ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

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 今日は、江戸時代後期の1853年(嘉永6)に、久里浜で浦賀奉行がペリーとが会見し、米大統領からの「フェルモアの国書」を受領した日ですが、新暦では7月14日となります。
 フェルモアの国書(ふぇるもあのこくしょ)は、江戸時代後期の1853年(嘉永6年6月3日)の代将マシュー・ペリーが率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊(4隻編成)の浦賀来航(黒船来航)時に、持参されたアメリカ合衆国大統領フィルモアから日本皇帝(将軍)宛の国書(1852年11月13日付)です。その内容は、日本に開国を迫り、友好、貿易、石炭と必需品の供給、遭難者の保護などを求めるものでした。
 江戸幕府は、同年6月9日に浦賀奉行の戸田氏栄と井戸弘道がペリーとが会見し、大統領フィルモアの国書、提督の信任状、覚書などが手渡されます。しかし、当時幕府側には英語に堪能な通訳がいなかったため、オランダ語を介して、苦労して翻訳された上、返答には時間がかかるとし、1年の猶予を求めたため、ペリー艦隊は一端帰国することとなりました。
 翌1854年(嘉永7年1月16日)に、ペリーは琉球を経由して再び浦賀に来航し、幕府側と協議の末、同年3月3日に「日米和親条約」(神奈川条約)が締結されて、開国が実現することとなります。

〇フェルモアの国書 (英語版全文) 1852年(嘉永5)11月13日付

From Millard Fillmore, President of the United States of America,
to His Imperial Majesty, the Emperor of Japan
 November 13, 1852.

GREAT and Good Friend: I send you this public letter by Commodore MatthewC. Perry, anv officer of the highest rank in the navy of the United States,and commander of the squadron now visiting your imperial majesty’s dominions.
I have directed Commodore Perry to assure your imperial majesty that Ientertain the kindest feelings towards your majesty’s person and government,and that I have no other object in sending him to Japan but to proposeto your imperial majesty that the United States and Japan should live infriendship and have commercial intercourse with each other.
The Constitution and laws of the United States forbid all interferencewith the religious or political concerns of other nations. I have particularlycharged Commodore Perry to abstain from every act which could possiblydisturb the tranquility of your imperial majesty’s dominions.
The United States of America reach from ocean to ocean, and our Territoryof Oregon and State of California lie directly opposite to the dominionsof your imperial majesty. Our steamships can go from California to Japanin eighteen days.
Our great State of California produces about sixty millions of dollarsin gold every year, besides silver, quicksilver, precious stones, and manyother valuable articles. Japan is also a rich and fertile country, andproduces many very valuable articles. Your imperial majesty’s subjectsare skilled in many of the arts. I am desirous that our two countries shouldtrade with each other, for the benefit both of Japan and the United States.
We know that the ancient laws of your imperial majesty’s government donot allow of foreign trade, except with the Chinese and the Dutch; butas the state of the world changes and new governments are formed, it seemsto be wise, from time to time, to make new laws. There was a time whenthe ancient laws of your imperial majesty’s government were first made.
About the same time America, which is sometimes called the New World, wasfirst discovered and settled by the Europeans. For a long time there werebut a few people, and they were poor. They have now become quite numerous;their commerce is very extensive; and they think that if your imperialmajesty were so far to change the ancient laws as to allow a free tradebetween the two countries it would be extremely beneficial to both.
If your imperial majesty is not satisfied that it would be safe altogetherto abrogate the ancient laws which forbid foreign trade, they might besuspended for five or ten years, so as to try the experiment. If it doesnot prove as beneficial as was hoped, the ancient laws can be restored.The United States often limit their treaties with foreign states to a fewyears, and then renew them or not, as they please.
 I have directed Commodore Perry to mention another thing to your imperial majesty.
Many of our ships pass every year from California to China; and great numbers of our people pursue the whale fishery near the shores of Japan. It sometimes happens, in stormy weather, that one of our ships is wrecked on your imperial majesty’s shores. In all such cases we ask, and expect, that our unfortunate people should be treated with kindness, and that their property should be protected, till we can send a vessel and bring them away. We are very much in earnest in this. 
Commodore Perry is also directed by me to represent to your imperial majestythat we understand there is a great abundance of coal and provisions inthe Empire of Japan.
Our steamships, in crossing the great ocean, burn a great deal of coal,and it is not convenient to bring it all the way from America. We wishthat our steamships and other vessels should be allowed to stop in Japanand supply themselves with coal, provisions, and water. They will pay forthem in money, or anything else your imperial majesty’s subjects may prefer;and we request your imperial majesty to appoint a convenient port, in thesouthern part of the empire, where our vessels may stop for this purpose.We are very desirous of this.
These are the only objects for which I have sent Commodore Perry, witha powerful squadron, to pay a visit to your imperial majesty’s renownedcity of Edo: friendship, commerce, a supply of coal and provisions, andprotection for our shipwrecked people.
We have directed Commodore Perry to beg your imperial majesty’s acceptanceof a few presents. They are of no great value in themselves; but some ofthem may serve as specimens of the articles manufactured in the UnitedStates, and they are intended as tokens of our sincere and respectful friendship.
May the Almighty have your imperial majesty in His great and holy keeping! 
In witness whereof, I have caused the great seal of the United States tobe hereunto affixed, and have subscribed the same with my name, at thecity of Washington, in America, the seat of my government, on the thirteenthday of the month of November, in the year one thousand eight hundred andfifty‑two.
 [Seal attached]

Your good friend,
 Millard Fillmore
 By the President:
Edward Everett, Secretary of State

<江戸幕府による日本語訳>

フェルモアの国書
予、今水師提督「マッテウ、セ、ヘルリ」を以て書を殿下に呈す。此者ハ即合衆国の海軍第一等の将にして、今次殿下の領地に航到せる一隊軍艦の総督なり。予、已に水師提督「ペルリ」に命じて、予が殿下に対し、且貴国の政廷に対し極めて懇切の情を含むことを告明せしめ、又且今次「ヘルリ」を日本に遣はす、他の旨趣あるに非ず、唯我合衆国と日本とは、宜く互に親睦し、且交易すべき所なるを告げ知らしむると欲するに在るのみ。合衆国の基律及び諸律は、固より其各個民人に禁戒を下し、他邦の民の教法・政治 を妨くることを得さらしむ、予、特に水師提督「ペルリ」に命して是等の事を厳禁せしむ、是貴国の安穏を妨げさらんことを欲してなり。
北亜墨利加合衆国は、大西洋より大東洋(太平洋)に達するの国にして、就中其「オレゴン」州及び角里伏爾尼亜(カリホルニア)の地は正に貴国と相対す、我か蒸気船角里伏爾尼亜を発すれは、十八日を経て貴国に達することを得るなり。我か角里伏爾尼亜の大州は、毎歳凡そ金六千万「ドルラル」(本邦の千百五十二万四千五百両に当る)、銀若干、水銀若干、宝石若干種及び其他諸種貴重の物件を産す、日本も亦豊富肥沃の国にして、幾多貴重の物品を出す、貴国の民亦諸般の技芸に長せり、予が志二国の民をして交易を行わしめんと欲す、是以て日本の利益となし、亦兼て合衆国の利益となさむことを欲してなり。
 貴国従来の制度、支那人及び和蘭人を除くの外は、外邦と交易することを禁ずるは、固より予が知る所なり、然れとも、世界中時勢の変換に随ひ、改革の新政行ハるるの時に当っては、其時に随ひて新律を定むるを智と称すべし、蓋し、貴国旧制の法律初めて世上に聞こへし時は、今より是を見れハ既に甚た古りたり。
 此時代に当りて、亜墨利加州始めて見出され、或は是を新世界と名づけ欧羅巴人これに住棲せり、此頃に在てハ亜墨利加は、人民稀少にして、其民皆貧陋なりしか、当今は民口大に蕃息し、交易亦甚弘博となれり、故に殿下、若し舊律を改革し、両国の交易を允准あるに於ては両国の利益極めて大なること疑いなし。然れども殿下若し外邦の交易を禁停せる古来の定律を全く破棄することを欲せさるときハ、五年或は十年を限りて允准し、以て其利害を察し、若し果たして貴国に利なきに於てハ再び舊律を回復して可成り、凡合衆国他邦と盟約を行ふには常に数年を限りて約定す、而して其事便宜なるを知るときは、再び其盟約を尋ぐこととす。
予、更に水師提督に命して一件の事を殿下に告明せしむ、合衆国の舶毎歳角里伏爾尼亜より支那に航するもの甚だ多し、又鯨猟の為、合衆国人日本海岸に近づくもの少なからず、而して若し颶風あるときは、貴国の近海にて往々破船に逢うことあり、若し是等の難に遭うに方ってハ、貴国に於て其難民を撫卹し其財物を保護し、以て本国より一舶を送り其難民を救ひ取るを待たん事、是、予の切に請ふ所なり。
 予、又水師提督「ペルリ」に命して次件を殿下に告げしむ、蓋、日本国に石炭甚だ多く、又食料多き事ハ予か曾て聞知れる所なり、我国用ふる所の蒸気船ハ其大洋を航するに方って石炭を費すこと甚多し、而して其石炭を亜墨利加より搬運せんとすれハ、其不便知るへし、是を以て予願ハくハ、我国の蒸気船及其他の諸舶、石炭、食料及水を得んが為に日本に入ることを許さん事を請ふ、若し其の償ひは、価銀を以てするも、或ひは貴国の民人好む所の物件を以てするも可なり。請ふ、殿下、貴国の南地に於て、一地を択び、以て我が舶の入港を許されんことを。是予が深く願ふ所なり。
  一八五二年十一月十三日 

