ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

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 今日は、昭和時代後期の1973年(昭和48)に、アメリカ合衆国のワシントンD.C.で、「ワシントン条約」が採択された日です。
 「ワシントン条約」(わしんとんじょうやく)は、昭和時代後期の1973年(昭和48)に、アメリカ合衆国のワシントンD.C.で採択された国際条約で、正式名称は、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」と言い、略称はサイテス(CITES)とされました。「野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護する」(条約前文)ことを目的とし、本文に規制の対象となる動植物のリストが付いていて、「附属書」と呼ばれ、規制が厳しい順に「附属書I」「附属書Ⅱ」「附属書Ⅲ」にわかれ、合計約30,000種の動物を取引制限の対象としています。
 1972年(昭和47)の国連人間環境会議(ストックホルム会議)において、「特定の種の野生動植物の輸出、輸入及び輸送に関する条約案を作成し、採択するために、適当な政府又は政府組織の主催による会議を出来るだけ速やかに招集すること」が勧告されました。これを受けて、アメリカ合衆国連邦政府および国際自然保護連合 (IUCN) が中心となって野生動植物の国際取引の規制のための条約作成作業を進めたものです。
 1973年(昭和48)3月3日に、アメリカ合衆国のワシントンD.C.で採択され、締結国が10ヶ国になった1975年(昭和50)7月1日に発効しました。日本は、1980年(昭和55)11月4日に締約国となり、1987年(昭和62)に国内法を制定しています。
 2023年(令和5)3月現在で締約したのは、183ヶ国とヨーロッパ連合(EU)となりました。締約国は毎年、取引実績報告書を作成し、事務局に提出することを義務づけられています。
 以下に、「ワシントン条約」の日本語訳を掲載しておきましたので、ご参照下さい。

〇「ワシントン条約」 1973年4月30日署名、1975年7月1日効力発生 1980年11月4日日本効力発生

絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(仮訳)

絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約をここに公布する。 (総理大臣署名)
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約締約国は、
美しくかつ多様な形態を有する野生動植物が現在及び将来の世代のために保護されなければならない地球の自然体系のかけがえのない一部をなすものであることを認識し、野生動植物についてはその価値が芸術上、科学上、文化上、レクリエーション上及び経済上の見地から絶えず増大するものであることを意識し、
国民及び国家がそれぞれの国における野生動植物の最良の保護者であり、また、最良の保護者でなければならないことを認識し、更に、野生動植物の一定の種が過度に国際取引に利用されることのないようこれらの種を保護するために国際協力が重要である
ことを認識し、このため、適当な措置を緊急にとる必要があることを確信して、次のとおり協定した。

第1条 定義
この条約の適用上、文脈によって別に解釈される場合を除くほか、
(a) 「種」とは、種若しくは亜種又は種若しくは亜種に係る地理的に隔離された個体群をいう。
(b) 「標本」とは、次のものをいう。
(ⅰ) 生死の別を問わず動物又は植物の個体
(ⅱ) 動物にあっては、附属書Ⅰ若しくは附属書Ⅱに掲げる種の個体の部分若しくは派生物であって容易に識別することができるもの、又は附属書Ⅲに掲げる種の個体の部分若しくは派生物であって容易に識別することができるもののうちそれぞれの種について附属書Ⅲにより特定されるもの
(ⅲ) 植物にあっては、附属書Ⅰに掲げる種の個体の部分若しくは派生物であって容易に識別することができるもの、又は附属書Ⅱ若しくは附属書Ⅲに掲げる種の個体の部分若しくは派生物であって容易に識別することができるもののうちそれぞれの種について附属書Ⅱ若しくは附属書Ⅲにより特定されるもの
(c) 「取引」とは、輸出、再輸出、輸入又は海からの持込みをいう。
(d) 「再輸出」とは、既に輸入されている標本を輸出することをいう。
(e) 「海からの持込み」とは、いずれの国の管轄の下にない海洋環境において捕獲され又は採取された種の標本をいずれかの国へ輸送することをいう。
(f) 「科学当局」とは、第9条の規定により指定される国の科学機関をいう。
(g) 「管理当局」とは、第9条の規定により指定される国の管理機関をいう。
(h) 「締約国」とは、その国についてこの条約が効力を生じている国をいう。

第2条 基本原則
一 附属書Ⅰには、絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるものを掲げる。これらの種の標本の取引は、これらの種の存続を更に脅かすことのないよう特に厳重に規制するものとし、取引が認められるのは、例外的な場合に限る。
二 附属書Ⅱには、次のものを掲げる。
(a) 現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用がなされないようにするためにその標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種
(b) (a)の種以外の種であって、(a)の種の標本の取引を効果的に取り締まるために規制しなければならない種
三 附属書Ⅲには、いずれかの締約国が、捕獲又は採取を防止し又は制限するための規制を自国の管轄内において行う必要があると認め、かつ、取引の取締りのために他の締約国の協力が必要であると認める種を掲げる。
四 締約国は、この条約に定めるところによる場合を除くほか、附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引を認めない。

第3条 附属書Ⅰに掲げる種の標本の取引に対する規制
一 附属書Ⅰに掲げる種の標本の取引は、この条に定めるところにより行う。
二 附属書Ⅰに掲げる種の標本の輸出については、事前に発給を受けた輸出許可書を事前に提出することを必要とする。輸出許可書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 輸出国の科学当局が、標本の輸出が当該標本に係る種の存続を脅かすこととならないと助言したこと。
(b) 輸出国の管理当局が、標本が動植物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものでないと認めること。
(c) 生きている標本の場合には、輸出国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように準備され、かつ、輸送されると認めること。
(d) 輸出国の管理当局が、標本につき輸入許可書の発給を受けていると認めること。
三 附属書Ⅰに掲げる種の標本の輸入については、事前に発給を受けた輸入許可書及び輸出許可書又は輸入許可書及び再輸出証明書を事前に提出することを必要とする。輸入許可書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 輸入国の科学当局が、標本の輸入が当該標本に係る種の存続を脅かす目的のために行われるものでないと助言したこと。
(b) 生きている標本の場合には、輸入国の科学当局が、受領しようとする者がこれを収容し及びその世話をするための適当な設備を有していると認めること。
(c) 輸入国の管理当局が、標本が主として商業的目的のために使用されるものでないと認めること。
四 附属書Ⅰに掲げる種の標本の再輸出については、事前に発給を受けた再輸出証明書を事前に提出することを必要とする。
再輸出証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 再輸出国の管理当局が、標本がこの条約に定めるところにより自国に輸入されたと認めること。
(b) 生きている標本の場合には、再輸出国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように準備され、かつ、輸送されると認めること。
(c) 生きている標本の場合には、再輸出国の管理当局が、輸入許可書の発給を受けていると認めること。
五 附属書Ⅰに掲げる種の標本の海からの持込みについては、当該持込みがなされる国の管理当局から事前に証明書の発給を受けていることを必要とする。証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 当該持込みがなされる国の科学当局が、標本の持込みが当該標本にかかる種の存続を脅かすこととならないと助言していること。
(b) 生きている標本の場合には、当該持込みがなされる国の管理当局が、受領しようとする者がこれを収容し及びその世話をするための適当な設備を有していると認めること。
(c) 当該持込みがなされる国の管理当局が、標本が主として商業的目的のために使用されるものでないと認めること。

第4条 附属書Ⅱに掲げる種の標本の取引に対する規制
一 附属書Ⅱに掲げる種の標本の取引は、この条に定めるところにより行う。
二 附属書Ⅱに掲げる種の標本の輸出については、事前に発給を受けた輸出許可書を事前に提出することを必要とする。輸出許可書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 輸出国の科学当局が、標本の輸出が当該標本に係る種の存続を脅かすこととならないと助言したこと。
(b) 輸出国の管理当局が、標本の動植物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものでないと認めること。
(c) 生きている標本の場合には、輸出国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように準備され、かつ、輸送されると認めること。
三 締約国の科学当局は、附属書Ⅱに掲げる種の標本に係る輸出許可書の自国による発給及びこれらの標本の実際の輸出について監視する。科学当局は、附属書Ⅱに掲げるいずれかの種につき、その属する生態系における役割を果たすことのできる個体数の水準及び附属書Ⅰに掲げることとなるような当該いずれかの種の個体数の水準よりも十分に高い個体数の水準を当該いずれかの種の分布地域全体にわたって維持するためにその標本の輸出を制限する必要があると決定する場合には、適当な管理当局に対し、その標本に係る輸出許可書の発給を制限するためにとるべき適当な措置を助言する。
四 附属書Ⅱに掲げる種の標本の輸入については、輸出許可書又は再輸出証明書を事前に提出することを必要とする。
五 附属書Ⅱに掲げる種の標本の再輸出については、事前に発給を受けた再輸出証明書を事前に提出することを必要とする。
再輸出証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 再輸出国の管理当局が、標本がこの条約に定めるところにより自国に輸入されたと認めること。
(b) 生きている標本の場合には、再輸出国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように準備され、かつ、輸送されると認めること。
六 附属書Ⅱに掲げる種の標本の海からの持込みについては、当該持込みがなされる国の管理当局から事前に証明書の発給を受けていることを必要とする。証明書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 当該持込みがなされる国の科学当局が、標本の持込みが当該標本にかかる種の存続を脅かすこととならないと助言していること。
(b) 生きている標本の場合には、当該持込みがなされる国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように取り扱われると認めること。
七 六の証明書は、科学当局が自国の他の科学機関及び適当な場合には国際科学機関と協議の上行う助言に基づき、1年を超えない期間につきその期間内に持込みが認められる標本の総数に限り発給することができる。

第5条 附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引に対する規制
一 附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引は、この条に定めるところにより行う。
二 附属書Ⅲに掲げる種の標本の輸出で附属書Ⅲに当該種を掲げた国から行われるものについては、事前に発給を受けた輸出許可書を事前に提出することを必要とする。輸出許可書は、次の条件が満たされた場合にのみ発給される。
(a) 輸出国の管理当局が、標本が動植物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものでないと認めること。
(b) 生きている標本の場合には、輸出国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように準備され、かつ、輸送されると認めること。
三 附属書Ⅲに掲げる種の標本の輸入については、四の規定が適用される場合を除くほか、原産地証明書及びその輸入が附属書Ⅲに当該種を掲げた国から行われるものである場合には輸出許可書を事前に提出することを必要とする。
四 輸入国は、再輸出に係る標本につき、再輸出国内で加工された標本であること又は再輸出される標本であることを証する
再輸出国の管理当局が発給した証明書をこの条約が遵守されている証拠として認容する。

第6条 許可書及び証明書
一 第3条から第5条までの規定に基づく許可書及び証明書の発給及び取扱いは、この条に定めるところにより行う。
二 輸出許可書には、附属書Ⅳのひな形に明示する事項を記載するものとし、輸出許可書は、その発給の日から6箇月以内に行われる輸出についてのみ使用することができる。
三 許可書及び証明書には、この条約の表題、許可書及び証明書を発給する管理当局の名称及び印章並びに管理当局の付する管理番号を表示する。
四 管理当局が発給する許可書及び証明書の写しには写しであることを明示するものとし、写しが原本の代わりに使用されるのは、写しに特記されている場合に限る。
五 許可書又は証明書は、標本の各送り荷について必要とする。
六 輸入国の管理当局は、標本の輸入について提出された輸出許可書又は再輸出証明書及びこれらに対応する輸入許可書を失効させた上で保管する。
七 管理当局は、適当かつ可能な場合には、標本の識別に資するため標本にマークを付することができる。この七の規定の適用上、「マーク」とは、権限のない者による模倣ができないように工夫された標本の識別のための消すことのできない印章、鉛封印その他の適当な方法をいう。

第7条 取引に係る免除等に関する特別規定
一 第3条から第5条までの規定は、標本が締約国の領域を通過し又は締約国の領域において積み替えられる場合には、適用しない。ただし、これらの標本が税関の管理の下にあることを条件とする。
二 第3条から第5条までの規定は、標本につき、この条約が当該標本に適用される前に取得されたものであると輸出国又は再輸出国の管理当局が認める場合において、当該管理当局がその旨の証明書を発給するときは、適用しない。
三 第3条から第5条までの規定は、手回品又は家財である標本については、適用しない。ただし、次の標本(標本の取得がこの条約の当該標本についての適用前になされたと管理当局が認める標本を除く。) については、適用する。
(a) 附属書Ⅰに掲げる種の標本にあっては、その所有者が通常居住する国の外において取得して当該通常居住する国へ輸出するもの
(b) 附属書Ⅱに掲げる種の標本にあっては、(i)その所有者が通常居住する国以外の国(その標本が野生の状態で捕獲され又は採取された国に限る。) において取得し、(ii)当該所有者が通常居住する国へ輸入し、かつ、(iii)その標本が野生の状態で捕獲され又は採取された国においてその輸出につき輸出許可書の事前の発給が必要とされているもの
四 附属書Ⅰに掲げる動物の種の標本であって商業的目的のため飼育により繁殖させたもの又は附属書Ⅰに掲げる植物の種の標本であって商業的目的のため人工的に繁殖させたものは、附属書Ⅱに掲げる種の標本とみなす。
五 動物の種の標本が飼育により繁殖させたものであり若しくは植物の種の標本が人工的に繁殖させたものであり又は動物若しくは植物の種の標本がこれらの繁殖させた標本の部分若しくは派生物であると輸出国の管理当局が認める場合には、当該管理当局によるその旨の証明書は、第3条から第5条までの規定により必要とされる許可書又は証明書に代わるものとして認容される。
六 第3条から第5条までの規定は、管理当局が発給し又は承認したラベルの付されたさく葉標本その他の保存され、乾燥され又は包埋された博物館用の標本及び当該ラベルの付された生きている植物が、管理当局に登録されている科学者又は科学施設の間で商業的目的以外の目的の下に貸与され、贈与され又は交換される場合には、適用しない。
七 管理当局は、移動動物園、サーカス、動物展、植物展その他の移動する展示会を構成する標本の移動について第3条から第5条までの要件を免除し、許可書又は証明書なしにこれらの標本の移動を認めることができる。ただし、次のことを条件とする。
(a) 輸出者又は輸入者が、標本の詳細について管理当局に登録すること。
(b) 標本が二又は五のいずれかに規定する標本に該当するものであること。
(c) 生きている標本の場合には、管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように輸送され、かつ、世話をされると認めること。

第8条 締約国のとる措置
一 締約国は、この条約を実施するため及びこの条約に違反して行われる標本の取引を防止するため、適当な措置をとる。この措置には、次のことを含む。
(a) 違反に係る標本の取引若しくは所持又はこれらの双方について処罰すること。
(b) 違反に係る標本の没収又はその輸出国への返送に関する規定を設けること。
二 締約国は、一の措置に加え、必要と認めるときは、この条約を適用するためにとられた措置に違反して行われた取引に係る標本の没収の結果負うこととなった費用の国内における求償方法について定めることができる。
三 締約国は、標本の取引上必要な手続が速やかに完了することをできる限り確保する。締約国は、その手続の完了を容易にするため、通関のために標本が掲示される輸出港及び輸入港を指定することができる。締約国は、また、生きている標本につき、通過、保管又は輸送の間に傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように適切に世話をすることを確保する。
四 一の措置がとられることにより生きている標本が没収される場合には、
(a) 当該標本は、没収した国の管理当局に引き渡される。
(b) (a)の管理当局は、当該標本の輸出国との協議の後、当該標本を、当該輸出国の負担する費用で当該輸出国に返送し又は保護センター若しくは管理当局の適当かつこの条約の目的に沿うと認める他の場所に送る。
(c) (a)の管理当局は、(b)の規定に基づく決定(保護センター又は他の場所の選定に係る決定を含む。)を容易にするため、
科学当局の助言を求めることができるものとし、望ましいと認める場合には、事務局と協議することができる。
五 四にいう保護センターとは、生きている標本、特に、没収された生きている標本の健康を維持し又は生育を助けるために管理当局の指定する施設をいう。
六 締約国は、附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引について次の事項に関する記録を保持する。
(a) 輸出者及び輸入者の氏名又は名称及び住所
(b) 発給された許可書及び証明書の数及び種類、取引の相手国、標本の数又は量及び標本の種類、附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の名称並びに可能な場合には標本の大きさ及び性別七 締約国は、この条約の実施に関する次の定期的な報告書を作成し、事務局に送付する。
(a) 六(b)に掲げる事項に関する情報の概要を含む年次報告書
(b) この条約を実施するためにとられた立法措置、規制措置及び行政措置に関する2年ごとの報告書
八 七の報告書に係る情報は、関係締約国の法令に反しない限り公開される。

第9条 管理当局及び科学当局
一 この条約の適用上、各締約国は、次の当局を指定する。
(a) 自国のために許可書又は証明書を発給する権限を有する1又は2以上の管理当局
(b) 1又は2以上の科学当局
二 批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する国は、これらの寄託の際に、他の締約国及び事務局と連絡する権限を有する一の管理当局の名称及び住所を寄託政府に通報する。
三 締約国は、一の規定による指定及び二の規定による通報に係る変更が他のすべての締約国に伝達されるようにこれらの変更を事務局に通報する。
四 二の管理当局は、事務局又は他の締約国の管理当局から要請があったときは、許可書又は証明書を認証するために使用する印章その他のものの図案を通報する。
第10条 この条約の締約国でない国との取引
締約国は、この条約の締約国でない国との間で輸出、輸入又は再輸出を行う場合においては、当該この条約の締約国でない国の権限のある当局が発給する文書であって、その発給の要件がこの条約の許可書又は証明書の発給の要件と実質的に一致しているものを、この条約にいう許可書又は証明書に代わるものとして認容することができる。

第11条 締約国会議
一 事務局は、この条約の効力発生の後2年以内に、締約国会議を招集する。
二 その後、事務局は、締約国会議が別段の決定を行わない限り少なくとも2年に1回通常会合を招集するものとし、締約国の少なくとも3分の1が書面により要請する場合にはいつでも特別会合を招集する。
三 締約国は、通常会合又は特別会合のいずれにおいてであるかを問わず、この条約の実施状況を検討するものとし、次のことを行うことができる。
(a) 事務局の任務の遂行を可能にするために必要な規則を作成すること及び財政規則を採択すること。
(b) 第15条の規定に従って附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正を検討し及び採択すること。
(c) 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の回復及び保存に係る進展について検討すること。
(d) 事務局又は締約国の提出する報告書を受領し及び検討すること。
(e) 適当な場合には、この条約の実効性を改善するための勧告を行うこと。
四 締約国は、通常会合において、二の規定により開催される次回の通常会合の時期及び場所を決定することができる。
五 締約国は、いずれかの会合においても、当該会合のための手続規則を制定することができる。
六 国際連合、その他専門機関及び国際原子力機関並びにこの条約の締約国でない国は、締約国会議の会合にオブザーバーを出席させることができる。オブザーバーは、出席する権利を有するが、投票する権利は有しない。
七 野生動植物の保護、保存又は管理について専門的な能力を有する次の機関又は団体であって、締約国会議の会合にオブザーバーを出席させることを希望する旨事務局に通報したものは当該会合に出席する締約国の少なくとも3分の1が反対しない限りオブザーバーを出席させることを認められる。
(a) 政府間又は非政府のもののいずれであるかを問わず国際機関又は国際団体及び国内の政府機関又は政府団体
(b) 国内の非政府機関又は非政府団体であって、その所在する国によりこの条約の目的に沿うものであると認められたものこれらオブザーバーは、出席することを認められた場合には、出席する権利を有するが、投票する権利は有しない。

第12条 事務局
一 事務局の役務は、この条約の効力発生に伴い、国際連合環境計画事務局長が提供する。同事務局長は、適当と認める程度及び方法で、野生動植物の保護、保存及び管理について専門的な能力を有する政府間の若しくは非政府の適当な国際機関若しくは国際団体又は政府の若しくは非政府の適当な国内の機関若しくは団体の援助を受けることができる。
二 事務局は、次の任務を遂行する。
(a) 締約国の会合を準備し及びその会合のための役務を提供すること。
(b) 第15条及び第16条の規定により与えられる任務を遂行すること。
(c) 締約国会議の承認する計画に従い、この条約の実施に寄与する科学的及び技術的研究(生きている標本につき適切に準備し、輸送するための基準に関する研究及び標本の識別方法に関する研究を含む。)を行うこと。
(d) 締約国の報告書を研究すること及び締約国の報告書に関する追加の情報であって、この条約の実施を確保するために必要と認めるものを当該締約国に要請すること。
(e) この条約の目的に関連する事項について、締約国の注意を喚起すること。
(f) 最新の内容の附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲをこれらの附属書に掲げる種の標本の識別を容易にする情報とともに定期的に刊行し、締約国に配布すること。
(g) 締約国の利用に供するため事務局の業務及びこの条約の実施に関する年次報告書を作成し並びに締約国がその会合において要請する他の報告書を作成すること。
(h) この条約の目的を達成し及びこの条約を実施するための勧告を行うこと(科学的及び技術的性格の情報を交換するよう勧告を行うことを含む。)
(i) 締約国の与える他の任務を遂行すること。

第13条 国際的な措置
一 事務局は、受領した情報を参考にして、附属書Ⅰ又は附属書Ⅱに掲げる種がその標本の取引によって望ましくない影響を受けていると認める場合又はこの条約が効果的に実施されていないと認める場合には、当該情報を関係締約国の権限の
ある管理当局に通告する。
二 締約国は、一の通告を受けたときは、関連する事実を自国の法令の認める限度においてできる限り速やかに事務局に通報するものとし、適当な場合には、是正措置を提案する。当該締約国が調査を行うことが望ましいと認めるときは、当該締約
国によって明示的に権限を与えられた者は、調査を行うことができる。
三 締約国会議は、締約国の提供した情報又は二の調査の結果得られた情報につき、次回の会合において検討するものとし、適当と認める勧告を行うことができる。

第14条 国内法令及び国際条約に対する影響
一 この条約は、締約国が次の国内措置をとる権利にいかなる影響も及ぼすものではない。
(a) 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種の標本の取引、捕獲若しくは採取、所持、若しくは輸送の条件に関する一層厳重な国内措置又はこれらの取引捕獲若しくは採取、所持若しくは輸送を完全に禁止する国内措置(b) 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ及び附属書Ⅲに掲げる種以外の種の標本の取引、捕獲若しくは採取、所持若しくは輸送を制限し又は禁止する国内措置
二 この条約は、標本の取引、捕獲若しくは採取、所持又は輸送についてこの条約に定めているもの以外のものを定めている条約又は国際協定であって締約国について現在効力を生じており又は将来効力を生ずることのあるものに基づく国内措置又は締約国の義務にいかなる影響も及ぼすものではない。これらの国内措置又は義務には関税、公衆衛生、動植物の検疫の分野に関するものを含む。
三 この条約は、共通の対外関税規制を設定し若しくは維持し、かつ、その構成国間の関税規制を撤廃する同盟若しくは地域的な貿易機構を創設する条約若しくは国際協定であって現在締結されており若しくは将来締結されることのある条約若しくは国際協定の規定のうち又はこれらの条約若しくは国際協定に基づく義務のうち、これらの同盟又は地域的な貿易機構の構成国間の貿易に関するものにいかなる影響も及ぼすものではない。
四 この条約の締約国は、自国がその締約国である他の条約又は国際協定がこの条約の効力発生の時に有効であり、かつ、当該他の条約又は国際協定に基づき附属書Ⅱに掲げる海産の種に対し保護を与えている場合には、自国において登録された船舶が当該他の条約又は国際協定に基づいて捕獲し又は採取した附属書Ⅱに掲げる種の標本の取引についてこの条約に基づく義務を免除される。
五 四の規定により捕獲され又は採取された標本の輸出については、第3条から第5条までの規定にかかわらず、当該標本が四に規定する他の条約又は国際協定に基づいて捕獲され又は採取された旨の持込みがされた国の管理当局の発給する証明書のみを必要とする。
六 この条約のいかなる規定も、国際連合総会決議第2750号C(第25回会期)に基づいて招集される国際連合海洋法会議による海洋法の法典化及び発展を妨げるものではなく、また、海洋法に関し並びに沿岸国及び旗国の管轄権の性質及び範囲に関する現在又は将来におけるいずれの国の主張及び法的見解も害するものではない。

