ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

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 今日は、平成時代の1989年(平成元)に、国連総会において、「児童の権利に関する条約」が採択された日です。
 「児童の権利に関する条約」(じどうのけんりにかんするじょうやく)は、1959年(昭和34)11月20日に国連(国際連合)で採択された「児童の権利に関する宣言」の30周年にあたる、1989年(平成元)11月20日に国連総会で全会一致で採択され、1990年(平成2)9月2日に、国際条約として発効した18歳未満の子供の権利について定めた国際条約で「子どもの権利条約」とも呼ばれてきました。日本国内では、1994年(平成6)3月29日に国会承認され、同年5月22日から効力が発生しましたが、「批准国は子の最善の利益のために行動しなければならない」(第3条)と定められています。
 この条約は、前文と 3部(54条)からなり、18歳未満のすべての人の保護と基本的人権の尊重を促進することを目的とし、①生命・生存への権利、②親・家族にかかわる子供の権利、③意見表明権、市民的権利、④特別な状況下にある子供の保護、⑤教育への権利、文化への権利などが示されました。2016年(平成28)現在、署名国・地域数は140、締約国・地域数は196ですが、アメリカ合衆国は条約に署名はしたものの、批准していません。
 以下に、「児童の権利に関する条約」の日本語訳を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇児童の権利に関する宣言(じどうのけんりにかんするせんげん)とは?

 昭和時代中期の1959年(昭和34)11月20日に、国連総会において採択された子どもの権利を促進するための国際文書です。前段として、1924年(昭和19)に、5ヶ条からなる「ジュネーブ児童権利宣言」が、国際連盟で採択され、太平洋戦争後に拡張されたものでした。「国連憲章」と「世界人権宣言」に基づくもので、前文6項と本文10ヶ条からなり、心身ともに未成熟な子供が,健全な成育と幸福と社会的諸権利を保障されるべきことを確認したものでした。
 これを実現するために、両親、個人、民間団体、地方行政機関および政府が、この宣言に従って立法およびその他の措置を講じることを求めています。日本は、1959年(昭和34)12月に参議院本会議で支持を決議しました。

☆「児童の権利に関する条約」1989年(平成元)11月20日採択、1990年(平成2)9月2日発効

前文

 この条約の締約国は、
 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、
 国際連合加盟国の国民が、国際連合憲章において、基本的人権並びに人間の尊厳及び価値に関する信念を改めて確認し、かつ、一層大きな自由の中で社会的進歩及び生活水準の向上を促進することを決意したことに留意し、
 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、すべての人は人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしに同宣言及び同規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合意したことを認め、
 国際連合が、世界人権宣言において、児童は特別な保護及び援助についての権利を享有することができることを宣明したことを想起し、
 家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員、特に、児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきであることを確信し、
 児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、
 児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、
 児童に対して特別な保護を与えることの必要性が、1924年の児童の権利に関するジュネーヴ宣言及び1959年11月20日に国際連合総会で採択された児童の権利に関する宣言において述べられており、また、世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(特に第23条及び第24条)、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(特に第10条)並びに児童の福祉に関係する専門機関及び国際機関の規程及び関係文書において認められていることに留意し、
 児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、
 国内の又は国際的な里親委託及び養子縁組を特に考慮した児童の保護及び福祉についての社会的及び法的な原則に関する宣言、少年司法の運用のための国際連合最低基準規則(北京規則)及び緊急事態及び武力紛争における女子及び児童の保護に関する宣言の規定を想起し、
 極めて困難な条件の下で生活している児童が世界のすべての国に存在すること、また、このような児童が特別の配慮を必要としていることを認め、
 児童の保護及び調和のとれた発達のために各人民の伝統及び文化的価値が有する重要性を十分に考慮し、
 あらゆる国特に開発途上国における児童の生活条件を改善するために国際協力が重要であることを認めて、
 次のとおり協定した。