     『幕末外国関係文書』より
 
<現代語訳> 

フェルモアの国書

アメリカ合衆国の大統領、ミラード・フィルモアから、日本皇帝(将軍)へ
1852年11月13日

偉大なる善き友人へ
アメリカ海軍で最高ランクの担当将校であり、現在、貴国の陛下の臣下を訪れている戦隊の司令官であるマシューC.ペリー提督からのこの公文書をお送りします。
私はペリー提督に、陛下と政府に親愛な気持ちを抱かせることを保証し、彼を日本に派遣することは、米国と日本が友好関係を築き、お互いに商業的な交流をする他に目的はないことを、陛下に提案することを指示しました。
米国の憲法および法律は、他の国の宗教的または政治的懸念への干渉をすべて禁じています。私は特に、ペリー提督に、貴国の領土の静けさを乱す可能性のあるあらゆる行為を控えるよう要求しました。
米国は海から海へと広がっており、オレゴン州とカリフォルニア州は貴国の領土の真向かいにあります。私たちの蒸気船は、カリフォルニアから日本に18日で行くことができます。
私たちの偉大なカリフォルニア州は、銀、水銀、宝石、その他の多くの貴重な産物に加えて、毎年約6000万ドルの金を生産しています。日本も肥沃で豊かな国であり、非常に貴重な品々を数多く産出しています。貴国の人々は、多くの技芸に熟練しています。日米両国の利益のために、両国が相互に貿易することを望んでいます。
 貴国の今までの法律では、中国人とオランダ人を除き、外国貿易は許可されていません。 しかし、世界の情勢が変化し、新しい政府が形成されるにつれ、新しい法律を制定することは賢明なことです。貴国の今までの法律が最初に作られた時は時宜を得ていました。
 同じ頃、新世界と呼ばれたアメリカが最初に発見されて、ヨーロッパ人が定住しました。長い間、ほんのわずかな人口でしたが、貧しい人々でした。それらは今や非常に増大し、その商取引は非常に広範囲に及んでいます。そして、もし貴国が今までの法律を変えて、二国間の自由貿易を許すなら、それは両方にとって非常に有益であると考えています。 
 貴国が、外国貿易を禁ずる今までの法律を完全に廃止することが安全であることに満足していない場合、試行することにより、それらを5年または10年間停止される可能性はいかがでしょう。それが期待したほど有益でないことが証明されれば、今までの法律を復活することもできます。米国は、しばしば、外国との条約を数年に制限し、その後、彼らが望むようにそれらを更新するかどうかを決めます。
 私はペリー提督に貴国に別のことも言及するように指示しました。
 私たちの船の多くは、カリフォルニアから中国まで毎年航行しています。そして、私たちの多くの人々が日本の海岸近くで捕鯨を行っています。荒天時に、私たちの船が貴国のある海岸で難破することも時々起こります。そのようなすべての場合において、私たちは、遭難者が親切に扱われるべきであり、私たちが船を送って彼らを救出することができるまで、彼らの財産が保護されるべきであることを願い、期待します。 私たちはこれに非常に真剣に取り組んでいます。
ペリー提督も私から、貴国に豊富な石炭と食料が存在することを理解していることを皇帝陛下に表明するよう指示されています。
私たちの蒸気船は、大海を渡る際に大量の石炭を消費します。アメリカから遠くまでこれを積載していくのは大変です。私たちは、蒸気船や他の船舶が日本に立ち寄って、石炭、食料、水を供されることを許可されることを願っています。彼らはお金、または貴国の人が望む他の適当な物でそれらを支払います。そして、私たちは帝国陛下に、私たちの船がこの目的のために停泊することができる、貴国の南部にある便利な港を指定することを要求します。私たちはこれを非常に望んでいます。
 友好、貿易、石炭と食料の供給、そして難破した人々の保護は、私が強力な戦隊と共にペリー提督を貴国の名高い江戸の街へ向けて派遣した唯一の目的です。
 私たちは、ペリー提督に、いくつかの贈呈品を貴国に受け入れてもらうように指示しました。それら自体には大きな価値はありませんが、それらのいくつかは、米国で製造された製品の見本として機能する可能性があり、私たちの誠実で敬意のある友情の証として意図されています。
 皇帝陛下に神のご加護あらんことを!
その証として、私の政府の所在地であるアメリカのワシントン市において、米国の印璽をここに押し、私の署名をしました。 1858年11月13日。
 【印璽】

 陛下の善き友人、ミラード・フィルモア。
 大統領に侍して、エドワード・エベレット、国務長官。 

 *筆者が英語の原文より訳しました。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1488年(長享2)加賀一向宗門徒が対立していた守護富樫政親を攻めて自刃(長享一揆)させる(新暦7月17日)詳細
1767年(明和4)読本・合巻作者滝沢馬琴の誕生日(新暦7月4日)詳細
1896年(明治29)「山縣・ロバノフ協定」(朝鮮問題に関する日露間議定書)が締結される詳細
1923年(大正12)小説家有島武郎の命日(武郎忌)詳細
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1947年(昭和22)「朝日新聞」で石坂洋次郎著の小説『青い山脈』の連載が開始される詳細
1952年(昭和27)「日本国とインドとの間の平和条約」(通称:日印平和条約)が調印される詳細
1995年(平成7)衆議院で「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議(戦後50年決議)」が採択される詳細