第15条 附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正
一 締約国会議の会合において附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正をする場合には、次の規定を適用する。
(a) 締約国は、会合における検討のため、附属書Ⅰ又は附属書Ⅱの改正を提案することができる。改正案は、会合の少なくとも150日前に事務局に通告する。事務局は、改正案の他の締約国への通告及び改正案についての関係団体との協議については、二(b)又は二(c)の規定を準用するものとし、会合の遅くとも30日前に改正案に係る回答をすべての締約国に通告する。
(b) 改正は、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択する。この一(b)の規定の適用上、「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。投票を棄権する締約国は、改正の採択に必要な3分の2に算入しない。
(c) 会合において採択された改正は、会合の後90日ですべての締約国について効力を生ずる。ただし、三の規定に基づいて留保を付した締約国については、この限りでない。
二 締約国会議の会合と会合との間において附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正をする場合には、次の規定を適用する。
(a) 締約国は、会合と会合との間における検討のため、この二に定めるところにより、郵便手続による附属書Ⅰ又は附属書Ⅱの改正を提案することができる。
(b) 事務局は、海産の種に関する改正案を受領した場合には、直ちに改正案を締約国に通告する。事務局は、また、当該海産の種に関連を有する活動を行っている政府間団体の提供することができる科学的な資料の入手及び当該政府間団体の実施している保存措置との調整の確保を特に目的として、当該政府間団体と協議する。事務局は、当該政府間団体の表明した見解及び提供した資料を事務局の認定及び勧告とともにできる限り速やかに締約国に通告する。
(c) 事務局は、海産の種以外の種に関する改正案を受領した場合には、直ちに改正案を締約国に通告するものとし、その後できる限り速やかに自己の勧告を締約国に通告する。
(d) 締約国は、事務局が(b)又は(c)の規定に従ってその勧告を締約国に通告した日から60日以内に、関連する科学的な資料及び情報とともに改正案についての意見を事務局に送付することができる。
(e) 事務局は、(d)の規定に基づいて受領した回答を自己の勧告とともにできる限り速やかに締約国に通告する。
(f) 事務局が(e)の規定により回答及び勧告を通告した日から30日以内に改正案に対する異議の通告を受領しない場合には、改正は、その後90日ですべての締約国について効力を生ずる。ただし、三の規定に基づいて留保を付した締約国については、この限りでない。
(g) 事務局がいずれかの締約国による異議の通告を受領した場合には、改正案は、(h)から(i)までの規定により郵便投票に付される。
(h) 事務局は、異議の通告を受領したことを締約国に通報する。
(i) 事務局が(h)の通報の日から60日以内に受領した賛成票、反対票及び棄権票の合計が締約国の総数の2分の1に満たない場合には、改正案は、更に検討の対象とするため締約国会議の次回の会合に付託する。
(j) 受領した票の合計が締約国の総数の2分の1に達した場合には、改正案は、賛成票及び反対票を投じた締約国の3分の2以上の多数による議決で採択される。
(k) 事務局は、投票の結果を締約国に通報する。
(l) 改正案が採択された場合には、改正は、事務局によるその旨の通報の日の後90日ですべての締約国について効力を生ずる。ただし、三の規定に基づいて留保を付した締約国については、この限りでない。
三 いずれの締約国も、一(c)又は二(l)に規定する90日の期間内に寄託政府に対し書面による通告を行うことにより、改正について留保を付することができる。締約国は、留保を撤回するまでの間、留保に明示した種に係る取引につきこの条約の締約国でない国として取り扱われる。

第16条 附属書Ⅲ及びその改正
一 締約国は、いつでも、その種について第2条三にいう規制を自国の管轄内において行う必要があると認める種を記載した表を事務局に提出することができる。附属書Ⅲには、附属書Ⅲに掲げるべき種を記載した表を提出した締約国の国名、これらの種の学名及び第1条(b)の規定の適用上これらの種の個体の部分又は派生物であってそれぞれの種について特定されたものを掲げる。
二 事務局は、一の規定により提出された表を受領した後できる限り速やかに当該表を締約国に送付する。当該表は、その送付の日の後90日で附属書Ⅲの一部として効力を生ずる。締約国は、当該表の受領の後いつでも、寄託政府に対して書面による通告を行うことにより、いずれの種又はいずれの種の個体の部分若しくは派生物についても留保を付することができる。
締約国は、留保を撤回するまでの間、留保に明示した種又は種の個体の部分若しくは派生物に係る取引につきこの条約の締約国でない国として取り扱われる。
三 附属書Ⅲに掲げるべき種を記載した表を提出した締約国は、事務局に対して通報を行うことによりいつでも特定の種の記載を取り消すことができるものとし、事務局は、その取消しをすべての締約国に通告する。取消しは、通告の日の後30日で効力を生ずる。
四 一の規定により表を提出する締約国は、当該表に記載された種の保護について適用されるすべての国内法令の写しを、自国がその提出を適当と認める解釈又は事務局がその提出を要請する解釈とともに事務局に提出する。締約国は、自国の表に記載された種が附属書Ⅲに掲げられている間、当該記載された種に係る国内法令の改正が採択され又は当該国内法令の新しい解釈が採用されるごとにこれらの改正又は解釈を提出する。

第17条 この条約の改正
一 事務局は、締約国の少なくとも3分の1からの書面による要請があるときは、この条約の改正を検討し及び採択するため、締約国会議の特別会合を招集する。改正は、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択する。
この一の規定の適用上、「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。投票を棄権する締約国は、改正の採択に必要な3分の2に算入しない。
二 事務局は、一の特別会合の少なくとも90日前に改正案を締約国に通告する。
三 改正は、締約国の3分の2が改正の受諾書を寄託政府に寄託した後60日で、改正を受諾した締約国について効力を生ずる。その後、改正は、他の締約国についても、当該他の締約国が改正の受諾書を寄託した後60日で、効力を生ずる。

第18条 紛争の解決
一 締約国はこの条約の解釈又は適用について他の締約国との間に紛争が生じた場合には、当該紛争について当該他の締約国と交渉する。
二 締約国は、一の規定によっても紛争を解決することができなかった場合には、合意により当該紛争を仲裁、特に、ハーグ常設仲裁裁判所の仲裁に付することができる。紛争を仲裁に付した締約国は、仲裁裁定に従うものとする。

第19条 署名
この条約は、1973年4月30日までワシントンにおいて、その後は、1974年12月31日までベルンにおいて、署名のために開放しておく。

第20条 批准、受諾及び承認
この条約は、批准され、受諾され又は承認されなければならない。批准書、受諾書又は承認書は、寄託政府であるスイス連邦政府に寄託する。

第21条 加入
この条約は、加入のため無期限に開放しておく。加入書は、寄託政府に寄託する。

第22条 効力発生
一 この条約は、10番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託政府に寄託された日の後90日で効力を生ずる。
二 この条約は、10番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された後に批准し、受諾し、承認し又は加入する各国については、その批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後90日で効力を生ずる。

第23条 留保
一 この条約については、一般的な留保は、付することができない。特定の留保は、本条、第15条及び第16条の規定に基づいて付することができる。
二 いずれの国も、批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する際に、次のものについて特定の留保を付することができる。
(a) 附属書Ⅰ、附属書Ⅱ又は附属書Ⅲに掲げる種
(b) 附属書Ⅲに掲げる種の個体の部分又は派生物であって附属書Ⅲにより特定されるもの
三 締約国は、この条の規定に基づいて付した留保を撤回するまでの間、留保に明示した特定の種又は特定の種の個体の部分若しくは派生物に係る取引につきこの条約の締約国でない国として取り扱われる。

第24条 廃棄
いずれの締約国も、寄託政府に対して書面による通告を行うことにより、この条約をいつでも廃棄することができる。廃棄は、寄託政府が通告を受領した後12箇月で効力を生ずる。

第25条 寄託政府
一 中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語を等しく正文とするこの条約の原本は、寄託政府に寄託するものとし、寄託政府は、その認証謄本をこの条約に署名し又はこの条約の加入書を寄託したすべての国に送付する。
二 寄託政府は、すべての署名国及び加入国並びに事務局に対し、署名、批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託、この条約の効力発生、この条約の改正、留保及びその撤回並びに廃棄通告を通報する。
三 この条約が効力を生じたときは、寄託政府は、国際連合憲章第102条の規定による登録及び公表のためできる限り速やかにその認証謄本を国際連合事務局に送付する。

    「経済産業省」ホームページより

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1854年(嘉永7)江戸幕府と米国使節ペリーが横浜で「日米和親条約」に調印する(新暦3月31日)詳細
1860年(安政7)桜田門外の変で大老井伊直弼が水戸浪士らに襲われ殺される(新暦3月24日)詳細
1922年(大正11)部落解放運動の全国組織である全国水平社が結成される詳細
1933年(昭和8)昭和三陸地震が起こり、津波によって死者・行方不明者3,064名を出す詳細
1944年(昭和19)東条英機内閣により、「一般疎開促進要綱」が閣議決定される詳細
1946年(昭和21)「物価統制令」が公布される詳細
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uchyuukuukan01
 今日は、昭和時代後期の1967年(昭和42)に、「宇宙条約」が署名開放され、日本が署名した日です。
 「宇宙条約」(うちゅうじょうやく)は、正式名称を「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」と言い、宇宙の平和利用、領有の否定、軍事利用禁止、国際協力などを内容とする国際条約でした。1966年(昭和41)12月19日に採択された第21会期国連総会決議2222号で、1967年(昭和42)1月27日に署名開放されて日本も署名し、同年10月10日に発効しています。
 六つの基本原則(平和利用原則、宇宙利用原則、宇宙活動自由の原則、領有禁止原則、国際協力原則、他国利益尊重)を組み込んでいて、天体は完全に非軍事化されましたが、宇宙空間の軍事衛星などは禁止されませんでした。2012年(平成24)12月12日現在で、署名26ヶ国、批准101ヶ国となっています。
 以下に、「宇宙条約」の英語版原文と日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「宇宙条約」1966年(昭和41)12月19日採択、1967年(昭和42)1月27日署名、10月10日発効

<英語版原文>

Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, including the Moon and Other Celestial Bodies

 The States Parties to this Treaty,
 Inspired by the great prospects opening up before mankind as a result of man's entry into outer space, Recognizing the common interest of all mankind in the progress of the exploration and use of outer space for peaceful purposes,
 Believing that the exploration and use of outer space should be carried on for the benefit of all peoples irrespective of the degree of their economic or scientific development,
 Desiring to contribute to broad international co-operation in the scientific as well as the legal aspects of the exploration and use of outer space for peaceful purposes,
 Believing that such co-operation will contribute to the development of mutual understanding and to the strengthening of friendly relations between States and peoples,
 Recalling resolution 1962 (XVIII), entitled "Declaration of Legal Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space",which was adopted unanimously by the United Nations General Assembly on 13 December 1963,
 Recalling resolution 1884 (XVIII), calling upon States to refrain from placing in orbit around the earth any objects carrying nuclear weapons or any other kinds of weapons of mass destruction or from installing such weapons on celestial 
bodies, which was adopted unanimously by the United Nations General Assembly on 17 October 1963,
 Taking account of United Nations General Assembly resolution 110 (II) of 3 November 1947, which condemned propaganda designed or likely to provoke or encourage any threat to the peace, breach of the peace or act of aggression, and considering that the aforementioned resolution is applicable to outer space,
 Convinced that a Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, including the Moon and Other Celestial Bodies, will further the purposes and principles of the Charter of the United 
Nations,
 Have agreed on the following:

 Article I
 The exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, shall be carried out for the benefit and in the interests of all countries, irrespective of their degree of economic or scientific development, and 
shall be the province of all mankind.
 Outer space, including the moon and other celestial bodies, shall be free for exploration and use by all States without discrimination of any kind, on a basis of equality and in accordance with international law, and there shall be free access to all areas of celestial bodies.
 There shall be freedom of scientific investigation in outer space, including the moon and other celestial bodies, and States shall facilitate and encourage international co-operation in such investigation.

 Article II
 Outer space, including the moon and other celestial bodies, is not subject to national appropriation by claim of sovereignty, by means of use or occupation, or by any other means.

 Article III
 States Parties to the Treaty shall carry on activities in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, in accordance with international law, including the Charter of the United Nations, in the interest of maintaining international peace and security and promoting international cooperation and understanding.

 Article IV
 States Parties to the Treaty undertake not to place in orbit around the earth any objects carrying nuclear weapons or any other kinds of weapons of mass destruction, install such weapons on celestial bodies, or station such weapons in 
outer space in any other manner.
 The moon and other celestial bodies shall be used by all States Parties to the Treaty exclusively for peaceful purposes. The establishment of military bases, installations and fortifications, the testing of any type of weapons and the 
conduct of military manoeuvres on celestial bodies shall be forbidden. The use of military personnel for scientific research or for any other peaceful purposes shall not be prohibited. The use of any equipment or facility necessary for peaceful exploration of the moon and other celestial bodies shall also not be prohibited.Article V
 States Parties to the Treaty shall regard astronauts as envoys of mankind in outer space and shall render to them all possible assistance in the event of accident, distress, or emergency landing on the territory of another State Party 
or on the high seas. When astronauts make such a landing, they shall be safely and promptly returned to the State of registry of their space vehicle.
 In carrying on activities in outer space and on celestial bodies, the astronauts of one State Party shall render all possible assistance to the astronauts of other States Parties.
 States Parties to the Treaty shall immediately inform the other States Parties to the Treaty or the Secretary-General of the United Nations of any phenomena they discover in outer space, including the moon and other celestial bodies, 
which could constitute a danger to the life or health of astronauts.

 Article VI
 States Parties to the Treaty shall bear international responsibility for national activities in outer space, including the moon and other celestial bodies, whether such activities are carried on by governmental agencies or by non-governmental entities, and for assuring that national activities are carried out in conformity with the provisions set forth in the present Treaty. The activities of nongovernmental entities in outer space, including the moon and other celestial bodies, shall require authorization and continuing supervision by the appropriate State Party to the Treaty. When activities are carried on in outer space, including the moon and other celestial bodies, by an international organization, responsibility for compliance with this Treaty shall be borne both by the international organization and by the States Parties to the Treaty participating in such organization.

 Article VII
 Each State Party to the Treaty that launches or procures the launching of an object into outer space, including the moon and other celestial bodies, and each State Party from whose territory or facility an object is launched, is internationally liable for damage to another State Party to the Treaty or to its natural or juridical persons by such object or its component parts on the Earth, in air or in outer space, including the moon and other celestial bodies.

 Article VIII
 A State Party to the Treaty on whose registry an object launched into outer space is carried shall retain jurisdiction and control over such object, and over any personnel thereof, while in outer space or on a celestial body. Ownership of objects launched into outer space, including objects landed or constructed on a celestial body, and of their component parts, is not affected by their presence in outer space or on a celestial body or by their return to the Earth. Such objects or component parts found beyond the limits of the State Party to the Treaty on whose registry they are carried shall be returned to that State Party, which shall, upon request, furnish identifying data prior to their return.

 Article IX
 In the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, States Parties to the Treaty shall be guided by the principle of co-operation and mutual assistance and shall conduct all their activities in outer space, including the moon and other celestial bodies, with due regard to the corresponding interests of all other States Parties to the Treaty. States Parties to the Treaty shall pursue studies of outer space, including the moon and other celestial bodies, and conduct exploration of them so as to avoid their harmful contamination and also adverse changes in the environment of the Earth resulting from the introduction of extraterrestrial matter and, where necessary, shall adopt appropriate measures for this purpose. If a State Party to the Treaty has reason to believe that an activity or experiment planned by it or its nationals in outer space, including the moon and other celestial bodies, would cause potentially harmful interference with activities of other States Parties in the peaceful exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, it shall undertake appropriate international consultations before proceeding with any such activity or experiment. A State Party to the Treaty which has reason to believe that an activity or experiment planned by another State Party in outer space, including the moon and other celestial bodies, would cause potentially harmful interference with activities in the peaceful exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, may request consultation concerning the activity or experiment.

 Article X
 In order to promote international co-operation in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, in conformity with the purposes of this Treaty, the States Parties to the Treaty shall consider on a basis of equality any requests by other States Parties to the Treaty to be afforded an opportunity to observe the flight of space objects launched by those States. The nature of such an opportunity for observation and the conditions 
under which it could be afforded shall be determined by agreement between the 
States concerned.

 Article XI
 In order to promote international co-operation in the peaceful exploration and use of outer space, States Parties to the Treaty conducting activities in outer space, including the moon and other celestial bodies, agree to inform the 
Secretary-General of the United Nations as well as the public and the international scientific community, to the greatest extent feasible and practicable, of the nature, conduct, locations and results of such activities. On receiving the 
said information, the Secretary-General of the United Nations should be prepared to disseminate it immediately and effectively.

 Article XII
 All stations, installations, equipment and space vehicles on the moon and other celestial bodies shall be open to representatives of other States Parties to the Treaty on a basis of reciprocity. Such representatives shall give easonable 
advance notice of a projected visit, in order that appropriate consultations may be held and that maximum precautions may betaken to assure safety and to avoid interference with normal operations in the facility to be visited.

 Article XIII
 The provisions of this Treaty shall apply to the activities of States Parties to the Treaty in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, whether such activities are carried on by a single State Party to the Treaty or jointly with other States, including cases where they are carried on within the framework of international intergovernmental organizations.
 Any practical questions arising in connection with activities carried on by international intergovernmental organizations in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, shall be resolved by the 
States Parties to the Treaty either with the appropriate international organization or with one or more States members of that international organization, which are Parties to this Treaty.

 Article XIV
1. This Treaty shall be open to all States for signature. Any State which does not sign this Treaty before its entry into force in accordance with paragraph 3 of this article may accede to it at anytime.
2. This Treaty shall be subject to ratification by signatory States. Instruments of ratification and instruments of accession shall be deposited with the Governments of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland, the Union of Soviet Socialist Republics and the United States of America, which are hereby designated the Depositary Governments.
3. This Treaty shall enter into force upon the deposit of instruments of ratification by five Governments including the Governments designated as Depositary Governments under this Treaty.
4. For States whose instruments of ratification or accession are deposited subsequent to the entry into force of this Treaty, it shall enter into force on the date of the deposit of their instruments of ratification or accession.
5. The Depositary Governments shall promptly inform all signatory and acceding States of the date of each signature, the date of deposit of each instrument of ratification of and accession to this Treaty, the date of its entry into force and other notices.
6. This Treaty shall be registered by the Depositary Governments pursuant to Article 102 of the Charter of the United Nations.

 Article XV
 Any State Party to the Treaty may propose amendments to this Treaty. Amendments shall enter into force for each State Party to the Treaty accepting the amendments upon their acceptance by a majority of the States Parties to the 
Treaty and thereafter for each remaining State Party to the Treaty on the date of acceptance by it.

 Article XVI
 Any State Party to the Treaty may give notice of its withdrawal from the Treaty one year after its entry into force by written notification to the Depositary Governments. Such withdrawal shall take effect one year from the date of 
receipt of this notification.

 Article XVII
 This Treaty, of which the English, Russian, French, Spanish and Chinese texts are equally authentic, shall be deposited in the archives of the Depositary Governments. Duly certified copies of this Treaty shall be transmitted by the 
Depositary Governments to the Governments of the signatory and acceding States.

 IN WITNESS WHEREOF the undersigned, duly authorized, have signed this Treaty.
DONE in triplicate, at the cities of London, Moscow and Washington, the twentyseventh day of January, one thousand nine hundred and sixty-seven

<日本語訳>

月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約

 この条約の当事国は、
 人間の宇宙空間への進入の結果、人類の前に展開する広大な将来性に鼓舞され、
 平和目的のための宇宙空間の探査及び利用の進歩が全人類の共同の利益であることを認識し、
 宇宙空間の探査及び利用がすべての人民のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく、行われなければならないことを信じ、
 平和目的のための宇宙空間の探査及び利用の科学面及び法律面における広範な国際協力に貢献することを希望し、
 この国際協力が、諸国間及び諸人民間の相互理解の増進及び友好関係の強化に貢献することを信じ、
 1963年12月13日に国際連合総会が全会一致で採択した決議1962号(第18会期)「宇宙空間の探査
及び利用における国家活動を律する法原則に関する宣言」を想起し、
 核兵器若しくは他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せること又はこれらの兵器を天体に設置することを慎むように諸国に要請する1963年10月17日の国際連合総会の全会一致の採択による決議1884号(第18会期)を想起し、
 平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為を誘発し若しくは助長することを意図し、又はこれらを誘発し若しくは助長する恐れのある宣伝を非難する1947年11月3日の国際連合決議110号(第2会期)を考慮し、かつ、この決議が宇宙空間に適用されることを考慮し、
 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約が、国際連合憲章の目的及び原則を助長するものであることを確信して、
 次のとおり協定した。

第1条 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく行われるものであり、全人類に認められる活動分野である。
月その他の天体を含む宇宙空間は、すべての国がいかなる種類の差別もなく、平等の基礎に立ち、かつ、国際法に従って、自由に探査し及び利用できるものとし、また天体のすべての地域への立入は、自由である。
月その他の天体を含む宇宙空間における科学的調査は、自由であり、また、諸国はこの調査における国際協力を容易にし、かつ、奨励するものとする。

第2条 月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。

第3条 条約の当事国は、国際連合憲章を含む国際法に従って、国際の平和及び安全の維持並びに国際間の協力及び理解の促進のために、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における活動を行わなけばならない。

第4条 条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。
月その他の天体は、もっぱら平和目的のために、条約のすべての当事国によって利用されるものとする。天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。科学的研究その他の平和的目的のために軍の要員を使用することは、禁止しない。月その他の天体の平和的探査のために必要なすべての装備又は施設を使用することも、また、禁止しない。

第5条 条約の当事国は、宇宙飛行士を宇宙空間への人類の使節とみなし、事故、遭難又は他の当事国の領域若しくは公海における緊急着陸の場合には、その宇宙飛行士にすべての可能な援助を与えるものとする。宇宙飛行士は、そのような着陸を行ったときは、その宇宙飛行士の登録国へ安全かつ迅速に送還されるものとする。
いずれかの当事国の宇宙飛行士は、宇宙空間及び天体上において活動を行うときは、他の当事国の宇宙飛行士にすべての可能な援助を与えるものとする。
条約の当事国は、宇宙飛行士の生命又は健康に危険となるおそれのある現象を、月その他の天体を含む宇宙空間において発見したときは、直ちに、これを条約の他の当事国又は国際連合事務総長に通報するものとする。

第6条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、国際責任を有し、自国の活動がこの条約の規定に従って行われることを確保する国際的責任を有する。月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。国際機関が、月その他の天体を含む宇宙空間において活動を行う場合には、当該国際機関及びこれに参加する条約当事国の双方がこの条約を遵守する責任を有する。

第7条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合又は自国の領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際責任を有する。

第8条 宇宙空間に発射された物体が登録されている条約の当事国は、その物体及びその乗員に対し、それらが宇宙空間又は天体上にある間、管轄権及び管理権を保持する。宇宙空間に発射された物体(天体上に着陸させられ又は建造された物体を含む。)及びその構成部分の所有権は、それらが宇宙空間若しくは天体上にあること又は地球に帰還することによって影響を受けない。これらの物体又は構成部分は、物体が登録されている条約の当事国の領域外で発見されたときは、その当事国に、返還されるものとする。その当事国は、要請されたときは、それらの物体又は構成部分の返還に先立ち、識別のための資料を提供するものとする。

