発表し、ゴーリキー、メーテルリンクなどの翻訳も手掛けて、明治30~40年代の文壇では、女性としては一番注目され、夏目漱石との愛が噂されたりしました。
 しかし、1910年(明治43)11月9日に、36歳の若さで亡くなっています。彼女の死を悼む夏目漱石は「有るほどの 菊投げいれよ 棺の中」と唄って哀惜しました。
 代表的作品として、小説には、「離鴛鴦(はなれおしどり)」「空薫(そらだき)」、短編集「晴小袖」、歌集に「雪の日」などがあります。

〇大塚楠緒子の代表的作品

<小説>]
・「応募兵」(1894年)
・「暮ゆく秋」(1895年)
・「しのび音」(1897年)
・「金時計」(1900年)
・「離鴛鴦(はなれおしどり)」(1902年)
・「御新造」(1905年)
・「炎」(1905年)
・「湯の香」(1905年)
・「七色」(1905年)
・「客間」(1906年)
・「露」(1907年)
・「空薫(そらだき)」(1908年)
・「空薫続編」(1909年)
・「雲影」(1910年)…未完

<短編集>
・「晴小袖」短編・翻訳・戯曲集(1906年)
・「暁露集」(1909年)

<戯曲>
・「綿帽子」(1902年)

<翻訳>
・「うつせみ」(1901年)
・「藻屑」ゴーリキー作(1902年)
・「墓場の宝石」ゴーリキー作(1903年)

<歌集>
・「雪の日」

<詩>
・「お百度詣」(1905年)

☆「お百度詣」大塚楠緒子著(全文)

 ひとあし踏みて夫思ひ
 ふたあし国を思へども
 三足ふたたび夫おもふ
 女心に咎ありや 

 朝日に匂ふ日の本の 
 国は世界に只一つ
 妻と呼ばれて契りてし 
 人もこの世に只一人

 かくて御国と我夫と
 いづれ重きととはれなば
 ただ答へずに泣かんのみ
 お百度詣ああ咎ありや
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 今日は、能役者・能作者 世阿弥の亡くなったとされている日で、世阿弥忌と言われていますが、新暦では9月1日でした。
 世阿弥は、室町時代の能役者・能作者で父観阿弥と共に能楽を大成しましたが、本名は観世三郎元清でした。
 南北朝時代の1363年(貞治2/正平4)に、大和猿楽の役者であった観阿弥(觀阿彌陀佛)の長男として生まれたとされていますが、翌年との説もあります。
 幼名は鬼夜叉、藤若で、元服後の12歳の時に、父とともに室町幕府第3代将軍足利義満に見出されて、愛顧を受けるようになりました。1384年(元中元/至徳元)、22歳の時に父が亡くなり観世座を継いで2代目観世太夫となります。
 その後、猿楽に精進してを進化させ、1400年(応永7)頃には、『風姿花伝』の第三までを著しました。翌年頃には、世阿弥陀仏と号するようになりますが、1422年(応永29)に、60歳で観世大夫の座を長男の観世元雅に譲り、自身は出家します。
 しかし、1429年(永享元)に室町幕府第6代将軍に足利義教が就いてからは、弾圧されるようになり、次男元能は出家して芸を捨て、長男元雅は40歳に満たず伊勢安濃津にて客死しました。
 その後、1434年(永享6)に佐渡へ流刑となり、1443年(嘉吉3年8月8日)に、80歳で亡くなったとされています。
 作品は 約50番におよび、芸術論『風姿花伝 (通称花伝書) 』『花鏡』『至花道』など二十余編を残しました。

〇世阿弥の代表的作品
・弓八幡
・高砂
・老松
・実盛
・頼政(『平家物語』から)
・忠度(『平家物語』から)
・清経(『平家物語』から)
・敦盛(『平家物語』から)
・八島(『平家物語』から)
・井筒(『伊勢物語』から)
・恋重荷
・錦木
・砧
・鍾馗
・鵺(『平家物語』から)
・桜川
・花筐(はながたみ)
・葦刈(あしかり)
・春栄
・西行桜
・檜垣
・班女
・養老
・放生川
・蟻通
・頼政
・采女
・船橋
・葵上
・恋重荷
・水無月祓(みなつきばらえ)
・柏崎
・芦刈
・高野物狂
・土車(つちぐるま)
・融(とおる)
・須磨源氏(すまげんじ)
・当麻(たえま)
・鵺(ぬえ)
・野守(のもり)
・鵜飼(うかい)
・泰山府君(たいさんぷくん)