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 今日は、昭和時代中期の1954年(昭和29)に、全面改正された、新「警察法」(昭和29年法律第162号)が公布(施行は7月1日)された日です。
 「警察法」(けいさつほう)は、民主的理念に基づいた警察の管理、運営を保障すると共に、その警察組織および警察作用について定めている基本法です。国家公安委員会、警察庁、都道府県警察、警察職員などについて規定していて、1947年(昭和22)に制定されました。
 しかし、1952年(昭和27年)4月28日に、「サンフランシスコ講和条約」が発効し、日本が独立・主権回復すると、旧「警察法」に内在する問題を根本的に解決するべく、警察制度改革が始まり、1954年(昭和29年)6月8日、旧「警察法」を全面改正した新「警察法」が公布され、同年7月1日から施行されています。従来の国家地方警察と自治体警察による二本立ての制度を廃止し、新たに警察庁と都道府県警察を発足させて、都道府県警察の警視正以上を国家公務員とする地方警務官制度を導入するなど日本の警察機構を再び中央集権化し、また内閣の責任を明確化すべく、国家公安委員会委員長に国務大臣を充てることになりました。
 以下に、新「警察法」(昭和29年法律第162号)制定時の条文を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「警察法」(昭和29年法律第162号)1954年(昭和29)6月8日公布、同年7月1日から施行

   第一章 総則

 (この法律の目的)
第一条 この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織を定めることを目的とする。

 (警察の責務)
第二条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
2 警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。

 (服務の宣誓の内容)
第三条 この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。

   第二章 国家公安委員会

 (設置及び組織)
第四条 内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。
2 国家公安委員会は、委員長及び五人の委員をもつて組織する。

 (任務及び権限)
第五条 国家公安委員会は、国の公安に係る警察運営をつかさどり、警察教養、警察通信、犯罪鑑識、犯罪統計及び警察装備に関する事項を統轄し、並びに警察行政に関する調整を行うことを任務とする。
2 国家公安委員会は、前項の任務を遂行するため、左に掲げる事務について、警察庁を管理する。
 一 警察に関する諸制度の企画及び調査に関すること。
 二 警察に関する国の予算に関すること。
 三 左に掲げる事案で国の公安に係るものについての警察運営に関すること。
  イ 民心に不安を生ずべき大規模な災害に係る事案
  ロ 地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案
 四 第七十一条の緊急事態に対処するための計画及びその実施に関すること。
 五 皇宮警察に関すること。
 六 警察教養施設の維持管理その他警察教養に関すること。
 七 警察通信施設の維持管理その他警察通信に関すること。
 八 犯罪鑑識施設の維持管理その他犯罪鑑識に関すること。
 九 犯罪統計に関すること。
 十 警察装備に関すること。
 十一 警察職員の任用、勤務及び活動の基準に関すること。
 十二 前号に掲げるものの外、警察行政に関する調整に関すること。
3 国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。

 (委員長)
第六条 委員長は、国務大臣をもつて充てる。
2 委員長は、会務を総理し、国家公安委員会を代表する。
3 国家公安委員会は、あらかじめ委員の互選により、委員長に故障がある場合において委員長を代理する者を定めておかなければならない。

 (委員の任命)
第七条 委員は、任命前五年間に警察又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴のない者のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。
2 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
4 左の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
 一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
 二 禁こ以上の刑に処せられた者
5 委員の任命については、そのうち三人以上が同一の政党に所属することとなつてはならない。

 (委員の任期)
第八条 委員の任期は、五年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。
2 委員は、再任することができる。

 (委員の失職及び罷免)
第九条 委員は、第七条第四項各号の一に該当するに至つた場合においては、その職を失うものとする。
2 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。
3 内閣総理大臣は、両議院の同意を得て、左に掲げる委員を罷免する。
 一 委員のうち何人も所属していなかつた同一の政党に新たに三人以上の委員が所属するに至つた場合においては、これらの者のうち二人をこえる員数の委員
 二 委員のうち一人がすでに所属している政党に新たに二人以上の委員が所属するに至つた場合においては、これらの者のうち一人をこえる員数の委員
4 内閣総理大臣は、委員のうち二人がすでに所属している政党に新たに所属するに至つた委員を直ちに罷免する。
5 第七条第三項及び前三項の場合を除く外、委員は、その意に反して罷免されることがない。

 (委員の服務等)
第十条 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十六条第一項、第九十七条、第九十八条第一項、第九十九条、第百条第一項及び第二項、第百三条第一項及び第三項並びに第百四条の規定は、委員の服務について準用する。この場合において、同法第九十七条中「人事院規則」とあるのは「総理府令」と、同法第百三条第三項中「前二項」とあるのは「第一項」と、同法同条同項中「人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認」とあり、又は同法第百四条中「人事院及びその職員の所轄庁の長の許可」とあるのは「内閣総理大臣の承認」と読み替えるものとする。
2 委員は、国又は地方公共団体の常勤の職員と兼ねることができない。
3 委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
4 委員の給与は、別に法律で定める。

 (会議)
第十一条 国家公安委員会は、委員長が招集する。国家公安委員会は、委員長及び三人以上の委員の出席がなければ会議を開き、議決をすることができない。
2 国家公安委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
3 委員長に故障がある場合においては、第六条第三項に規定する委員長を代理する者は、前二項に規定する委員長の職務を行うものとし、これらの項に規定する会議又は議事の定足数の計算については、なお委員であるものとする。

 (規則の制定)
第十二条 国家公安委員会は、その権限に属する事務に関し、法令の特別の委任に基いて、国家公安委員会規則を制定することができる。

 (国家公安委員会の庶務)
第十三条 国家公安委員会の庶務は、警察庁において処理する。

 (国家公安委員会の運営)
第十四条 この法律に定めるものの外、国家公安委員会の運営に関し必要な事項は、国家公安委員会が定める。

   第三章 警察庁

    第一節 総則

 (設置)
第十五条 国家公安委員会に、警察庁を置く。

 (長官)
第十六条 警察庁の長は、警察庁長官とし、国家公安委員会が内閣総理大臣の承認を得て、任免する。
2 警察庁長官(以下「長官」という。)は、国家公安委員会の管理に服し、警察庁の庁務を統括し、所部の職員を任免し、及びその服務についてこれを統督し、並びに警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する。

 (権限)
第十七条 警察庁は、国家公安委員会の管理の下に、第五条第二項各号に掲げる事務をつかさどる。

 (次長)
第十八条 警察庁に、次長一人を置く。
2 次長は、長官を助け、庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。

    第二節 内部部局

 (内部部局)
第十九条 警察庁に、長官官房及び左の四部を置く。
  警務部
  刑事部
  警備部
  通信部

 (官房長及び部長)
第二十条 長官官房に官房長を、各部に部長を置く。
2 官房長又は部長は、命を受け、長官官房の事務又は部務を掌理する。

 (長官官房の所掌事務)
第二十一条 長官官房においては、警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。
 一 機密に関すること。
 二 長官の官印及び庁印の管守に関すること。
 三 公文書類の接受、発送、編集及び保存に関すること。
 四 所管行政に関する企画、調査及び法令案の審査に関すること。
 五 犯罪統計を除く警察統計に関すること。
 六 広報に関すること。
 七 予算、決算及び会計に関すること。
 八 国有財産及び物品の管理及び処分に関すること。
 九 会計の監査に関すること。
 十 前各号に掲げるものの外、他の部又は機関の所掌に属しない事務に関すること。

 (警務部の所掌事務)
第二十二条 警務部においては、警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。
 一 警察職員の人事及び定員に関すること。
 二 警察職員の福利厚生に関すること。
 三 警察教養及び監察に関すること。
 四 警察装備に関すること。

 (刑事部の所掌事務)
第二十三条 刑事部においては、警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。
 一 刑事警察に関すること。
 二 犯罪の予防に関すること。
 三 保安警察に関すること。
 四 犯罪鑑識に関すること。
 五 犯罪統計に関すること。

 (警備部の所掌事務)
第二十四条 警備部においては、警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。
 一 警衛及び警備警察に関すること。
 二 警ら及び交通警察に関すること。
 三 第七十一条の緊急事態に対処するための計画及びその実施に関すること。