第一部

第一条 [定義]
この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く。
第二条 [差別の禁止]
締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第三条 [児童の利益の最優先]
児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。
締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。
第四条 [条約義務の実施]
締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、自国における利用可能な手段の最大限の範囲内で、また、必要な場合には国際協力の枠内で、これらの措置を講ずる。
第五条 [保護者の指導の尊重]
締約国は、児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり、父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利及び義務を尊重する。
第六条 [生命に対する権利]
締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。
締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
第七条 [氏名及び国籍に対する権利]
児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。
締約国は、特に児童が無国籍となる場合を含めて、国内法及びこの分野における関連する国際文書に基づく自国の義務に従い、1の権利の実現を確保する。
第八条 [身元関係事項の保持]
締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊重することを約束する。
締約国は、児童がその身元関係事項の一部又は全部を不法に奪われた場合には、その身元関係事項を速やかに回復するため、適当な援助及び保護を与える。
第九条 [父母からの分離の防止]
締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。
すべての関係当事者は、1の規定に基づくいかなる手続においても、その手続に参加しかつ自己の意見を述べる機会を有する。
締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。
3の分離が、締約国がとった父母の一方若しくは双方又は児童の抑留、拘禁、追放、退去強制、死亡(その者が当該締約国により身体を拘束されている間に何らかの理由により生じた死亡を含む。)等のいずれかの措置に基づく場合には、当該締約国は、要請に応じ、父母、児童又は適当な場合には家族の他の構成員に対し、家族のうち不在となっている者の所在に関する重要な情報を提供する。ただし、その情報の提供が児童の福祉を害する場合は、この限りでない。締約国は、更に、その要請の提出自体が関係者に悪影響を及ぼさないことを確保する。
第一〇条 [家族の再統合の支援]
前条1の規定に基づく締約国の義務に従い、家族の再統合を目的とする児童又はその父母による締約国への入国又は締約国からの出国の申請については、締約国が積極的、人道的かつ迅速な方法で取り扱う。締約国は、更に、その申請の提出が申請者及びその家族の構成員に悪影響を及ぼさないことを確保する。
父母と異なる国に居住する児童は、例外的な事情がある場合を除くほか定期的に父母との人的な関係及び直接の接触を維持する権利を有する。このため、前条1の規定に基づく締約国の義務に従い、締約国は、児童及びその父母がいずれの国(自国を含む。)からも出国し、かつ、自国に入国する権利を尊重する。出国する権利は、法律で定められ、国の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり、かつ、この条約において認められる他の権利と両立する制限にのみ従う。
第一一条 [不法な国外移送等の防止]
締約国は、児童が不法に国外へ移送されることを防止し及び国外から帰還することができない事態を除去するための措置を講ずる。
このため、締約国は、二国間若しくは多数国間の協定の締結又は現行の協定への加入を促進する。
第一二条 [意思表明の権利]
締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。
第一三条 [表現の自由]
児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
第一四条 [思想、良心及び宗教の自由]
締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。
締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。
宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
第一五条 [結社及び集会の自由]
締約国は、結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童の権利を認める。
1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
第一六条 [私生活、名誉及び信頼の保護]
いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
児童は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
第一七条 [マス・メディアの活用]
締約国は、大衆媒体(マス・メディア)の果たす重要な機能を認め、児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。このため、締約国は、
(a) 児童にとって社会面及び文化面において有益であり、かつ、第29条の精神に沿う情報及び資料を大衆媒体(マス・メディア)が普及させるよう奨励する。
(b) 国の内外の多様な情報源(文化的にも多様な情報源を含む。)からの情報及び資料の作成、交換及び普及における国際協力を奨励する。
(c) 児童用書籍の作成及び普及を奨励する。
(d) 少数集団に属し又は原住民である児童の言語上の必要性について大衆媒体(マス・メディア)が特に考慮するよう奨励する。
(e)第13条及び次条の規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。
第一八条 [父母の責任と父母への支援]
締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。
締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。
締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第一九条 [虐待等からの保護]
締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他の者による監護を受けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取(性的虐待を含む。)からその児童を保護するためすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。
1の保護措置には、適当な場合には、児童及び児童を監護する者のために必要な援助を与える社会的計画の作成その他の形態による防止のための効果的な手続並びに1に定める児童の不当な取扱いの事件の発見、報告、付託、調査、処置及び事後措置並びに適当な場合には司法の関与に関する効果的な手続を含むものとする。
第二〇条 [家庭環境を奪われた児童の保護]
一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。
締約国は、自国の国内法に従い、1の児童のための代替的な監護を確保する。
2の監護には、特に、里親委託、イスラム法の力ファーラ、養子縁組又は必要な場合には児童の監護のための適当な施設への収容を含むことができる。解決策の検討に当たっては、児童の養育において継続性が望ましいこと並びに児童の種族的、宗教的、文化的及び言語的な背景について、十分な考慮を払うものとする。
第二一条 [養子縁組]
養子縁組の制度を認め又は許容している締約国は、児童の最善の利益について最大の考慮が払われることを確保するものとし、また、
(a) 児童の養子縁組が権限のある当局によってのみ認められることを確保する。この場合において、当該権限のある当局は、適用のある法律及び手続に従い、かつ、信頼し得るすべての関連情報に基づき、養子縁組が父母、親族及び法定保護者に関する児童の状況にかんがみ許容されること並びに必要な場合には、関係者が所要のカウンセリングに基づき養子縁組について事情を知らされた上での同意を与えていることを認定する。
(b) 児童がその出身国内において里親若しくは養家に託され又は適切な方法で監護を受けることができない場合には、これに代わる児童の監護の手段として国際的な養子縁組を考慮することができることを認める。
(c) 国際的な養子縁組が行われる児童が国内における養子縁組の場合における保護及び基準と同等のものを享受することを確保する。
(d) 国際的な養子縁組において当該養子縁組が関係者に不当な金銭上の利得をもたらすことがないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
(e) 適当な場合には、二国間又は多数国間の取極又は協定を締結することによりこの条の目的を促進し、及びこの枠組みの範囲内で他国における児童の養子縁組が権限のある当局又は機関によって行われることを確保するよう努める。
第二二条 [難民児童の保護]
締約国は、難民の地位を求めている児童又は適用のある国際法及び国際的な手続若しくは国内法及び国内的な手続に基づき難民と認められている児童が、父母又は他の者に付き添われているかいないかを間わず、この条約及び自国が締約国となっている人権又は人道に関する他の国際文書に定める権利であって適用のあるものの享受に当たり、適当な保護及び人道的援助を受けることを確保するための適当な措置をとる。
このため、締約国は、適当と認める場合には、1の児童を保護し及び援助するため、並びに難民の児童の家族との再統合に必要な情報を得ることを目的としてその難民の児童の父母又は家族の他の構成員を捜すため、国際連合及びこれと協力する他の権限のある政府間機関又は関係非政府機関による努力に協力する。その難民の児童は、父母又は家族の他の構成員が発見されない場合には、何らかの理由により恒久的又は一時的にその家庭環境を奪われた他の児童と同様にこの条約に定める保護が与えられる。
第二三条 [障害児童の権利]
締約国は、精神的又は身体的な障害を有する児童が、その尊厳を確保し、自立を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生活を享受すべきであることを認める。
締約国は、障害を有する児童が特別の養護についての権利を有することを認めるものとし、利用可能な手段の下で、申込みに応じた、かつ、当該児童の状況及び父母又は当該児童を養護している他の者の事情に適した援助を、これを受ける資格を有する児童及びこのような児童の養護について責任を有する者に与えることを奨励し、かつ、確保する。
障害を有する児童の特別な必要を認めて、2の規定に従って与えられる援助は、父母又は当該児童を養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与えられるものとし、かつ、障害を有する児童が可能な限り社会への統合及び個人の発達(文化的及び精神的な発達を含む。)を達成することに資する方法で当該児童が教育、訓練、保健サービス、リハビリテーション・サービス、雇用のための準備及びレクリエーションの機会を実質的に利用し及び享受することができるように行われるものとする。
締約国は、国際協力の精神により、予防的な保健並びに障害を有する児童の医学的、心理学的及び機能的治療の分野における適当な情報の交換(リハビリテーション、教育及び職業サービスの方法に関する情報の普及及び利用を含む。)であってこれらの分野における自国の能力及び技術を向上させ並びに自国の経験を広げることができるようにすることを目的とするものを促進する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第二四条 [健康を享受する権利]
締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。
締約国は、1の権利の完全な実現を追求するものとし、特に、次のことのための適当な措置をとる。
(a) 幼児及び児童の死亡率を低下させること。
(b) 基礎的な保健の発展に重点を置いて必要な医療及び保健をすべての児童に提供することを確保すること。
(c) 環境汚染の危険を考慮に入れて、基礎的な保健の枠組みの範囲内で行われることを含めて、特に容易に利用可能な技術の適用により並びに十分に栄養のある食物及び清潔な飲料水の供給を通じて、疾病及び栄養不良と闘うこと。
(d) 母親のための産前産後の適当な保健を確保すること。
(e) 社会のすべての構成員特に父母及び児童が、児童の健康及び栄養、母乳による育児の利点、衛生(環境衛生を含む。)並びに事故の防止についての基礎的な知識に関して、情報を提供され、教育を受ける機会を有し及びその知識の使用について支援されることを確保すること。
(f) 予防的な保健、父母のための指導並びに家族計画に関する教育及びサービスを発展させること。
締約国は、児童の健康を害するような伝統的な慣行を廃止するため、効果的かつ適当なすべての措置をとる。
締約国は、この条において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、国際協力を促進し及び奨励することを約束する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第二五条 [児童収容措置に対する審査]
締約国は、児童の身体又は精神の養護、保護又は治療を目的として権限のある当局によって収容された児童に対する処遇及びその収容に関連する他のすべての状況に関する定期的な審査が行われることについての児童の権利を認める。
第二六条 [社会保障に対する権利]
締約国は、すべての児童が社会保険その他の社会保障からの給付を受ける権利を認めるものとし、自国の国内法に従い、この権利の完全な実現を達成するための必要な措置をとる。
1の給付は、適当な場合には、児童及びその扶養について責任を有する者の資力及び事情並びに児童によって又は児童に代わって行われる給付の申請に関する他のすべての事項を考慮して、与えられるものとする。
第二七条 [生活水準に関する権利]
締約国は、児童の身体的、精神的、道徳的及び社会的な発達のための相当な生活水準についてのすべての児童の権利を認める。
父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な生活条件を確保することについての第一義的な責任を有する。
締約国は、国内事情に従い、かつ、その能力の範囲内で、1の権利の実現のため、父母及び児童について責任を有する他の者を援助するための適当な措置をとるものとし、また、必要な場合には、特に栄養、衣類及び住居に関して、物的援助及び支援計画を提供する。
締約国は、父母又は児童について金銭上の責任を有する他の者から、児童の扶養料を自国内で及び外国から、回収することを確保するためのすべての適当な措置をとる。特に、児童について金銭上の責任を有する者が児童と異なる国に居住している場合には、締約国は、国際協定への加入又は国際協定の締結及び他の適当な取決めの作成を促進する。
第二八条 [教育に関する権利]
締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、
(a) 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする。
(b) 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。
(c) すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
(d) すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。
(e) 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。
締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
締約国は、特に全世界における無知及び非識字の廃絶に寄与し並びに科学上及び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため、教育に関する事項についての国際協力を促進し、及び奨励する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第二九条 [教育の目的]
締約国は、児童の教育が次のことを指向すべきことに同意する。
(a) 児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
(b) 人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。
(c) 児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。
(d) すべての人民の間の、種族的、国民的及び宗教的集団の間の並びに原住民である者の理解、平和、寛容、両性の平等及び友好の精神に従い、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させること。
(e) 自然環境の尊重を育成すること。
この条又は前条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。
第三〇条 [少数民族又は原住民児童の権利]
種族的、宗教的若しくは言語的少数民族又は先住民である者が存在する国において、当該少数民族に属し又は先住民である児童は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。
第三一条 [文化的生活等への参加]
締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。
締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。
第三二条 [経済的搾取及び有害労働からの保護]
締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
締約国は、この条の規定の実施を確保するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。このため、締約国は、他の国際文書の関連規定を考慮して、特に、
(a) 雇用が認められるための1又は2以上の最低年齢を定める。
(b) 労働時間及び労働条件についての適当な規則を定める。
(c) この条の規定の効果的な実施を確保するための適当な罰則その他の制裁を定める。
第三三条 [麻薬及び向精神薬からの保護]
締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。
第三四条 [性的搾取及び性的虐待からの保護]
締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。このため、締約国は、特に、次のことを防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
(a) 不法な性的な行為を行うことを児童に対して勧誘し又は強制すること。
(b) 売春又は他の不法な性的な業務において児童を搾取的に使用すること。
(c) わいせつな演技及び物において児童を搾取的に使用すること。
第三五条 [誘拐、売買又は取引の防止]
締約国は、あらゆる目的のための又はあらゆる形態の児童の誘拐、売買又は取引を防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
第三六条 [他の全ての形態の搾取からの保護]
締約国は、いずれかの面において児童の福祉を害する他のすべての形態の搾取から児童を保護する。
第三七条 [拷問及び死刑等の禁止・自由を奪われた児童の取り扱い]
締約国は、次のことを確保する。
(a) いかなる児童も、拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないこと。死刑又は釈放の可能性がない終身刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科さないこと。
(b) いかなる児童も、不法に又は恣意的にその自由を奪われないこと。児童の逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従って行うものとし、最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いること。
(c) 自由を奪われたすべての児童は、人道的に、人間の固有の尊厳を尊重して、かつ、その年齢の者の必要を考慮した方法で取り扱われること。特に、自由を奪われたすべての児童は、成人とは分離されないことがその最善の利益であると認められない限り成人とは分離されるものとし、例外的な事情がある場合を除くほか、通信及び訪問を通じてその家族との接触を維持する権利を有すること。
(d) 自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有すること。
第三八条 [武力紛争における保護]
締約国は、武力紛争において自国に適用される国際人道法の規定で児童に関係を有するものを尊重し及びこれらの規定の尊重を確保することを約束する。
締約国は、15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するためのすべての実行可能な措置をとる。
締約国は、15歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし、また、15歳以上18歳未満の者の中から採用するに当たっては、最年長者を優先させるよう努める。
締約国は、武力紛争において文民を保護するための国際人道法に基づく自国の義務に従い、武力紛争の影響を受ける児童の保護及び養護を確保するためのすべての実行可能な措置をとる。
第三九条 [被害児童の回復及び社会復帰]
締約国は、あらゆる形態の放置、搾取若しくは虐待、拷間若しくは他のあらゆる形態の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰又は武力紛争による被害者である児童の身体的及び心理的な回復及び社会復帰を促進するためのすべての適当な措置をとる。このような回復及び復帰は、児童の健康、自尊心及び尊厳を育成する環境において行われる。
第四〇条 [刑事法上の保護責任]
締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されたすべての児童が尊厳及び価値についての当該児童の意識を促進させるような方法であって、当該児童が他の者の人権及び基本的自由を尊重することを強化し、かつ、当該児童の年齢を考慮し、更に、当該児童が社会に復帰し及び社会において建設的な役割を担うことがなるべく促進されることを配慮した方法により取り扱われる権利を認める。
このため、締約国は、国際文書の関連する規定を考慮して、特に次のことを確保する。
(a) いかなる児童も、実行の時に国内法又は国際法により禁じられていなかった作為又は不作為を理由として刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されないこと。
(b) 刑法を犯したと申し立てられ又は訴追されたすべての児童は、少なくとも次の保障を受けること。
(i) 法律に基づいて有罪とされるまでは無罪と推定されること。
(ii) 速やかにかつ直接に、また、適当な場合には当該児童の父母又は法定保護 者を通じてその罪を告げられること並びに防御の準備及び申立てにおいて弁 護人その他適当な援助を行う者を持つこと。
(iii) 事案が権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関により法律に基づく公正な審理において、弁護人その他適当な援助を行う者の立会い及び、特に当該児童の年齢又は境遇を考慮して児童の最善の利益にならないと認められる場合を除くほか、当該児童の父母又は法定保護者の立会いの下に遅滞なく決定されること。
(iv) 供述又は有罪の自白を強要されないこと。不利な証人を尋間し又はこれに対し尋問させること並びに対等の条件で自己のための証人の出席及びこれに対する尋問を求めること。
(v) 刑法を犯したと認められた場合には、その認定及びその結果科せられた措置について、法律に基づき、上級の、権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関によって再審理されること。
(vi) 使用される言語を理解すること又は話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。
(vii) 手続のすべての段階において当該児童の私生活が十分に尊重されること。
締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定された児童に特別に適用される法律及び手続の制定並びに当局及び施設の設置を促進するよう努めるものとし、特に、次のことを行う。
(a) その年齢未満の児童は刑法を犯す能力を有しないと推定される最低年齢を設定すること。
(b) 適当なかつ望ましい場合には、人権及び法的保護が十分に尊重されていることを条件として、司法上の手続に訴えることなく当該児童を取り扱う措置をとること。
児童がその福祉に適合し、かつ、その事情及び犯罪の双方に応じた方法で取り扱われることを確保するため、保護、指導及び監督命令、力ウンセリング、保護観察、里親委託、教育及び職業訓練計画、施設における養護に代わる他の措置等の種々の処置が利用し得るものとする。
第四一条 [他の法規との関係]
この条約のいかなる規定も、次のものに含まれる規定であって児童の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。
(a) 締約国の法律
(b) 締約国について効力を有する国際法