☆世阿弥の伝書
・『風姿花伝』
・『花習内抜書』
・『音曲口伝』
・『花鏡』
・『至花道』
・『二曲三体人形図』
・『三道』
・『曲付次第』
・『風曲集』
・『遊楽習道風見』
・『五位』
・『九位』
・『六義』
・『拾玉得花』
・『五音曲条々』
・『五音』
・『習道書』
・『夢跡一紙』
・『却来華』
・『金島書』
・『世子六十以後申楽談儀』
・『金春大夫宛書状』

☆『風姿花伝 (通称花伝書) 』とは?
 世阿弥著の能楽論書で、室町時代の1400年(応永7)に最初の三編ができ、その後20年ほどで残りが成立したと考えられています。父観阿弥の口述した能楽論を中心に、世阿弥自身の思想を展開したもので、年来稽古・物学・問答・神儀・奥儀・花修・別紙口伝の七編からなっています。
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 今日は、江戸時代後期の1831年(天保2)に、戯作者 十返舎一九が亡くなった日ですが、新暦では9月12日となります。
 十返舎一九は、本名を重田貞一といい、江戸時代中期の1765年(明和2)に、駿河府中(現静岡市)で生まれ、江戸へ出て武家奉公後、一時大坂で暮らし、20歳代末に再び江戸に出てきたとされます。
 版元の蔦屋で働きながら、当時流行の戯作を手がけ、黄表紙、洒落本、滑稽本などのジャンルにわたる作品を次々に出して、世間に認められるようになりました。
 その中で、最も知られているのが『東海道中膝栗毛』で、以後、全国にわたる道中記『金草鞋』等も書いています。広い分野での文筆活動を続けましたが、1831年(天保2年8月7日)67歳で没しています。

〇『東海道中膝栗毛』とは?
 十返舎一九著の滑稽本で、江戸時代後期の1802年(亨和2)から出版されました。
 弥次郎兵衛(弥次さん)と北八(北さん)が、江戸の長屋を旅立ち、東海道を西に向かい、伊勢参宮するまでに、さまざまな滑稽を演じる物語です。
 当時庶民の間でもお伊勢詣りがブームとなり、毎年多くの人が訪れていましたので、ちまたに普及し、ベストセラーとなりました。文中には当時流行の狂歌が散りばめられています。
 ものすごい人気となったので、次々と続編が出され20年にわたり、西日本から中山道を帰るまで続きました。
 この本に書かれた、弥次郎兵衛(弥次さん)と北八(北さん)の旅程は以下のようでした。
(1日目)
 ・早朝長屋を立つ
 ・子供同士の抜け参りにだまされる。
 ・戸塚宿の旅籠に泊まる。
(2日目)
 ・茶屋で熱い団子を食べる。
 ・弥次さん駕篭に乗る。
 ・小田原宿の旅籠に泊まり、北八が五右衛門風呂の底を踏み抜く。
(3日目)
 ・道中ふんどしを頭にかぶって恥をさらす。
 ・三島宿の旅籠鶴屋に泊まり、夜すっぽんに食いつかれる。
(4日目)
 ・胡麻の蝿に有り金全部盗まれる。
 ・蒲原宿の木賃宿へ泊まり、夜這いに失敗する。
(5日目)
 ・府中宿の旅籠よね屋へ泊まり、金策に成功する。
 ・安倍川遊郭で豪遊する。
(6日目)
 ・田舎親父と一悶着有り、茶屋で食い逃げされる。
 ・安倍川越えで盲人をだまし、川に落とされる。
 ・丸子宿のとろろ屋で夫婦喧嘩に合う。
 ・岡部宿の旅籠相良屋へ泊まる。
(7日目)
 ・大井川渡しで偽侍を演じ、人足賃をねぎろうとしたがばれる。
 ・日坂宿の旅籠へ泊まり、巫女と一悶着ある。
(8日目)
 ・茶代として64文払う。
 ・浜松宿の旅籠に泊まり、幽霊騒ぎにあう。
(9日目)
 ・新居への渡しの中で蛇騒動。
 ・篭かきの金を使ってひと騒動。
 ・御油の松並木で北を狐と間違えて縛り上げる。
 ・赤坂宿の旅籠に泊まる。
(10日目)
 ・草鞋代をねぎって一悶着。
 ・宮宿の旅籠鍵屋に泊まる。
(11日目)
 ・七里の渡し舟の中で小便騒動。
 ・四日市宿の旅籠に泊まり、石地蔵を抱いて寝る。
(12日目)
 ・馬に乗ったが、借金騒動に巻き込まれる。
 ・偽十返舎一九事件。
 ・松阪宿の木賃宿に泊まる。
(13日目)
 ・江戸の米屋太郎兵衛の大々講に紛れ込む。
 ・妙見町の旅籠藤屋へ泊まる。
 ・古市の千束屋で女郎と遊ぶ。
(14日目)
 ・内宮参拝後藤屋へ戻って出立。
 ・外宮参拝。
 ・天の岩戸で弥次さん腹痛を起こす。
 ・広小路の旅籠に泊まり、藪医者の診察で一騒動起こる。
(15日目)
 ・伊勢本街道を経て、奈良から京都に向かった。
    ↓<この間の旅程は省略されていて不明>
 ・伏見、京、大坂と遊ぶ