 (通信部の所掌事務)
第二十五条 通信部においては、警察庁の所掌事務に関し、警察通信に関する事務をつかさどる。

 (課の設置及び所掌事務)
第二十六条 警察庁の課(室その他課に準ずるものを含む。)の設置及び所掌事務の範囲は、政令で定める。

    第三節 附属機関

 (警察大学校)
第二十七条 警察庁に、警察大学校を附置する。
2 警察大学校は、警察職員に対し、上級の幹部として必要な教育訓練を行い、警察に関する学術の研修をつかさどる。
3 警察大学校に、校長を置く。
4 警察大学校の位置及び内部組織は、総理府令で定める。

 (科学捜査研究所)
第二十八条 警察庁に、科学捜査研究所を附置する。
2 科学捜査研究所は、科学捜査についての研究、調査及び実験並びにこれらを応用する鑑定及び検査をつかさどる。
3 科学捜査研究所に、所長を置く。
4 科学捜査研究所の位置及び内部組織は、総理府令で定める。

 (皇宮警察本部)
第二十九条 警察庁に、皇宮警察本部を附置する。
2 皇宮警察本部は、天皇及び皇后、皇太子その他の皇族の護衛、皇居及び御所の警備その他の皇宮警察に関する事務をつかさどる。
3 皇宮警察本部に、本部長を置く。
4 皇宮警察本部に、皇宮警察学校を置き、皇宮警察の職員に対して必要な教育訓練を行う。
5 皇宮警察本部の位置及び内部組織は、総理府令で定める。

    第四節 地方機関

 (管区警察局の設置)
第三十条 警察庁に、その所掌事務のうち、第五条第二項第二号から第四号まで、第六号から第八号まで、第十一号及び第十二号に掲げるものを分掌させるため、地方機関として、管区警察局を置く。
2 管区警察局の名称、位置及び管轄区域は、左の表のとおりとする。但し、警察通信に関する事務については、東京都の区域は、関東管区警察局の管轄に属するものとする。

名称位置管轄区域
東北管区警察局仙台市青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
関東管区警察局東京都
茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 静岡県
中部管区警察局名古屋市富山県 石川県 福井県 岐阜県 愛知県 三重県
近畿管区警察局大阪市滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
中国管区警察局広島市鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県
四国管区警察局高松市徳島県 香川県 愛媛県 高知県
九州管区警察局福岡市福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県

 (管区警察局長等)
第三十一条 管区警察局に、局長を置く。
2 管区警察局長は、管区警察局の事務を統括し、及び所属の警察職員を指揮監督し、並びに長官の命を受け、管区警察局の所掌事務について、府県警察を指揮監督する。
3 管区警察局に、総務部、公安部及び通信部の三部を置き、部にそれぞれ部長を置く。
4 前項に定めるものの外、管区警察局の内部組織は、総理府令で定める。

 (管区警察学校)
第三十二条 管区警察局に、管区警察学校を附置する。
2 管区警察学校は、警察職員に対し、幹部として必要な教育訓練その他所要の教育訓練を行う。
3 管区警察学校に、校長を置く。
4 管区警察学校の位置及び内部組織は、総理府令で定める。

 (北海道地方警察通信部)
第三十三条 警察庁に、その所掌事務のうち、北海道の区域における第五条第二項第七号に掲げるものを分掌させるため、地方機関として、北海道地方警察通信部を置く。
2 北海道地方警察通信部に、部長を置く。
3 北海道地方警察通信部の位置及び内部組織は、総理府令で定める。

    第五節 職員

 (職員)
第三十四条 警察庁に、警察官、皇宮護衛官、事務官、技官その他所要の職員を置く。
2 皇宮護衛官は、皇宮警察本部に置く。
3 長官は警察官とし、警察庁の次長、官房長及び部長(通信部長を除く。)、管区警察局長その他政令で定める職は警察官をもつて、皇宮警察本部長は皇宮護衛官をもつて充てる。
4 警察庁に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他の人事管理に関する事項については、国家公務員法の定めるところによる。

 (定員)
第三十五条 警察庁に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
2 警察庁に置かれる警察官及び皇宮護衛官の階級別定員は、総理府令で定める。

   第四章 都道府県警察

    第一節 総則

 (設置及び責務)
第三十六条 都道府県に、都道府県警察を置く。
2 都道府県警察は、当該都道府県の区域につき、第二条の責務に任ずる。

 (経費)
第三十七条 都道府県警察に要する左に掲げる経費で政令で定めるものは、国庫が支弁する。
 一 警視正以上の階級にある警察官の俸給その他の給与、国家公務員共済組合負担金及び公務災害補償に要する経費
 二 警察教養施設の維持管理及び警察学校における教育訓練に要する経費
 三 警察通信施設の維持管理その他警察通信に要する経費
 四 犯罪鑑識施設の維持管理その他犯罪鑑識に要する経費
 五 犯罪統計に要する経費
 六 警察用車両及び船舶並びに警備装備品の整備に要する経費
 七 警衛及び警備に要する経費
 八 国の公安に係る犯罪その他特殊の犯罪の捜査に要する経費
2 前項の規定により国庫が支弁することとなる経費を除き、都道府県警察に要する経費は、当該都道府県が支弁する。
3 都道府県の支弁に係る都道府県警察に要する経費については、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、国がその一部を補助する。

    第二節 都道府県公安委員会

 (組織及び権限)
第三十八条 都道府県知事の所轄の下に、都道府県公安委員会を置く。
2 都道府県公安委員会は、都及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項の規定により指定する市(以下「指定市」という。)を包括する府県(以下「指定府県」という。)にあつては五人の委員、道及び指定府県以外の県にあつては三人の委員をもつて組織する。
3 都道府県公安委員会は、都道府県警察を管理する。
4 都道府県公安委員会は、その権限に属する事務に関し、法令又は条例の特別の委任に基いて、都道府県公安委員会規則を制定することができる。
5 都道府県公安委員会は、国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。

 (委員の任命)
第三十九条 委員は、当該都道府県の議会の議員の被選挙権を有する者で、任命前五年間に警察又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴のないもののうちから、都道府県知事が都道府県の議会の同意を得て、任命する。但し、指定府県にあつては、その委員のうち二人は、当該指定市の議会の議員の被選挙権を有する者で、任命前五年間に警察又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴のないもののうちから、当該指定市の市長がその市の議会の同意を得て推せんしたものについて、当該指定府県の知事が任命する。
2 左の各号の一に該当する者は、委員となることができない。
 一 準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
 二 禁こ以上の刑に処せられた者
3 委員の任命については、そのうち二人以上(都及び指定府県にあつては三人以上)が同一の政党に所属することとなつてはならない。

 (委員の任期)
第四十条 委員の任期は、三年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。
2 委員は、再任することができる。

 (委員の失職及び罷免)
第四十一条 委員は、左の各号の一に該当する場合においては、その職を失うものとする。但し、当該都道府県の議会の議員の被選挙権を有する者でなくなつたことが住所を移したことに因る場合において、その住所が同一都道府県の区域内にあるときは、この限りでない。
 一 第三十九条第二項各号の一に該当するに至つた場合
 二 当該都道府県の議会の議員の被選挙権を有する者でなくなつた場合(第三十九条第一項但書に規定する委員については、当該指定市の議会の議員の被選挙権を有する者でなくなつた場合)
2 都道府県知事は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、当該都道府県の議会の同意を得て、これを罷免することができる。但し、第三十九条第一項但書に規定する委員の罷免については、指定府県の知事は、当該指定市の市長に対しその市の議会の同意を得ることを求めるものとし、その同意があつたときは、これを罷免することができる。
3 道府県(指定府県を除く。)知事は、委員のうち二人以上が同一の政党に所属するに至つた場合においては、これらの者のうち一人をこえる員数の委員を当該道府県の議会の同意を得て、罷免する。
4 都知事及び指定府県の知事は、委員のうち三人以上が同一の政党に所属するに至つた場合においては、第九条第三項各号の規定の例により、そのこえるに至つた員数の委員を、当該都及び指定府県の議会の同意を得て、罷免する。但し、新たに同一の政党に所属するに至つた委員のうちに第三十九条第一項但書に規定するものを含むときは、これらの委員のうち罷免すべきものは、くじで定める。
5 都道府県知事は、委員のうち一人(都及び指定府県にあつては二人)がすでに所属している政党に新たに所属するに至つた委員を直ちに罷免する。
6 前四項の場合を除く外、委員は、その意に反して罷免されることがない。