第二部

第四二条 [締約国の広報義務]
締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する。
第四三条 [児童の権利に関する委員会]
この条約において負う義務の履行の達成に関する締約国による進捗の状況を審査するため、児童の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この部に定める任務を行う。
委員会は、徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において能力を認められた10人の専門家で構成する。委員会の委員は、締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、衡平な地理的配分及び主要な法体系を考慮に入れる。
委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は、自国民の中から一人を指名することができる。
委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後6箇月以内に行うものとし、その後の選挙は、2年ごとに行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも4箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を2箇月以内に提出するよう書簡で要請する。その後、同事務総長は、指名された者のアルファべット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、この条約の締約国に送付する。
委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。これらの会合は、締約国の3分の2をもって定足数とする。これらの会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。
委員会の委員は、4年の任期で選出される。委員は、再指名された場合には、再選される資格を有する。最初の選挙において選出された委員のうち5人の委員の任期は、2年で終了するものとし、これらの5人の委員は、最初の選挙の後直ちに、最初の選挙が行われた締約国の会合の議長によりくじ引で選ばれる。
委員会の委員が死亡し、辞任し又は他の理由のため委員会の職務を遂行することができなくなったことを宣言した場合には、当該委員を指名した締約国は、委員会の承認を条件として自国民の中から残余の期間職務を遂行する他の専門家を任命する。
委員会は、手続規則を定める。
委員会は、役員を2年の任期で選出する。
委員会の会合は、原則として、国際連合本部又は委員会が決定する他の適当な場所において開催する。委員会は、原則として毎年1回会合する。委員会の会合の期間は、国際連合総会の承認を条件としてこの条約の締約国の会合において決定し、必要な場合には、再検討する。
国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。
この条約に基づいて設置する委員会の委員は、国際連合総会が決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。
第四四条 [締約国の報告義務]
締約国は、(a)当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から2年以内に、(b)その後は5年ごとに、この条約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を国際連合事務総長を通じて委員会に提出することを約束する。
この条の規定により行われる報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害が存在する場合には、これらの要因及び障害を記載する。当該報告には、また、委員会が当該国における条約の実施について包括的に理解するために十分な情報を含める。
委員会に対して包括的な最初の報告を提出した締約国は、1(b)の規定に従って提出するその後の報告においては、既に提供した基本的な情報を繰り返す必要はない。
委員会は、この条約の実施に関連する追加の情報を締約国に要請することができる。
委員会は、その活動に関する報告を経済社会理事会を通じて2年ごとに国際連合総会に提出する。
締約国は、1の報告を自国において公衆が広く利用できるようにする。
第四五条 [国際協力のための委員会の機能]
この条約の効果的な実施を促進し及びこの条約が対象とする分野における国際協力を奨励するため、
(a) 専門機関及び国際連合児童基金その他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、適当と認める場合には、専門機関及び国際連合児童基金その他の権限のある機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。委員会は、専門機関及び国際連合児童基金その他の国際連合の機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。
(b) 委員会は、適当と認める場合には、技術的な助言若しくは援助の要請を含んでおり又はこれらの必要性を記載している締約国からのすべての報告を、これらの要請又は必要性の記載に関する委員会の見解及び提案がある場合は当該見解及び提案とともに、専門機関及び国際連合児童基金その他の権限のある機関に送付する。
(c) 委員会は、国際連合総会に対し、国際連合事務総長が委員会のために児童の権利に関連する特定の事項に関する研究を行うよう同事務総長に要請することを勧告することができる。
(d) 委員会は、前条及びこの条の規定により得た情報に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、関係締約国に送付し、締約国から意見がある場合にはその意見とともに国際連合総会に報告する。

第三部

第四六条 [署名]
この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。
第四七条 [批准]
この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
第四八条 [加入]
この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入書は、国際連合事務総長に寄託する。
第四九条 [効力発生]
この条約は、20番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
この条約は、20番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後30日目に効力を生ずる。
第五〇条 [改正の手続き]
いずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、締約国に対し、その改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国の会議の開催についての賛否を示すよう要請する。その送付の日から4箇月以内に締約国の3分の1以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
1の規定により採択された改正は、国際連合総会が承認し、かつ、締約国の3分の2以上の多数が受諾した時に、効力を生ずる。
改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの条約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。
第五一条 [留保]
国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し、かつ、すべての国に送付する。
この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、同事務総長により受領された日に効力を生ずる。
第五二条 [廃棄]
締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後1年で効力を生ずる。
第五三条 [寄託]
国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指名される。
第五四条 [正文]
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。
以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。

   「ウィキソース」より

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1858年(安政5)政治家尾崎行雄の誕生日(新暦12月24日)詳細
1890年(明治23)木骨煉瓦造り3階建て約60室の初代帝国ホテルが完成し、竣工式が行われる詳細
1938年(昭和13)岩波書店が「岩波新書」の最初の20点(赤版)を刊行する詳細
1942年(昭和17)日本文学報国会が企画・選定した「愛国百人一首」が情報局より発表される詳細
1945年(昭和20)GHQが「無線通信の統制に関する覚書」 (SCAPIN-321)を出す詳細
1959年(昭和34)国連総会において「児童の権利に関する宣言」が採択される(世界こどもの日)詳細
2005年(平成17)書家村上三島の命日詳細
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 今日は、昭和時代後期の1982年(昭和57)に、地球物理学者・随筆家坪井忠二の亡くなった日です。
 坪井忠二(つぼい ちゅうじ)は、明治時代後期の1902年(明治35)9月9日に、東京府において、人類学者だった父・坪井正五郎、母・直子の次男として生まれました。東京高等師範学校附属小学校・中学校、旧制第一高等学校を経て、1923年(大正12)に、東京帝国大学理学部物理学科に入学します。寺田寅彦に師事し、1926年(大正15)に卒業後、同大学地震研究所の助手となりました。1929年(昭和4)に東京帝国大学理学部助教授に昇任し、「地震は重力異常の場所で起こる」との新説を発表します。1933年(昭和18)に理学部地球物理学教室へ移り、翌年には、「精密測量に依りて見出サレタル地殻変動の研究」で、東京帝国大学より理学博士号を取得しました。1935年(昭和10)から翌年にかけて、欧米各国へ出張し、1941年(昭和16)には、東京帝国大学理学部教授に昇任します。1943年(昭和18)に理学部地球物理学第二講座を担当、1947年(昭和22)に測地審議会会長となり、1951年(昭和26)から日本全国約4500地点の重力測定を開始(~1954年)しました。1952年(昭和27)に「地殻の物理的性状に関する研究」で、日本学士院賞、1954年(昭和30)には、「重力測定に基く地下構造の研究」で、朝日文化賞を受賞しています。1960年(昭和35)に地震予知計画研究グループを結成、日本学士院会員となり、1961年(昭和36)には、東京大学理学部長(~1963年)となりました。1962年(昭和37)に和達清夫、萩原尊禮らと「地震予知研究計画」を取りまとめましたが、1963年(昭和38)には、東京大学を退官しています。その後、岩波新書『新・地震の話』(1967年)、岩波書店『数理のめがね』(1968年)、岩波書店『力学物語』(1970年)などの啓蒙書を刊行しました。1972年(昭和47)に勲二等授旭日重光章を受章したものの、1982年(昭和57)11月19日に、東京都において、80歳で亡くなり、従三位を追贈されています。

〇坪井忠二の主要な著作

・『地球』(鉄塔書院 鉄塔科学叢書 1933年)
・『重力』(岩波書店 岩波全書 1935年)
・『地球の形』(日本数学物理学会 最新科学叢書1 1936年)
・『岩波講座 物理学及ビ化学・重力の測定』(岩波書店 1939年)
・『物理学実験12・地球物理及び天文学』(河出書房 1940年)
・『地震の話』(岩波新書 1941年)
・『新 地震の話』(岩波新書 1967年)
・『数理のめがね』(岩波書店 1968年/ちくま学芸文庫 2020年)
・『自然地理学・重力の測定』(地人書館 1970年)
・『力学物語』(岩波書店 1970年)
・『右と左』(サイエンス社 サイエンス叢書 1980年)