第9条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用において、協力及び相互援助の原則に従うものとし、かつ、条約の他のすべての当事国の対応する利益に妥当な考慮を払って、月その他の天体を含む宇宙空間におけるすべての活動を行うものとする。条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間の有害な汚染、及び地球外物質の導入から生ずる地球環境の悪化を避けるように月その他の天体を含む宇宙空間の研究及び探査を実施、かつ、必要な場合には、このための適当な措置を執るものとする。条約の当事国は、自国又は自国民によって計画された月その他の天体を含む宇宙空間における活動又は実験が月その他の天体を含む宇宙空間の平和的探査及び利用における他の当事国の活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは、その活動又は実験が行われる前に、適当な国際的協議を行うものとする。条約の当事国は、他の当事国が計画した月その他の天体を含む宇宙空間における活動又は実験が月その他の天体を含む宇宙空間の平和的な探査及び利用における活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは、その活動又は実験に関する協議を要請することができる。

第10条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国際協力をこの条約の目的に従って促進するために、条約の他の当事国が打ち上げる宇宙物体の飛行を観測する機会を与えられることについての当該他の当事国の要請に対し、平等の原則に基づいて考慮を払うものとする。
その観測の機会の性質及びその機会が与えられる条件は、関係国間の合意により決定されるものとする。

第11条 月その他の天体を含む宇宙空間における活動を行う条約の当事国は、宇宙空間の平和的な探査及び利用における国際協力を促進するために、その活動の性質、実施状況、場所及び結果について、国際連合事務総長並びに公衆及び国際科学界に対し、実行可能な最大限度まで情報を提供することに合意する。
国際連合事務総長は、この情報を受けたときは、それが迅速かつ効果的に公表されるようにするものとする。

第12条 月その他の天体上のすべての基地、施設、装備及び宇宙機は、相互主義に基づいて、条約の他の当事国の代表者に開放される。これらの代表者は、適当な協議が行われるため及び訪問する施設等における安全を確保し、かつ、そこでの正常な作業に対する干渉を避けるように最大限の予防措置が執られるために、計画された訪問につき合理的な予告を行うものとする。

第13条 この条約の規定は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における条約の当事国の活動に適用するものとし、それらの活動が条約の一の当事国により行われる場合であるか他の国家と共同で行われる場合(政府間国際機関の枠内で行われる場合を含む。)であるかを問わない。
月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における政府間国際機関が行う活動に関連して生ずる実際的問題は、条約の当事国が、当該国際機関又はその加盟国でこの条約の当事国である一若しくは二以上の国と共同して解決するものとする。

第14条
 1.この条約は、署名のためすべての国に開放される。この条約が3の規定に従って効力を生ずる前にこの条約に署名しない国は、いつでもこの条約に加入することができる。
 2.この条約は、署名国により批准されなければならない。批准書及び加入書は、寄託国政府として指定されたアメリカ合衆国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国並びにソヴィエト社会主義共和国連邦の政府に寄託するものとする。
 3.この条約は、この条約により寄託国政府として指定された政府を含む5の政府が批准書を寄託したときに効力を生ずる。
 4.この条約の効力発生後に批准書又は加入書を寄託する国については、この条約はその批准書又は加入書の寄託の日に効力を生じる。
 5.寄託国政府は、すべての署名国及び加入国に対し、署名の日、この条約の批准書及び加入書の寄託の日、この条約の効力発生の日その他についてすみやかに通報するものとする。
 6.この条約は、寄託国政府が国際連合憲章第102条の規定に従って登録するものとする。

第15条 条約のいずれの当事国も、この条約の改正を提案することができる。改正は、条約の当事国の過半数がこれを受諾した時に、その改正を受諾した条約の当事国について効力を生じ、その後は、条約の他の各当事国については、その国による受諾の日に効力を生ずる。

第16条 条約のいずれの当事国も、この条約の効力発生の後1年を経過したときは、寄託国政府にあてた通告書により、条約からの脱退を通告することができる。その脱退は、通告書の受領の日から1年で効力を生ずる。

第17条 この条約は、英語、ロシア語、フランス語、スペイン語及び中国語による本文をひとしく正文とし、寄託国政府に寄託するものとする。この条約の認証謄本は、寄託国政府が署名国及び加入国の政府に寄託するものとする。
 以上の証拠として、下名は正当に委任を受け、この条約に署名した。
 1967年1月27日にワシントン市、ロンドン市及びモスクワ市で本書3通を作成した。

  「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)ホームページ」より

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 今日は、平成時代の2017年(平成29)に、「水銀に関する水俣条約」が発効した日です。
 「水銀に関する水俣条約」(すいぎんにかんするみなまたじょうやく)は、人為的に排出される水銀やその化合物から人の健康被害や環境汚染を防ぐため、水銀の採掘から製造、使用、廃棄などに至るサイクルを包括的に規制する国際条約で、「水銀条約」または「水俣条約」とも呼ばれてきした。国連環境計画(UNEP)主導の下、2013年(平成25)10月10日に、熊本市で開催された外交会議で採択され、92ヶ国(欧州連合を含む)が条約への署名を行います。
 この条約は、水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的としており、採掘から流通、使用、廃棄に至る水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定めるものでした。条約の発効は、締結国が50ヶ国となった日の90日後と定められており、2017年(平成29)5月18日に、日本を含む50ヶ国以上に達したため、同年8月16日に発効しています。
 尚、日本では、条約締結に必要な法令整備を進め、2016年(平成28)2月2日に条約を締結しましたが、2019年(平成31)6月10日現在で、128ヶ国(欧州連合を含む)が署名し、うち109ヶ国(欧州連合を含む)が締結しました。
 以下に、「水銀に関する水俣条約」の日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「水銀に関する水俣条約」 2013年10月10日調印 2017年(平成29)8月16日発効

前文
この条約の締約国は、
水銀が、その長距離にわたる大気中の移動、人為的に環境にもたらされた場合の残留性、生態系における生物蓄積性並びに人の健康及び環境への重大な悪影響を理由として、世界的に懸念される化学物質であることを認識し、
効率的かつ効果的な一貫した方法で水銀を管理するための国際的行動を開始するとの国際連合環境計画管理理事会の二千九年二月二十日の決定二十五―五を想起し、
人の健康及び環境に対する危険に対処するための水銀に関する法的拘束力のある国際的な文書についての交渉の成功裡りの結果を求めた国際連合持続可能な開発会議の成果文書「我々が求める未来」の221の規定を想起し、
国際連合持続可能な開発会議において環境及び開発に関するリオ宣言の諸原則、特に、共通に有しているが差異のある責任を再確認したことを想起し、また、各国の事情及び能力並びに世界的規模の行動をとる必要性を確認し、
被害を受けやすい人々、特に女性、児童並びに女性及び児童を介した将来の世代の水銀への曝ばく露により、特に、開発途上国において生ずる健康上の懸念を認識し、
水銀の食物連鎖による蓄積及び伝統的な食品の汚染による北極の生態系及び先住民の社会に特有のぜい弱性に留意し、並びに先住民の社会についてより一般的に水銀の影響に関して憂慮し、
水俣病の重要な教訓、特に水銀による汚染から生ずる健康及び環境への深刻な影響並びに水銀の適切な管理及び将来におけるこのような事態の防止を確保する必要性を認識し、
水銀の管理に関する国の能力を強化し、及びこの条約の効果的な実施を促進するため、資金、技術及び能力形成に関する支援、特に開発途上国及び移行経済国に対する支援の重要性を強調し、
水銀に関して人の健康を保護するための世界保健機関の活動並びに関連する環境に関する多数国間協定、特に有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約及び国際貿易の対象となる特定の有害な化学物質及び駆除剤についての事前のかつ情報に基づく同意の手続に関するロッテルダム条約の役割を認識し、
この条約と環境及び貿易の分野における他の国際協定とが相互に補完的であることを認識し、
この条約のいかなる規定も、現行の国際協定に基づく締約国の権利及び義務に影響を及ぼすことを意図するものではないことを強調し、
このことは、この条約と他の国際文書との間に序列を設けることを意図するものではないことを了解し、
この条約のいかなる規定も、締約国が、適用可能な国際法に基づく当該締約国の他の義務に従って、水銀への曝ばく露から人の健康及び環境を保護するために、この条約に適合する追加的な国内措置をとることを妨げるものではないことに留意して、
次のとおり協定した。

本則
第一条 目的
この条約は、水銀及び水銀化合物の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護することを目的とする。

第二条 定義
この条約の適用上、
(a)「零細及び小規模な金の採掘」とは、採掘を行う個別の者又は限られた資本の投資及び生産を行う小企業により実施される金の採掘をいう。
(b)「利用可能な最良の技術」とは、一の締約国又は当該締約国の領域にある一の設備に対する経済的及び技術的考慮を払いつつ、水銀の大気への排出並びに水及び土壌への放出並びにそれらの環境に対する影響を全般的に防止し、又はこれが実行可能でない場合には、そのような排出及び放出を削減するための最も効果的な技術をいう。この文脈において、
(ⅰ)「最良の」とは、環境全体の保護を全般的に高い水準で達成するに当たり最も効果的であることをいう。
(ⅱ)「利用可能な」技術とは、一の締約国及び当該締約国の領域にある一の設備に関し、当該締約国の領域内で使用されるか否か又は開発されるか否かを問わず、当該設備の操業者が利用可能であると当該締約国が認めることを条件として、費用及び効果を考慮して、経済的及び技術的に実行可能な条件の下で、関係する産業分野において実施することのできる規模で開発される技術をいう。
(ⅲ)「技術」とは、使用される技術、操業上の慣行並びに設備が設計され、建設され、維持され、操作され、及び廃止される方法をいう。
(c) 「環境のための最良の慣行」とは、環境に関する規制措置及び戦略を最適な組合せで適用したものをいう。
(d) 「水銀」とは、水銀元素(Hg (0) 、ケミカル・アブストラクツ・サービス(CAS)番号七四三九―九七―六)をいう。
(e) 「水銀化合物」とは、水銀の原子及び一又は二以上の他の元素の原子から成る物質であって、化学反応によってのみ異なる成分に分離することができるものをいう。
(f) 「水銀添加製品」とは、意図的に添加された水銀又は水銀化合物を含む製品又は製品の部品をいう。
(g) 「締約国」とは、この条約に拘束されることに同意し、かつ、自己についてこの条約の効力が生じている国又は地域的な経済統合のための機関をいう。
(h) 「出席し、かつ、投票する締約国」とは、締約国の会合に出席し、かつ、賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。
(i) 「水銀の一次採掘」とは、主として求める物質が水銀である採掘をいう。
(j) 「地域的な経済統合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成される機関であって、その構成国からこの条約が規律する事項に関し権限の委譲を受け、かつ、その内部手続に従いこの条約の署名、批准、受諾若しくは承認又はこれへの加入について正当な委任を受けたものをいう。
(k) 許可される用途」とは、締約国によるこの条約に適合する水銀又は水銀化合物の用途をいう(次条から第七条までの規定に適合する用途を含むが、これに限定されない。)。

第三条 水銀の供給源及び貿易
1 この条の規定の適用上、
(a) 「水銀」という場合には、水銀と他の物質との混合物(水銀の合金を含む。)であって、水銀の濃度が全重量の九十五パーセント以上であるものを含む。
(b) 「水銀化合物」とは、塩化第一水銀(甘汞こうと称することもある。)、酸化第二水銀、硫酸第二水銀、硝酸第二水銀、辰しん砂及び硫化水銀をいう。
2 この条の規定は、次のものについては、適用しない。
(a) 実験室規模の研究のために又は参照の標準として使用される量の水銀又は水銀化合物
(b) 水銀以外の金属、鉱石若しくは石炭を含む鉱物製品又はこれらの物質から得られる製品に含まれる天然の微量の水銀又は水銀化合物及び化学製品に含まれる意図的でない微量の水銀又は水銀化合物
(c) 水銀添加製品
3 締約国は、この条約が自国について効力を生じた日に自国の領域において行われていなかった水銀の一次採掘を許可してはならない。
4 締約国は、この条約が自国について効力を生じた日に自国の領域において行われていた水銀の一次採掘に限り、同日から最長十五年の期間、一次採掘を許可する。当該期間中、水銀の一次採掘から得られる水銀は、次条の規定に基づく水銀添加製品の製造又は第五条の規定に基づく製造工程のためにのみ使用され、第十一条の規定に従い、回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用に結びつかない作業によって処分される。
5 締約国は、次のことを行う。
(a) 自国の領域内において五十メートル・トンを超える量の水銀又は水銀化合物の個別の在庫及び年間十メートル・トンを超える量の在庫を発生させる水銀の供給源を特定するよう努めること。
(b) 当該締約国がクロルアルカリ設備の廃棄から生ずる余剰の水銀が利用可能であると認める場合には、その水銀は、第十一条3(a)に規定する環境上適正な管理のための指針に従い、回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用に結びつかない作業によって処分されることを確保するための措置をとること。
6 締約国は、次の国への輸出を除くほか、水銀の輸出を許可してはならない。
(a) 輸出締約国に対し書面による同意を与えた締約国(輸出が次の目的のためにのみ行われる場合に限る。)
(ⅰ) この条約に基づき輸入締約国に許可される用途
(ⅱ) 第十条に規定する環境上適正な暫定的保管
(b) 輸出締約国に対し書面による同意(次のことを示す証明書を含むもの)を与えた非締約国
(ⅰ) 当該非締約国が、人の健康及び環境の保護を確保し、並びに第十条及び第十一条の規定を遵守することを確保する措置をとっていること。
(ⅱ) 水銀がこの条約に基づき締約国に許可される用途又は第十条に規定する環境上適正な暫定的保管のためにのみ使用されること。
7 輸出締約国は、6の規定により必要とされる書面による同意として、輸入締約国又は輸入を行う非締約国による事務局への包括的な通告を利用することができる。当該包括的な通告には、輸入締約国又は輸入を行う非締約国がその同意を与える条件を明示する。当該包括的な通告は、当該輸入締約国又は輸入を行う非締約国がいつでも撤回することができる。事務局は、全ての包括的な通告に関する公の登録簿を保管する。
8 締約国は、非締約国が水銀について3又は5(b)の規定により許可されないと特定された供給源からのものではないことを示す証明書を提出した場合を除くほか、自国が書面による同意を与える当該非締約国からの水銀の輸入を許可してはならない。
9 7の規定に基づき同意に関する包括的な通告を提出する締約国は、水銀の輸出に対する包括的な規制を維持し、かつ、輸入された水銀が環境上適正な方法により管理されることを確保するための国内措置をとっていることを条件として、8の規定を適用しないことを決定することができる。当該締約国は、事務局に対して、その決定の通告(自国の輸出制限及び国内の規制措置について記述されている情報並びに非締約国から輸入した水銀の量及び原産国に関する情報を含む。)を行う。事務局は、全ての決定の通告に関する公の登録簿を維持する。実施及び遵守に関する委員会は、第十五条の規定に基づいて当該通告及びその補助的な情報の再検討及び評価を行うものとし、適当な場合には、締約国会議に勧告することができる。
10 9に定める手続は、締約国会議の第二回会合の終了の時まで利用可能なものとする。その後は、締約国会議が出席し、かつ、投票する締約国の単純多数による議決で別段の決定を行わない限り、締約国会議の第二回会合が終了する前に9の規定に基づいて通告を提出した締約国を除くほか、当該手続は、利用可能なものでなくなる。
11 締約国は、この条に定める要件が満たされていることを示す情報を第二十一条の規定に従って提出する報告に含める。
12 締約国会議は、その第一回会合において、この条の規定、特に5(a)、6及び8の規定に関する追加的な手引を作成するものとし、6(b)及び8に規定する証明書の必要とされる内容を作成し、及び採択する。
13 締約国会議は、特定の水銀化合物の貿易がこの条約の目的を損なうものであるか否かを評価し、並びに第二十七条の規定に従って採択される追加の附属書に特定の水銀化合物を掲げることによって当該水銀化合物を6及び8の規定の対象とすべきか否かを検討する。

第四条 水銀添加製品
1 締約国は、附属書Aにおいて適用除外を定める場合又は第六条の規定に従って当該締約国が適用除外を登録した場合を除くほか、同附属書第一部に掲げる水銀添加製品について定める段階的廃止期限の後は、適当な措置をとることにより、当該水銀添加製品の製造、輸入又は輸出を許可しないものとする。
2 締約国は、1の規定を適用する代わりに、批准の時又は自国について附属書Aの改正が効力を生ずる時に、同附属書第一部に掲げる製品に対処するための異なる措置又は戦略を実施することを明示することができる。締約国は、この代替手段を用いる旨の決定を事務局に通告する時に、同附属書第一部に掲げる製品のうちの大多数の製造、輸入及び輸出を僅かな水準に既に削減していること並びに同附属書第一部に掲げていない製品について水銀の使用を削減するための措置又は戦略を実施していることを証明することができる場合に限り、この代替手段を選択することができる。さらに、この代替手段を選択する締約国は、次のことを遵守する。締約国会議は、8の規定に基づく再検討の過程の一環として、この条約が効力を生じた日の後五年以内にこの2の規定に従ってとられた措置の進捗状況及び有効性を再検討する。
(a) 達成した削減量を含む実施した措置又は戦略に関する説明を締約国会議に対して最初の機会に報告すること。
(b) 附属書A第一部に掲げる製品のうち僅かな水準に達していない製品について水銀の使用を削減するための措置又は戦略を実施すること。
(c) 更なる削減を達成するための追加の措置を検討すること。
(d) この代替手段が選択された種類の製品について第六条の規定に基づく適用除外を申し立てる資格を有しないこと。
3 締約国は、附属書A第二部の規定に従って、同附属書第二部に掲げる水銀添加製品について措置をとる。
4 事務局は、締約国により提供される情報に基づき水銀添加製品及びその代替製品に関する情報を収集し、及び維持するものとし、当該情報を公に利用可能なものとする。事務局は、締約国により提出される他の関連する情報についても公に利用可能なものとする。
5 締約国は、この条の規定に従い自国について製造、輸入及び輸出が許可されていない水銀添加製品が組み立てられた製品に組み込まれることを防止する措置をとる。
6 締約国は、水銀添加製品の危険及び利益の評価によって環境又は人の健康に対する利益が明示されない限り、自国についてこの条約が効力を生ずる日の前から知られている水銀添加製品の用途に該当しない水銀添加製品の商業上の製造及び流通を抑制する。締約国は、適当な場合には、当該水銀添加製品の環境及び人の健康に対する危険及び利益に関する情報を含む当該水銀添加製品に関する情報を事務局に提供する。事務局は、当該情報を公に利用可能なものとする。
7 締約国は、水銀添加製品を附属書Aに掲げるための提案を事務局に提出することができる。この提案には、4の規定に基づく情報を考慮して、水銀添加製品の代替製品であって水銀を含まないものの利用可能性、技術的及び経済的な実現可能性並びに環境及び健康に対する危険及び利益に関連する情報を含める。
8 締約国会議は、この条約が効力を生じた日の後五年以内に、附属書Aを再検討するものとし、第二十七条の規定に従って同附属書の改正を検討することができる。
9 締約国会議は、8の規定に基づいて附属書Aを再検討するに当たり、少なくとも次のものを考慮する。
(a) 7の規定に基づいて提出された提案
(b) 4の規定に基づいて利用可能となった情報
(c) 環境及び人の健康に対する危険及び利益を考慮に入れた技術的及び経済的に実現可能な水銀を含まない代替製品の締約国における利用可能性

第五条 水銀又は水銀化合物を使用する製造工程
1 この条及び附属書Bの規定の適用上、水銀又は水銀化合物を使用する製造工程には、水銀添加製品を使用する工程、水銀添加製品を製造する工程又は水銀を含む廃棄物を処理する工程を含まない。
2 締約国は、次条の規定に従って当該締約国が適用除外を登録した場合を除くほか、個別の製造工程について附属書Bに規定する段階的廃止期限の後は、同附属書第一部に掲げる製造工程における水銀又は水銀化合物の使用について、適当な措置をとることにより、許可しないものとする。
3 締約国は、附属書B第二部の規定に従って、同附属書第二部に掲げる製造工程における水銀又は水銀化合物の使用を制限する措置をとる。
4 事務局は、締約国により提供される情報に基づき水銀又は水銀化合物を使用する工程及びその代替となる工程に関する情報を収集し、及び維持するものとし、当該情報を公に利用可能なものとする。締約国は、他の関連する情報を提出することができ、事務局は、当該情報を公に利用可能なものとする。
5 附属書Bに掲げる製造工程において水銀又は水銀化合物を使用する一又は二以上の設備を有する締約国は、次のことを行う。
(a) 当該設備からの水銀又は水銀化合物の排出及び放出について対処するための措置をとること。
(b) 第二十一条の規定に基づいて提出する報告に、この5の規定に従ってとった措置に関する情報を含めること。
(c) 附属書Bに掲げる製造工程において水銀又は水銀化合物を使用する自国の領域内における設備を特定することに努め、かつ、この条約が自国について効力を生じた日の後三年以内に、当該設備の数及び種類に関する情報並びに当該設備において使用される水銀又は水銀化合物の年間使用量の見積りを事務局に提出すること。事務局は、これらの情報を公に利用可能なものとする。
6 締約国は、自国についてこの条約が効力を生ずる日の前には存在していなかった設備について、附属書Bに掲げる製造工程における水銀又は水銀化合物の使用を許可してはならない。当該設備は、適用除外の対象とならない。
7 締約国は、水銀又は水銀化合物が意図的に使用される他の製造工程であって、この条約が効力を生ずる日の前には存在していなかったものが環境上及び健康上の重大な利益をもたらし、かつ、このような利益をもたらす技術的及び経済的に実行可能な水銀を含まない代替となる工程が利用可能でないことを締約国会議が満足するように当該締約国が証明することができる場合を除くほか、当該製造工程を用いる設備の開発を抑制する。
8 締約国は、附属書Bに掲げる製造工程における水銀及び水銀化合物の使用並びに当該製造工程からの水銀及び水銀化合物の排出及び放出を削減し、及び実行可能な場合には廃絶するため、関連する新たな技術的発展、経済的及び技術的に実行可能な水銀を含まない代替となる工程並びに可能な措置及び技術に関する情報を交換するよう奨励される。
9 締約国は、水銀又は水銀化合物を使用する製造工程を掲げるために附属書Bを改正する提案を提出することができる。この提案には、当該製造工程に代わる水銀を含まない工程の利用可能性、技術的及び経済的な実行可能性並びに環境及び健康に対する危険及び利益に関連する情報を含める。
10 締約国会議は、この条約が効力を生じた日の後五年以内に、附属書Bを再検討するものとし、第二十七条の規定に従って同附属書の改正を検討することができる。
11 締約国会議は、の規定に基づいて附属書Bを再検討するに当たり、少なくとも次のものを考慮する。
(a) 9の規定に基づいて提出された提案
(b) 4の規定に基づいて利用可能となった情報
(c) 環境及び健康に対する危険及び利益を考慮に入れた技術的及び経済的に実行可能な水銀を含まない代替となる工程の締約国における利用可能性