 (委員の服務等)
第四十二条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十条から第三十四条まで及び第三十八条第一項の規定は、委員の服務について準用する。但し、都道府県知事は、委員が同法第三十八条第一項に規定する地位を兼ね、又は同項に規定する行為をすることが委員の職務の遂行上支障があると認める場合の外は、同項に規定する許可を与えるものとする。
2 委員は、地方公共団体の議会の議員又は常勤の職員と兼ねることができない。
3 委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

 (委員長)
第四十三条 都道府県公安委員会に委員長を置き、委員が互選する。
2 委員長の任期は、一年とする。但し、再任することができる。
3 委員長は、会務を総理し、都道府県公安委員会を代表する。

 (都道府県公安委員会の庶務)
第四十四条 都道府県公安委員会の庶務は、警視庁又は道府県警察本部において処理する。

 (都道府県公安委員会の運営)
第四十五条 この法律に定めるものの外、都道府県公安委員会の運営に関し必要な事項は、都道府県公安委員会が定める。

 (方面公安委員会)
第四十六条 第五十一条に規定する方面本部を管理する機関として、同条に規定する方面ごとに、方面公安委員会を置く。
2 第三十八条第二項及び第五項並びに第三十九条から前条までの道公安委員会及びその委員に関する規定は、方面公安委員会について準用する。この場合において、第三十八条第五項中「及び他の都道府県公安委員会」とあるのは、「並びに他の方面公安委員会及び都道府県公安委員会」と読み替えるものとする。

    第三節 都道府県警察の組織

 (警視庁及び道府県警察本部)
第四十七条 都警察の本部として警視庁を、道府県警察の本部として道府県警察本部を置く。
2 警視庁及び道府県警察本部は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理の下に、都警察及び道府県警察の事務をつかさどる。
3 警視庁は特別区の区域内に、道府県警察本部は道府県庁所在地に置く。
4 警視庁及び道府県警察本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。

 (警視総監及び警察本部長)
第四十八条 都警察に警視総監を、道府県警察に道府県警察本部長を置く。
2 警視総監及び道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、それぞれ、都道府県公安委員会の管理に服し、警視庁及び道府県警察本部の事務を統括し、並びに都警察及び道府県警察の所属の警察職員を指揮監督する。

 (警視総監の任免)
第四十九条 警視総監は、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上内閣総理大臣の承認を得て、任免する。
2 都公安委員会は、国家公安委員会に対し、警視総監の懲戒又は罷免に関し必要な勧告をすることができる。

 (警察本部長の任免)
第五十条 警察本部長は、国家公安委員会が道府県公安委員会の同意を得て、任免する。
2 道府県公安委員会は、国家公安委員会に対し、警察本部長の懲戒又は罷免に関し必要な勧告をすることができる。

 (方面本部)
第五十一条 道の区域を五以内の方面に分ち、方面の区域内における警察の事務を処理させるため、方面ごとに方面本部を置く。
2 方面本部に、方面本部長を置く。
3 方面本部長は、方面公安委員会の管理に服し、方面本部の事務を統括し、及び道警察本部長の命を受け、方面本部の所属の警察職員を指揮監督する。
4 前条の規定は、方面本部長について準用する。
5 方面本部の数、名称、位置及び管轄区域は、国家公安委員会の意見を聞いて、条例で定める。
6 方面本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。

 (市警察部)

第五十二条 指定市の区域内における府県警察本部の事務を分掌させるため、当該指定市の区域に市警察部を置く。

2 市警察部に、部長を置く。

3 市警察部長は、市警察部の事務を統括し、及び府県警察本部長の命を受け、市警察部の所属の警察職員を指揮監督する。

 (警察署等)
第五十三条 都道府県の区域を分ち、各地域を管轄する警察署を置く。
2 警察署に、署長を置く。
3 警察署長は、警視総監、警察本部長、方面本部長又は市警察部長の指揮監督を受け、その管轄区域内における警察の事務を処理し、所属の警察職員を指揮監督する。
4 警察署の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める基準に従い、条例で定める。
5 警察署の下部機構として、派出所又は駐在所を置くことができる。

 (府県警察学校等)
第五十四条 警視庁に警視庁警察学校を、府県警察本部に府県警察学校を附置する。
2 道警察本部に道警察学校を、方面本部に方面警察学校を附置する。
3 警視庁警察学校、府県警察学校及び方面警察学校は、警察職員に対し、新任者に対する教育訓練その他所要の教育訓練を行う。
4 道警察学校は、警察職員に対し、幹部として必要な教育訓練その他所要の教育訓練を行う。

 (職員)
第五十五条 都道府県警察に、警察官、事務吏員、技術吏員その他所要の職員を置く。
2 警視総監、警察本部長、方面本部長、市警察部長及び警察署長は、警察官をもつて充てる。
3 第一項の職員のうち、警視総監、警察本部長及び方面本部長以外の警視正以上の階級にある警察官は、国家公安委員会が都道府県公安委員会の同意を得て、任免し、その他の職員は、警視総監又は警察本部長がそれぞれ都道府県公安委員会の意見を聞いて、任免する。
4 都道府県公安委員会は、警視総監、警察本部長及び方面本部長以外の警視正以上の階級にある警察官については国家公安委員会に対し、その他の職員については警視総監又は警察本部長に対し、それぞれその懲戒又は罷免に関し必要な勧告をすることができる。

 (職員の人事管理)
第五十六条 都道府県警察の職員のうち、警視正以上の階級にある警察官(以下「地方警務官」という。)は、一般職の国家公務員とする。
2 前項の職員以外の都道府県警察の職員(以下「地方警察職員」という。)の任用及び給与、勤務時間その他の勤務条件、服務並びに公務災害補償に関して地方公務員法の規定により条例又は人事委員会規則で定めることとされている事項については、第三十四条第一項に規定する職員の例を基準として当該条例又は人事委員会規則を定めるものとする。

 (職員の定員)
第五十七条 地方警務官の定員は、都道府県警察を通じて、政令で定め、その都道府県警察ごとの階級別定員は、総理府令で定める。
2 地方警察職員の定員(警察官については、階級別定員を含む。)は、条例で定める。この場合において、警察官の定員については、政令で定める基準に従わなければならない。

 (組織の細目的事項)
第五十八条 本節に定めるものの外、都道府県警察の組織は、都道府県公安委員会規則で定める。

    第四節 都道府県警察相互間の関係

 (協力の義務)
第五十九条 都道府県警察は、相互に協力する義務を負う。

 (援助の要求)
第六十条 都道府県公安委員会は、警察庁又は他の都道府県警察に対して援助の要求をすることができる。
2 前項の規定により都道府県公安委員会が他の都道府県警察に対して援助の要求をしようとするときは、あらかじめ(やむを得ない場合においては、事後に)必要な事項を警察庁に連絡しなければならない。
3 第一項の規定による援助の要求により派遣された警察庁又は都道府県警察の警察官は、援助の要求をした都道府県公安委員会の管理する都道府県警察の管轄区域内において、当該都道府県公安委員会の管理の下に、職権を行うことができる。