☆坪井忠二関係略年表

・1902年(明治35)9月9日 東京府において、人類学者だった父・坪井正五郎、母・直子の次男として生まれる
・1915年(大正4) 東京高等師範学校附属小学校(現在の筑波大学附属小学校)を卒業する
・1920年(大正9) 東京高等師範学校附属中学校(現在の筑波大学附属中学校・高等学校)を卒業し、旧制第一高等学校に入学する
・1923年(大正12) 旧制第一高等学校を卒業し、東京帝国大学理学部物理学科に入学する
・1926年(大正15) 東京帝国大学理学部物理学科を卒業し、同大学地震研究所の助手となる
・1929年(昭和4) 東京帝国大学理学部助教授となり、「地震は重力異常の場所で起こる」との新説を発表する
・1933年(昭和18) 理学部地球物理学教室へ移る
・1934年(昭和19) 「精密測量に依りて見出サレタル地殻変動の研究」で、東京帝国大学より理学博士を得る
・1935年(昭和10) 欧米各国の出張に出発する
・1936年(昭和11) 欧米各国より帰国する
・1941年(昭和16) 東京帝国大学理学部教授となる
・1943年(昭和18) 理学部地球物理学第二講座を担当する
・1947年(昭和22) 測地審議会会長となる
・1951年(昭和26) 日本全国約4500地点の重力測定を開始する(~1954年)
・1952年(昭和27) 「地殻の物理的性状に関する研究」で、日本学士院賞を受賞する
・1954年(昭和30) 「重力測定に基く地下構造の研究」で、朝日文化賞を受賞する
・1960年(昭和35) 地震予知計画研究グループを結成、日本学士院会員となる
・1961年(昭和36) 東京大学理学部長(~1963年)となる
・1962年(昭和37) 和達清夫・萩原尊禮らと「地震予知研究計画」を取りまとめる
・1963年(昭和38) 東京大学を退官する
・1967年(昭和42) 岩波新書『新・地震の話』を刊行する
・1968年(昭和43) 岩波書店『数理のめがね』を刊行する
・1970年(昭和45) 岩波書店『力学物語』を刊行する
・1972年(昭和47) 勲二等授旭日重光章を受章する
・1982年(昭和57)11月19日 東京都において、80歳で亡くなり、従三位を追贈される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1906年(明治39)京阪電気鉄道株式会社が設立される詳細
1947年(昭和22)「農業協同組合法」が公布される詳細
1956年(昭和31)米原~京都の電化により東海道本線の全線電化が完成する詳細
東京駅~博多駅間の夜行特急あさかぜが運行開始される詳細
1975年(昭和50)MK鋼を発明した冶金学者三島徳七の命日詳細
1993年(平成5)「環境基本法」が公布・施行される詳細
1998年(平成10)気象学者藤田哲也の命日詳細
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 今日は、昭和時代後期の1987年(昭和62)に、「日本航空株式会社法を廃止する等の法律」により、日本航空が政府が半数の株を保有する特殊法人から、完全民営化された日です。
 日本航空(にほんこうくう)は、日本を代表する大手航空会社で、日航、JAL(ジャル)とも呼ばれています。ナショナル・フラッグ・キャリアとして世界各国に路線を持ち、ワンワールド・アライアンスに加盟してきました。昭和時代中期の1951年(昭和26)に、政府主導の半官半民の企業として設立され、1953年(昭和28)には、「日本航空株式会社法」に基づき特殊法人となります。
 1954年(昭和29)に東京~サンフランシスコ線など国際定期便の運航を開始し、1967年(昭和42)には、世界一周路線を開設しました。1975年(昭和50)に、日本と台湾を結ぶ航路を分離して日本アジア航空を設立、1987年(昭和62)には、「日本航空株式会社法」廃止により完全民営化されます。
 しかし、2000年代に入り、利用客の減少や、経営不振に陥った日本エアシステム(JAS)との合併などから業績が低迷し、2010年(平成22)には、財務の悪化に伴い「会社更生法」の適用を申請するに至りました。その後、2011年(平成23)に会社更生手続が終結し、社名を日本航空に変更し、経営体制を一新、2012年(平成24)には、東京証券取引所に再上場を果たします。

〇日本航空関係略年表

・1951年(昭和26)7月31日 「日本航空株式会社」(会長:藤山愛一郎)として創立総会が開催される
・1953年(昭和28) 「日本航空株式会社法」に基づき特殊法人となる
・1954年(昭和29) 東京~サンフランシスコ線など国際定期便の運航を開始する
・1967年(昭和42) 世界一周路線を開設する
・1975年(昭和50) 日本と台湾を結ぶ航路を分離して日本アジア航空を設立する
・1987年(昭和62) 「日本航空株式会社法」廃止により完全民営化される
・2002年(平成14) 日本エアシステムと持株会社日本航空システムを設立する
・2004年(平成16) 日本エアシステムと完全統合し、日本航空システムから日本航空に名称を変更する
・2006年(平成18) 「株式会社日本航空ジャパン」(旧「株式会社日本エアシステム」)を吸収合併する
・2010年(平成22) 財務の悪化に伴い「会社更生法」の適用を申請、持株会社日本航空と日本航空インターナショナルなど5社が合併する
・2011年(平成23) 会社更生手続が終結し、社名を日本航空に変更し、経営体制を一新する
・2012年(平成24) 東京証券取引所に再上場を果たす

☆「日本航空株式会社法を廃止する等の法律」(昭和62年法律第92号)1987年(昭和62)9月11日公布、10月1日施行

 (日本航空株式会社法の廃止)

第一条 日本航空株式会社法(昭和二十八年法律第百五十四号。以下「旧法」という。)は、廃止する。

 (航空法の一部改正)

第二条 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第百二十条の次に次の一条を加える。

  (外国人等の取得した株式の取扱い)

 第百二十条の二 証券取引所に上場されている株式又はこれに準ずるものとして運輸省令で定める株式を発行している会社である定期航空運送事業者は、その株式を取得した第四条第一項第一号から第三号までに掲げる者(以下「外国人等」という。)から、その氏名及び住所を株主名簿に記載することの請求を受けた場合において、その請求に応ずることにより同項第四号に該当することとなるときは、その氏名及び住所を株主名簿に記載することを拒むことができる。

 2 前項の定期航空運送事業者は、運輸省令で定めるところにより、外国人等がその議決権に占める割合を公告しなければならない。ただし、その割合が運輸省令で定める割合に達しないときは、この限りでない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。

 (定款の変更)

第二条 旧法により設立された日本航空株式会社(以下「会社」という。)は、この法律の施行の日前に、この法律の施行の日から効力を生ずる定款の変更の決議を行うことができる。

2 前項の決議については、旧法第十条第一項の規定は、適用しない。

 (旧法の廃止に伴う経過措置)

第三条 この法律の施行前に会社が発行した債券及び利札については、旧法第六条の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

2 この法律の施行前に旧法第九条の規定に基づき政府が保証契約をした会社の債務については、同条の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

3 第一項に規定する債券を失つた者に交付するためにこの法律の施行後に会社が発行する債券については、旧法第五条の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

4 第一項に規定する債券又は利札を失つた者に交付するためにこの法律の施行後に会社が発行する債券又は利札については、旧法第六条及び第九条第二項の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

第四条 この法律の施行の日の属する営業年度の会社の貸借対照表、損益計算書及び営業報告書の運輸大臣に対する提出については、なお従前の例による。

 (経済関係罰則の整備に関する法律の一部改正)

第五条 経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の一部を次のように改正する。

  別表乙号第六号を次のように改める。

  六 削除

 (罰則の適用に関する経過措置)

第六条 この法律の施行前にした行為及び附則第四条においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (運輸省設置法の一部改正)

第七条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条の二第一項第百六十五号中「、日本航空株式会社」を削る。

(法務・大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

  「衆議院ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1840年(天保11)第119代の天皇とされる光格天皇の命日(新暦12月11日)詳細
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2001年(平成13)JR東日本の東京近郊区間で、ICカード式自動出改札システム「Suica」の使用が開始される詳細
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 今日は、明治時代後期の1900年(明治33)に、駿河湾で官立商船学校(現在の東京海洋大学)の練習帆船「月島丸」が暴風雨により沈没(月島丸沈没事故)し、死者・行方不明者122人を出した日です。
 月島丸沈没事故(つきしままるちんぼつじこ)は、明治時代後期の1900年(明治33)11月17日に起きた、官立商船学校(現在の東京海洋大学)の練習帆船「月島丸」沈没事故です。練習帆船「月島丸」は、長崎三菱造船所(現在の三菱重工業長崎造船所)で建造され、1898年(明治31)5月に竣工し、試運転を行った後に、横浜港に回航されて、官立商船学校(現在の東京海洋大学)練習船となりました。
 1900年(明治33)11月13日に、122人(うち練習生79人)を乗せて室蘭港を出港し、静岡県清水港を目指したものの、同月17日突然、消息を絶ってしまいます。その日に起きた大暴風に遭遇したと判断し捜査が進められましたが、静岡県仁科村(現在の西伊豆町)沖でカッターが見つかり、本船は駿河湾内で暴風に遭遇し沈没したものと推定されました。
 その後、同県静浦村(現在の沼津市)海岸で船長と他の沿岸に給仕の死体が打ち上げられ発見されます。しかし、それ以外の学生を含め乗組員120人は行方不明のまま捜索は打ち切られました。
 詩人の横瀬夜雨は、以下の「石廊崎に立ちて(月島丸をおもふ)」を詠って、その死を悼んでいます。

〇詩人横瀬夜雨作「石廊崎に立ちて(月島丸をおもふ)」

  八重立つ雲の流れては
  紅匂ふ暁(あけ)の空
  夜すがら海に輝きし
  鹹(しほ)の光も薄れけり
  南に渡る鴻の
  聲は岬に落つれども
  島根ゆるがす朝潮の
  瀬に翻る秋の海
  牡蠣殻曝れし荒磯の
  巌の高きに佇みて
  沖に沈みし溺れ船
  悲しみあとを眺めれば
  七十五里の灘の上
  浪は白く騒げども
  玉藻の下に埋れし
  船は浮ばずなりぬかな

☆明治・大正時代に日本近海で起きた重大海難事故一覧(死者・行方不明者100人以上)

・1878年(明治11)12月24日 - 和歌山県太地村でセミクジラを捕獲するため19隻・総勢184名で出漁、荒天による集団遭難事故(大背美流れ)<死者・行方不明者100余人>
・1890年(明治23)9月16日 - 和歌山県樫野埼灯台付近で荒天下、トルコ海軍艦「エルトゥールル号」が座礁沈没(エルトゥールル号遭難事件)<乗員約600人中、死者・行方不明者587人>
・1891年(明治24)7月11日 - 白神岬沖2.8kmの津軽海峡で「瓊江丸」と「三吉丸」が衝突し「瓊江丸」が沈没<死者・行方不明者261人>
・1900年(明治33)11月17日 - 駿河湾沖で暴風雨により、官立商船学校(現在の東京海洋大学)の練習帆船「月島丸」が沈没<死者・行方不明者122人>
・1905年(明治38)8月22日 - 瀬戸内海姫島灯台付近でイギリス船「バラロング」と軍用船「金城丸」が衝突し「金城丸」が沈没<死者・行方不明者165人>
・1908年(明治41)3月23日 - 北海道恵山岬灯台北東沖で客船「陸奥丸」と「秀吉丸」が衝突し「陸奥丸」が沈没<死者・行方不明者212人>
・1922年(大正11)8月26日 - カムチャツカ半島で漁業保護任務中の巡洋艦「新高」がオジョールナヤ基地沖で停泊中に暴風に遭遇し走錨。海岸に座礁、転覆<死者・行方不明者327人>
・1926年(大正15)4月26日 - 幌筵島沖を航行中の蟹工船「秩父丸」が座礁沈没<死者・行方不明者182人>