☆『東海道中膝栗毛』の膝栗毛発端序

鬼門關外莫道遠、五十三驛是皇州、といへる山谷が詩に據て、東海道を五十三次と定めらるよしを聞り。予此街道に毫をはせて膝栗毛の書を著す。元来野飼の邪々馬といへども、人喰馬にも相口の版元、太鼓をうつて売弘たる故、祥に乗人ありて、編数を累ね、通し馬となり、京大阪および、藝州宮嶋までの長丁場を歴て帰がけの駄賃に、今年続五篇、岐蘇路にいたる。弥次郎兵衛喜多八の称、異国の龍馬にひとしく、千里の外に轟たれば、渠等が出所を問ふ人有。依て今その起る所を著し、東都を鹿島立の前冊とし、おくれ走に曳出したる、馬の耳に風もひかさぬ趣向のとつて置を、棚からおろして如斯

 干時文化
   甲戌初春                   十返舎一九志
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 今日は、大正時代の1926年(大正15)に、東京放送局・大阪放送局・名古屋放送局が統合され、社団法人日本放送協会が設立された日です。
 日本放送協会は、日本で唯一の公共放送を担う事業者で、略称を「NHK(エヌ・エイチ・ケイ)」と呼んでいます。
 1925年(大正14)3月22日、社団法人東京放送局が仮放送を開始し、同年中に大阪、名古屋も開局しましたが、1926年(大正15)8月6日、3局が一本化して社団法人日本放送協会が設立されました。
 その後、日本各地に放送局が設立されて、全国でラジオ放送が聞けるようになっていきます。しかし、戦時下での国家統制により、銃後を担う宣伝媒体ともされました。
 戦後は、連合国軍総司令部(GHQ)の管理下に置かれ、放送制度改革が進めらます。そして、1950年(昭和25)6月に制定された「放送法」により、特殊法人として再出発することになりました。
 1953年(昭和28)2月から日本初のテレビ本放送を開始し、1957年12月からはFM実験放送を開始、1959年1月には教育テレビを開局します。1960年(昭和35)9月には、カラーテレビ本放送も始まり、1987年(昭和62)から衛星放送を開始しました。さらに、2000年(平成12)に衛星デジタルテレビ放送を始め、2003年(平成15)には、地上デジタルテレビ放送も開始されます。
 現在、国内放送では、<ラジオ>NHKラジオ第1放送、NHKラジオ第2放送、<テレビ>NHK-FM放送、NHK総合テレビジョン、NHKEテレ、NHK BS1、NHK BSプレミアム 、海外放送では、NHKワールド・ラジオ日本、NHKワールドTV(英語放送専門)、NHKワールドプレミアム(日本語放送専門)が放映されているのです。
 以下に、日本放送協会(NHK)の設立根拠となっている「放送法」の一部を掲載しておきます。

〇「放送法」(抄文) <昭和25年5月2日法律第132号> 最終改正:平成27年5月22日法律第26号

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。
一  放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。
二  放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。
三  放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