 (管轄区域外における権限)
第六十一条 都道府県警察は、その管轄区域内における犯罪の鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕その他公安の維持に関連して必要がある限度においては、その管轄区域外にも、権限を及ぼすことができる。
2 前項の場合においては、都道府県警察は、その権限を及ぼす区域を管轄する他の都道府県警察と緊密な連絡を保たなければならない。

   第五章 警察職員

 (警察官の階級)
第六十二条 警察官(長官を除く。)の階級は、警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査とする。

 (警察官の職務)
第六十三条 警察官は、上官の指揮監督を受け、警察の事務を執行する。

 (警察官の職権行使)
第六十四条 都道府県警察の警察官は、この法律に特別の定がある場合を除く外、当該都道府県警察の管轄区域内において職権を行うものとする。

 (現行犯人に関する職権行使)
第六十五条 警察官は、いかなる地域においても、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百十二条に規定する現行犯人の逮捕に関しては、警察官としての職権を行うことができる。

 (移動警察に関する職権行使)
第六十六条 警察官は、二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる交通機関における移動警察については、関係都道府県警察の協議により定められた当該関係都道府県警察の管轄区域内において、職権を行うことができる。

 (小型武器の所持)
第六十七条 警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。

 (被服の支給等)
第六十八条 国は、政令で定めるところにより、警察庁の警察官に対し、その職務遂行上必要な被服を支給し、及び装備品を貸与するものとする。
2 都道府県は、前項の政令に準じて条例で定めるところにより、都道府県警察の警察官に対し、その職務遂行上必要な被服を支給し、及び装備品を貸与するものとする。

 (皇宮護衛官の階級等)
第六十九条 皇宮護衛官の階級は、皇宮警視監、皇宮警視長、皇宮警視正、皇宮警視、皇宮警部、皇宮警部補、皇宮巡査部長及び皇宮巡査とする。
2 皇宮護衛官は、上官の指揮監督を受け、皇宮警察の事務を執行する。
3 第六十七条及び前条第一項の規定は、皇宮護衛官について準用する。

 (礼式等)
第七十条 警察職員の礼式、服制及び表彰に関し必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。

   第六章 緊急事態の特別措置

 (布告)
第七十一条 内閣総理大臣は、大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるときは、国家公安委員会の勧告に基き、全国又は一部の区域について緊急事態の布告を発することができる。
2 前項の布告には、その区域、事態の概要及び布告の効力を発する日時を記載しなければならない。

 (内閣総理大臣の統制)
第七十二条 内閣総理大臣は、前条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、本章の定めるところに従い、一時的に警察を統制する。この場合においては、内閣総理大臣は、その緊急事態を収拾するため必要な限度において、長官を直接に指揮監督するものとする。

 (長官の命令、指揮等)
第七十三条 第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は布告に記載された区域(以下本条中「布告区域」という。)を管轄する都道府県警察の警視総監又は警察本部長に対し、管区警察局長は布告区域を管轄する府県警察の警察本部長に対し、必要な命令をし、又は指揮をするものとする。
2 第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は、布告区域を管轄する都道府県警察以外の都道府県警察に対して、布告区域その他必要な区域に警察官を派遣することを命ずることができる。
3 第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、布告区域(前項の規定により布告区域以外の区域に派遣された場合においては、当該区域)に派遣された警察官は、当該区域内のいかなる地域においても職権を行うことができる。

 (国会の承認及び布告の廃止)
第七十四条 内閣総理大臣は、第七十一条の規定により、緊急事態の布告を発した場合には、これを発した日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてすみやかにその承認を求めなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたとき、国会が緊急事態の布告の廃止を議決したとき、又は当該布告の必要がなくなつたときは、すみやかに当該布告を廃止しなければならない。

 (国家公安委員会の助言義務)
第七十五条 国家公安委員会は、内閣総理大臣に対し、本章に規定する内閣総理大臣の職権の行使について、常に必要な助言をしなければならない。

   第七章 雑則

 (検察官との関係)
第七十六条 都道府県公安委員会及び警察官と検察官との関係は、刑事訴訟法の定めるところによる。
2 国家公安委員会及び長官は、検事総長と常に緊密な連絡を保つものとする。

 (恩給)
第七十七条 地方警察職員で左の各号に掲げるものは、恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員とみなして、同法の規定を準用する。この場合において、同法第十二条中「総理府恩給局長」とあるのは「都道府県知事」と、第十六条中「国庫」とあるのは「最終ニ之ニ俸給ヲ給シタル都道府県」と、第五十九条中「国庫」とあるのは「之ニ俸給ヲ給スル都道府県」と読み替えるものとする。
 一 警部補、巡査部長又は巡査である警察官
 二 警視又は警部である警察官
 三 事務吏員又は技術吏員
2 前項の規定を適用する場合においては、同項第一号に掲げる職員は恩給法第二十三条に規定する警察監獄職員とみなし、同項第二号及び第三号に掲げる職員は同法第二十条第一項に規定する文官とみなす。
3 第一項各号に掲げる地方警察職員が引き続き恩給法第十九条に規定する公務員若しくは他の都道府県警察の同項各号に掲げる地方警察職員となつた場合又は同条に規定する公務員若しくは公務員とみなされる者が引き続き同項各号に掲げる地方警察職員となつた場合においては、恩給に関する法令の適用については、勤続とみなす。但し、同法第二十六条第二項の規定の準用を妨げない。

 (国有財産等の無償使用等)
第七十八条 国は、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十二条(同法第十九条において準用する場合を含む。)及び財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第九条第一項の規定にかかわらず、警察教養施設、警察通信施設、犯罪鑑識施設その他都道府県警察の用に供する必要のある警察用の国有財産(国有財産法第二条第一項に規定する国有財産をいう。)及び国有の物品を当該都道府県警察に無償で使用させることができる。
2 警察庁又は都道府県警察は、連絡のため、相互に警察通信施設を使用することができる。

 (政令への委任)
第七十九条 この法律に特別の定がある場合を除く外、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十九年七月一日から施行する。但し、附則第三項、附則第六項及び附則第二十六項の規定は、公布の日から施行し、指定府県の府県公安委員会の委員及び市警察部に関する規定は、昭和三十年七月一日から施行する。

(以下略)

   「衆議院ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

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1920年(大正9)写真家秋山庄太郎の誕生日詳細
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 今日は、昭和時代前期の太平洋戦争末期、1945年(昭和20)に、大阪周辺へB29:409機・P51:138機が来襲(第三次の大阪大空襲)し、被災戸数58,165戸、被災者数199,105人、死者2,759人を出した日です。
 大阪大空襲(おおさかだいくうしゅう)は、昭和時代前期の太平洋戦争末期に、アメリカ軍が繰り返し行った、大阪市を中心とする地域への大規模爆撃(100機以上の爆撃機による襲来)の総称です。アメリカ軍による大阪への空襲は1944年12月~翌年8月14日まで約50回に及びましたが、100機以上の爆撃機による襲来が大空襲(①1945年3月13日深夜から翌日未明、②6月1日、③6月7日、④6月15日、⑤6月26日、⑥7月10日、⑦7月24日、⑧8月14日の計8回)と呼ばれてきました。
 第一次の大空襲は、1945年3月13日深夜から翌日未明にかけての約3時間半にわたり、グアム、テニアン、サイパンからのB-29が計274機襲来し、焼夷弾約1,700トンを落としました。大阪市内では、東区、西区、南区、北区、城東区、生野区、東成区、福島区、此花区、天王寺区、西淀川区、大正区、浪速区、西成区、住吉区、東住吉区、阿倍野区、港区等が被爆し、中心市街地を焼き尽くします。その結果、死者3,987名、行方不明者678名、被災戸数136,107戸、被災者数501,578人と最も被害が甚大となります。その後、第二次(6月1日朝)、来襲機数B29:458機・P51:少数、被災戸数65,183戸、被災者数218,682人、死者3,112人、第三次(6月7日昼)、来襲機数B29:409機・P51:138機、被災戸数58,165戸、被災者数199,105人、死者2,759人、第四次(6月15日朝)、来襲機数B29:444機、被災戸数53,112戸、被災者数176,451人、死者477人、第五次(6月26日朝)、来襲機数B29:173機、被災戸数10,423戸、被災者数43,339人、死者681人、第六次(7月10日夜)来襲機数B29:116機、被災戸数16,488戸、被災者数65,825人、死者1,394人、第七次(7月24日朝)来襲機数B29:117機、被災戸数893戸、被災者数3,503人、死者214人、第八次(8月14日昼)来襲機数B29:145機・小型機:若干、被災戸数1,843戸、被災者数2,967人、死者359人と大空襲があり、大きな被害が出ました。
 これら空襲の総合計では、大阪府内の死者1万2,620人、行方不明者2,173人(1945年10月大阪府警察局調べ)とされています。