第六条 要請により締約国が利用可能な適用除外
1 いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、次の時に事務局に対する書面による通告を行うことにより、一又は二以上の附属書A及び附属書Bに掲げる段階的廃止期限の適用除外(以下「適用除外」という。)を登録することができる。登録には、締約国の適用除外の必要性を説明する文書を添付する。
(a) この条約の締約国となる時
(b) 附属書Aの改正により加えられた水銀添加製品又は附属書Bの改正により加えられた水銀を使用する製造工程の場合には、適用される改正がその締約国について効力を生ずる日まで
2 適用除外は、附属書A若しくは附属書Bに掲げる分類又は国若しくは地域的な経済統合のための機関により特定される小分類のいずれかについて登録することができる。
3 一又は二以上の適用除外を有する締約国については、登録簿に掲げる。事務局は、この登録簿を作成し、及び維持し、並びに公に利用可能なものとする。
4 登録簿には、次のものを含む。
(a) 一又は二以上の適用除外を有する締約国の表
(b) 各締約国が登録した適用除外
(c) 個別の適用除外が効力を失う日
5 締約国が登録簿に一層短い期間を示す場合を除くほか、1の規定に基づく全ての適用除外は、附属書A又は附属書Bに掲げる関連する段階的廃止期限の後五年で効力を失う。
6 締約国会議は、締約国の要請により、当該締約国が一層短い期間を要請しない限り、適用除外を五年の期間延長することを決定することができる。その決定を行うに当たり、締約国会議は、次のものを十分に考慮する。適用除外は、製品ごとの段階的廃止期限につき一回のみ延長することができる。
(a) 適用除外の延長の必要性を正当化し、並びに適用除外の必要性をできる限り速やかに除去するために実施され、及び計画された活動の概要を示す締約国からの報告
(b) 水銀を含まない代替製品及び代替となる工程又は適用除外の対象となる製品若しくは製造工程における使用より少ない水銀を使用する代替製品及び代替となる工程の利用可能性に関するものを含む利用可能な情報
(c) 環境上適正な水銀の保管及び水銀廃棄物の処分を行うための計画されている又は進行中の活動
7 締約国は、事務局に対する書面による通告を行うことにより、いつでも適用除外を撤回することができる。その撤回は、当該通告に指定する日に効力を生ずる。
8 1の規定にかかわらず、いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、一又は二以上の締約国が6の規定に基づいて延長された附属書A又は附属書Bに掲げる製品又は工程に関する適用除外の登録を維持しない限り、当該製品又は工程の段階的廃止期限から五年を経過した後に当該製品又は工程の適用除外を登録することはできない。この場合において、国又は地域的な経済統合のための機関は、1(a)及び(b)に定める時に当該製品又は工程の適用除外を登録することができるが、この適用除外は、該当する段階的廃止期限の後十年で効力を失う。
9 いずれの締約国の適用除外も、附属書A又は附属書Bに掲げる製品又は工程の段階的廃止期限から十年を経過した後は、効力を有することができない。

第七条 零細及び小規模な金の採掘
1 この条及び附属書Cに規定する措置は、鉱石から金を抽出するために水銀アマルガム法が使用される零細及び小規模な金の採掘及び加工について適用する。
2 自国の領域内においてこの条の規定の対象となる零細及び小規模な金の採掘及び加工を行う締約国は、当該採掘及び加工における水銀及び水銀化合物の使用並びに当該採掘及び加工から生ずる水銀の環境への排出及び放出を削減し、及び実行可能な場合には廃絶するための措置をとる。
3 締約国は、自国の領域内における零細及び小規模な金の採掘及び加工が軽微なものではないことを認定する場合にはいつでも、事務局に通報する。当該締約国は、その認定を行った場合には、次のことを行う。
(a) 附属書Cの規定に従って国の行動計画を作成し、及び実施すること。
(b) この条約が自国について効力を生じた日から三年後又は事務局に通報した日から三年後のうちいずれか遅い時までに、自国の行動計画を事務局に提出すること。
(c) その後は、この条の規定に基づく自国の義務の履行に向けての進捗状況について三年ごとに再検討し、及び第二十一条の規定に従って提出する報告にその再検討を含めること。
4 締約国は、この条の目的を達成するため、適当な場合には、相互に及び関連する政府間機関その他の主体と協力することができる。その協力には、次のものを含めることができる。
(a) 零細及び小規模な金の採掘及び加工において使用する水銀又は水銀化合物の転用を防止する戦略の策定
(b) 教育、広報及び能力形成のための自発的活動
(c) 持続可能な水銀を含まない代替的な方法に関する研究の促進
(d) 技術及び資金の援助の提供
(e) この条の規定に基づく約束の履行を支援するための連携
(f) 環境上、技術上、社会上及び経済上実行可能な知識、環境のための最良の慣行及び代替技術を普及させる既存の情報交換についての制度の利用

第八条 排出
1 この条の規定は、附属書Dに掲げる発生源の分類に該当する特定可能な発生源からの排出を規制するための措置を通じ、水銀及び水銀化合物(しばしば「総水銀」と称される。)の大気への排出を規制し、及び実行可能な場合には削減することに関するものである。
2 この条の規定の適用上、
(a) 「排出」とは、水銀又は水銀化合物の大気への排出をいう。
(b) 「関係する発生源」とは、附属書Dに掲げる発生源の分類の一に該当する発生源をいう。締約国は、選択により、附属書Dに掲げる発生源の分類の対象となる発生源を特定するための基準を定めることができる。ただし、分類に関する基準が当該分類からの排出量の少なくとも七十五パーセントを含む場合に限る。
(c) 「新規の発生源」とは、附属書Dに掲げる分類に該当する関係する発生源であって、次の(ⅰ)又は(ⅱ)に規定する日の後少なくとも一年を経過した日に建設又は実質的な改修が開始されるものをいう。
(ⅰ) この条約が関係締約国について効力を生ずる日
(ⅱ) 発生源が附属書Dの改正によってのみこの条約の対象となる場合において、当該改正が関係締約国について効力を生ずる日
(d) 「実質的な改修」とは、関係する発生源であって排出の実質的な増加(副産物の回収から生ずる排出に関する変化を除く。)をもたらすものの改修をいう。改修が実質的であるか否かの判断は、当該発生源がある締約国が行う。
(e) 「既存の発生源」とは、新規の発生源でない関係する発生源をいう。
(f) 「排出限度値」とは、特定可能な発生源から排出される水銀又は水銀化合物(しばしば「総水銀」と称される。)の濃度、質量又は排出率の上限値をいう。
3 関係する発生源を有する締約国は、排出を規制するための措置をとるものとし、当該措置並びに期待される対象、目標及び結果を定める自国の計画を作成することができる。締約国は、この条約が当該締約国について効力を生ずる日の後四年以内に自国の計画を締約国会議に提出する。締約国が第二十条の規定に従って実施計画を作成する場合には、当該締約国は、この3の規定に従って作成した自国の計画を当該実施計画に含めることができる。
4 締約国は、新規の発生源に関し、排出を規制し、及び実行可能な場合には削減するため、できる限り速やかに、遅くともこの条約が自国について効力を生ずる日の後五年以内に、利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行の利用を要求する。締約国は、利用可能な最良の技術の適用に適合する排出限度値を使用することができる。
5 締約国は、既存の発生源に関し、できる限り速やかに、遅くともこの条約が自国について効力を生ずる日の後十年以内に、次の一又は二以上の措置を、自国の事情並びに当該措置の経済的及び技術的な実行可能性及び妥当性を考慮の上、いずれかの国内の計画に含め、及び実施する。
(a) 関係する発生源からの排出を規制するための及び実行可能な場合には排出を削減するための数量化された目標
(b) 関係する発生源からの排出を規制するための及び実行可能な場合には排出を削減するための排出限度價
(c) 関係する発生源からの排出を規制するための利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行の利用
(d) 複数の汚染物質の規制に関する戦略であって、水銀の排出の規制についても利益をもたらすもの
(e) 関係する発生源からの排出を削減するための代替となる措置
6 締約国は、全ての関係する既存の発生源に対して同一の措置を適用し、又は異なる発生源の分類に関して異なる措置を採用することができる。締約国により適用される措置は、長期的にみて排出の削減における合理的な進展を達成することを目的とする。
7 締約国は、できる限り速やかに、遅くともこの条約が自国について効力を生ずる日の後五年以内に、関係する発生源からの排出に関する目録を作成し、その後は維持する。
8 締約国会議は、その第一回会合において、次の手引を採択する。
(a) 新規の発生源と既存の発生源との相違及び複数の環境媒体にまたがる影響を最小限にする必要性を考慮に入れた利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行に関する手引
(b) 5に規定する措置の実施、特に目標の決定及び排出限度値の設定における締約国に対する支援に関する手引
9 締約国会議は、できる限り速やかに、次の手引を採択する。
(a) 締約国が2(b)の規定に従って作成する基準に関する手引
(b) 排出に関する目録の作成方法に係る手引
10 締約国会議は、8及び9の規定に従って作成する手引を常に再検討し、適当な場合には更新する。締約国は、この条の関連する規定を実施するに当たり、この手引を考慮する。
11 締約国は、第二十一条の規定に従って提出する報告に、この条の規定の実施に関する情報、特に4から7までの規定に従ってとる措置及びその効果に関する情報を含める。

第九条 放出
1 この条の規定は、この条約の他の規定の対象となっていない関係する特定可能な発生源からの水銀及び水銀化合物(しばしば「総水銀」と称される。)の土壌及び水への放出を規制し、及び実行可能な場合には削減することに関するものである。
2 この条の規定の適用上、
(a) 「放出」とは、水銀又は水銀化合物の土壌又は水への放出をいう。
(b) 「関係する発生源」とは、締約国が特定した重大かつ人為的な放出の特定可能な発生源であって、この条約の他の規定の対象となっていないものをいう。
(c) 「新規の発生源」とは、この条約が関係締約国について効力を生ずる日の後少なくとも一年を経過した日に建設又は実質的な改修が開始される関係する発生源をいう。
(d) 「実質的な改修」とは、関係する発生源であって放出の実質的な増加(副産物の回収から生ずる放出に関する変化を除く。)をもたらすものの改修をいう。改修が実質的であるか否かの判断は、当該発生源がある締約国が行う。
(e) 「既存の発生源」とは、新規の発生源でない関係する発生源をいう。
(f) 「放出限度値」とは、特定可能な発生源から放出される水銀又は水銀化合物(しばしば「総水銀」と称される。)の濃度又は質量の上限値をいう。
3 締約国は、この条約が自国について効力を生ずる日の後三年以内に及びその後は定期的に、関係する特定可能な発生源の分類を特定する。
4 関係する発生源を有する締約国は、放出を規制するための措置をとるものとし、当該措置並びに期待される対象、目標及び結果を定める自国の計画を作成することができる。締約国は、この条約が当該締約国について効力を生ずる日の後四年以内に自国の計画を締約国会議に提出する。締約国が第二十条の規定に従って実施計画を作成する場合には、当該締約国は、この4の規定に従って作成した自国の計画を当該実施計画に含めることができる。
5 4に規定する措置には、適当な場合には、次の一又は二以上のものを含める。
(a) 関係する発生源からの放出を規制するための及び実行可能な場合には放出を削減するための放出限度値
(b) 関係する発生源からの放出を規制するための利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行の利用
(c) 複数の汚染物質の規制に関する戦略であって、水銀の放出の規制についても利益をもたらすもの
(d) 関係する発生源からの放出を削減するための代替となる措置
6 締約国は、できる限り速やかに、遅くともこの条約が自国について効力を生ずる日の後五年以内に、関係する発生源からの放出に関する目録を作成し、その後は維持する。
7 締約国会議は、できる限り速やかに、次の手引を採択する。
(a) 新規の発生源と既存の発生源との相違及び複数の環境媒体にまたがる影響を最小限にする必要性を考慮に入れた利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行に関する手引
(b) 放出に関する目録の作成方法に係る手引
8 締約国は、第二十一条の規定に従って提出する報告に、この条の規定の実施に関する情報、特に3から6までの規定に従ってとる措置及びその効果に関する情報を含める。

第十条 水銀廃棄物以外の水銀の環境上適正な暫定的保管
1 この条の規定は、第三条に定義する水銀及び水銀化合物であって次条に定める水銀廃棄物の定義に該当しないものの暫定的保管について適用する。
2 締約国は、3の規定に従って採択される指針を考慮し、かつ、同規定に従って採択される要件に従い、この条約によって締約国に許可される用途のための1に規定する水銀及び水銀化合物の暫定的保管が環境上適正な方法で行われることを確保するための措置をとる。
3 締約国会議は、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約に基づいて作成された関連する指針その他の関連する手引を考慮して、1に規定する水銀及び水銀化合物の環境上適正な暫定的保管に関する指針を採択する。締約国会議は、暫定的保管に関する要件を第二十七条の規定に従ってこの条約の追加の附属書において採択することができる。
4 締約国は、1に規定する水銀及び水銀化合物の環境上適正な暫定的保管に関する能力形成を促進するため、適当な場合には、相互に及び関連する政府間機関その他の主体と協力する。

第十一条 水銀廃棄物
1 有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(以下この条において「バーゼル条約」という。)の関連する定義は、バーゼル条約の締約国に関し、この条約の対象となる廃棄物について適用する。バーゼル条約の締約国でないこの条約の締約国は、当該関連する定義をこの条約の対象となる廃棄物について適用する手引として使用する。
2 この条約の適用上、「水銀廃棄物」とは、締約国会議がバーゼル条約の関連機関との協力の下に調和のとれた方法で定める適切な基準値を超える量の次の物質又は物体であって、処分がされ、処分が意図され、又は国内法若しくはこの条約の規定により処分が義務付けられているものをいう。この定義は、締約国会議が定める基準値を超える水銀又は水銀化合物を含まない限り、採掘された表土、捨石及び尾鉱(水銀の一次採掘によるものを除く。)を除く。
(a) 水銀又は水銀化合物から成る物質又は物体
(b) 水銀又は水銀化合物を含む物質又は物体
(c) 水銀又は水銀化合物に汚染された物質又は物体
3 締約国は、水銀廃棄物が次のように取り扱われるために適当な措置をとる。
(a) バーゼル条約に基づいて作成された指針を考慮し、かつ、第二十七条の規定に従って締約国会議が採択する追加の附属書の要件に従い、環境上適正な方法で管理すること。締約国会議は、要件を策定するに当たり、締約国の廃棄物管理のための規則及び計画を考慮する。
(b) この条約によって締約国に許可される用途又は(a)の規定に基づく環境上適正な処分のためにのみ、回収され、再生利用され、回収利用され、又は直接再利用されること。
(c) バーゼル条約の締約国については、この条の規定及びバーゼル条約に適合する環境上適正な処分を目的とする場合を除くほか、国境を越えて輸送されないこと。バーゼル条約が国境を越える輸送について適用されない場合には、締約国は、関連する国際的な規則、基準及び指針を考慮した後に限り、このような輸送を許可する。
4 締約国会議は、3(a)に規定する指針を適当な場合には再検討し、及び更新するに当たり、バーゼル条約の関連する機関と緊密に協力するよう努める。
5 締約国は、環境上適正な方法で水銀廃棄物を管理するための世界的な、地域的な及び国内の能力を開発し、及び維持するため、適当な場合には、相互に及び関連する政府間機関その他の主体と協力することが奨励される。

第十二条 汚染された場所
1 締約国は、水銀又は水銀化合物により汚染された場所を特定し、及び評価するための適当な戦略を策定するよう努める。
2 汚染された場所がもたらす危険を減少させるための措置は、適当な場合には当該汚染された場所に含まれる水銀又は水銀化合物による人の健康及び環境に対する危険性の評価を取り入れ、環境上適正な方法で行われる。
3 締約国会議は、汚染された場所の管理に関する手引であって、次の事項に関する方法及び取組方法を含むものを採択する。
(a) 場所の特定及び特性の評価
(b) 公衆の関与
(c) 人の健康及び環境に対する危険性の評価
(d) 汚染された場所がもたらす危険の管理に係る選択肢
(e) 効果及び費用の評価
(f) 成果の検証
4 締約国は、汚染された場所を特定し、評価し、優先順位を決定し、管理し、及び適当な場合には修復するための戦略の策定及び活動の実施において協力することが奨励される。

第十三条 資金及び資金供与の制度
1 締約国は、その能力の範囲内で、自国の政策、優先度及び計画に従い、この条約の実施を意図する各締約国の活動に関する資金を提供することを約束する。この資金には、関係する政策、開発戦略及び自国の予算を通じた国内の資金調達、二国間及び多数国間における資金調達並びに民間部門の関与によるものを含むことができる。
2 開発途上締約国によるこの条約の実施の全般的な有効性は、この条の規定の効果的な実施に関連する。
3 多数国間、地域及び二国間の資金援助、技術援助、能力形成及び技術移転の提供元は、資金、技術援助及び技術移転に関連するこの条約の実施において開発途上締約国を支援する自己の水銀に係る活動を緊急に強化し、及び拡大することが奨励される。
4 締約国は、資金供与に関する措置をとるに当たり、開発途上にある島嶼しょ国及び後発開発途上国である締約国の特定のニーズ及び特別な事情を十分に考慮する。
5 適当かつ予測可能な及び時宜を得た資金供与を行うための制度について、この条約により定める。当該制度は、この条約に基づき義務の履行を行う開発途上締約国及び移行経済締約国を支援するものである。
6 5に規定する制度には、次のものを含む。
(a) 地球環境基金の信託基金
(b) 能力形成及び技術援助を支援する特定の国際的な計画
7 地球環境基金の信託基金は、締約国会議が合意したこの条約の実施を支援するための費用を負担するため、新たな、予測可能かつ適当な及び時宜を得た資金を供与する。この条約の適用上、同信託基金は、締約国会議の指導の下に運営され、締約国会議に対して責任を負う。締約国会議は、全般的な戦略、政策、計画の優先度並びに資金へのアクセス及び資金の利用のための資格に関する手引を提供する。さらに、締約国会議は、同信託基金から支援を得ることができる活動の種類を示す一覧表に関する手引を提供する。同信託基金は、地球環境の利益に係る合意された増加費用及びこの条約の実施を可能にするための活動に係る合意された全ての費用に充てるための資金を供与する。
8 地球環境基金の信託基金は、活動への資金を供与するに際し、提案された活動の費用と比較した当該活動による潜在的な水銀の削減を考慮すべきである。
9 この条約の適用上、6(b)に規定する計画は、締約国会議の指導の下に運営され、締約国会議に対して責任を負う。締約国会議は、その第一回会合において、当該計画を主催する機関であって既存の主体であるものを決定し、同機関に対して手引(当該機関が主催する期間を含む。)を提供する。全ての締約国その他の利害関係者は、当該計画への資金供与を任意に行うよう要請される。
10 締約国会議及び資金供与の制度を構成する主体は、締約国会議の第一回会合において、前記の規定を実施するための取決めについて合意する。
11 締約国会議は、その第三回会合までに及びその後は定期的に、資金供与の水準、この条に基づいて設けられる資金供与の制度の運営を委託された主体に締約国会議が提供する手引、当該主体の有効性並びに当該主体が開発途上締約国及び移行経済締約国の変化するニーズに対処する能力について再検討する。締約国会議は、その再検討に基づき、当該制度の有効性を高めるために適当な措置をとる。
12 全ての締約国は、その能力の範囲内で、資金供与の制度への貢献が要請される。当該制度は、民間部門を含む他の提供元からの資金供与を奨励するものとし、支援する活動のためにその資金を活用するよう努める。

第十四条 能力形成、技術援助及び技術移転
1 締約国は、その能力の範囲内で、開発途上締約国、特に後発開発途上国又は開発途上にある島嶼しょ国である締約国及び移行経済締約国がこの条約に基づく義務を履行することを援助するため、時宜を得た適当な能力形成及び技術援助を提供するために協力する。
2 1及び前条の規定に基づく能力形成及び技術援助は、地域的な、小地域的な及び国内の取決め(既存の地域及び小地域のセンターに係るものを含む。)その他二国間及び多数国間の手段並びに連携(民間部門が関与する連携を含む。)により提供することができる。化学物質及び廃棄物の分野における他の環境に関する多数国間協定との協力及び調整は、技術援助及びその提供の有効性を高めるために追求されるべきである。
3 先進締約国及び自国の能力に応じて他の締約国は、開発途上締約国、特に後発開発途上国及び開発途上にある島嶼国並びに移行経済締約国がこの条約を効果的に実施する能力を強化するため、これらの締約国のための最新の環境上適正な代替技術の開発、移転、普及及び取得の機会の提供について、適当な場合には民間部門その他の利害関係者の支援を得て促進し、及び円滑にする。
4 締約国会議は、その第二回会合までに及びその後は定期的に、締約国からの意見及び報告(第二十一条に規定する報告を含む。)並びに他の利害関係者によって提供された情報を考慮して、次のことを行う。
(a) 代替技術に関連する既存の自発的活動及び進歩に関する情報について検討すること。
(b) 代替技術に関する締約国、特に開発途上締約国のニーズについて検討すること。
(c) 技術移転において締約国、特に開発途上締約国が直面する課題を特定すること。
5 締約国会議は、能力形成、技術援助及び技術移転をこの条に基づいていかなる方法で一層強化することができるかについて勧告する。

第十五条 実施及び遵守に関する委員会
1 この条約の全ての規定の実施を促進し、及び遵守を再検討するため、締約国会議の補助機関としての委員会(以下「委員会」という。)を含む仕組みをこの条約により設ける。委員会を含むこの仕組みは、円滑化を図るためのものとし、各締約国の能力及び事情に特別の注意を払う。
2 委員会は、この条約の全ての規定の実施を促進し、及び遵守を再検討する。委員会は、実施及び遵守に関する個別の及び組織的な事項を審査し、並びに適当な場合には締約国会議に勧告する。
3 委員会は、国際連合の五の地域に基づいて地理的に衡平に代表されることに妥当な考慮を払った上で、締約国によって指名され、締約国会議によって選出される十五人の委員により構成される。最初の委員は、締約国会議の第一回会合において選出され、その後は5の規定に基づいて締約国会議が承認した手続規則に従って選出される。委員会の委員は、この条約に関する分野における能力を有し、及び専門的知識の適当な均衡を反映させたものとする。
4 委員会は、次のものに基づいて問題を検討することができる。
(a) 締約国による自国の遵守に関する意見書
(b) 第二十一条の規定に基づく各国の報告
(c) 締約国会議による要請
5 委員会は、締約国会議の第二回会合において承認を得ることを条件として、委員会の手続規則を作成する。締約国会議は、委員会に関する更なる付託事項を採択することができる。
6 委員会は、コンセンサス方式により勧告を採択するためにあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらずコンセンサスに達しない場合には、勧告は、最後の解決手段として、定足数を委員の三分の二とし、出席し、かつ、投票する委員の四分の三以上の多数による議決で採択する。

第十六条健康に関する側面
1 締約国は、次のことを行うよう奨励される。
(a) 危険にさらされている人々、特に、被害を受けやすい人々を特定し、及び保護するための戦略及び計画の作成及び実施を促進すること。この戦略及び計画には、科学的根拠に基づく健康に関する指針であって、水銀及び水銀化合物への曝露に関連するものの採択、適当な場合には水銀への曝露を減少させるための目標の設定並びに公衆のための教育(公衆衛生その他の関係する部門の参加を得たもの)を含めることができる。
(b) 科学的根拠に基づく教育及び予防に関する計画であって、水銀及び水銀化合物への業務上の曝露に関するものの作成及び実施を促進すること。
(c) 水銀又は水銀化合物への曝露によって影響を受ける人々に対する予防、治療及びケアのための適当な保健サービスを促進すること。
(d) 適当な場合には、水銀及び水銀化合物への曝露に関連する健康上の危険の防止、診断、治療及び監視のため、制度的能力及び保健専門家の能力を確立し、及び強化すること。
2 締約国会議は、健康に関する事項又は活動を考慮するに当たり、次のことを行うべきである。
(a) 世界保健機関、国際労働機関及び適当な場合には関連する他の政府間機関と協議し、及び協力すること。
(b) 世界保健機関、国際労働機関及び適当な場合には関連する他の政府間機関との協力及び情報の交換を促進すること。