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

717年(養老元)美濃国の醴泉によって、元号を「霊亀」から「養老」へ改元(養老改元)する(新暦12月24日)詳細
1716年(享保元)江戸城内で御城将棋が開催され、以降この日に御城碁と共に定例化される詳細
1905年(明治38)日本と大韓帝国との間で、「第二次日韓協約」が調印される詳細
1951年(昭和26)神奈川県鎌倉市に「神奈川県立近代美術館」が開館する詳細
1973年(昭和48)児童文学者浜田広介の命日詳細
1986年(昭和61)将棋棋士・14世名人木村義雄の命日詳細
1990年(平成2)長崎県の雲仙普賢岳で198年ぶりの噴火(雲仙普賢岳1990年噴火)が始まる詳細
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 今日は、昭和時代前期の1945年(昭和20)に、イギリスのロンドンにおいて、「国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)」が採択(発効は翌年11月4日)された日です。
 国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の精神・目的・任務・組織などを定めたものでした。第2次大戦中ロンドンに亡命していた諸国政府(ベルギー、チェコスロバキア、フランス、ギリシア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ユーゴスラビア)の文部大臣によって、1942年(昭和17)に開催された連合国文相会議が戦争の破壊と荒廃によってもたらされる教育上の諸問題を検討したことに端を発し、1945年(昭和20)11月に国際連合教育文化会議が招集され44ヶ国が出席して起草、11月16日に採択します。
 前文と15ヶ条からなり、前文では、①戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。②文化の広い普及と、正義・自由・平和のための人類の教育は、神聖な義務である。③世界の人々の教育・科学・文化上の関係を通じて、国際平和と人類の共通の福祉という目的をおし進めるために、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)を創設するとし、各条文でその目的・任務・組織などを定めたものでした。この憲章は、1946年(昭和21)11月4日に発効し、同年12月には、国連の専門機関(本部はパリ)として発足します。
 以下に、国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)の英語版と日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇国連教育科学文化機関(こくれんきょういくかがくぶんかきかん)とは?

 国際連合の専門機関の一つて、United Nations Educational,Scientific and Cultural Organizationの略称として「UNESCO(ユネスコ)」と呼ばれています。
 第2次世界大戦中の1942年(昭和17)にロンドンで開催された連合国文部大臣会議で教育、文化に関する国際機関の設立が検討されたことが発足の端緒となりました。第2次世界大戦後の1945年(昭和20)11月にイギリスのロンドンで開かれた国際連合教育文化会議で44ヶ国代表により「ユネスコ憲章」が採択され、翌年11月4日に発効、同年12月には国連の専門機関(本部はパリ)として発足します。
 教育、科学、文化の普及と交流を通じて諸国民間の理解と認識を深め、協力関係を促進し、それによって国際間の平和と安全を確保することを目的としました。日本は国連加盟に先だって、1951年(昭和26)7月2日に加盟国となりましたが、現在の加盟国は195ヶ国、準加盟地域9と増加しています。
 各国の政府機関や民間団体とユネスコの事業との協力を図るため、各国にユネスコ国内委員会が設置され、識字教育、文化財保護、生物圏保全、人権推進、平和教育など多方面で活動してきました。

〇「国際連合教育科学文化機関憲章」(ユネスコ憲章)/The Constitution of UNESCO 英語版

UNESCO Constitution

UNESDOC - (PDF) English - Français - Español - Russian - Arabic - Chinese

 The Constitution of UNESCO, signed on 16 November 1945, came into force on 4 November 1946 after ratification by twenty countries: Australia, Brazil, Canada, China, Czechoslovakia, Denmark, Dominican Republic, Egypt, France, Greece, India, Lebanon, Mexico, New Zealand, Norway, Saudi Arabia, South Africa, Turkey, United Kingdom, United States.
 Constitution of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization
 Adopted in London on 16 November 1945 and amended by the General Conference at its 2nd, 3rd, 4th, 5th, 6th, 7th, 8th, 9th, 10th, 12th, 15th, 17th, 19th, 20th, 21st, 24th, 25th, 26th, 27th, 28th, 29th, 31st and 40th sessions.
 The Governments of the States Parties to this Constitution on behalf of their peoples declare:
 That since wars begin in the minds of men, it is in the minds of men that the defences of peace must be constructed;
 That ignorance of each other’s ways and lives has been a common cause, throughout the history of mankind, of that suspicion and mistrust between the peoples of the world through which their differences have all too often broken into war;
 That the great and terrible war which has now ended was a war made possible by the denial of the democratic principles of the dignity, equality and mutual respect of men, and by the propagation, in their place, through ignorance and prejudice, of the doctrine of the inequality of men and races;
 That the wide diffusion of culture, and the education of humanity for justice and liberty and peace are indispensable to the dignity of man and constitute a sacred duty which all the nations must fulfil in a spirit of mutual assistance and concern;
 That a peace based exclusively upon the political and economic arrangements of governments would not be a peace which could secure the unanimous, lasting and sincere support of the peoples of the world, and that the peace must therefore be founded, if it is not to fail, upon the intellectual and moral solidarity of mankind.
 For these reasons, the States Parties to this Constitution, believing in full and equal opportunities for education for all, in the unrestricted pursuit of objective truth, and in the free exchange of ideas and knowledge, are agreed and determined to develop and to increase the means of communication between their peoples and to employ these means for the purposes of mutual understanding and a truer and more perfect knowledge of each other’s lives;
 In consequence whereof they do hereby create the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization for the purpose of advancing, through the educational and scientific and cultural relations of the peoples of the world, the objectives of international peace and of the common welfare of mankind for which the United Nations Organization was established and which its Charter proclaims.

Article I  Purposes and functions

1. The purpose of the Organization is to contribute to peace and security by promoting collaboration among the nations through education, science and culture in order to further universal respect for justice, for the rule of law and for the human rights and fundamental freedoms which are affirmed for the peoples of the world, without distinction of race, sex, language or religion, by the Charter of the United Nations.
2. To realize this purpose the Organization will:
 (a) Collaborate in the work of advancing the mutual knowledge and understanding of peoples, through all means of mass communication and to that end recommend such international agreements as may be necessary to promote the free flow of ideas by word and image;
 (b) Give fresh impulse to popular education and to the spread of culture:
 By collaborating with Members, at their request, in the development of educational activities;
 By instituting collaboration among the nations to advance the ideal of equality of educational opportunity without regard to race, sex or any distinctions, economic or social;
 By suggesting educational methods best suited to prepare the children of the world for the responsibilities of freedom;
 (c) Maintain, increase and diffuse knowledge:
 By assuring the conservation and protection of the world’s inheritance of books, works of art and monuments of history and science, and recommending to the nations concerned the necessary international conventions;
 By encouraging cooperation among the nations in all branches of intellectual activity, including the international exchange of persons active in the fields of education, science and culture and the exchange of publications, objects of artistic and scientific interest and other materials of information;
 By initiating methods of international cooperation calculated to give the people of all countries access to the printed and published materials produced by any of them.
3. With a view to preserving the independence, integrity and fruitful diversity of the cultures and educational systems of the States Members of the Organization, the Organization is prohibited from intervening in matters which are essentially within their domestic jurisdiction.

Article II Membership

1. Membership of the United Nations Organization shall carry with it the right to membership of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization.
2. Subject to the conditions of the Agreement between this Organization and the United Nations Organization, approved pursuant to Article X of this Constitution, states not members of the United Nations Organization may be admitted to membership of the Organization, upon recommendation of the Executive Board, by a two-thirds majority vote of the General Conference.
3. Territories or groups of territories which are not responsible for the conduct of their international relations may be admitted as Associate Members by the General Conference by a two-thirds majority of Members present and voting, upon application made on behalf of such territory or group of territories by the Member or other authority having responsibility for their international relations. The nature and extent of the rights and obligations of Associate Members shall be determined by the General Conference.
4. Members of the Organization which are suspended from the exercise of the rights and privileges of membership of the United Nations Organization shall, upon the request of the latter, be suspended from the rights and privileges of this Organization.
5. Members of the Organization which are expelled from the United Nations Organization shall automatically cease to be Members of this Organization.
6. Any Member State or Associate Member of the Organization may withdraw from the Organization by notice addressed to the Director-General. Such notice shall take effect on 31 December of the year following that during which the notice was given. No such withdrawal shall affect the financial obligations owed to the Organization on the date the withdrawal takes effect. Notice of withdrawal by an Associate Member shall be given on its behalf by the Member State or other authority having responsibility for its international relations.
7. Each Member State is entitled to appoint a Permanent Delegate to the Organization.
8. The Permanent Delegate of the Member State shall present his credentials to the Director-General of the Organization, and shall officially assume his duties from the day of presentation of his credentials.

Article III Organs

 The Organization shall include a General Conference, an Executive Board and a Secretariat.