(定義)
第二条  この法律及びこの法律に基づく命令の規定の解釈に関しては、次の定義に従うものとする。
一  「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号 に規定する電気通信をいう。)の送信(他人の電気通信設備(同条第二号 に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を用いて行われるものを含む。)をいう。
二  「基幹放送」とは、電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により放送をする無線局に専ら又は優先的に割り当てられるものとされた周波数の電波を使用する放送をいう。
三  「一般放送」とは、基幹放送以外の放送をいう。
四  「国内放送」とは、国内において受信されることを目的とする放送をいう。
五  「国際放送」とは、外国において受信されることを目的とする放送であつて、中継国際放送及び協会国際衛星放送以外のものをいう。
六  「邦人向け国際放送」とは、国際放送のうち、邦人向けの放送番組の放送をするものをいう。
七  「外国人向け国際放送」とは、国際放送のうち、外国人向けの放送番組の放送をするものをいう。
八  「中継国際放送」とは、外国放送事業者(外国において放送事業を行う者をいう。以下同じ。)により外国において受信されることを目的として国内の放送局を用いて行われる放送をいう。
九  「協会国際衛星放送」とは、日本放送協会(以下「協会」という。)により外国において受信されることを目的として基幹放送局(基幹放送をする無線局をいう。以下同じ。)又は外国の放送局を用いて行われる放送(人工衛星の放送局を用いて行われるものに限る。)をいう。
十  「邦人向け協会国際衛星放送」とは、協会国際衛星放送のうち、邦人向けの放送番組の放送をするものをいう。
十一  「外国人向け協会国際衛星放送」とは、協会国際衛星放送のうち、外国人向けの放送番組の放送をするものをいう。
十二  「内外放送」とは、国内及び外国において受信されることを目的とする放送をいう。
十三  「衛星基幹放送」とは、人工衛星の放送局を用いて行われる基幹放送をいう。
十四  「移動受信用地上基幹放送」とは、自動車その他の陸上を移動するものに設置して使用し、又は携帯して使用するための受信設備により受信されることを目的とする基幹放送であつて、衛星基幹放送以外のものをいう。
十五  「地上基幹放送」とは、基幹放送であつて、衛星基幹放送及び移動受信用地上基幹放送以外のものをいう。
十六  「中波放送」とは、五百二十六・五キロヘルツから千六百六・五キロヘルツまでの周波数を使用して音声その他の音響を送る放送をいう。
十七  「超短波放送」とは、三十メガヘルツを超える周波数を使用して音声その他の音響を送る放送(文字、図形その他の影像又は信号を併せ送るものを含む。)であつて、テレビジョン放送に該当せず、かつ、他の放送の電波に重畳して行う放送でないものをいう。
十八  「テレビジョン放送」とは、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像及びこれに伴う音声その他の音響を送る放送(文字、図形その他の影像(音声その他の音響を伴うものを含む。)又は信号を併せ送るものを含む。)をいう。
十九  「多重放送」とは、超短波放送又はテレビジョン放送の電波に重畳して、音声その他の音響、文字、図形その他の影像又は信号を送る放送であつて、超短波放送又はテレビジョン放送に該当しないものをいう。
二十  「放送局」とは、放送をする無線局をいう。
二十一  「認定基幹放送事業者」とは、第九十三条第一項の認定を受けた者をいう。
二十二  「特定地上基幹放送事業者」とは、電波法 の規定により自己の地上基幹放送の業務に用いる放送局(以下「特定地上基幹放送局」という。)の免許を受けた者をいう。
二十三  「基幹放送事業者」とは、認定基幹放送事業者及び特定地上基幹放送事業者をいう。
二十四  「基幹放送局提供事業者」とは、電波法 の規定により基幹放送局の免許を受けた者であつて、当該基幹放送局の無線設備及びその他の電気通信設備のうち総務省令で定めるものの総体(以下「基幹放送局設備」という。)を認定基幹放送事業者の基幹放送の業務の用に供するものをいう。
二十五  「一般放送事業者」とは、第百二十六条第一項の登録を受けた者及び第百三十三条第一項の規定による届出をした者をいう。
二十六  「放送事業者」とは、基幹放送事業者及び一般放送事業者をいう。
二十七  「認定放送持株会社」とは、第百五十九条第一項の認定を受けた会社又は同項の認定を受けて設立された会社をいう。
二十八  「放送番組」とは、放送をする事項の種類、内容、分量及び配列をいう。
二十九  「教育番組」とは、学校教育又は社会教育のための放送の放送番組をいう。
三十  「教養番組」とは、教育番組以外の放送番組であつて、国民の一般的教養の向上を直接の目的とするものをいう。
三十一  「特定役員」とは、法人又は団体の役員のうち、当該法人又は団体の業務の執行に対し相当程度の影響力を有する者として総務省令で定めるものをいう。
三十二  「支配関係」とは、次のいずれかに該当する関係をいう。
イ 一の者及び当該一の者の子会社(第百五十八条第一項に規定する子会社をいう。)その他当該一の者と総務省令で定める特別の関係にある者が有する法人又は団体の議決権の数の当該法人又は団体の議決権の総数に占める割合が十分の一以上三分の一以下の範囲内で総務省令で定める割合を超える場合における当該一の者と当該法人又は団体の関係
ロ 一の法人又は団体の特定役員で他の法人又は団体の特定役員の地位を兼ねる者の数の当該他の法人又は団体の特定役員の総数に占める割合が五分の一以上三分の一以下の範囲内で総務省令で定める割合を超える場合における当該一の法人又は団体と当該他の法人又は団体との関係
ハ イ及びロに掲げるもののほか、一の者が株式の所有、役員の兼任その他の事由を通じて法人又は団体の経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして総務省令で定める場合における当該一の者と当該法人又は団体の関係