〇太平洋戦争下の主要な空襲一覧

 <1942年(昭和17)>
・4月18日 東京、名古屋、神戸などが初空襲される(ドウリットル指揮の16機の米陸軍機B-25による)

 <1944年(昭和19)>
・11月24日 B-29による初めての東京空襲が行われる

<1945年(昭和20)>
・1月19日 阪神地方へ初の本格的空襲が行われる
・3月10日 東京大空襲か行われ、死傷10万人以上、焼失27万余戸、罹災100余万人が出る
・3月12日 名古屋大空襲で中心街が焼失する(家屋25,734棟棟被災、105,093人罹災、死者519人、負傷者負傷者734人)
・3月13~14日 大阪へ初の大空襲が行われる
・3月17日 神戸大空襲が行われ神戸市西部が消失する(約65,000棟が全半焼、死者2,598人)
・3月19日 名古屋大空襲で名古屋駅が炎上する(家屋39,893棟被災、151,332人罹災、死者826人、負傷者2,728人)
・3月29日 北九州が空襲される
・4月4日 川崎の他鶴見・港北・神奈川・西各区が空襲を受ける(罹災戸数5,873戸、死者398人)
・4月13日 東京空襲(西部地域)が行われる
・4月15日 東京・横浜・川崎の空襲が行われる(罹災住宅5万2655戸、死者972人)
・5月14日 名古屋空襲で名古屋城が焼失する(家屋21,905棟被災、66,585人罹災、死者338人、負傷者783人)
・5月24日 東京へ250機来襲し、皇居が炎上する
・5月25~26日 東京空襲(山手地域)が行われる
・5月29日 京浜へ600機来襲し、川崎、横浜が被災(横浜大空襲)する(死者3,650人、重軽傷者10,198人、行方不明309人)
・6月1日 大阪、尼崎等へ400機来襲する
・6月5日 兵庫県神戸市へ350機来襲する(西部の神戸市垂水区から東部の西宮市まで広範囲が爆撃される)
・6月7日 大阪周辺へ547機来襲する(被災戸数58,165戸、被災者数199,105人、死者2,759人)
・6月19~20日 静岡大空襲で旧静岡市の中心部が焼失する(焼失家屋26,891戸、被災者114,000人、死者1,952人)
・6月29日 岡山空襲で岡山城が焼失する(家屋12,693棟被災、死者が1,737人)
・7月9日 和歌山大空襲で和歌山城が消失する(焼失家屋31,137戸、被災者113,548人、死者・行方不明者1,424人)
・7月14日 青函連絡船の翔鳳丸など9隻が米艦載機の攻撃を受けて沈没する
・8月5日 B-29爆撃機92機が前橋市・高崎市を空襲し、死傷者1,323人が出る
・8月6日 B-29が広島に原子爆弾を投下し、市街地は廃墟と化し、20万人以上の人命が喪われる
・8月7日 愛知県の豊川海軍工廠が爆撃され女子挺身隊員・国民学校児童ら2,477人の死者を出す
・8月8日 福山大空襲で福山城が消失する(焼失家屋数10,179戸、被災者数47,326人、死者354人)
・8月9日 B-29が長崎にも原子爆弾を投下し、市街地は廃墟と化し、8万人弱の人命が喪われる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

760年(天平宝字4)聖武天皇の皇后・藤原不比等の娘光明皇后の命日(新暦7月27日)詳細
1866年(慶応2)江戸幕府艦隊真木清人の屋代島(周防大島)への砲撃により、第二次長州征討が開戦される詳細
1876年(明治9)お雇い外国人のドイツ人医学者E・von ベルツが初めて来日する詳細
1912年(明治45)日本画家奥田元宋の誕生日詳細
1924年(大正13)第二次護憲運動によって、清浦奎吾内閣が総辞職する詳細
1939年(昭和14)満蒙開拓青少年義勇軍の壮行会・大行進を明治神宮外苑競技場で開催される詳細
1955年(昭和30) 第1回日本母親大会が開催される(母親大会記念日)詳細
日本が「関税および貿易に関する一般協定」(GATT)に加盟する詳細
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 今日は、昭和時代後期の1972年(昭和47)に、関東地方で大規模な光化学スモッグの被害が発生し、埼玉県では学校の生徒を中心に約1,800人が、東京都内でも900人超が目やのどに痛みを訴えた日です。
 光化学スモッグ(こうかがくすもっぐ)は、大気中の窒素酸化物(NO(/x))と炭化水素(HC)が、強い紫外線を受けて高濃度のオゾンを大量に発生させ、次にそれがオキシダントまたは還元性物質であるホルムアルデヒド、アクロレイン、その他硝酸ミスト、硫酸ミストを発生させる現象です。人体に害を及ぼし、植物に被害を与える型のスモッグで、最初は、1940年代のアメリカのロサンゼルスで見出されたとされていますが、日本では、昭和時代後期の1970年(昭和45)7月18日に、東京立正中学校・高等学校(東京都杉並区)の生徒43名が、グランドで体育の授業中に目に対する刺激・のどの痛みなどを訴える事件が起こり、光化学スモッグによるものと発表されて知られるようになりました。
 それ以後、多数報告されるようになって、光化学スモッグ注意報も出されるようになり、1972年(昭和47)6月6日には、関東地方で大規模な光化学スモッグの被害が発生し、埼玉県では学校の生徒を中心に約1,800人が、東京都内でも900人超が目やのどに痛みを訴えるなど、この年は、光化学スモッグ注意報が300日を超えてピークに達します。その後、減少してはいるものの、都市部ではまだかなりの日数注意報が出されています。現在は、「大気汚染防止法施行令」で、注意報(基準:0.120ppm以上)と重大緊急時警報(基準:0.400ppm以上)が発令されていますが、各都道府県独自の予報・警報なども行われてきました。
 以下に、その根拠となっている「大気汚染防止法」(抜粋)と「大気汚染防止法施行令」(抜粋)を載せておきますので、ご参照下さい。

〇「大気汚染防止法」(抜粋)