Article IV The General Conference

 A. Composition
1. The General Conference shall consist of the representatives of the States Members of the Organization. The Government of each Member State shall appoint not more than five delegates, who shall be selected after consultation with the National Commission, if established, or with educational, scientific and cultural bodies.
 B. Functions
2. The General Conference shall determine the policies and the main lines of work of the Organization. It shall take decisions on programmes submitted to it by the Executive Board.
3. The General Conference shall, when it deems desirable and in accordance with the regulations to be made by it, summon international conferences of states on education, the sciences and humanities or the dissemination of knowledge; non-governmental conferences on the same subjects may be summoned by the General Conference or by the Executive Board in accordance with such regulations.
4. The General Conference shall, in adopting proposals for submission to the Member States, distinguish between recommendations and international conventions submitted for their approval. In the former case a majority vote shall suffice; in the latter case a two-thirds majority shall be required. Each of the Member States shall submit recommendations or conventions to its competent authorities within a period of one year from the close of the session of the General Conference at which they were adopted.
5. Subject to the provisions of Article V, paragraph 6 (c), the General Conference shall advise the United Nations Organization on the educational, scientific and cultural aspects of matters of concern to the latter, in accordance with the terms and procedure agreed upon between the appropriate authorities of the two Organizations.
6. The General Conference shall receive and consider the reports sent to the Organization by Member States on the action taken upon the recommendations and conventions referred to in paragraph 4 above or, if it so decides, analytical summaries of these reports.
7. The General Conference shall elect the members of the Executive Board and, on the recommendation of the Board, shall appoint the Director-General.
 C. Voting
8. (a) Each Member State shall have one vote in the General Conference. Decisions shall be made by a simple majority except in cases in which a two-thirds majority is required by the provisions of this Constitution, or the Rules of Procedure of the General Conference. A majority shall be a majority of the Members present and voting.
 (b) A Member State shall have no vote in the General Conference if the total amount of contributions due from it exceeds the total amount of contributions payable by it for the current year and the immediately preceding calendar year.
 (c) The General Conference may nevertheless permit such a Member State to vote, if it is satisfied that failure to pay is due to conditions beyond the control of the Member State.
 D. Procedure
9. (a) The General Conference shall meet in ordinary session every two years. It may meet in extraordinary session if it decides to do so itself or if summoned by the Executive Board, or on the demand of at least one third of the Member States.
 (b) At each session the location of its next ordinary session shall be designated by the General Conference. The location of an extraordinary session shall be decided by the General Conference if the session is summoned by it, or otherwise by the Executive Board.
10. The General Conference shall adopt its own rules of procedure. It shall at each session elect a President and other officers.
11. The General Conference shall set up special and technical committees and such other subsidiary organs as may be necessary for its purposes.
12. The General Conference shall cause arrangements to be made for public access to meetings, subject to such regulations as it shall prescribe.
 E. Observers
13. The General Conference, on the recommendation of the Executive Board and by a two-thirds majority may, subject to its rules of procedure, invite as observers at specified sessions of the Conference or of its commissions representatives of international organizations, such as those referred to in Article XI, paragraph 4.
14. When consultative arrangements have been approved by the Executive Board for such international non-governmental or semi-governmental organizations in the manner provided in Article XI, paragraph 4, those organizations shall be invited to send observers to sessions of the General Conference and its commissions.

Article V Executive Board 

 A. Composition
1. (a) The Executive Board shall be elected by the General Conference and it shall consist of fifty-eight Member States. The President of the General Conference shall sit ex officio in an advisory capacity on the Executive Board.
 (b) A Member State shall not be eligible as a Member of the Executive Board if the total amount of contributions due from it exceeds the total amount of contributions payable by it for the current year and the immediately preceding calendar year. The General Conference may nevertheless permit such a Member State to be eligible as a Member of the Executive Board if it is satisfied that failure to pay is due to conditions beyond the control of the Member State.
 (c) Elected States Members of the Executive Board are hereinafter referred to as “Members” of the Executive Board.
2. (a) Each Member of the Executive Board shall appoint one representative. It may also appoint alternates.
 (b) In selecting its representative on the Executive Board, the Member of the Executive Board shall endeavour to appoint a person qualified in one or more of the fields of competence of UNESCO and with the necessary experience and capacity to fulfil the administrative and executive duties of the Board. Bearing in mind the importance of continuity, each representative shall be appointed for the duration of the term of the Member of the Executive Board, unless exceptional circumstances warrant his replacement. The alternates appointed by each Member of the Executive Board shall act in the absence of its representative in all his functions.
3. In electing Members to the Executive Board, the General Conference shall have regard to the diversity of cultures and a balanced geographical distribution.
4. (a) Members of the Executive Board shall serve from the close of the session of the General Conference which elected them until the close of the second ordinary session of the General Conference following their election. The General Conference shall, at each of its ordinary sessions, elect the number of Members of the Executive Board required to fill vacancies occurring at the end of the session.
 (b) Members of the Executive Board are eligible for re-election. Re-elected Members of the Executive Board shall endeavour to change their representatives on the Board.
5. In the event of the withdrawal from the Organization of a Member of the Executive Board, its term of office shall be terminated on the date when the withdrawal becomes effective.
 B. Functions
6. (a) The Executive Board shall prepare the agenda for the General Conference. It shall examine the programme of work for the Organization and corresponding budget estimates submitted to it by the Director-General in accordance with paragraph 3 of Article VI and shall submit them with such recommendations as it considers desirable to the General Conference.
 (b) The Executive Board, acting under the authority of the General Conference, shall be responsible for the execution of the programme adopted by the Conference. In accordance with the decisions of the General Conference and having regard to circumstances arising between two ordinary sessions, the Executive Board shall take all necessary measures to ensure the effective and rational execution of the programme by the Director-General.
 (c) Between ordinary sessions of the General Conference, the Board may discharge the functions of adviser to the United Nations, set forth in Article IV, paragraph 5, whenever the problem upon which advice is sought has already been dealt with in principle by the Conference, or when the solution is implicit in decisions of the Conference.
7. The Executive Board shall recommend to the General Conference the admission of new Members to the Organization.
8. Subject to decisions of the General Conference, the Executive Board shall adopt its own rules of procedure. It shall elect its officers from among its Members.
9. The Executive Board shall meet in regular session at least four times during a biennium and may meet in special session if convoked by the Chairman on his initiative or upon the request of six Members of the Executive Board.
10. The Chairman of the Executive Board shall present, on behalf of the Board, to the General Conference at each ordinary session, with or without comments, the reports on the activities of the Organization which the Director-General is required to prepare in accordance with the provisions of Article VI.3 (b).
11. The Executive Board shall make all necessary arrangements to consult the representatives of international organizations or qualified persons concerned with questions within its competence.
12. Between sessions of the General Conference, the Executive Board may request advisory opinions from the International Court of Justice on legal questions arising within the field of the Organization’s activities.
13. The Executive Board shall also exercise the powers delegated to it by the General Conference on behalf of the Conference as a whole.
 C. Voting rights
14 (a) Each Member of the Executive Board shall have one vote.
 (b) A Member State shall have no vote if the total amount of contributions due from it exceeds the total amount of contributions payable by it for the current year and the immediately preceding calendar year. The General Conference may nevertheless permit such a Member State to vote if it is satisfied that failure to pay is due to conditions beyond the control of the Member State.

Article VI Secretariat

1. The Secretariat shall consist of a Director-General and such staff as may be required.
2. The Director-General shall be nominated by the Executive Board and appointed by the General Conference for a period of four years, under such conditions as the Conference may approve. The Director-General may be appointed for a further term of four years but shall not be eligible for reappointment for a subsequent term. The Director-General shall be the chief administrative officer of the Organization.
3.(a) The Director-General, or a deputy designated by him, shall participate, without the right to vote, in all meetings of the General Conference, of the Executive Board, and of the Committees of the Organization. He shall formulate proposals for appropriate action by the Conference and the Board, and shall prepare for submission to the Board a draft programme of work for the Organization with corresponding budget estimates.
 (b) The Director-General shall prepare and communicate to Member States and to the Executive Board periodical reports on the activities of the Organization. The General Conference shall determine the periods to be covered by these reports.
4. The Director-General shall appoint the staff of the Secretariat in accordance with staff regulations to be approved by the General Conference. Subject to the paramount consideration of securing the highest standards of integrity, efficiency and technical competence, appointment to the staff shall be on as wide a geographical basis as possible.
5. The responsibilities of the Director-General and of the staff shall be exclusively international in character. In the discharge of their duties they shall not seek or receive instructions from any government or from any authority external to the Organization. They shall refrain from any action which might prejudice their positions as international officials. Each State Member of the Organization undertakes to respect the international character of the responsibilities of the Director-General and the staff, and not to seek to influence them in the discharge of their duties.
6. Nothing in this Article shall preclude the Organization from entering into special arrangements within the United Nations Organization for common services and staff and for the interchange of personnel.

Article VII National cooperating bodies

1. Each Member State shall make such arrangements as suit its particular conditions for the purpose of associating its principal bodies interested in educational, scientific and cultural matters with the work of the Organization, preferably by the formation of a National Commission broadly representative of the government and such bodies.
2. National Commissions or National Cooperating Bodies, where they exist, shall act in an advisory capacity to their respective delegations to the General Conference, to the representatives and alternates of their countries on the Executive Board and to their Governments in matters relating to the Organization and shall function as agencies of liaison in all matters of interest to it.
3. The Organization may, on the request of a Member State, delegate, either temporarily, a member of its Secretariat to serve on the National Commission of that state, in order to assist in the development of its work.

Article VIII Reports by Member States

 Each Member State shall submit to the Organization, at such times and in such manner as shall be determined by the General Conference, reports on the laws, regulations and statistics relating to its educational, scientific and cultural institutions and activities, and on the action taken upon the recommendations and conventions referred to in Article IV, paragraph 4.

Article IX Budget

1. The budget shall be administered by the Organization.
2. The General Conference shall approve and give final effect to the budget and to the apportionment of financial responsibility among the States Members of the Organization subject to such arrangement with the United Nations as may be provided in the agreement to be entered into pursuant to Article X.
3. The Director-General may accept voluntary contributions, gifts, bequests and subventions directly from governments, public and private institutions, associations and private persons, subject to the conditions specified in the Financial Regulations.

Article X Relations with the United Nations Organization

 This Organization shall be brought into relation with the United Nations Organization, as soon as practicable, as one of the specialized agencies referred to in Article 57 of the Charter of the United Nations. This relationship shall be effected through an agreement with the United Nations Organization under Article 63 of the Charter, which agreement shall be subject to the approval of the General Conference of this Organization. The agreement shall provide for effective cooperation between the two Organizations in the pursuit of their common purposes, and at the same time shall recognize the autonomy of this Organization, within the fields of its competence as defined in this Constitution. Such agreement may, among other matters, provide for the approval and financing of the budget of the Organization by the General Assembly of the United Nations.