   第二章 放送番組の編集等に関する通則

(放送番組編集の自由)
第三条  放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
二  政治的に公平であること。
三  報道は事実をまげないですること。
四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2  放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。

(番組基準)
第五条  放送事業者は、放送番組の種別(教養番組、教育番組、報道番組、娯楽番組等の区分をいう。以下同じ。)及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準(以下「番組基準」という。)を定め、これに従つて放送番組の編集をしなければならない。
2  放送事業者は、国内放送等について前項の規定により番組基準を定めた場合には、総務省令で定めるところにより、これを公表しなければならない。これを変更した場合も、同様とする。

(放送番組審議機関)
第六条  放送事業者は、放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関(以下「審議機関」という。)を置くものとする。
2  審議機関は、放送事業者の諮問に応じ、放送番組の適正を図るため必要な事項を審議するほか、これに関し、放送事業者に対して意見を述べることができる。
3  放送事業者は、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、審議機関に諮問しなければならない。
4  放送事業者は、審議機関が第二項の規定により諮問に応じて答申し、又は意見を述べた事項があるときは、これを尊重して必要な措置をしなければならない。
5  放送事業者は、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を審議機関に報告しなければならない。
一  前項の規定により講じた措置の内容
二  第九条第一項の規定による訂正又は取消しの放送の実施状況
三  放送番組に関して申出のあつた苦情その他の意見の概要
6  放送事業者は、審議機関からの答申又は意見を放送番組に反映させるようにするため審議機関の機能の活用に努めるとともに、総務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を公表しなければならない。
一  審議機関が放送事業者の諮問に応じてした答申又は放送事業者に対して述べた意見の内容その他審議機関の議事の概要
二  第四項の規定により講じた措置の内容