第十七条情報の交換
1 締約国は、次の情報の交換を円滑にする。
(a) 水銀及び水銀化合物に関する科学的、技術的及び経済的な情報並びに法律に関する情報(毒物学上及び生態毒物学上の情報並びに安全性に関する情報を含む。)
(b) 水銀及び水銀化合物の製造、使用、貿易、排出及び放出の削減又は廃絶に関する情報
(c) 次のものの技術的及び経済的に実行可能な代替に関する情報(その代替に関する健康及び環境に対する危険並びに経済的及び社会的な費用及び効果についての情報を含む。)
(ⅰ) 水銀添加製品
(ⅱ) 水銀又は水銀化合物を使用する製造工程
(ⅲ) 水銀又は水銀化合物を排出し、又は放出する活動及び工程
(d) 水銀及び水銀化合物への曝露に伴う健康に対する影響についての疫学的情報であって、世界保健機関及び適当な場合には関連する他の機関との緊密な協力におけるもの
2 締約国は、1に規定する情報を直接に、事務局を通じて又は適当な場合には化学物質及び廃棄物に関する条約の事務局を含む関連する他の機関との協力を通じて、交換することができる。
3 事務局は、この条に規定する情報の交換における協力及び環境に関する多数国間協定の事務局その他国際的な自発的活動を含む関連する機関との協力を円滑にする。当該情報は、締約国からの情報のほかに、水銀の分野に専門的知識を有する政府間機関、非政府機関並びに国内的及び国際的な機関からの情報を含む。
4 締約国は、この条約に基づく情報の交換(輸入締約国の第三条の規定に基づく同意に関するものを含む。)のための国内の中央連絡先を指定する。
5 この条約の適用上、人の健康及び安全並びに環境に関する情報は、秘密のものとされない。この条約に基づいて他の情報を交換する締約国は、相互の合意により秘密の情報を保護する。

第十八条 公衆のための情報、啓発及び教育
1 締約国は、その能力の範囲内で、次の活動を促進し、及び円滑にする。
(a) 次のものに関する利用可能な情報を公衆に提供すること。
(i) 水銀及び水銀化合物の健康及び環境への影響
(ii) 水銀及び水銀化合物の代替物質
(iii) 前条1に規定する事項
(iv) 次条の規定に基づく研究、開発及び監視の活動の結果
(v) この条約に基づく義務を履行するための活動
(b) 適当な場合には、関連する政府間機関及び非政府機関並びに被害を受けやすい人々との協力の下に、水銀及び水銀化合物への曝露が人の健康及び環境に及ぼす影響に関連する教育、訓練及び啓発を行うこと。
2 締約国は、人の活動を通じて排出され、放出され、又は処分される水銀及び水銀化合物の年間推定量に関する情報の収集及び普及のため、既存の制度を利用し、又は制度(適用可能な場合には汚染物質の排出及び移動についての登録等の制度)を設けることを考慮する。

第十九条 研究、開発及び監視
1 締約国は、自国の事情及び能力を考慮して、次のものの開発及び改良のため協力することに努める。
(a) 水銀及び水銀化合物の使用、消費、大気への人為的な排出並びに水及び土壌への人為的な放出に関する目録
(b) 被害を受けやすい人々及び環境媒体(魚類、海産哺乳動物、うみがめ類、鳥類等の生物的な媒体を含む。)における水銀及び水銀化合物の水準の数理的モデル化及び地理的に代表的な監視並びに関連する適当なサンプルの収集及び交換における協力
(c) 水銀及び水銀化合物による社会的、経済的及び文化的な影響に加え、人の健康及び環境に対する影響(特に、被害を受けやすい人々に関するもの)についての評価
(d) (a)から(c)までの規定に基づいて行われる活動のための調和のとれた方法
(e) 生態系の範囲における水銀及び水銀化合物の環境サイクル並びに自然の作用による移動(長距離にわたる移動及び堆積を含む。)、変換及び運命に関する情報であって、水銀の排出及び放出が人為的であるか天然であるかの区別並びに歴史的な堆積からの水銀の再移動について妥当な考慮を払ったもの
(f) 水銀及び水銀化合物並びに水銀添加製品の商取引及び貿易に関する情報
(g) 水銀を含まない製品及び工程の技術的及び経済的な利用可能性に関する情報及び研究並びに水銀及び水銀化合物の排出及び放出の削減及び監視のための利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行に関する情報及び研究
2 締約国は、適当な場合には、1に規定する活動の実施に当たり、既存の監視網及び研究計画を基礎とすべきである。

第二十条 実施計画
1 締約国は、当初の評価の後、国内の事情を考慮して、この条約の義務を履行するために実施計画を作成し、及び実施することができる。当該実施計画については、作成の後、速やかに事務局に提出すべきである。
2 締約国は、国内の事情を考慮し、かつ、締約国会議による手引その他の関連する手引を参照して、自国の実施計画を再検討し、及び更新することができる。
3 締約国は、1及び2に規定する作業を行うに当たり、自国の実施計画の作成、実施、再検討及び更新を円滑にするため、国内の利害関係者と協議すべきである。
4 締約国は、また、この条約の実施を円滑にするため、地域の計画についても調整することができる。

第二十一条 報告
1 締約国は、この条約を実施するためにとった措置並びにこの条約の目的を達成する上での当該措置の有効性及び生じ得る課題について、事務局を通じて締約国会議に報告する。
2 締約国は、第三条、第五条及び第七条から第九条までに定める情報を自国の報告に含める。
3 締約国会議は、その第一回会合において、関連する他の化学物質及び廃棄物に関する条約との間で報告を調整することが望ましいことを考慮して、締約国が従う報告の時期と様式について決定する。

第二十二条 有効性の評価
1 締約国会議は、この条約の効力発生の日から六年以内に及びその後は締約国会議が決定する間隔で定期的に、この条約の有効性を評価する。
2 締約国会議は、評価を円滑にするため、その第一回会合において、環境における水銀及び水銀化合物の存在及び移動に関する比較可能な監視に基づくデータ並びに生物的な媒体及び被害を受けやすい人々に認められる水銀及び水銀化合物の水準の傾向に関する比較可能な監視に基づくデータの提供を受けるための取決めを行うことを開始する。
3 評価は、次のものを含む利用可能な科学、環境、技術、資金及び経済に関する情報に基づいて実施される。
(a) 2の規定により締約国会議に提供される報告その他の監視に基づく情報
(b) 前条の規定により提供される報告
(c) 第十五条の規定に従って提供される情報及び勧告
(d) この条約に基づいて設ける資金援助、技術移転及び能力形成の取決めを運用することについての報告その他の関連する情報

第二十三条 締約国会議
1 この条約により締約国会議を設置する。
2 締約国会議の第一回会合は、国際連合環境計画事務局長がこの条約の効力発生の日の後一年以内に招集する。その後は、締約国会議の通常会合は、締約国会議が決定する一定の間隔で開催する。
3 締約国会議の特別会合は、締約国会議が必要と認めるとき又はいずれかの締約国から書面による要請がある場合において、事務局が当該要請を締約国に通報した後六箇月以内に締約国の少なくとも三分の一がその要請を支持するときに開催する。
4 締約国会議は、その第一回会合において、締約国会議及びその補助機関の手続規則及び財政規則並びに事務局の任務の遂行のための財政規定をコンセンサス方式により合意し、及び採択する。
5 締約国会議は、この条約の実施について絶えず再検討し、及び評価する。締約国会議は、この条約により課された任務を遂行するものとし、このため、次のことを行う。
(a) この条約の実施に必要と認める補助機関を設置すること。
(b) 適当な場合には、能力を有する国際機関並びに政府間及び非政府の団体と協力すること。
(c) 第二十一条の規定に基づいて締約国会議及び事務局に利用可能となった全ての情報を定期的に再検討すること。
(d) 実施及び遵守に関する委員会が締約国会議に提出する勧告を検討すること。
(e) この条約の目的を達成するために必要な追加の措置を検討し、及びとること。
(f) 第四条及び第五条の規定に従って附属書A及び附属書Bを再検討すること。
6 国際連合、その専門機関及び国際原子力機関並びにこの条約の締約国でない国は、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。この条約が対象とする事項について認められた団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府若しくは非政府のもののいずれであるかを問わない。)であって、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを希望する旨事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の三分の一以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席することを認められる。オブザーバーの出席及び参加については、締約国会議が採択する手続規則に従う。

第二十四条 事務局
1 この条約により事務局を設置する。
2 事務局は、次の任務を遂行する。
(a) 締約国会議の会合及びその補助機関の会合を準備すること並びに必要に応じてこれらの会合に役務を提供すること。
(b) 要請に応じ、締約国(特に開発途上締約国及び移行経済締約国)がこの条約を実施するに当たり、当該締約国に対する支援を円滑にすること。
(c) 適当な場合には、関係国際団体の事務局、特に他の化学物質及び廃棄物に関する条約の事務局との調整を行うこと。
(d) この条約の実施に関する情報の交換について締約国を支援すること。
(e) 第十五条及び第二十一条の規定に基づいて受領した情報その他の利用可能な情報に基づく定期的な報告を作成し、及び締約国に利用可能にすること。
(f) 締約国会議の全般的な指導の下に、事務局の任務の効果的な遂行のために必要な事務的な及び契約上の取決めを行うこと。
(g) その他この条約に定める事務局の任務及び締約国会議が決定する任務を遂行すること。
3 この条約の事務局の任務は、締約国会議が、出席し、かつ、投票する締約国の四分の三以上の多数による議決により、一又は二以上の他の国際機関に事務局の任務を委任することについて決定しない限り、国際連合環境計画事務局長が遂行する。
4 締約国会議は、適当な国際団体と協議の上、事務局と他の化学物質及び廃棄物に関する条約の事務局との間の協力及び調整の拡充について定めることができる。締約国会議は、適当な国際団体と協議の上、この事項について追加的な指導を行うことができる。

第二十五条 紛争の解決
1 締約国は、この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争を交渉又は紛争当事国が選択するその他の平和的手段により解決するよう努める。
2 地域的な経済統合のための機関でない締約国は、この条約の解釈又は適用に関する紛争について、同一の義務を受諾する締約国との関係において次の紛争解決手段の一方又は双方を義務的なものとして認めることをこの条約の批准、受諾若しくは承認若しくはこれへの加入の際に又はその後いつでも、寄託者に対し書面により宣言することができる。
(a) 附属書E第一部に規定する手続による仲裁
(b) 国際司法裁判所への紛争の付託
3 地域的な経済統合のための機関である締約国は、2の規定に基づく手続による仲裁に関して同様の効果を有する宣言を行うことができる。
4 2又は3の規定に基づいて行われる宣言は、当該宣言に付した期間が満了するまで又は書面による当該宣言の撤回の通告が寄託者に寄託された後三箇月が経過するまでの間、効力を有する。
5 宣言の期間の満了、宣言の撤回の通告又は新たな宣言は、紛争当事国が別段の合意をしない限り、仲裁裁判所又は国際司法裁判所において進行中の手続に何ら影響を及ぼすものではない。
6 紛争当事国が2又は3の規定に従って同一の紛争解決手段を受け入れている場合を除くほか、いずれかの紛争当事国が他方の紛争当事国に対して紛争が存在する旨の通告を行った後十二箇月以内にこれらの紛争当事国が1に規定する手段を通じて当該紛争を解決することができなかった場合には、当該紛争は、いずれかの紛争当事国の要請により調停委員会に付託される。附属書E第二部に規定する手続は、この条に基づく調停について適用する。

第二十六条 この条約の改正
1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。
2 この条約の改正は、締約国会議の会合において採択する。改正案は、その採択が提案される会合の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。事務局は、改正案をこの条約の署名国及び参考のため寄託者にも通報する。
3 締約国は、この条約の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、締約国会議の会合において、出席し、かつ、投票する締約国の四分の三以上の多数による議決で採択する。
4 採択された改正は、寄託者が全ての締約国に対し批准、受諾又は承認のために送付する。
5 改正の批准、受諾又は承認は、寄託者に対して書面により通告する。3の規定に従って採択された改正は、当該改正が採択された時に締約国であった締約国の少なくとも四分の三が批准書、受諾書又は承認書を寄託した日の後九十日目の日に、当該改正に拘束されることに同意した締約国について効力を生ずる。その後は、当該改正は、他の締約国が当該改正の批准書、受諾書又は承認書を寄託した日の後九十日目の日に当該他の締約国について効力を生ずる。

第二十七条 附属書の採択及び改正
1 この条約の附属書は、この条約の不可分の一部を成すものとし、「この条約」というときは、別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。
2 この条約が効力を生じた後に採択される追加の附属書は、手続的、科学的、技術的又は事務的な事項に限定される。
3 この条約の追加の附属書の提案、採択及び効力発生については、次の手続を適用する。
(a) 追加の附属書は、前条1から3までに定める手続を準用して提案され、及び採択される。
(b) 締約国は、追加の附属書を受諾することができない場合には、その旨を、寄託者が当該追加の附属書の採択について通報した日から一年以内に、寄託者に対して書面により通告する。寄託者は、受領した通告を全ての締約国に遅滞なく通報する。締約国は、いつでも、先に行った追加の附属書を受諾しない旨の通告を撤回することを寄託者に対して書面により通告することができる。この場合において、当該追加の附属書は、(c)の規定に従って、当該締約国について効力を生ずる。
(c) 追加の附属書は、寄託者による当該追加の附属書の採択の通報の日から一年を経過した時に、(b)の規定に基づく受諾しない旨の通告を行わなかった全ての締約国について効力を生ずる。
4 この条約の附属書の改正の提案、採択及び効力発生については、この条約の追加の附属書の提案、採択及び効力発生と同一の手続に従う。ただし、附属書の改正が第三十条5の規定に従って当該附属書の改正に関する宣言を行った締約国について効力を生じない場合は、この限りでない。この場合には、当該改正は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書を当該締約国が寄託者に寄託した日の後九十日目の日に当該締約国について効力を生ずる。
5 追加の附属書又は附属書の改正がこの条約の改正に関連している場合には、当該追加の附属書又は附属書の改正は、この条約の当該改正が効力を生ずる時まで効力を生じない。

第二十八条 投票権
1 この条約の各締約国は、2に規定する場合を除くほか、一の票を有する。
2 地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使する。地域的な経済統合のための機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。
3 この条約は、二千十三年十月十日及び十一日に日本国の熊本において、その後は、二千十四年十月九日までニューヨークにある国際連合本部において、全ての国及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放しておく。

第三十条 批准、受諾、承認又は加入
1 この条約は、国及び地域的な経済統合のための機関により批准され、受諾され、又は承認されなければならない。この条約は、この条約の署名のための期間の終了の日の後は、国及び地域的な経済統合のための機関による加入のために開放しておく。批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。
2 この条約の締約国となる地域的な経済統合のための機関であってそのいずれの構成国も締約国となっていないものは、この条約に基づく全ての義務を負う。地域的な経済統合のための機関及びその一又は二以上の構成国がこの条約の締約国である場合には、当該地域的な経済統合のための機関及びその構成国は、この条約に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、当該地域的な経済統合のための機関及びその構成国は、この条約に基づく権利を同時に行使することができない。
3 地域的な経済統合のための機関は、この条約の規律する事項に関する自己の権限の範囲をこの条約の批准書、受諾書、承認書又は加入書において宣言する。また、地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲に関連する変更を寄託者に通報し、寄託者は、これを締約国に通報する。
4 国又は地域的な経済統合のための機関は、この条約の批准、受諾、承認又は加入の時に、この条約を実施するための自己の措置に関する情報を事務局に送付することが奨励される。
5 締約国は、自国の批准書、受諾書、承認書又は加入書において、附属書の改正がその批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する場合にのみ自国について効力を生ずる旨の宣言を行うことができる。

第三十一条 効力発生
1 この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
2 この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後にこれを批准し、受諾し、若しくは承認し、又はこれに加入する国又は地域的な経済統合のための機関については、当該国又は地域的な経済統合のための機関による批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
3 地域的な経済統合のための機関によって寄託される文書は、1及び2の規定の適用上、当該地域的な経済統合のための機関の構成国によって寄託されたものに追加して数えてはならない。

第三十二条 留保
 この条約には、いかなる留保も付することができない。

第三十三条 脱退
1 締約国は、自国についてこの条約が効力を生じた日から三年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面による脱退の通告を行うことにより、この条約から脱退することができる。
2 1に規定する脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日から一年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通告において指定されている日に効力を生ずる。

第三十四条 寄託者
 国際連合事務総長は、この条約の寄託者とする。

第三十五条 正文
 アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、寄託者に寄託する。

 以上の証拠として、下名は正当に委任を受けてこの条約に署名した。
 二千十三年十月十日に日本国の熊本で作成した。

   「ウィキソース」より

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jyoshisabetsutettpaijyouyak
 今日は、昭和時代後期の1985年(昭和60)に、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」に日本が批准し、日本において発効した日です。
 「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(じょしにたいするあらゆるけいたいのさべつのてっぱいにかんするじょうやく)は、政治参加、国籍、教育、雇用、保健、経済・社会活動など女性に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための措置を規定した条約で、「女子差別撤廃条約(婦人差別撤廃条約)」とも呼ばれてきました。「国連憲章」「世界人権宣言」「国際人権規約」の人権尊重を基調にして、1967年(昭和42)に採択された「女子に対する差別撤廃宣言」を充実するため、1979年(昭和54)の国連第34回総会で採択され、1981年(昭和56)に発効し、1982年(昭和57)には国連内に、各国における差別撤廃の進捗状況を審査する女子差別撤廃委員会が設置されます。
 日本では1980年(昭和55)に署名し、1984年(昭和59)の「国籍法」改正,1985年(昭和60)の「男女雇用機会均等法」制定、家庭科教育の見直しなどの後、同年7月25日に批准して、国内で発効しました。前文および30ヶ条から成り、政治的・経済的・社会的・文化的・市民的その他のあらゆる分野における男女同権を達成するために教育の分野も含めて、性差別の撤廃を規定し、締約国は女子に対するあらゆる差別を撤廃する政策を追求することに合意し、そのためのあらゆる適当な手段を遅滞なくとることが義務づけられています。2014年(平成26)9月現在、署名国は98ヶ国、締約国は189ヶ国となりました。
 以下に、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」1979年(昭和54)の国連第34回総会で採択、1981年(昭和56)発効

この条約の締約国は,
国際連合憲章が基本的人権,人間の尊厳及び価値並びに男女の権利の平等に関する信念を改めて確認していることに留意し,
世界人権宣言が,差別は容認することができないものであるとの原則を確認していること,並びにすべての人間は生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳及び権利について平等であること並びにすべての人は性による差別その他のいかなる差別もなしに同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明していることに留意し,
人権に関する国際規約の締約国がすべての経済的,社会的,文化的,市民的及び政治的権利の享有について男女に平等の権利を確保する義務を負っていることに留意し,
国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し,
更に,国際連合及び専門機関が採択した男女の権利の平等を促進するための決議,宣言及び勧告に留意し,
しかしながら,これらの種々の文書にもかかわらず女子に対する差別が依然として広範に存在していることを憂慮し,
女子に対する差別は,権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものであり,女子が男子と平等の条件で自国の政治的,社会的,経済的及び文化的活動に参加する上で障害となるものであり,社会及び家族の繁栄の増進を阻害するものであり,また,女子の潜在能力を自国及び人類に役立てるために完全に開発することを一層困難にするものであることを想起し,
窮乏の状況においては,女子が食糧,健康,教育,雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするものを享受する機会が最も少ないことを憂慮し,
衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し,
アパルトヘイト,あらゆる形態の人種主義,人種差別,植民地主義,新植民地主義,侵略,外国による占領及び支配並びに内政干渉の根絶が男女の権利の完全な享有に不可欠であることを強調し,
国際の平和及び安全を強化し,国際緊張を緩和し,すべての国(社会体制及び経済体制のいかんを問わない。)の間で相互に協力し,全面的かつ完全な軍備縮小を達成し,特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核軍備の縮小を達成し,諸国間の関係における正義,平等及び互恵の原則を確認し,外国の支配の下,植民地支配の下又は外国の占領の下にある人民の自決の権利及び人民の独立の権利を実現し並びに国の主権及び領土保全を尊重することが,社会の進歩及び発展を促進し,ひいては,男女の完全な平等の達成に貢献することを確認し,
国の完全な発展,世界の福祉及び理想とする平和は,あらゆる分野において女子が男子と平等の条件で最大限に参加することを必要としていることを確信し,
家族の福祉及び社会の発展に対する従来完全には認められていなかった女子の大きな貢献,母性の社会的重要性並びに家庭及び子の養育における両親の役割に留意し,また,出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではなく,子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し,
社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し,
女子に対する差別の撤廃に関する宣言に掲げられている諸原則を実施すること及びこのために女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃するための必要な措置をとることを決意して,
次のとおり協定した。

第1部

第1条
この条約の適用上,「女子に対する差別」とは,性に基づく区別,排除又は制限であつて,政治的,経済的,社会的,文化的,市民的その他のいかなる分野においても,女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し,享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。

第2条
締約国は,女子に対するあらゆる形態の差別を非難し,女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により,かつ,遅滞なく追求することに合意し,及びこのため次のことを約束する。
(a) 男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め,かつ,男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
(b) 女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること。
(c) 女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し,かつ,権限のある自国の裁判所その他の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。
(d) 女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え,かつ,公の当局及び機関がこの義務に従って行動することを確保すること。
(e) 個人,団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
(f) 女子に対する差別となる既存の法律,規則,慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(g) 女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。

第3条
締約国は,あらゆる分野,特に,政治的,社会的,経済的及び文化的分野において,女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として,女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

第4条
締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは,この条約に定義する差別と解してはならない。ただし,その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなってはならず,これらの措置は,機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。
締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは,差別と解してはならない。

第5条
締約国は,次の目的のためのすべての適当な措置をとる。
(a) 両性いずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため,男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。
(b) 家庭についての教育に,社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。あらゆる場合において,子の利益は最初に考慮するものとする。

第6条
締約国は,あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

第2部

第7条
締約国は,自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,女子に対して男子と平等の条件で次の権利を確保する。
(a) あらゆる選挙及び国民投票において投票する権利並びにすべての公選による機関に選挙される資格を有する権利
(b) 政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利
(c) 自国の公的又は政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加する権利

第8条
締約国は,国際的に自国政府を代表し及び国際機関の活動に参加する機会を,女子に対して男子と平等の条件でかついかなる差別もなく確保するためのすべての適当な措置をとる。

第9条
締約国は,国籍の取得,変更及び保持に関し,女子に対して男子と平等の権利を与える。締約国は,特に,外国人との婚姻又は婚姻中の夫の国籍の変更が,自動的に妻の国籍を変更し,妻を無国籍にし又は夫の国籍を妻に強制することとならないことを確保する。
締約国は,子の国籍に関し,女子に対して男子と平等の権利を与える。

第3部

第10条
締約国は,教育の分野において,女子に対して男子と平等の権利を確保することを目的として,特に,男女の平等を基礎として次のことを確保することを目的として,女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
(a) 農村及び都市のあらゆる種類の教育施設における職業指導,修学の機会及び資格証書の取得のための同一の条件。このような平等は,就学前教育,普通教育,技術教育,専門教育及び高等技術教育並びにあらゆる種類の職業訓練において確保されなければならない。
(b) 同一の教育課程,同一の試験,同一の水準の資格を有する教育職員並びに同一の質の学校施設及び設備を享受する機会
(c) すべての段階及びあらゆる形態の教育における男女の役割についての定型化された概念の撤廃を,この目的の達成を助長する男女共学その他の種類の教育を奨励することにより,また,特に,教材用図書及び指導計画を改訂すること並びに指導方法を調整することにより行うこと。
(d) 奨学金その他の修学援助を享受する同一の機会
(e) 継続教育計画(成人向けの及び実用的な識字計画を含む。)特に,男女間に存在する教育上の格差をできる限り早期に減少させることを目的とした継続教育計画を利用する同一の機会
(f) 女子の中途退学率を減少させること及び早期に退学した女子のための計画を策定すること。
(g) スポーツ及び体育に積極的に参加する同一の機会
(h) 家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の教育的情報(家族計画に関する情報及び助言を含む。)を享受する機会