Article XI Relations with other specialized international organizations and agencies 

1. This Organization may cooperate with other specialized intergovernmental organizations and agencies whose interests and activities are related to its purposes. To this end the Director- General, acting under the general authority of the Executive Board, may establish effective working relationships with such organizations and agencies and establish such joint committees as may be necessary to assure effective cooperation. Any formal arrangements entered into with such organizations or agencies shall be subject to the approval of the Executive Board.
2. Whenever the General Conference of this Organization and the competent authorities of any other specialized intergovernmental organizations or agencies whose purpose and functions lie within the competence of this Organization deem it desirable to effect a transfer of their resources and activities to this Organization, the Director-General, subject to the approval of the Conference, may enter into mutually acceptable arrangements for this purpose.
3. This Organization may make appropriate arrangements with other intergovernmental organizations for reciprocal representation at meetings.
4. The United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization may make suitable arrangements for consultation and cooperation with non-governmental international organizations concerned with matters within its competence, and may invite them to undertake specific tasks. Such cooperation may also include appropriate participation by representatives of such organizations on advisory committees set up by the General Conference.

Article XII Legal status of the Organization

 The provisions of Articles 104 and 105 of the Charter of the United Nations Organization concerning the legal status of that Organization, its privileges and immunities, shall apply in the same way to this Organization.

Article XIII Amendments

1. Proposals for amendments to this Constitution shall become effective upon receiving the approval of the General Conference by a two-thirds majority; provided, however, that those amendments which involve fundamental alterations in the aims of the Organization or new obligations for the Member States shall require subsequent acceptance on the part of two thirds of the Member States before they come into force. The draft texts of proposed amendments shall be communicated by the Director-General to the Member States at least six months in advance of their consideration by the General Conference.
2. The General Conference shall have power to adopt by a two-thirds majority rules of procedure for carrying out the provisions of this Article.

 Article XIV Interpretation

1. The English and French texts of this Constitution shall be regarded as equally authoritative.
2. Any question or dispute concerning the interpretation of this Constitution shall be referred for determination to the International Court of Justice or to an arbitral tribunal, as the General Conference may determine under its Rules of Procedure.

Article XV Entry into force

1. This Constitution shall be subject to acceptance. The instrument of acceptance shall be deposited with the Government of the United Kingdom.
2. This Constitution shall remain open for signature in the archives of the Government of the United Kingdom. Signature may take place either before or after the deposit of the instrument of acceptance. No acceptance shall be valid unless preceded or followed by signature. However, a state that has withdrawn from the Organization shall simply deposit a new instrument of acceptance in order to resume membership.
3. This Constitution shall come into force when it has been accepted by twenty of its signatories. Subsequent acceptances shall take effect immediately.
4. The Government of the United Kingdom will inform all Members of the United Nations and the Director-General of the receipt of all instruments of acceptance and of the date on which the Constitution comes into force in accordance with the preceding paragraph.

 In faith whereof, the undersigned, duly authorized to that effect, have signed this Constitution in the English and French languages, both texts being equally authentic.
 Done in London the sixteenth day of November, one thousand nine hundred and forty-five, in a single copy, in the English and French languages, of which certified copies will be communicated by the Government of the United Kingdom to the Governments of all the Members of the United Nations.

<日本語訳>

前文

 この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり宣言する。
 戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。
 相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
 ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
 文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
 政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
 これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
 その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

第1条 目的及び任務

1 この機関の目的は、国際連合憲章が世界の諸人民に対して人種、性、言語又は宗教の差別なく確認している正義、法の支配、人権及び基本的自由に対する普遍的な尊重を助長するために教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献することである。
2 この目的を実現するために、この機関は、次のことを行う。
(a)大衆通報(マス・コミュニケーション)のあらゆる方法を通じて諸人民が相互に知り且つ理解することを促進する仕事に協力すること並びにこの目的で言語及び表象による思想の自由な交流を促進するために必要な国際協定を勧告すること。
(b)次のようにして一般の教育と文化の普及とに新しい刺激を与えること。
   加盟国の要請によって教育事業の発展のためにその国と協力すること。
   人種、性又は経済的若しくは社会的な差別にかかわらない教育の機会均等の理想を進めるために、諸国民の間における協力の関係をつくること。
   自由の責任に対して世界の児童を準備させるのに最も適した教育方法を示唆すること。
(c)次のようにして知識を維持し、増進し、且つ、普及すること。
  世界の遺産である図書、芸術作品並びに歴史及び科学の記念物の保存及び保護を確保し、且つ、関係諸国民に対して必要な国際条約を勧告すること。
教育、科学及び文化の分野で活動している人々との国際的交換並びに出版物、芸術的及び科学的に意義のある物その他の参考資料の交換を含む知的活動のすべての部門における諸国民の間の協力を奨励すること。
いずれの国で作成された印刷物及び刊行物でもすべての国の人民が利用できるようにする国際協力の方法を発案すること。
3 この機関の加盟国の文化及び教育制度の独立、統一性及び実りの多い多様性を維持するために、この機関は、加盟国の国内管轄権に本質的に属する事項に干渉することを禁止される。

第2条 加盟国の地位

1 国際連合の加盟国の地位は、国際連合教育科学文化機関の加盟国となる権利を伴う
2 この憲章の第10条によって承認されるべきこの機関と国際連合との間の協定の条件に従うことを条件として、国際連合の加盟国でない国は、執行委員会の勧告に基き、総会の三分の二の多数の投票でこの機関の加盟国となることを認められることができる。
3 国際関係の処理について責任を負わない地域又は地域群は、その国際関係について責任を負う加盟国その他の当局が当該地域又は地域群に代って行った申請に基き、総会が、出席し且つ投票する加盟国の三分の二の多数によって準加盟国として認めることができる。準加盟国の権利及び義務の性質及び範囲は、総会が決定する。
4 この機関の加盟国で国際連合の加盟国の権利及び特権の行使を停止されたものは、国際連合の要請に基き、この機関の加盟国の権利及び特権を停止される。
5 この機関の加盟国で国際連合から除名されたものは、自動的にこの機関の加盟国ではなくなる。
6 機関の加盟国又は準加盟国は、事務局長にあてた通告により機関から脱退することができる。この通告は、それが行われた年の翌年の12月31日に効力を生ずる。このような脱退は、それが効力を生じた日に機関に対して負っている財政上の義務に影響を及ぼすものではない。準加盟国の脱退の勧告は、その準加盟国の国際関係について責任を負う加盟国その他の当局がその準加盟国に代って行う。
7 各加盟国は、この機関に対する常駐代表を任命する権利がある。
8 加盟国の常任代表は、この機関の事務局長に信任状を提出しなければならず、信任状提出の日から公式に職務を遂行する。

第3条 諸機関

 この機関は、総会、執行委員会及び事務局をもつ。

第4条 総会

 A 構成
1 総会は、この機関の加盟国の代表者で構成する。各加盟国の政府は、国内委員会が設立されているときはこれと、国内委員会が設立されていないときは教育、科学及び文化に関する諸団体と、それぞれ協議して選定する5人以内の代表を任命しなければならない。
 B 任務
2 総会は、この機関の政策と事業の主要な方針を決定する。総会は、執行委員会が提出した計画についての決定をする。
3 総会は、望ましいと認めるときは、総会が定める規則に従い、教育、科学、人文学又は知識の普及に関する国家間の国際会議を召集する。同様の議題に関する非政府機関間の会議は、総会又は執行委員会が前記の規則に従い召集することができる。
4 総会は、加盟国に提出する提案の採択に当り、勧告と加盟国の承認を得るために提出される国際条約とを区別しなければならない。前者の場合には、過半数の投票で足りるが、後者の場合には、三分の二の多数を必要とする。各加盟国は、勧告又は条約が採択された総会の閉会後1年の期間内に、その勧告又は条約を自国の権限のある当局に提出しなければならない。
5 総会は、第5条6(c)の規定に従うことを条件として、国際連合が関心を有する事項の教育、科学及び文化に関する面について、この機関と国際連合との適当な当局の間で合意した条件及び手続に従い、国際連合に助言する。
6 総会は、加盟国が4に規定する勧告及び条約に基いてとった措置に関しこの機関に送付する報告書又は総会が決定するときはその報告書の分析的概要を受領し及び検討する。
7 総会は、執行委員会の委員を選挙し、且つ、執行委員会の勧告に基いて、事務局長を任命する。
 C 表決
(a)各加盟国は、総会において一の投票権を有する。決定は、この憲章又は総会の手続規則の規定によって三分の二の多数を必要とする場合を除き、単純過半数によって行う。過半数とは、出席し且つ投票する加盟国の過半数とする。
(b)加盟国は、その国の未払分担金の総額が、当該年度及びその直前の暦年度についてその国が支払うべき分担金の総額をこえるときは、総会で投票権を有しない。
(c)もっとも、総会は、支払の不履行が加盟国にとってやむを得ない事情によるものであると認めたときは、当該加盟国に投票することを許すことができる。
 D 手続
(a)総会は、通常会期として二年ごとに会合する。総会は、自ら決定したとき、執行委員会が召集したとき、又は少なくとも加盟国の三分の一の要求があったときは、臨時会期として会合することができる。
(b)各会期において、次回の通常会期の開催地は、総会が指定する。臨時会期の開催地は、総会がその会期を召集する場合には総会が決定し、その他の場合には執行委員会が決定する。
10 総会は、その手続規則を採択する。総会は、各会期において議長及び他の役員を選挙する。
11 総会は、特別委員会及び技術委員会その他総会の目的のために必要な補助機関を設ける。
12 総会は、その定める規則に従うことを条件として、会合が公開されるように措置しなければならない。
 E オブザーヴァー
13 総会は、執行委員会の勧告に基づき、且つ、三分の二の多数によって、その手続規則に従うことを条件として、総会又はその委員会の特定の会期に第11条第4項に規定されているような国際機関の代表者をオブザーヴァーとして招請することができる。
14 執行委員会が民間の又は準政府的の国際諸機関のために協議に関する取極を第11条第4項に規定されている方法で承認したときは、これらの諸機関は、総会及びその委員会の会期にオブザーヴァーを送ることを勧誘される。
 F 経過規定
15 9(a)の規定にかかわらず、総会は、その第22回会期をその第21回会期の後三年目の年に開催する。