第七条  放送事業者の審議機関は、委員七人(テレビジョン放送による基幹放送を行う放送事業者以外の放送事業者の審議機関にあつては、総務省令で定める七人未満の員数)以上をもつて組織する。
2  放送事業者の審議機関の委員は、学識経験を有する者のうちから、当該放送事業者が委嘱する。
3  二以上の放送事業者は、次に掲げる要件のいずれをも満たす場合には、共同して審議機関を置くことができる。この場合においては、前項の規定による審議機関の委員の委嘱は、これらの放送事業者が共同して行う。
一  当該放送事業者のうちに同一の認定放送持株会社の関係会社(第百五十八条第二項に規定する関係会社をいう。)である基幹放送事業者(その基幹放送に係る放送対象地域(第九十一条第二項第二号の放送対象地域をいう。第十四条において同じ。)が全国である者を除く。)が二以上含まれていないこと。
二  当該放送事業者のうちに基幹放送事業者がある場合において、いずれの基幹放送事業者についても当該基幹放送事業者以外の全ての放送事業者との間において次に掲げる要件のいずれかを満たす放送区域(電波法第十四条第三項第二号 の規定により基幹放送の業務に用いられる基幹放送局の免許状に記載された放送区域をいう。以下この項において同じ。)又は業務区域(第百二十六条第二項第四号の業務区域をいう。以下この項において同じ。)の重複があること。
イ 放送区域又は業務区域が重複する区域の面積が当該いずれかの放送事業者の放送区域又は業務区域の面積の三分の二以上に当たること。
ロ 放送区域又は業務区域が重複する部分の放送区域の区域内の人口が当該いずれかの放送事業者の放送区域又は業務区域内の全人口の三分の二以上に当たること。
三  当該放送事業者のうちに二以上の一般放送事業者がある場合において、当該一般放送事業者のうちのいずれの二の一般放送事業者の間においても次に掲げる要件のいずれかを満たす関係があること。
イ 業務区域が重複し、かつ、業務区域が重複する区域の面積が当該いずれかの一般放送事業者の業務区域の面積の三分の二以上に当たること。
ロ 業務区域が重複し、かつ、業務区域が重複する区域内の人口が当該いずれかの一般放送事業者の業務区域内の全人口の三分の二以上に当たること。
ハ 当該二の一般放送事業者の業務区域の属する都道府県が同一であること。

(番組基準等の規定の適用除外)
第八条  前三条の規定は、経済市況、自然事象及びスポーツに関する時事に関する事項その他総務省令で定める事項のみを放送事項とする放送又は臨時かつ一時の目的(総務省令で定めるものに限る。)のための放送を専ら行う放送事業者には、適用しない。

(訂正放送等)
第九条  放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2  放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3  前二項の規定は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。

(放送番組の保存)
第十条  放送事業者は、当該放送番組の放送後三箇月間(前条第一項の規定による訂正又は取消しの放送の請求があつた放送について、その請求に係る事案が三箇月を超えて継続する場合は、六箇月を超えない範囲内において当該事案が継続する期間)は、政令で定めるところにより、放送番組の内容を放送後において審議機関又は同条の規定による訂正若しくは取消しの放送の関係者が視聴その他の方法により確認することができるように放送番組を保存しなければならない。

(再放送)
第十一条  放送事業者は、他の放送事業者の同意を得なければ、その放送を受信し、その再放送をしてはならない。

(広告放送の識別のための措置)
第十二条  放送事業者は、対価を得て広告放送を行う場合には、その放送を受信する者がその放送が広告放送であることを明らかに識別することができるようにしなければならない。

(候補者放送)
第十三条  放送事業者が、公選による公職の候補者の政見放送その他選挙運動に関する放送をした場合において、その選挙における他の候補者の請求があつたときは、料金を徴収するとしないとにかかわらず、同等の条件で放送をしなければならない。

(内外放送の放送番組の編集)
第十四条  放送事業者は、内外放送の放送番組の編集に当たつては、国際親善及び外国との交流が損なわれることのないように、当該内外放送の放送対象地域又は業務区域(第百二十六条第二項第四号又は第百三十三条第一項第四号の業務区域をいう。)である外国の地域の自然的経済的社会的文化的諸事情をできる限り考慮しなければならない。

   第三章 日本放送協会

    第一節 通則

(目的)
第十五条  協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送(国内放送である基幹放送をいう。以下同じ。)を行うとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要な業務を行い、あわせて国際放送及び協会国際衛星放送を行うことを目的とする。

(法人格)
第十六条  協会は、前条の目的を達成するためにこの法律の規定に基づき設立される法人とする。

(事務所)
第十七条  協会は、主たる事務所を東京都に置く。
2  協会は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。

(定款)
第十八条  協会は、定款をもつて、次に掲げる事項を規定しなければならない。
一  目的
二  名称
三  事務所の所在地
四  資産及び会計に関する事項
五  経営委員会、監査委員会、理事会及び役員に関する事項
六  業務及びその執行に関する事項
七  放送債券の発行に関する事項
八  公告の方法
2  定款は、総務大臣の認可を受けて変更することができる。

(登記)
第十九条  協会は、主たる事務所の変更、従たる事務所の新設その他政令で定める事項について、政令で定める手続により登記しなければならない。
2  前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (後略)
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