第11条
締約国は,男女の平等を基礎として同一の権利,特に次の権利を確保することを目的として,雇用の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
(a) すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利
(b) 同一の雇用機会(雇用に関する同一の選考基準の適用を含む。)についての権利
(c) 職業を自由に選択する権利,昇進,雇用の保障並びに労働に係るすべての給付及び条件についての権利並びに職業訓練及び再訓練(見習,上級職業訓練及び継続的訓練を含む。)を受ける権利
(d) 同一価値の労働についての同一報酬(手当を含む。)及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評価に関する取扱いの平等についての権利
(e) 社会保障(特に,退職,失業,傷病,障害,老齢その他の労働不能の場合における社会保障)についての権利及び有給休暇についての権利
(f) 作業条件に係る健康の保護及び安全(生殖機能の保護を含む。)についての権利
締約国は,婚姻又は母性を理由とする女子に対する差別を防止し,かつ,女子に対して実効的な労働の権利を確保するため,次のことを目的とする適当な措置をとる。
(a) 妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。
(b) 給料又はこれに準ずる社会的給付を伴い,かつ,従前の雇用関係,先任及び社会保障上の利益の喪失を伴わない母性休暇を導入すること。
(c) 親が家庭責任と職業上の責務及び社会的活動への参加とを両立させることを可能とするために必要な補助的な社会的サービスの提供を,特に保育施設網の設置及び充実を促進することにより奨励すること。
(d) 妊娠中の女子に有害であることが証明されている種類の作業においては,当該女子に対して特別の保護を与えること。
この条に規定する事項に関する保護法令は,科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討するものとし,必要に応じて,修正し,廃止し,又はその適用を拡大する。

第12条
締約国は,男女の平等を基礎として保健サービス(家族計画に関連するものを含む。)を享受する機会を確保することを目的として,保健の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
1の規定にかかわらず,締約国は,女子に対し,妊娠,分べん及び産後の期間中の適当なサービス(必要な場合には無料にする。)並びに妊娠及び授乳の期間中の適当な栄養を確保する。

第13条
締約国は,男女の平等を基礎として同一の権利,特に次の権利を確保することを目的として,他の経済的及び社会的活動の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
(a) 家族給付についての権利
(b) 銀行貸付け,抵当その他の形態の金融上の信用についての権利
(c) レクリエーション,スポーツ及びあらゆる側面における文化的活動に参加する権利

第14条
締約国は,農村の女子が直面する特別の問題及び家族の経済的生存のために果たしている重要な役割(貨幣化されていない経済の部門における労働を含む。)を考慮に入れるものとし,農村の女子に対するこの条約の適用を確保するためのすべての適当な措置をとる。
締約国は,男女の平等を基礎として農村の女子が農村の開発に参加すること及びその開発から生ずる利益を受けることを確保することを目的として,農村の女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,これらの女子に対して次の権利を確保する。
(a) すべての段階における開発計画の作成及び実施に参加する権利
(b) 適当な保健サービス(家族計画に関する情報,カウンセリング及びサービスを含む。)を享受する権利
(c) 社会保障制度から直接に利益を享受する権利
(d) 技術的な能力を高めるために,あらゆる種類(正規であるかないかを問わない。)の訓練及び教育(実用的な識字に関するものを含む。)並びに,特に,すべての地域サービス及び普及サービスからの利益を享受する権利
(e) 経済分野における平等な機会を雇用又は自営を通じて得るために,自助的集団及び協同組合を組織する権利
(f) あらゆる地域活動に参加する権利
(g) 農業信用及び貸付け,流通機構並びに適当な技術を利用する権利並びに土地及び農地の改革並びに入植計画において平等な待遇を享受する権利
(h) 適当な生活条件(特に,住居,衛生,電力及び水の供給,運輸並びに通信に関する条件)を享受する権利

第4部

第15条
締約国は,女子に対し,法律の前の男子との平等を認める。
締約国は,女子に対し,民事に関して男子と同一の法的能力を与えるものとし,また,この能力を行使する同一の機会を与える。特に,締約国は,契約を締結し及び財産を管理することにつき女子に対して男子と平等の権利を与えるものとし,裁判所における手続のすべての段階において女子を男子と平等に取り扱う。
締約国は,女子の法的能力を制限するような法的効果を有するすべての契約及び他のすべての私的文書(種類のいかんを問わない。)を無効とすることに同意する。
締約国は,個人の移動並びに居所及び住所の選択の自由に関する法律において男女に同一の権利を与える。

第16条
締約国は,婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし,特に,男女の平等を基礎として次のことを確保する。
(a) 婚姻をする同一の権利
(b) 自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利
(c) 婚姻中及び婚姻の解消の際の同一の権利及び責任
(d) 子に関する事項についての親(婚姻をしているかいないかを問わない。)としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において,子の利益は至上である。
(e) 子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する同一の権利並びにこれらの権利の行使を可能にする情報,教育及び手段を享受する同一の権利
(f) 子の後見及び養子縁組又は国内法令にこれらに類する制度が存在する場合にはその制度に係る同一の権利及び責任。あらゆる場合において,子の利益は至上である。
(g) 夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)
(h) 無償であるか有償であるかを問わず,財産を所有し,取得し,運用し,管理し,利用し及び処分することに関する配偶者双方の同一の権利
児童の婚約及び婚姻は,法的効果を有しないものとし,また,婚姻最低年齢を定め及び公の登録所への婚姻の登録を義務付けるためのすべての必要な措置(立法を含む。)がとられなければならない。

第5部

第17条
この条約の実施に関する進捗状況を検討するために,女子に対する差別の撤廃に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は,この条約の効力発生の時は18人の,35番目の締約国による批准又は加入の後は23人の徳望が高く,かつ,この条約が対象とする分野において十分な能力を有する専門家で構成する。委員は,締約国の国民の中から締約国により選出するものとし,個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては,委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。
委員会の委員は,締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は,自国民の中から1人を指名することができる。
委員会の委員の最初の選挙は,この条約の効力発生の日の後6箇月を経過した時に行う。国際連合事務総長は,委員会の委員の選挙の日の遅くとも3箇月前までに,締約国に対し,自国が指名する者の氏名を2箇月以内に提出するよう書簡で要請する。同事務総長は,指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し,締約国に送付する。
委員会の委員の選挙は,国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。この会合は,締約国の3分の2をもって定足数とする。この会合においては,出席し,かつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で,かつ,過半数の票を得た指名された者をもって委員会に選出された委員とする。
委員会の委員は,4年の任期で選出される。ただし,最初の選挙において選出された委員のうち9人の委員の任期は,2年で終了するものとし,これらの9人の委員は,最初の選挙の後直ちに,委員会の委員長によりくじ引で選ばれる。
委員会の5人の追加的な委員の選挙は,35番目の批准又は加入の後,2から4までの規定に従って行う。この時に選出された追加的な委員のうち2人の委員の任期は,2年で終了するものとし,これらの2人の委員は,委員会の委員長によりくじ引で選ばれる。
締約国は,自国の専門家が委員会の委員としての職務を遂行することができなくなった場合には,その空席を補充するため,委員会の承認を条件として自国民の中から他の専門家を任命する。
委員会の委員は,国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い,同総会の承認を得て,国際連合の財源から報酬を受ける。
国際連合事務総長は,委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。

第18条
締約国は,次の場合に,この条約の実施のためにとった立法上,司法上,行政上その他の措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する報告を,委員会による検討のため,国際連合事務総長に提出することを約束する。
(a) 当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から1年以内
(b) その後は少なくとも4年ごと,更には委員会が要請するとき。
報告には,この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。

第19条
委員会は,手続規則を採択する。
委員会は,役員を2年の任期で選出する。

第20条
委員会は,第18条の規定により提出される報告を検討するために原則として毎年2週間を超えない期間会合する。
委員会の会合は,原則として,国際連合本部又は委員会が決定する他の適当な場所において開催する。

第21条
委員会は,その活動につき経済社会理事会を通じて毎年国際連合総会に報告するものとし,また,締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は,締約国から意見がある場合にはその意見とともに,委員会の報告に記載する。
国際連合事務総長は,委員会の報告を,情報用として,婦人の地位委員会に送付する。

第22条
専門機関は,その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し,代表を出す権利を有する。委員会は,専門機関に対し,その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。

第6部

第23条
この条約のいかなる規定も,次のものに含まれる規定であって男女の平等の達成に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。
(a) 締約国の法令
(b) 締約国について効力を有する他の国際条約又は国際協定
第24条
締約国は,自国においてこの条約の認める権利の完全な実現を達成するためのすべての必要な措置をとることを約束する。

第25条
この条約は,すべての国による署名のために開放しておく。
国際連合事務総長は,この条約の寄託者として指定される。
この条約は,批准されなければならない。批准書は,国際連合事務総長に寄託する。
この条約は,すべての国による加入のために開放しておく。加入は,加入書を国際連合事務総長に寄託することによって行う。

第26条
いずれの締約国も,国際連合事務総長にあてた書面による通告により,いつでもこの条約の改正を要請することができる。
国際連合総会は,1の要請に関してとるべき措置があるときは,その措置を決定する。

第27条
この条約は,20番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
この条約は,20番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については,その批准書又は加入書が寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。

第28条
国際連合事務総長は,批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し,かつ,すべての国に送付する。
この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は,認められない。
留保は,国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし,同事務総長は,その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は,受領された日に効力を生ずる。

第29条
この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争で交渉によって解決されないものは,いずれかの紛争当事国の要請により,仲裁に付される。仲裁の要請の日から6箇月以内に仲裁の組織について紛争当事国が合意に達しない場合には,いずれの紛争当事国も,国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に紛争を付託することができる。
各締約国は,この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に,1の規定に拘束されない旨を宣言することができる。他の締約国は,そのような留保を付した締約国との関係において1の規定に拘束されない。
2の規定に基づいて留保を付した締約国は,国際連合事務総長にあてた通告により,いつでもその留保を撤回することができる。

第30条
この条約は,アラビア語,中国語,英語,フランス語,ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし,国際連合事務総長に寄託する。

以上の証拠として,下名は,正当に委任を受けてこの条約に署名した。

   「外務省ホームページ」より

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1929年(昭和4)映画監督・映画製作者で、「日本映画の父」と呼ばれた牧野省三の命日詳細
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1955年(昭和30)日本住宅公団が設立される詳細
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 今日は、平成時代の1997年(平成9)に、「化学兵器禁止条約」が発効した日です。
 「化学兵器禁止条約」(かがくへいききんしじょうやく)は、化学兵器の開発、製造、貯蔵、使用を禁止する国際条約で、正式名称を「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」と言いました。1990年(平成2)8月にアメリカとソ連が協調して、「化学兵器破棄協定」を締結、さらに湾岸戦争後の1991年(平成3)、イラクによる大量の化学兵器製造が判明、化学兵器の拡散への懸念から、当時のブッシュ米大統領が化学兵器全廃を表明、1980年以来、難航していたジュネーブ軍縮会議の交渉が急進展します。
 そして、1992年(平成4)3月に国連軍縮会議において「化学兵器禁止条約」が採択されて、化学兵器の全面禁止を定め、化学兵器に関して一切の開発・生産・貯蔵・移転・使用を禁じました。1993年(平成5)1月13日にフランスのパリで調印され、1996年(平成8)11月に、アメリカ、中国を含む65ヶ国の批准(日本は1995年9月15日批准)により、180日後の1997年(平成9)4月29日に発効します。
 発効に伴い、オランダのハーグに化学兵器禁止機関(OPCW)が設置され、加盟国に対する定期的な査察を実施すると共に、10年以内に現存する化学兵器および化学兵器生産施設の全面破壊を行うこととなりました。2021年(令和3)1月現在、締約国数は193ヶ国ですが、イスラエル(署名国)、北朝鮮、エジプト及び南スーダンが未締結国となっています。
 以下に、「化学兵器禁止条約」の日本語訳(外務省による仮訳)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「化学兵器禁止条約」1993年(平成5)1月13日調印、1997年(平成9)4月29日発効

化学兵器の開発,生産,貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約

平成5年1月13日パリで作成、同日我が国署名、平成7年9月15日我が国批准書寄託

前 文

この条約の締約国は,
厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小(あらゆる種類の大量破壊兵器の禁止及び廃棄を含む )に向けての効果的な進展を図ることを決意し,
国際連合憲章の目的及び原則の実現に貢献することを希望し,
国際連合総会が,1925年6月17日にジュネーヴで署名された窒息性ガス,毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書(以下「1925年のジュネーヴ議定書」という )の原則及び目的に反するすべての行為を繰り返し非難してきたことを想起し,
この条約は,1925年のジュネーヴ議定書並びに1972年4月10日にロンドン,モスクワ及びワシントンで署名された細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の原則及び目的並びに同議定書及び同条約に基づく義務を再確認するものであることを認識し,
細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約第9条に規定する目標に留意し,
全人類のために,1925年のジュネーヴ議定書に基づく義務を補完するこの条約の実施によって化学兵器の使用の可能性を完全に無くすことを決意し,
戦争の方法としての除草剤の使用の禁止が関連する協定及び国際法の原則において定められていることを認識し,
化学の分野における成果は人類の利益のためにのみ使用されるべきであることを考慮し,
すべての締約国の経済的及び技術的発展を促進するため,この条約によって禁止されていない目的のために,化学に関する活動の分野における国際協力並びに科学的及び技術的情報の交換並びに化学物質の自由な貿易を促進することを希望し,
化学兵器の開発,生産,取得,貯蔵,保有,移譲及び使用の完全かつ効果的な禁止並びに廃棄が,これらの共通の目的を達成するために必要な措置であることを確信して,
次のとおり協定した。

第1条 一般的義務

1.締約国は,いかなる場合にも,次のことを行わないことを約束する。
(a)化学兵器を開発し,生産その他の方法によって取得し,貯蔵し若しくは保有し又はいずれかの者に対して直接若しくは間接に移譲すること。
(b)化学兵器を使用すること。
(c)化学兵器を使用するための軍事的な準備活動を行うこと。
(d)この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき,いずれかの者に対して,援助し,奨励し又は勧誘すること。
2.締約国は,この条約に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器を廃棄することを約束する。
3.締約国は,この条約に従い,他の締約国の領域内に遺棄したすべての化学兵器を廃棄することを約束する。
4.締約国は,この条約に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設を廃棄することを約束する。
5.締約国は,暴動鎮圧剤を戦争の方法として使用しないことを約束する。

第2条 定義及び基準

この条約の適用上,
1 「化学兵器」とは,次の物を合わせたもの又は次の物を個別にいう。 .
(a)毒性化学物質及びその前駆物質。ただし,この条約によって禁止されていない目的のためのものであり,かつ,種類及び量が当該目的に適合する場合を除く。
(b)弾薬類及び装置であって,その使用の結果放出されることとなる(a)に規定する毒性化学物質の毒性によって,死その他の害を引き起こすように特別に設計されたもの
(c)(b)に規定する弾薬類及び装置の使用に直接関連して使用するように特別に設計された装置
2 「毒性化学物質」とは,生命活動に対する化学作用により,人又は動物に対し,死,一時的に機能を著しく害する状態又は恒久的な害を引き起こし得る化学物質(原料及び製法のいかんを問わず,また,施設内,弾薬内その他のいかなる場所において生産されるかを問わない )。をいう。
(この条約の実施上,検証措置の実施のために特定された毒性化学物質は,化学物質に関する附属書の表に掲げる )。
3 「前駆物質」とは,
毒性化学物質の生産(製法のいかんを問わない )のいずれかの段階で関与する化学反応体 。をいうものとし,二成分又は多成分の化学系の必須成分を含む。
(この条約の実施上,検証措置の実施のために特定された前駆物質は,化学物質に関する附属書の表に掲げる )。
4 「二成分又は多成分の化学系の必須成分 (以下「必須成分」という )とは,最終生成物の 」。毒性を決定する上で最も重要な役割を果たし,かつ,二成分又は多成分の化学系の中で他の化学物質と速やかに反応する前駆物質をいう。
5 「老朽化した化学兵器」とは,次のものをいう。
(a)1925年より前に生産された化学兵器
(b)1925年から1946年までの間に生産された化学兵器であって,化学兵器として使用することができなくなるまでに劣化したもの
6 「遺棄化学兵器」とは,
1925年1月1日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器(老朽化した化学兵器を含む )をいう。 
7 「暴動鎮圧剤」とは,
化学物質に関する附属書の表に掲げていない化学物質であって,短時間で消失するような人
間の感覚に対する刺激又は行動を困難にする身体への効果を速やかに引き起こすものをいう。
8 「化学兵器生産施設」とは, 
(a)1946年1月1日以降のいずれかの時に,次の (i) に該当するものとして又は次の(ii)のために設計され,建造され又は使用された設備及びこれを収容する建物をいう。
(i)化学物質の生産段階( 技術の最終段階 )の一部であって,当該設備が稼働している時に物質の流れが次のいずれかの化学物質を含むもの
(1)化学物質に関する附属書の表1に掲げる化学物質
(2)化学兵器のために使用され得る他の化学物質であって,締約国の領域内又はその管轄
若しくは管理の下にあるその他の場所において,この条約によって禁止されていない目的のためには年間1トンを超える用途がないもの
(ⅱ)化学兵器の充填(特に,化学物質に関する附属書の表1に掲げる化学物質の弾薬類,装置又はばらの状態で貯蔵するための容器への充填,組立て式の二成分型弾薬類及び装置の部分を構成する容器への充填,組立て式の単一成分型弾薬類及び装置の部分を構成する化学物質充填子爆弾弾薬類への充填並びに充填された容器及び化学物質充填子爆弾弾薬類の弾薬類及び装置への搭載を含む )。
(b)もっとも,次のものを意昧するものではない。
(i)(a)(i)に規定する化学物質を合成するための生産能力を有する施設であって当該能力が1トン未満のもの
(ⅱ)(a)(i)に規定する化学物質をこの条約によって禁止されていない目的のための活動の不可避の副産物として生産し又は生産した施設。ただし,当該化学物質が総生産量の3パーセントを超えないこと並びに当該施設が実施及び検証に関する附属書(以下「検証附属書」という )に従って申告及び査察の対象となることを条件とする。 。
(ⅲ)この条約によって禁止されていない目的のために化学物質に関する附属書の表1に掲げる化学物質を生産する検証附属書第6部に規定する単一の小規模な施設
9 「この条約によって禁止されていない目的」とは,次のものをいう。 .
(a)工業,農業,研究,医療又は製薬の目的その他の平和的目的
(b)防護目的,すなわち,毒性化学物質及び化学兵器に対する防護に直接関係する目的
(c)化学兵器の使用に関連せず,かつ,化学物質の毒性を戦争の方法として利用するものではない軍事的目的
(d)国内の暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的
10 「生産能力」とは, .
関係する施設において実際に使用されている技術的工程又はこの工程がまだ機能していない場合には使用される予定の技術的工程に基づいて特定の化学物質を1年間に製造し得る量をいう。生産能力は,標示された能力又はこれが利用可能でない場合には設計上の能力と同一であるとみなす。標示された能力は,生産施設にとっての最大量を生産するための最適な条件の下における生産量であって,1又は2以上の実験によって証明されたものとする。設計上の能力は,標示された能力に対応する理論的に計算された生産量とする。
11 「機関」とは,第8条の規定に基づいて設立する化学兵器の禁止のための機関をいう。
12.第6条の規定の適用上,
(a)化学物質の「生産」とは,化学反応により化学物質を生成することをいう。
(b)化学物質の「加工」とは,化学物質が他の化学物質に転換することのない物理的な工程(例えば,調合,抽出,精製)をいう。
(c)化学物質の「消費」とは,化学物質が化学反応により他の化学物質に転換することをいう。

第3条 申 告

1.締約国は,この条約が自国について効力を生じた後30日以内に,機関に対して申告を行うものとし,当該申告において,
(a)化学兵器に関し,
(i)自国が化学兵器を所有するか否か若しくは占有するか否か又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に化学兵器が存在するか否かを申告する。
(ⅱ)検証附属書第4部(A)の1から3までの規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器の正確な所在地,総量及び詳細な目録を明示する。ただし,(ⅲ)に規定する化学兵器を除く。
(ⅲ)検証附属書第4部(A)4の規定に従い,他の国が所有し及び占有し,かつ,他の国の管轄又は管理の下にある場所に存在する化学兵器であって,自国の領域内にあるものを報告する。
(ⅳ)1946年1月1日以降自国が直接又は間接に化学兵器を移譲したか否か又は受領したか否かを申告し,及び検証附属書第4部(A)5の規定に従って化学兵器の移譲又は受領について明示する。
(ⅴ)検証附属書第4部(A)6の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器の廃棄のための全般的な計画を提出する。
(b)老朽化した化学兵器及び遺棄化学兵器に関し,
(i)自国の領域内に老朽化した化学兵器を有するか否かを申告し,及び検証附属書第4部(B)3の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する。
(ⅱ)自国の領域内に遺棄化学兵器が存在するか否かを申告し,及び検証附属書第4部(B)8の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する。
(ⅲ)他の国の領域内に化学兵器を遺棄したか否かを申告し,及び検証附属書第4部(B)10の規定に従ってすべての入手可能な情報を提供する。
(c)化学兵器生産施設に関し,
(i)1946年1月1日以降のいずれかの時に,自国が化学兵器生産施設を所有し若しくは占有するか否か若しくは所有し若しくは占有していたか否か又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に化学兵器生産施設が存在するか否か若しくは存在していたか否かを申告する。
(ⅱ) 検証附属書第5部1の規定に従い,1946年1月1日以降のいずれかの時に,自国が所有し若しくは占有し若しくは所有していた若しくは占有していた化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在し若しくは存在していた化学兵器生産施設を明示する。ただし,(ⅲ)に規定する化学兵器生産施設を除く。
(ⅲ)検証附属書第5部2の規定に従い,1946年1月1日以降のいずれかの時に,他の国が所有し及び占有し又は所有していた及び占有していた化学兵器生産施設であって,他の国の管轄又は管理の下にある場所に存在し又は存在していたもの(自国の領域内にあるものに限る )を報告する。 。
(ⅳ)1946年1月1日以降自国が直接又は間接に化学兵器の生産のための設備を移譲したか否か又は受領したか否かを申告し,及び検証附属書第5部の3から5までの規定に従って当該設備の移譲又は受領について明示する。
(ⅴ)検証附属書第5部6の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設の廃棄のための全般的な計画を提出する。
(ⅵ)検証附属書第5部1(i)の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設の閉鎖のためにとるべき措置を明示する。
(ⅶ)検証附属書第5部7の規定に従い,自国が所有し若しくは占有する化学兵器生産施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器生産施設を一時的に化学兵器の廃棄施設に転換する場合には,そのための全般的な計画を提出する。
(d)他の施設に関し,
自国が所有し若しくは占有する施設又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する施設であって,1946年1月1日以降主に化学兵器の開発のために設計され,建設され又は使用されたものの正確な所在地並びに活動の性質及び全般的な範囲を明示する。この申告には,特に,実験施設及び試験評価場を含める。
(e)暴動鎮圧剤に関し,暴動の鎮圧のために保有する化学物質の化学名,構造式及びケミカル・アブストラクツ・サービス(以下「CAS」という )登録番号が付されている場合には当該番号を明示する。この申告は,その内容に変更が生じた後30日以内に改定する。
2.この条の規定及び検証附属書第4部の関連規定は,1977年1月1日前に締約国の領域内に埋められた化学兵器であって引き続き埋められたままであるもの又は1985年1月1日前に海洋に投棄された化学兵器については,当該締約国の裁量により適用しないことができる。