第5条 執行委員会

 A 構成
(a)執行委員会は、総会が選挙した58人の加盟国で構成する。総会議長は、職権により助言的資格で列席する。
(b)選挙された執行委員会の構成国は、以下「執行委員国」という。
(a)各執行委員国は、一人の代表者を任命しなければならない。また、各執行委員国は、代表者代理を任命することが出来る。
(b)執行委員会における代表者を選定するに当たり、執行委員国は、一又は二以上の国際連合教育科学文化機関の権限の分野において資格を有し、かつ、委員会の行政上及び執行上の任務をはたすために必要な経験及び能力を有する者を任命するように努力しなければならない。例外的な事情により代表者の交代が正当なものとなる場合を除くほか、選挙された各構成国の代表者は、継続性が重要であることに留意し、当該選挙された各構成国により任命された代表者代理は、代表者が不在の場合、代表者のすべての任務を行わなければならない。
3  執行委員国を選挙するに当たり、総会は、文化の多様性及び均衡のとれた地理的分布に考慮を払わなければならない。
(a)執行委員会は、自国が選挙された総会の閉会の時からその選挙が行われた後第二回目の総会の通常会期の閉会の時まで在任する。総会は、各通常会期において、当該通常会期の終了の時に生ずる欠員を補充するために必要な数の構成国を選挙する。
(b)執行委員会は、再選されることができる。再選された執行委員国は、執行委員会における自国の代表者を交代されるよう努力しなければならない。
5  執行委員国がこの機関から脱退する場合には、当該執行委員国の任期は、脱退が効力を生じた日に終了する。
 B 任務
(a)執行委員会は、総会の議事日程を準備する。執行委員会は、第6条3に従い事務局長が提出したこの機関の事業計画及びそれに対応する予算見積書を検討し、且つ、これらを望ましいと認める勧告を附して総会に提出する。
(b)総会の権威の下に行動する執行委員会は、総会が採択した計画の実施につき責任を負う。執行委員会は、総会の決定に従い、且つ、通常会期との間に生じた事情を考慮して、事務局長がその計画を有効且つ合理的に実施することができるようにするために必要なすべての措置を執る。
(c)執行委員会は、総会の通常会期と通常会期との間において、助言を求められた問題が総会により既に原則的に処理されているとき、又はその解決が総会の決定の中に含まれていると認められるときは、第4条第5に掲げる国際連合の助言者としての任務を遂行することができる。
7 執行委員会は、新加盟国がこの機関に加入することの承認を総会に勧告する。
8 総会の決定に従うことを条件として、執行委員会はその手続規則を採択する。執行委員会は、その委員の中からその役員を選挙する。
9 執行委員会は、定期会期として毎年少くとも2回会合するものとし、議長がその発意によって又は執行委員会の6人の委員の要請に基いて招集したときは、特別会期として会合することができる。
10 執行委員会議長は、執行委員会を代表して、事務局長が第6条3(b)の規定に従って準備しなければならない機関の活動に関する報告を、見解を付けて、又はこれを付けないで、総会の各通常会期に提出する。
11 執行委員会は、国際機関の代表者又は委員会の権限内の問題にたずさわっている専門家と協議するためのすべての必要な措置を執る。
12 執行委員会は、総会の会期と会期との間においては、この機関の活動の分野において生ずる法律的問題に関して国際司法裁判所の勧告的意見を要請することができる。
13 執行委員会の委員は、各自の政府の代表ではあるが、総会から委任された権限を総会全体に代って行使しなければならない。
 C 経過規定
14 3の規定にかかわらず、
(a)総会の第17回会期前に選挙された委員は、その任期の終了の時まで在任する。
(b)総会の第17回会期前に4の規定に従い執行委員会が4年の任期を有する委員の後継者として任命した委員は、4年の任期で再選されることができる。
第6条 事務局
1 事務局は、事務局長及び必要な職員で構成する。
2 事務局長は、総会が承認する条件で、執行委員会が指名し、四年の任期で総会が任命するものとする。事務局長は、さらに四年の任期につき再任されることができるものとするが、その後は引き続き再任されることはできない。事務局長は、この機関の首席の行政上の役員とする。
(a)事務局長又はその指定する代理者は、総会、執行委員会及びこの機関の諸委員会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長は、総会及び執行委員会が適当な措置を執るための提案を作成し、並びにこの機関の事業計画案及びこれに対応する予算見積書を執行委員会に提出するため準備するものとする。
(b)事務局長は、機関の活動に関する定期報告を準備し、且つ、加盟国及び執行委員会に送達する。総会は、これらの報告の対象となる期間を決定する。
4 事務局長は、総会が承認する職員規則に従い、事務局職員を任命する。職員の任命は、誠実、能率及び技術的能力の最高水準を確保することに最大の考慮を払うことを条件として、できる限り広い地理的基礎に基いて行わなければならない。
5 事務局長及び職員の責任は、性質上もっぱら国際的なものである。事務局長及び職員は、その任務の遂行に当って、いかなる政府からも又はこの機関外のいかなる権力からも訓令を求め、又は受けてはならない。事務局長及び職員は、国際的役員としての地位を損ずる虞のあるいかなる行動をも慎まなければならない。この機関の各加盟国は、事務局長及び職員の責任の国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者の任務の遂行に当ってこれらの者を左右しようとしないことを約束する。
6 この条のいかなる規定も、国際連合内で、この機関が共通の業務及び兼任の職員並びに職員の交流のための特別の取極を締結することを妨げるものではない。
経過規定
7 2の規定にかかわらず、執行委員会が指名し、1980年の総会が任命する事務局長の任期は、7年とする。

第7条 国内協力団体

1 各加盟国は、教育、科学及び文化の事項にたずさわっている自国の主要な団体をこの機関の事業に参加させるために、その特殊事情に即する措置を執らなければならない。その措置としては、広く政府及びこれらの団体を代表する国内委員会の設立によることが望ましい。
2 国内委員会又は国内協力団体があるところでは、これらは、この機関に関係がある事項について総会における各自国の代表団、執行委員会における各自国の代表者及び代表者代理並びに自国の政府に対して、助言的資格で行動し、かつ、この機関に関係があるすべての事項について連絡機関としての任務を行う。
3 この機関は、加盟国の要請に基いて、その国の国内委員会に対し、その事業の発展を援助するために臨時的に又は恒久的に事務局員一人を派遣することができる。

第8条 加盟国による報告
 各加盟国は、総会が決定する時期に及び様式で、自国の教育、科学及び文化の機関及び活動に関する法令、規則及び統計についての報告書並びに第4条4に規定する勧告及び条約に基いてとった措置についての報告書をこの機関に提出しなければならない。

第9条 予算

1 予算は、この機関の所管とする。
2 総会は、第10条に従って締結される協定で規定されることのある国際連合との取極に従うことを条件として、予算及びこの機関の加盟国に対する財政的負担の割当を承認し、且つ、これに最終的効力を与える。
3 事務局長は、財政規則に定める条件に従うことを条件として、政府、公私の機関、協会及び個人から直接に任意拠出金、贈与、遺贈及び補助金を受けることができる。

第10条 国際連合との関係

 この機関は、国際連合憲章第57条に掲げた専門機関の一として、なるべくすみやかに国際連合と関係をもたされる。この関係は、国際連合憲章第63条に基く国際連合との協定によって設定し、この協定は、この機関の総会の承認を受けなければならない。この協定は、共通の目的を達成するための両機関の間における有効な協力を規定し、同時に、この憲章に定めた権限の範囲内におけるこの機関の自治を承認しなければならない。この協定は、特に国際連合総会によるこの機関の予算の承認及びその財源の提供について規定することができる。

第11条 他の国際専門諸機関との関係

1 この機関は、他の政府間専門諸機関でその関心及び活動がこの機関の目的と関係があるものと協力することができる。このために、執行委員会の全般的権威の下に行動する事務局長は、これらの諸機関と実効的な関係を設定することができ、且つ、有効な協力を確保するために必要な共同委員会を設けることができる。これらの諸機関と締結する正式の取極は、執行委員会の承認を受けなければならない。
2 この機関の総会並びに目的及び任務がこの機関の権限内にある他の政府間専門諸機関の権限のある当局がその資産及び活動をこの機関に移譲することを望ましいと認めるときはいつでも、事務局長は、総会の承認を条件として、この目的のための相互に受諾しうる取極を締結することができる。
3 この機関は、会合に相互に代表を出席させるために他の政府間諸機関と適当な取極をすることができる。
4 国際連合教育科学文化機関は、その権限内の事項にたずさわっている民間の国際諸機関と協議及び協力のための適当な取り極めをすることができ、並びにこれらの諸機関に特定の任務を引き受けるように勧誘することができる。また、このような協力は、総会が設立した助言委員会にこれらの機関の代表者が適当に参加することを含むことができる。

第12条 この機関の法的地位

 国際連合の法的地位並びに特権及び免除に関する国際連合憲章第104条及び第105条の規定は、この機関にも同様に適用される。

第13条 改正

1 この憲章の改正提案は、総会の三分の二の多数によって承認を受けるときに効力を生ずる。但し、この機関の目的の根本的変更又は加盟国に対する新たな義務を伴う改正が効力を生ずるためには、その承認の後に加盟国の三分の二が受諾することを必要とする。改正の提案の案文は、総会による審議の少くとも6箇月前に、事務局長が加盟国に通報しなければならない。
2 総会は、この条の規定を実施するための手続規則を三分の二の多数によって採択する権限を有する。

第14条 解釈

1 この憲章のイギリス語及びフランス語の本文は、ひとしく正文とみなす。
2 この憲章の解釈に関する疑義又は紛争は、総会がその手続規則に基いて決定するところにより、国際司法裁判所又は仲裁裁判に決定のために付託する。

第15条 効力の発生

1 この憲章は、受託を受けなければならない。受諾書は、連合王国政府に寄託しなければならない。
2 この憲章は、連合王国政府の記録に署名のために開放しておく。署名は、受諾書の寄託の前でも後でも行うことができる。受諾は、署名が前に行われているか又は後に行われなければ効力を生じない。
3 この憲章は、署名国のうちの20が受諾したときに効力を生ずる。その後の受諾は、直ちに効力を生ずる。
4 連合王国政府は、すべての受諾書の受領及びこの憲章が前項に従って効力を生ずる日を、国際連合のすべての加盟国に通知する。

 以上の証拠として、下名は、このために正当に委任を受け、イギリス語及びフランス語のこの憲章に署名した。両本文は、ひとしく正文とする。
 1945年11月16日にロンドンにおいてイギリス語およびフランス語で本書一通を作成した。その認証謄本は、連合王国政府が国際連合のすべての加盟国に送付する。

 (以下省略)
  (署名省略)

     「文部科学省ホームページ」より

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