(緊急時の措置)
第二十三条 都道府県知事は、大気の汚染が著しくなり、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、その事態を一般に周知させるとともに、ばい煙を排出する者、揮発性有機化合物を排出し、若しくは飛散させる者又は自動車の使用者若しくは運転者であつて、当該大気の汚染をさらに著しくするおそれがあると認められるものに対し、ばい煙の排出量若しくは揮発性有機化合物の排出量若しくは飛散の量の減少又は自動車の運行の自主的制限について協力を求めなければならない。
2 都道府県知事は、気象状況の影響により大気の汚染が急激に著しくなり、人の健康又は生活環境に重大な被害が生ずる場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、当該事態がばい煙又は揮発性有機化合物に起因する場合にあつては、環境省令で定めるところにより、ばい煙排出者又は揮発性有機化合物排出者に対し、ばい煙量若しくはばい煙濃度又は揮発性有機化合物濃度の減少、ばい煙発生施設又は揮発性有機化合物排出施設の使用の制限その他必要な措置をとるべきことを命じ、当該事態が自動車排出ガスに起因する場合にあつては、都道府県公安委員会に対し、道路交通法 の規定による措置をとるべきことを要請するものとする。

〇「大気汚染防止法施行令」(抜粋)

(緊急時)
第十一条 法第二十三条第一項 の政令で定める場合は、別表第五の上欄に掲げる物質について、それぞれ、同表の中欄に掲げる場合に該当し、かつ、気象条件からみて当該大気の汚染の状態が継続すると認められるときとする。
2 法第二十三条第二項 の政令で定める場合は、別表第五の上欄に掲げる物質について、それぞれ、同表の下欄に掲げる場合に該当し、かつ、気象条件からみて当該大気の汚染の状態が継続すると認められるときとする。

別表第五 (第十一条関係)

オキシダント
 (注意報の基準)一時間値百万分の〇・一二以上である大気の汚染の状態になつた場合
 (警報の基準)一時間値百万分の〇・四以上である大気の汚染の状態になつた場合

備考 この表に規定する一時間値の算定に関し必要な事項並びに浮遊粒子状物質及びオキシダントの範囲は、環境省令で定める。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1885年(明治18)日本画家・俳人川端龍子の誕生日詳細
1912年(明治45)小説家新田次郎の誕生日詳細
書家青山杉雨の誕生日詳細
1915年(大正4)焼岳(長野県・岐阜県)の噴火により、泥流が梓川をせき止め、堰止湖である大正池を形成する詳細
1949年(昭和24)「土地改良法」公布され、土地改良事業が一本化される詳細
1952年(昭和27)文部省に中央教育審議会(中教審)が設置される詳細
1979年(昭和54)日本が「国際人権規約」の批准を国会で承認する詳細
2019年(令和元)小説家・随筆家田辺聖子の命日詳細
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 今日は、昭和時代前期の太平洋戦争末期、1945年(昭和20) に、兵庫県神戸市へ350機来襲し、西部の神戸市垂水区から東部の西宮市まで広範囲が爆撃(3回目の神戸大空襲)された日です。
 神戸大空襲(こうべだいくうしゅう)は、昭和時代前期の太平洋戦争末期、1945年(昭和20)に、神戸市に対して行われた大規模な3回の空襲(3月17日・5月11日・6月5日)の事と言われています。神戸市とその周辺地域は1945年(昭和20)1月3日から8月15日の終戦までの約8ヶ月間に大小合わせて128回の空襲を受けたとされてきました。
 しかし、とりわけ大規模な最初の空襲は、3月17日未明より、B29爆撃機309機が来襲して行われ、兵庫区、林田区、葺合区を中心とする神戸市の西半分が壊滅し、死者2,598名を出したのに始まります。続いて、5月11日には、東灘区にあった航空機工場が目標とされ、爆弾による精密爆撃が行われ、灘区・東灘区が被害を受けました。さらに、6月5日には、350機が来襲し、西は垂水区から東は西宮までの広範囲に爆撃され、それまでの空襲で残っていた神戸市の東半分が焦土と化します。
 これらによって、10数万の焼夷弾が投下され、ほぼ神戸市域は壊滅しました。すべての空襲による現在の神戸市域の被害は、戦災家屋数14万1,983戸、総戦災者数は、罹災者53万858人、死者7,491人、負傷者1万7,002人という大きな惨禍となります。

〇太平洋戦争下の主要な空襲一覧

 <1942年(昭和17)>
・4月18日 東京、名古屋、神戸などが初空襲される(ドウリットル指揮の16機の米陸軍機B-25による)

 <1944年(昭和19)>
・11月24日 B-29による初めての東京空襲が行われる

<1945年(昭和20)>
・1月19日 阪神地方へ初の本格的空襲が行われる
・3月10日 東京大空襲か行われ、死傷10万人以上、焼失27万余戸、罹災100余万人が出る
・3月12日 名古屋大空襲で中心街が焼失する(家屋25,734棟棟被災、105,093人罹災、死者519人、負傷者負傷者734人)
・3月13~14日 大阪へ初の大空襲が行われる
・3月17日 神戸大空襲が行われ神戸市西部が消失する(約65,000棟が全半焼、死者2,598人)
・3月19日 名古屋大空襲で名古屋駅が炎上する(家屋39,893棟被災、151,332人罹災、死者826人、負傷者2,728人)
・3月29日 北九州が空襲される
・4月4日 川崎の他鶴見・港北・神奈川・西各区が空襲を受ける(罹災戸数5,873戸、死者398人)
・4月13日 東京空襲(西部地域)が行われる
・4月15日 東京・横浜・川崎の空襲が行われる(罹災住宅5万2655戸、死者972人)
・5月14日 名古屋空襲で名古屋城が焼失する(家屋21,905棟被災、66,585人罹災、死者338人、負傷者783人)
・5月24日 東京へ250機来襲し、皇居が炎上する
・5月25~26日 東京空襲(山手地域)が行われる
・5月29日 京浜へ600機来襲し、川崎、横浜が被災(横浜大空襲)する(死者3,650人、重軽傷者10,198人、行方不明309人)
・6月1日 大阪、尼崎等へ400機来襲する
・6月5日 兵庫県神戸市へ350機来襲する(西部の神戸市垂水区から東部の西宮市まで広範囲が爆撃される)
・6月7日 大阪周辺へ250機来襲する
・6月19~20日 静岡大空襲で旧静岡市の中心部が焼失する(焼失家屋26,891戸、被災者114,000人、死者1,952人)
・6月29日 岡山空襲で岡山城が焼失する(家屋12,693棟被災、死者が1,737人)
・7月9日 和歌山大空襲で和歌山城が消失する(焼失家屋31,137戸、被災者113,548人、死者・行方不明者1,424人)
・7月14日 青函連絡船の翔鳳丸など9隻が米艦載機の攻撃を受けて沈没する
・8月5日 B-29爆撃機92機が前橋市・高崎市を空襲し、死傷者1,323人が出る
・8月6日 B-29が広島に原子爆弾を投下し、市街地は廃墟と化し、20万人以上の人命が喪われる
・8月7日 愛知県の豊川海軍工廠が爆撃され女子挺身隊員・国民学校児童ら2,477人の死者を出す
・8月8日 福山大空襲で福山城が消失する(焼失家屋数10,179戸、被災者数47,326人、死者354人)
・8月9日 B-29が長崎にも原子爆弾を投下し、市街地は廃墟と化し、8万人弱の人命が喪われる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1206年(建永元)浄土宗の僧重源の命日(新暦7月12日)詳細
1886年(明治19)陶芸家・人間国宝富本憲吉の誕生日詳細
1948年(昭和23)国立国会図書館が旧赤坂離宮(現在の迎賓館)を仮庁舎として正式に開館する詳細
1963年(昭和38)関西電力黒部川第四発電所ダム(黒部ダム)の完工式が行われる詳細
1950年(昭和25)住宅金融公庫(現在の独立行政法人住宅金融支援機構)が設立される詳細
「首都建設法」(昭和25年法律第219号)が住民投票の結果により成立する詳細
1951年(昭和26)「相互銀行法」(昭和26年法律第199号)が公布・施行される詳細
1972年(昭和47)国連人間環境会議が開始される(環境の日・国際環境デー)詳細
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