第4条 化学兵器

1.この条の規定及びその実施のための詳細な手続は,締約国が所有し若しくは占有するすべての化学兵器又はその管轄若しくは管理の下にある場所に存在するすべての化学兵器について適用する。ただし,検証附属書第4部(B)の規定が適用される老朽化した化学兵器及び遺棄化学兵器を除く。
2.この条の規定を実施するための詳細な手続は,検証附属書に定める。
3.1に規定する化学兵器が貯蔵され又は廃棄されるすべての場所は,検証附属書第4部(A)の規定に従い,現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証の対象とする。
4.締約国は,現地査察を通じた申告の体系的な検証のため,前条1(a)の規定に基づく申告を行った後直ちに1に規定する化学兵器へのアクセスを認める。締約国は,その後,当該化学兵器のいずれも移動させてはならないものとし(化学兵器の廃棄施設への移動を除く ,体系 。)的な現地検証のため,当該化学兵器へのアクセスを認める。
5.締約国は,現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証のため,自国が所有し若しくは占有する化学兵器の廃棄施設及びその貯蔵場所又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器の廃棄施設及びその貯蔵場所へのアクセスを認める。
6.締約国は,検証附属書並びに合意された廃棄についての比率及び順序(以下「廃棄の規律」という )に従い,1に規定するすべての化学兵器を廃棄する。廃棄は,この条約が自国について効力を生じた後2年以内に開始し,この条約が効力を生じた後10年以内に完了する。締約国は,当該化学兵器をより速やかに廃棄することを妨げられない。
7.締約国は,次のことを行う。
(a)検証附属書第4部(A)29の規定に従い,1に規定する化学兵器の廃棄のための詳細な計画を各年の廃棄期間の開始の遅くとも60日前までに提出すること。その詳細な計画には,当該年の廃棄期間中に廃棄するすべての貯蔵されている化学兵器を含めるものとする。
(b)1に規定する化学兵器の廃棄のための自国の計画の実施状況に関する申告を毎年,各年の廃棄期間の満了の後60日以内に行うこと。
(c)廃棄の過程が完了した後30日以内に,1に規定するすべての化学兵器を廃棄したことを証明すること。
8.締約国は,6に規定する10年の廃棄のための期間が経過した後にこの条約を批准し又はこの条約に加入する場合には,1に規定する化学兵器をできる限り速やかに廃棄する。当該締約国のための廃棄の規律及び厳重な検証の手続については,執行理事会が決定する。
9.化学兵器に関する冒頭申告の後に締約国がその存在を知った化学兵器については,検証附属書第4部(A)の規定に従って,報告し,保全し及び廃棄する。
10.締約国は,化学兵器の輸送,試料採取,貯蔵及び廃棄に当たっては,人の安全を確保し及び環境を保護することを最も優先させる。締約国は,安全及び排出に関する自国の基準に従って,化学兵器の輸送,試料採取,貯蔵及び廃棄を行う。
11.締約国は,他の国が所有し若しくは占有する化学兵器又は他の国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器を自国の領域内に有する場合には,この条約が自国について効力を生じた後1年以内にこれらの化学兵器が自国の領域から撤去されることを確保するため,最大限度の努力を払う。これらの化学兵器が1年以内に撤去されない場合には,当該締約国は,機関及び他の締約国に対し,これらの化学兵器の廃棄のために援助を提供するよう要請することができる。
12.締約国は,2国間で又は技術事務局を通じて化学兵器の安全かつ効率的な廃棄のための方法及び技術に関する情報又は援助の提供を要請する他の締約国に対して協力することを約束する。
13.機関は,この条の規定及び検証附属書第4部(A)の規定に従って検証活動を行うに当たり,化学兵器の貯蔵及び廃棄の検証に関する締約国間の2国間又は多数国間の協定との不必要な重複を避けるための措置を検討する。
このため,執行理事会は,次のことを認める場合には,当該2国間又は多数国間の協定に従って実施する措置を補完する措置に検証を限定することを決定する。
(a)当該2国間又は多数国間の協定の検証に関する規定がこの条及び検証附属書第4部(A)の検証に関する規定に適合すること。
(b)当該2国間又は多数国間の協定の実施によってこの条約の関連規定の遵守が十分に確保されること。
(c)当該2国間又は多数国間の協定の締約国がその検証活動について機関に対し常時十分な情報の提供を行うこと。
14.執行理事会が13の規定に従って決定する場合には,機関は,13に規定する2国間又は多数国間の協定の実施を監視する権利を有する。
15.13及び14のいかなる規定も,締約国が前条,この条及び検証附属書第4部(A)の規定に従って申告を行う義務に影響を及ぼすものではない。
16.締約国は,自国が廃棄の義務を負う化学兵器の廃棄の費用を負担する。また,締約国は,執行理事会が別段の決定を行う場合を除くほか,当該化学兵器の貯蔵及び廃棄の検証の費用を負担する。執行理事会が13の規定に従い機関の検証措置を限定することを決定した場合には,機関が行う補完的な検証及び監視の費用については,第8条7に規定する国際連合の分担率に従って支払う。
17.この条の規定及び検証附属書第4部の関連規定は,1977年1月1日前に締約国の領域内に埋められた化学兵器であって引き続き埋められたままであるもの又は1985年1月1日前に海洋に投棄された化学兵器については,当該締約国の裁量により適用しないことができる。

第5条 化学兵器生産施設

1.この条の規定及びその実施のための詳細な手続は,締約国が所有し若しくは占有するすべての化学兵器生産施設又はその管轄若しくは管理の下にある場所に存在するすべての化学兵器生産施設について適用する。
2.この条の規定を実施するための詳細な手続は,検証附属書に定める。
3.1に規定するすべての化学兵器生産施設は,検証附属書第5部の規定に従い,現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証の対象とする。
4.締約国は,閉鎖のために必要な活動を除くほか,1に規定する化学兵器生産施設におけるすべての活動を直ちに停止する。
5.いかなる締約国も,化学兵器の生産又はこの条約によって禁止されているその他のすべての活動のため,新たな化学兵器生産施設を建設してはならず,又は既存の施設を変更してはならない。
6.締約国は,現地査察を通じた申告の体系的な検証のため,第3条1(c)の規定に基づく申告を行った後直ちに1に規定する化学兵器生産施設へのアクセスを認める。
7.締約国は,次のことを行う。
(a)この条約が自国について効力を生じた後90日以内に1に規定するすべての化学兵器生産施設を検証附属書第5部の規定に従って閉鎖し,その旨を通報すること。
(b)1に規定する化学兵器生産施設の閉鎖の後,当該施設が引き続き閉鎖されていること及びその後に廃棄されることを確保するため,現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証のために当該施設へのアクセスを認めること。
8.締約国は,検証附属書並びに合意された廃棄についての比率及び順序(以下「廃棄の規律」という )に従い,1に規定するすべての化学兵器生産施設並びに関連する施設及び設備を廃棄する。廃棄は,この条約が自国について効力を生じた後1年以内に開始し,この条約が効力を生じた後10年以内に完了する。締約国は,当該化学兵器生産施設並びに関連する施設及び設備をより速やかに廃棄することを妨げられない。
9.締約国は,次のことを行う。
(a)1に規定する化学兵器生産施設の廃棄のための詳細な計画を各施設の廃棄の開始の遅くとも180日前までに提出すること。
(b)1に規定するすべての化学兵器生産施設の廃棄のための自国の計画の実施状況に関する申告を毎年,各年の廃棄期間の満了の後90日以内に行うこと。
(c)廃棄の過程が完了した後30日以内に,1に規定するすべての化学兵器生産施設を廃棄したことを証明すること。
10.締約国は,8に規定する10年の廃棄のための期間が経過した後にこの条約を批准し又はこの条約に加入する場合には,1に規定する化学兵器生産施設をできる限り速やかに廃棄する。
当該締約国のための廃棄の規律及び厳重な検証の手続については,執行理事会が決定する。
11.締約国は,化学兵器生産施設の廃棄に当たっては,人の安全を確保し及び環境を保護することを最も優先させる。締約国は,安全及び排出に関する自国の基準に従って化学兵器生産施設を廃棄する。
12.1に規定する化学兵器生産施設は,検証附属書第5部の18から25までの規定に従って化学兵器の廃棄のために一時的に転換することができる。転換した施設については,化学兵器の廃棄のために使用しなくなった場合には速やかに,いかなる場合にもこの条約が効力を生じた後10年以内に廃棄しなければならない。
13.締約国は,やむを得ず必要となる例外的な場合には,この条約によって禁止されていない目的のために1に規定する化学兵器生産施設を使用するための承認を要請することができる。
締約国会議は,検証附属書第5部Dの規定に従い,執行理事会の勧告に基づき,当該要請を承認するか否かを決定し,及び承認のための条件を定める。
14.化学兵器生産施設は,工業,農業,研究,医療又は製薬の目的その他の平和的目的のために使用する施設であって,化学物質に関する附属書の表1に掲げる化学物質に関係しないものよりも,化学兵器生産施設に再転換する可能性が高くならないように転換する。
15.すべての転換した施設は,検証附属書第5部Dの規定に従い,現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証の対象とする。
16.機関は,この条の規定及び検証附属書第5部の規定に従って検証活動を行うに当たり,化学兵器生産施設及びその廃棄の検証に関する締約国間の2国間又は多数国間の協定との不必要な重複を避けるための措置を検討する。
このため,執行理事会は,次のことを認める場合には,当該2国間又は多数国間の協定に従って実施する措置を補完する措置に検証を限定することを決定する。
(a)当該2国間又は多数国間の協定の検証に関する規定がこの条及び検証附属書第5部の検証に関する規定に適合すること。
(b)当該2国間又は多数国間の協定の実施によってこの条約の関連規定の遵守が十分に確保されること。
(c)当該2国間又は多数国間の協定の締約国がその検証活動について機関に対し常時十分な情報の提供を行うこと。
17.執行理事会が16の規定に従って決定する場合には,機関は,16に規定する2国間又は多数国間の協定の実施を監視する権利を有する。
18.16及び17のいかなる規定も,締約国が第3条,この条及び検証附属書第5部の規定に従って申告を行う義務に影響を及ぼすものではない。
19.締約国は,自国が廃棄の義務を負う化学兵器生産施設の廃棄の費用を負担する。また,締約国は執行理事会が別段の決定を行う場合を除くほか,この条の規定に基づく検証の費用を負担する。執行理事会が16の規定に従い機関の検証措置を限定することを決定した場合には,機関が行う補完的な検証及び監視の費用については,第8条7に規定する国際連合の分担率に従って支払う。

第6条 この条約によって禁止されていない活動

1.締約国は,この条約に従い,この条約によって禁止されていない目的のため毒性化学物質及びその前駆物質を開発し,生産その他の方法によって取得し,保有し,移譲し及び使用する権利を有する。
2.締約国は,毒性化学物質及びその前駆物質が,自国の領域内又は自国の管轄若しくは管理の下にあるその他の場所において,この条約によって禁止されていない目的のためにのみ開発され,生産その他の方法によって取得され,保有され,移譲され及び使用されることを確保するために必要な措置をとる。このため及びこれらの活動がこの条約に規定する義務に適合していることを検証するため,締約国は,化学物質に関する附属書の表1から表3までに掲げる毒性化学物質及びその前駆物質並びにこのような化学物質に関係する施設及び検証附属書に規定するその他の施設であって,自国の領域内又は自国の管轄若しくは管理の下にあるその他の場所に存在するものを検証附属書に規定する検証措置の対象とする。
3.締約国は,化学物質に関する附属書の表1に掲げる化学物質(以下「表1の化学物質」という )を検証附属書第6部に規定する生産,取得,保有,移譲及び使用の禁止の対象とする。
締約国は,検証附属書第6部の規定に従い,表1の化学物質及び同附属書第6部に規定する施設を現地査察及び現地に設置する機器による監視を通じた体系的な検証の対象とする。
4.締約国は,検証附属書第7部の規定に従い,化学物質に関する附属書の表2に掲げる化学物質(以下「表2の化学物質」という )及び検証附属書第7部に規定する施設を資料による監視及び現地検証の対象とする。
5.締約国は,検証附属書第8部の規定に従い,化学物質に関する附属書の表3に掲げる化学物質(以下「表3の化学物質」という )及び検証附属書第8部に規定する施設を資料による監視及び現地検証の対象とする。
6.締約国は,検証附属書第9部22の規定に従って締約国会議が別段の決定を行う場合を除くほか,同附属書第9部の規定に従い,同附属書第9部に規定する施設を資料による監視及び最終的には現地検証の対象とする。
7.締約国は,この条約が自国について効力を生じた後30日以内に,検証附属書に従い,関連する化学物質及び施設に関する冒頭申告を行う。
8.締約国は,検証附属書に従い,関連する化学物質及び施設に関する年次申告を行う。
9.締約国は,現地検証のため,検証附属書に従って査察員に対して施設へのアクセスを認める。
10.技術事務局は,検証活動を行うに当たり,この条約によって禁止されていない目的のための締約国の化学に関する活動に対する不当な干渉を回避し,及び特に,秘密情報の保護に関する附属書(以下「秘密扱いに関する附属書」という )に定める規定を遵守する。
11.この条の規定については,締約国の経済的又は技術的発展及びこの条約によって禁止されていない目的のための化学に関する活動の分野における国際協力(この条約によって禁止されていない目的のための化学物質の生産,加工又は使用に関する科学的及び技術的情報,化学物質並びに装置の国際的な交換を含む )を妨げないように実施する。

第7条 国内の実施措置

一般的約束
1.締約国は,自国の憲法上の手続に従い,この条約に基づく自国の義務を履行するために必要な措置をとる。締約国は,特に,次のことを行う。
(a)自国の領域内のいかなる場所又は国際法によって認められる自国の管轄の下にあるその他のいかなる場所においても,自然人及び法人がこの条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことを禁止すること(当該活動に対する罰則を規定する法令を制定することを含む 。。)
(b)自国の管理の下にあるいかなる場所においても,この条約によって締約国に対して禁止されている活動を認めないこと。
(c)自国の国籍を有する自然人が行った活動(場所のいかんを問わない )であってこの条約によって締約国に対して禁止されているものに対し,国際法に従い,(a)の規定に従って制定する罰則を規定する法令を適用すること。
2.締約国は,1の規定に基づく義務の履行を容易にするため,他の締約国と協力し,及び適当な形態の法律上の援助を与える。
3.締約国は,この条約に基づく自国の義務を履行するに当たっては,人の安全を確保し及び環境を保護することを最も優先させるものとし,適当な場合にはこの点に関して他の締約国と協力する。
締約国と機関との関係
4.締約国は,この条約に基づく自国の義務を履行するため,機関及び他の締約国との効果的な連絡のための国内の連絡先となる国内当局を指定し又は設置する。締約国は,この条約が自国について効力を生ずる時に自国の国内当局を機関に通報する。
5.締約国は,この条約を実施するためにとる立法措置及び行政措置を機関に通報する。
6.締約国は,この条約の実施に関連して機関から秘密のものとして受領する情報及び資料を秘密情報として取り扱い,並びに当該情報及び資料に対し特別の取扱いを行う。締約国は,当該情報及び資料を,この条約に基づく自国の権利及び義務との関連においてのみ利用するものとし,秘密扱いに関する附属書に定める規定に従って取り扱う。
7.締約国は,機関のすべての任務の遂行に当たって機関に協力すること及び特に技術事務局に対する援助をすることを約束する。

第8条 機 関

A.一般規定
1.締約国は,この条約の趣旨及び目的を達成し,この条約の規定(この条約の遵守についての国際的な検証に関する規定を含む )の実施を確保し並びに締約国間の協議及び協力のための場を提供するため,この条約により化学兵器の禁止のための機関を設立する。
2.すべての締約国は,機関の加盟国となる。締約国は,機関の加盟国としての地位を奪われることはない。
3.機関の本部の所在地は,オランダ王国へーグとする。
4.機関の内部機関として,締約国会議,執行理事会及び技術事務局をこの条約により設置する。
5.機関は,できる限り干渉の程度が低く,かつ,検証活動の目的の適時の及び効果的な達成に合致する方法で,この条約に規定する検証活動を行う。機関は,この条約に基づく自己の責任を果たすために必要な情報及び資料のみを要請する。機関は,この条約の実施を通じて知るに至った非軍事上及び軍事上の活動及び施設に関する情報の秘密を保護するためにすべての措置をとるものとし,特に,秘密扱いに関する附属書に定める規定を遵守する。
6.機関は,その検証活動を行うに当たり,科学及び技術の進歩を利用するための措置を検討する。
7.機関の活動に要する費用は,国際連合と機関との間の加盟国の相違を考慮して調整される国際連合の分担率に従い並びに第4条及び第5条に定めるところにより,締約国が支払う。準備委員会に対する締約国の財政的負担については,適当な方法により,機関の通常予算に対する当該締約国の分担金から控除する。機関の予算は,運営費その他の費用に関連するもの及び検証の費用に関連するものの2の別個の項目から成る。
8.機関に対する分担金の支払が延滞している機関の加盟国は,その未払の額が当該年に先立つ2年の間に当該加盟国から支払われるべきであった分担金の額に等しい場合又はこれを超える場合には,機関において投票権を有しない。ただし,締約国会議は,支払の不履行が当該加盟国にとってやむを得ない事情によると認めるときは,当該加盟国に投票を許すことができる。
B.締約国会議
構成,手続及び意思決定
9.締約国会議(以下「会議」という )は,機関のすべての加盟国により構成する。各加盟国は,会議において1人の代表を有するものとし,その代表は,代表代理及び随員を伴うことができる。
10.会議の第1回会期は,この条約が効力を生じた後30日以内に寄託者が招集する。
11.会議は,別段の決定を行う場合を除くほか,毎年通常会期として会合する。
12.会議の特別会期は,
(a)会議が決定する場合
(b)執行理事会が要請する場合
(c)いずれかの加盟国が要請し,かつ,加盟国の3分の1が支持する場合
(d)22の規定に従ってこの条約の運用について検討する場合
次のいずれかの場合に開催される。この場合において,(d)に規定する場合を除くほか,開催の要請において別段の明示がない限り,技術事務局の事務局長がその要請を受領した後30日以内に開催される。
13.会議は,また,第15条2の規定に従って改正会議として開催される。
14.会議の会期は,会議が別段の決定を行う場合を除くほか,機関の所在地で開催される。
15.会議は,その手続規則を採択する。会議は,各通常会期の始めに,議長及び他の必要な役員を選出する。これらの者は,次の通常会期において新たな議長及び他の役員が選出されるまで在任する。
16.会議の定足数は,機関の加盟国の過半数とする。
17.機関の各加盟国は,会議において1の票を有する。
18.会議は,出席しかつ投票する加盟国の単純多数による議決で手続事項についての決定を行う。実質事項についての決定は,できる限りコンセンサス方式によって行うべきである。決定に当たりコンセンサスが得られない場合には,議長は,いかなる投票も24時間延期し,この間にコンセンサスの達成を容易にするためのあらゆる努力を払い,及び当該24時間の終了の前に会議に対して報告する。当該24時間の終了の時にコンセンサスが得られない場合には,会議は,この条約に別段の定めがある場合を除くほか,出席しかつ投票する加盟国の3分の2以上の多数による議決で決定を行う。実質事項であるか否かについて問題が生ずる場合には,会議が実質事項についての決定に必要な多数による議決で別段の決定を行わない限り,実質事項として取り扱う。
権限及び任務
19.会議は,機関の主要な内部機関であり,この条約の範囲内のいかなる問題又は事項(執行理事会及び技術事務局の権限及び任務に関するものを含む )も検討する。会議は,締約国が提起し又は執行理事会が注意を喚起するこの条約に関するいかなる問題又は事項についても,勧告及び決定を行うことができる。
20.会議は,この条約の実施を監督し,並びにその趣旨及び目的を推進するために行動する。
会議は,この条約の遵守状況を検討する。会議は,執行理事会及び技術事務局の活動も監督するものとし,この条約に従いこれらのいずれの内部機関に対してもその任務の遂行に関し指針を与えることができる。
21.会議は,次のことを行う。
(a)執行理事会が提出する機関の報告,計画及び予算を通常会期において検討し及び採択し並びに他の報告を検討すること。
(b)7の規定に従って締約国が支払う分担金の率につき決定すること。
(c)執行理事会の理事国を選出すること。
(d)技術事務局の事務局長(以下「事務局長」という )を任命すること。
(e)執行理事会が提出する執行理事会の手続規則を承認すること。
(f)この条約に従い会議がその任務を遂行するために必要と認める補助機関を設置すること。
(g)平和的目的のために,化学に関する活動の分野における国際協力を促進すること。
(h)この条約の運用に影響を及ぼし得る科学的及び技術的発展を検討すること。このため,事務局長がその任務の遂行に当たり会議,執行理事会又は締約国に対してこの条約に関連する科学及び技術の分野における専門的な助言を行うことができるようにするために,科学諮問委員会を設置することを事務局長に指示すること。科学諮問委員会は,会議が採択する付託事項に従って任命される独立した専門家で構成する。
(i)第1回会期において,準備委員会が作成する協定案,規則案及び指針案を検討し及び承認すること。
(j)第1回会期において,第10条の規定による援助のための任意の基金を設置すること。
(k)第12条の規定に従い,この条約の遵守を確保し並びにこの条約に違反する事態を是正し及び改善するため,必要な措置をとること。
22.会議は,この条約が効力を生じた後5年及び10年が経過した後1年以内に並びに会議が決定する場合にはその期間内の他の時期に,この条約の運用について検討するため特別会期を開催する。その検討においては,関連する科学的及び技術的発展を考慮する。その後は,別段の決定が行われる場合を除くほか,同様の目的を有する会議の特別会期は,5年ごとに開催される。
C.執行理事会
構成,手続及び意思決定
23.執行理事会は,41の理事国により構成する。締約国は,輪番の原則に従い,理事国としての任務を遂行する権利を有する。理事国は,2年の任期で会議が選出する。特に,衡平な地理的配分,化学産業の重要性並びに政治上及び安全保障上の利益に十分な考慮を払い,この条約が効果的に機能することを確保するため,執行理事会の構成は,次のとおりとする。
(a)アフリカ地域の締約国が指名する9のアフリカの締約国。この指名の基礎として,これらの9の締約国のうち,3の国は,原則として,国際的に報告され及び公表されている資料によって当該地域において最も重要であると決定される国内化学産業を有する締約国とするものとする。更に,当該地域の集団は,これらの3の理事国を指名するに当たり,他の地域的要素も考慮することに同意する。
(b)アジア地域の締約国が指名する9のアジアの締約国。この指名の基礎として,これらの9の締約国のうち,4の国は,原則として,国際的に報告され及び公表されている資料によって当該地域において最も重要であると決定される国内化学産業を有する締約国とするものとする。更に,当該地域の集団は,これらの4の理事国を指名するに当たり,他の地域的要素も考慮することに同意する。
(c)東欧地域の締約国が指名する5の東欧の締約国。この指名の基礎として,これらの5の締約国のうち,1の国は,原則として,国際的に報告され及び公表されている資料によって当該地域において最も重要であると決定される国内化学産業を有する締約国とするものとする。
更に,当該地域の集団は,この1の理事国を指名するに当たり,他の地域的要素も考慮することに同意する。
(d)ラテン・アメリカ及びカリブ地域の締約国が指名する7のラテン・アメリカ及びカリブの締約国。この指名の基礎として,これらの7の締約国のうち,3の国は,原則として,国際的に報告され及び公表されている資料によって当該地域において最も重要であると決定される国内化学産業を有する締約国とするものとする。更に,当該地域の集団は,これらの3の理事国を指名するに当たり,他の地域的要素も考慮することに同意する。
(e)西欧及び他の国の地域の締約国が指名する10の西欧及び他の国の地域の締約国。この指名の基礎として,これらの10の締約国のうち,5の国は,原則として,国際的に報告され及び公表されている資料によって当該地域において最も重要であると決定される国内化学産業を有する締約国とするものとする。更に,当該地域の集団は,これらの5の理事国を指名するに当たり,他の地域的要素も考慮することに同意する。
(f)アジア地域並びにラテン・アメリカ及びカリブ地域の締約国が連続して指名する更に1の締約国。この指名の基礎として,当該締約国は,両地域から交互に選出されるものとする。
24.執行理事会の第1回の選挙においては,23に規定する定められた理事国の数の割合に十分な考慮を払い,選出される理事国のうち20の理事国の任期を1年とする。
25.第4条及び第5条の規定が完全に実施された後,会議は,執行理事会の理事国の過半数の要請により,執行理事会の構成を規律する23に規定する原則に関係する進展を考慮し,その構成を再検討することができる。
26.執行理事会は,その手続規則を作成し,承認のためこれを会議に提出する。
27.執行理事会は,その議長を理事国より選出する。
28.執行理事会は,通常会期として会合するほか,通常会期と通常会期との間においては,その権限及び任務の遂行のため必要に応じて会合する。
29.執行理事会の各理事国は,1の票を有する。執行理事会は,この条約に別段の定めがある場合を除くほか,すべての理事国の3分の2以上の多数による議決で実質事項についての決定を行う。執行理事会は,すべての理事国の単純多数による議決で手続事項についての決定を行う。実質事項であるか否かについて問題が生ずる場合には,執行理事会が実質事項についての決定に必要な多数による議決で別段の決定を行わない限り,実質事項として取り扱う。
権限及び任務
30.執行理事会は,機関の執行機関である。執行理事会は,会議に対して責任を負う。執行理事会は,この条約によって与えられる権限及び任務並びに会議によって委任される任務を遂行する。執行理事会は,これらを遂行するに当たり,会議の勧告,決定及び指針に従って行動し,並びにこれらの勧告,決定及び指針の適切かつ継続的な実施を確保する。
31.執行理事会は,この条約の効果的な実施及び遵守を促進する。執行理事会は,技術事務局の活動を監督し,締約国の国内当局と協力し,並びに締約国の要請に応じて締約国間の協議及び協力を促進する。
32.執行理事会は,次のことを行う。
(a)機関の計画案及び予算案を検討し及び会議に提出すること。
(b)この条約の実施に関する機関の報告案,執行理事会の活動に関する報告及び執行理事会が必要と認める特別報告又は会議が要請する場合には当該要請による特別報告を検討し及び会議に提出すること。
(c)会議の会期のための準備(議題案の作成を含む )を行うこと。 
33.執行理事会は,会議の特別会期の開催を要請することができる。
34.執行理事会は,次のことを行う。
(a)会議が事前に承認することを条件として,機関に代わって国及び国際機関と協定又は取決めを締結すること。
(b)第10条の規定に関連して機関に代わって締約国と協定を締結し及び同条に規定する任意の基金を監督すること。
(c)技術事務局が締約国と交渉する検証活動の実施に関する協定又は取決めを承認すること。
35.執行理事会は,その権限の範囲内のいかなる問題又は事項であってこの条約及びその実施に影響を及ぼすもの(この条約の遵守についての懸念及び違反を含む )も検討し並びに,適当な場合には,締約国に通報し及び当該問題又は事項について会議の注意を喚起する。
36.執行理事会は,この条約の遵守についての疑義又は懸念及び違反(特に,この条約に規定する権利の濫用を含む )を検討するに当たり,関係締約国と協議し及び,適当な場合には,当該締約国に対し,一定の期間内に事態を是正するために措置をとるよう要請する。執行理事会は,更に行動が必要であると認める場合には,特に,次の1又は2以上の措置をとる。
(a)すべての締約国に対し問題又は事項を通報する。
(b)問題又は事項について会議の注意を喚起する。
(c)事態を是正し及びこの条約の遵守を確保するための措置に関して会議に対し勧告を行う。
執行理事会は,特に重大かつ緊急な場合には,問題又は事項(関連する情報及び判断を含む )につき,直接に,国際連合総会及び国際連合安全保障理事会の注意を喚起する。執行理事会は,同時に,すべての締約国に対しこの措置を通報する。
D.技術事務局
37.技術事務局は,会議及び執行理事会が任務を遂行するに当たり,会議及び執行理事会を補佐する。技術事務局は,この条約に規定する検証措置を実施する。技術事務局は,この条約によって与えられるその他の任務並びに会議及び執行理事会によって委任される任務を遂行する。
38.技術事務局は,次のことを行う。
(a)機関の計画案及び予算案を作成し及び執行理事会に提出すること。
(b)この条約の実施に関する機関の報告案及び会議又は執行理事会が要請する場合には他の報告を作成し及び執行理事会に提出すること。
(c)会議,執行理事会及び補助機関に対し,運営上及び技術上の援助を提供すること。
(d)この条約の実施に関する事項につき,機関に代わり,締約国に対し通報し及び締約国からの通報を受けること。
(e)この条約の実施に当たり,技術上の援助及び評価(化学物質に関する附属書の表に掲げる化学物質及び掲げていない化学物質の評価を含む )を締約国に対して提供すること。
39.技術事務局は,次のことを行う。
(a)執行理事会が承認することを条件として,検証活動の実施に関する協定又は取決めにつき締約国と交渉すること。
(b)この条約が効力を生じた後180日以内に,第10条7の(b)及び(c)の規定に基づき,締約国による緊急の及び人道上の援助の常設的な備蓄の設置及び維持について調整すること。
技術事務局は,常備されている援助が使用に供し得ることを検査することができる。常備されるべき援助の一覧表は,21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
(c)第10条に規定する任意の基金を管理し,締約国が行う申告を取りまとめ及び,要請がある場合には,同条の規定の実施のために締約国間で締結する2国間協定又は締約国と機関との間で締結する協定を登録すること。
40.技術事務局は,任務の遂行に関連して生じた問題(検証活動の実施に当たり知るに至ったこの条約の遵守についての疑義,あいまいな点又は不確かな点であって,当該締約国との間の協議により解消することができなかったものを含む )を執行理事会に通報する。 。
41.技術事務局は,技術事務局の長でありかつ首席行政官である事務局長,査察員及び科学要員,技術要員その他の必要な人員により構成する。
42.査察部は,技術事務局の1の組織であり,事務局長の監督の下で行動する。
43.事務局長は,執行理事会の勧告に基づき4年の任期で会議が任命する。その任期は,1回に限り更新することができる。
44.事務局長は,技術事務局の職員の任命,組織及び任務の遂行につき会議及び執行理事会に対して責任を負う。職員の雇用及び勤務条件の決定に当たっては,最高水準の能率,能力及び誠実性を確保することの必要性に最大の考慮を払う。締約国の国民のみが,事務局長,査察員並びに他の専門職員及び事務職員となる。できる限り広範な地理的基礎に基づいて職員を採用することが重要であることについて,十分な考慮を払う。職員の採用に当たっては,技術事務局の責任を適切に遂行するために職員を必要な最小限度に保つという原則を指針とする。
45.事務局長は,21(h)に規定する科学諮問委員会の組織及び任務について責任を負う。事務局長は,締約国と協議の上,個人の資格において職務を遂行する科学諮問委員会の委員を任命する。当該委員は,この条約の実施に関連する特定の科学の分野における専門的知識に基づいて任命する。事務局長は,また,適当な場合には,科学諮問委員会の委員と協議の上,特定の問題について勧告を行うための科学専門家の暫定的な作業部会を設置することができる。これに関連して,締約国は,事務局長に対して専門家の名簿を提出することができる。
46.事務局長及び査察員その他の職員は,その任務の遂行に当たって,いかなる政府からも又は機関外のいかなるところからも指示を求め又は受けてはならない。これらの者は,会議及び執行理事会に対してのみ責任を有する国際公務員としての立場に影響を及ぼすおそれのあるいかなる行動も慎まなければならない。
47.締約国は,事務局長及び査察員その他の職員の責任の専ら国際的な性質を尊重するものとし,これらの者が責任を果たすに当たってこれらの者を左右しようとしてはならない。
E.特権及び免除
48.機関は,締約国の領域内又はその管轄若しくは管理の下にあるその他の場所において,機関の任務の遂行のために必要な法律上の能力並びに特権及び免除を享受する。
49.締約国の代表,その代表代理及び随員並びに執行理事会のために任命された代表,その代表代理及び随員並びに事務局長及び機関の職員は,機関に関連する自己の任務を独立して遂行するために必要な特権及び免除を享受する。
50.この条に規定する法律上の能力,特権及び免除については,機関と締約国との間の協定及び機関と機関の本部が所在する国との間の協定で定める。これらの協定は,21(i)の規定に従って会議が検討し及び承認する。
51.48及び49の規定にかかわらず,検証活動が行われている間事務局長及び技術事務局の職員が享受する特権及び免除については,検証附属書第2部Bに定める。

第9条 協議,協力及び事実調査

1.締約国は,この条約の趣旨及び目的又は実施に関連して問題が生ずる場合には,当該問題について,締約国間で直接に又は機関を通じて若しくは他の適当な国際的手続(国際連合の枠内で及び国際連合憲章に従って行われる手続を含む )により,協議し及び協力する。 。
2.締約国は,この条約の遵守について疑義を引き起こす問題又はあいまいと認められる関連する事項について懸念を引き起こす問題を,まず締約国間の情報交換及び協議により明らかにし及び解決するため,可能なときはいつでもあらゆる努力を払うべきである。もっとも,すべての締約国の申立てによる査察を要請する権利は害されない。締約国は,このような疑義又は懸念を引き起こすと他の締約国が認める問題を明らかにするよう当該他の締約国から要請される場合には,できる限り速やかに,いかなる場合にも当該要請の後10日以内に,当該他の締約国に対し,提起された疑義又は懸念に答えるために十分な情報を提供し,及びその情報がどのようにして当該問題を解決するかについての説明を行う。この条約のいかなる規定も,2以上の締約国が,遵守について疑義を引き起こす問題又はあいまいと認められる関連する事項について懸念を引き起こす問題を明らかにし及び解決するため,相互の合意により締約国間で査察その他の手続について取り決める権利に影響を及ぼすものではない。このような取決めは,この条約の他の規定に基づく締約国の権利及び義務に影響をお及ぼすものではない。
事態を明らかにするための説明を要請する手続
3.締約国は,あいまいと認められる事態又は他の締約国によるこの条約の違反の可能性について懸念を引き起こす事態を明らかにするに当たって援助するよう執行理事会に要請する権利を有する。執行理事会は,このような懸念に関連する自己の保有する適当な情報を提供する。
4.締約国は,あいまいと認められる事態又は他の締約国によるこの条約の違反の可能性について懸念を引き起こす事態を明らかにするための説明を当該他の締約国から得るよう執行理事会に要請する権利を有する。この場合において,次の規定を適用する。
(a)執行理事会は,事務局長を通じ,説明の要請の受領の後24時間以内に当該他の締約国に対しこれを送付する。
(b)説明の要請を受けた締約国は,できる限り速やかに,いかなる場合にも要請の受領の後10日以内に,執行理事会に説明を行う。
(c)執行理事会は,(b)の規定に従って行われた説明に留意し,当該説明の受領の後24時間以内に説明の要請を行った締約国に対しこれを送付する。
(d)説明の要請を行った締約国が(b)の規定に従って行われた説明が十分でないと認める場合には,当該締約国は,説明の要請を受けた締約国から更に説明を得るよう執行理事会に要請する権利を有する。
(e)(d)の規定により更に説明を得るため,執行理事会は,事務局長に対し,懸念を引き起こす事態に関連するすべての利用可能な情報及び資料を検討するために,技術事務局の職員により構成される専門家の会合又は技術事務局において適当な職員を利用することができない場合には技術事務局の職員以外の専門家の会合を設置するよう要請することができる。専門家の会合は,その検討結果に基づく事実関係についての報告を執行理事会に提出する。
(f)説明の要請を行った締約国が(d)及び(e)の規定に基づいて得た説明が十分でないと認める場合には,当該締約国は,執行理事会の理事国でない関係締約国が参加することのできる執行理事会の特別会期を要請する権利を有する。執行理事会は,当該特別会期において,この問題を検討し,及び事態を解決するために適当と認める措置を勧告することができる。
5.締約国は,また,自国についてあいまいと認められた事態又は自国によるこの条約の違反の可能性について懸念を引き起こした事態について明らかにするよう執行理事会に要請する権利を有する。執行理事会は,これに対し,適当と認める援助を提供する。
6.執行理事会は,この条に規定する説明の要請について締約国に通報する。
7.締約国は,この条約の違反の可能性について自国が提起した疑義又は懸念が,説明の要請を執行理事会に提出した後60日以内に解消されなかった場合又はこのような疑義が緊急な検討を正当化するに足りるものであると信ずる場合には,前条12(c)の規定に基づき,会議の特別会期を要請することができる。もっとも,申立てによる査察を要請する当該締約国の権利は害されない。会議は,当該特別会期において,この問題を検討し,及び事態を解決するために適当と認める措置を勧告することができる。
申立てによる査察のための手続
8.締約国は,この条約の違反の可能性についての問題を明らかにし及び解決することのみを目的として他の締約国の領域内又は他の締約国の管轄若しくは管理の下にあるその他の場所におけるいかなる施設又は区域に対しても申立てによる現地査察を要請する権利並びにこの査察がいかなる場所においても事務局長が指名する査察団により遅滞なく,かつ,検証附属書に従って行われることを求める権利を有する。
9.締約国は,査察の要請をこの条約の範囲内で行う義務を負い,及びこの条約の違反の可能性について懸念を引き起こす基礎となったすべての適当な情報を検証附属書に従って当該査察の要請の中で提供する義務を負う。締約国は,濫用を避けるために注意を払い,根拠のない査察の要請を慎まなければならない。申立てによる査察は,この条約の違反の可能性に関係する事実を決定することのみを目的として行う。
10.この条約の遵守の検証のため,締約国は,技術事務局が8の規定に従い申立てによる現地査察を行うことを認める。
11.被査察締約国は,施設又は区域に対する申立てによる査察の要請及び検証附属書に規定する手続に従い,次の椎利を有し,又は義務を負う。
(a)自国によるこの条約の遵守を証明するためにあらゆる合理的な努力を払う権利及び義務並びにこのために査察団がその査察命令を遂行することができるようにする権利及び義務
(b)専らこの条約の違反の可能性についての懸念に関連する事実を確認することを目的として,要請される施設又は区域内へのアクセスを認める義務
(c)この条約に関係しない機微に係る設備を保護し並びにこの条約に関係しない秘密の情報及び資料の開示を防止するための措置をとる権利
12.オブザーバーについては,次の規定を適用する。
(a)要請締約国は,被査察締約国の同意を得て,自国又は第3の締約国のいずれか一方の国民である代表者を申立てによる査察の実施に立ち会わせるために派遣することができる。
(b)(a)の場合において,被査察締約国は,検証附属書に従ってオブザーバーに対してアクセスを認める。
(c)被査察締約国は,原則として,提案されたオブザーバーを受け入れる。ただし,被査察締約国が拒否する場合には,その事実は,最終報告に記録される。
13.要請締約国は,執行理事会に対し申立てによる現地査察のための査察の要請を行い,また,速やかな手続の開始のために同時に事務局長に対して当該要請を行う。
14.事務局長は,直ちに,査察の要請が検証附属書第10部4に定める要件を満たすことを確認し及び,必要な場合には,要請締約国が当該要件に従って査察の要請を行うことを援助する。
査察の要請が当該要件を満たす場合には,申立てによる査察のための準備を開始する。
15.事務局長は,被査察締約国に対し,査察団の入国地点への到着予定時刻の少なくとも12時間前までに,査察の要請を伝達する。
16.執行理事会は,査察の要請を受領した後,当該要請に基づいて事務局長がとる措置に留意するものとし,査察が行われている間を通じてこの問題を検討する。ただし,執行理事会の検討は,査察を遅滞させるものであってはならない。
17.執行理事会は,査察の要請が根拠がなく,権利を濫用するものであり又は8に定めるこの条約の範囲を明らかに超えると認める場合には,査察の要請を受領した後12時間以内に,執行理事会のすべての理事国の4分の3以上の多数による議決で,申立てによる査察の実施に反対することを決定することができる。その決定には,要請締約国及び被査察締約国は参加してはならない。執行理事会が申立てによる査察について反対することを決定する場合には,査察のための準備は停止され,査察の要請に基づく新たな措置はとられず,及び関係締約国に対しその旨の通報が行われる。
18.事務局長は,申立てによる査察の実施のための査察命令を与える。査察命令は,8及び9に規定する査察の要請を遂行するためのものであり,かつ,査察の要請に適合するものとする。
19.申立てによる査察は,検証附属書第10部の規定に従い又は化学兵器の使用若しくは戦争の方法としての暴動鎮圧剤の使用の疑いがある場合には同附属書第11部の規定に従って行う。
査察団は,できる限り干渉の程度が低く,かつ,任務の効果的な及び適時の遂行に合致する方法で申立てによる査察を行うとの原則を指針とする。
20.被査察締約国は,申立てによる査察が行われている間を通じて,査察団を援助し,及びその任務の遂行を容易にする。被査察締約国は,検証附属書第10部Cの規定に従い,この条約の遵守を証明するための措置であって十分かつ包括的なアクセスに代わるものを提案する場合には,この条約の遵守を証明することを目的として事実を確認する方法について合意に達するため,査察団との協議を通じてあらゆる合理的な努力を払う。
21.最終報告には,事実関係の調査結果並びに申立てによる査察の十分な実施のために認められたアクセス及び協力の程度及び性質についての査察団による評価を含める。事務局長は,要請締約国,被査察締約国,執行理事会及び他のすべての締約国に対し,査察団の最終報告を速やかに送付する。事務局長は,更に,執行理事会に対し,要請締約国及び被査察締約国による評価並びに評価のため他の締約国の見解が事務局長に提出される場合には当該見解を速やかに送付し,その後これらをすべての締約国に送付する。
22.執行理事会は,その権限及び任務に従い,査察団の最終報告が提出された後直ちに当該最終報告を検討し,及び次の事項について検討する。
(a)違反があったか否か。
(b)査察の要請がこの条約の範囲内で行われたか否か。
(c)申立てによる査察を要請する権利が濫用されたか否か。
23.執行理事会は,その権限及び任務に従い,22の規定に関して更に措置が必要となるとの結論に到達する場合には,事態を是正し及びこの条約の遵守を確保するための適当な措置(会議に対する具体的な勧告を含む )をとる。要請する権利が濫用された場合には,執行理事会は,要請締約国が申立てによる査察の財政的負担の一部を負うべきであるか否かについて検討する。
24.要請締約国及び被査察締約国は,22に規定する検討に参加する権利を有する。執行理事会は,このような検討の結果につき,締約国に対し及び次の会期において会議に対し報告する。
25.執行理事会が会議に対して具体的な勧告を行った場合には,会議は,第12条の規定に従って措置を検討する。

第10条 援助及び化学兵器に対する防護

1.この条の規定の適用上 「援助」とは,化学兵器に対する防護(特に,探知装置及び警報装置,防護機具,除染装置及び除染剤,解毒剤及び治療並びにこれらの防護手段に関する助言を含む )につき調整し及び締約国に対しその防護を提供することをいう。 。
2.この条約のいかなる規定も,締約国が,この条約によって禁止されていない目的のため化学兵器に対する防護手段を研究し,開発し,生産し,取得し,移譲し又は使用する権利を妨げるものと解してはならない。
3.締約国は,化学兵器に対する防護手段に関する装置,資材並びに科学的及び技術的情報を可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束し,また,その交換に参加する権利を有する。
4.締約国は,防護目的に関係する自国の計画の透明性を増進するため,第8条21(i)の規定に基づき会議が検討し及び承認する手続に従い,毎年,当該計画に関する情報を技術事務局に提供する。
5.技術事務局は,要請する締約国の使用に供するため,化学兵器に対する各種の防護手段に関する自由に入手可能な情報及び締約国が提供する情報から成るデータバンクをこの条約が効力を生じた後180日以内に設置し及び維持する。
技術事務局は,また,その利用可能な資源の範囲内で,かつ,締約国の要請に応じ,締約国が化学兵器に対する防護能力の開発及び向上のための計画をいかなる方法で実施することができるかについて特定するに当たり,当該締約国に専門的な助言を行い,及び援助する。
6.この条約のいかなる規定も,締約国が,2国間で援助を要請し及び提供する権利並びに援助の緊急な調達に関して他の締約国と個別の協定を締結する権利を妨げるものと解してはならない。
7.締約国は,機関を通じて援助を提供すること及びこのため次の1又は2以上の措置を選択することを約束する。
(a)会議の第1回会期において設置される援助のための任意の基金に拠出すること。
(b)この条約が自国について効力を生じた後できる限り180日以内に,要請に基づく援助の調達に関して機関と協定を締結すること。
(c)この条約が自国について効力を生じた後180日以内に,機関の要請に応じ提供することのできる援助の種類を申告すること。締約国は,その後,申告した援助を提供することができなくなった場合にも,引き続き,この7の規定に従って援助を提供する義務を負う。
8.締約国は,次のことを認める場合には,援助及び化学兵器の使用又は使用の脅威に対する防護を要請し並びに9から11までに規定する手続に従ってこれらを受ける権利を有する。
(a)自国に対し化学兵器が使用されたこと。
(b)自国に対し暴動鎮圧剤が戦争の方法として使用されたこと。
(c)自国が,いずれかの国の措置又は活動であって,第1条の規定によって締約国に対し禁止されているものにより脅威を受けていること。
9.8の要請については,当該要請を裏付ける関連する情報を付して事務局長に対して行うものとし,事務局長は,当該要請を直ちに執行理事会及びすべての締約国に伝達する。事務局長は,当該要請を,7の(b)及び(c)の規定に従い,化学兵器の使用又は戦争の方法としての暴動鎮圧剤の使用の場合においては緊急の援助,化学兵器の使用又は戦争の方法としての暴動鎮圧剤の使用の重大な脅威の場合においては人道上の援助を要請の受領の後12時間以内に関係締約国に提供することを自発的に申し出た締約国に対し,直ちに伝達する。事務局長は,当該要請の受領の後24時間以内に,更にとるべき措置のための基礎を提供するために調査を開始する。事務局長は,72時間以内に調査を完了し,執行理事会に対し報告を提出する。調査を完了するために追加の期間を必要とする場合には,当該72時間以内に中間報告を提出する。調査に必要な当該追加の期間は,72時問を超えてはならない。ただし,同様の期間により更に1回又は2回以上の期間の追加をすることができる。各追加の期間の終了の時に執行理事会に報告を提出する。調査は,適当な場合には,要請及び要請に付された情報に従い,要請に関係する事実並びに必要とされる追加的な援助及び防護の種類及び範囲を確定する。
10.執行理事会は,調査の報告の受領の後24時間以内に事態を検討するために会合するものとし,技術事務局に対し追加的な援助を提供するよう指示するか否かを次の24時間以内に単純多数による議決で決定する。技術事務局は,すべての締約国及び関係国際機関に対し,当該報告及び執行理事会の決定を直ちに送付する。執行理事会が技術事務局に対し迫加的な援助を提供するよう指示することを決定する場合には,事務局長は,直ちに援助を提供する。このため,事務局長は,要請した締約国,他の締約国及び関係国際機関と協力することができる。締約国は,援助を提供するために可能な最大限度の努力をする。
11.化学兵器の使用による犠牲者が存在すること及び速やかな措置が不可欠であることが実施中の調査又は他の信頼し得る情報源からの入手可能な情報により十分に明らかとなる場合には,事務局長は,すべての締約国に通報するものとし,会議がこのような事態のために事務局長の利用に供した資源を用いて援助のための緊急措置をとる。事務局長は,この11の規定に従ってとる措置を常時執行理事会に通報する。

第11条 経済的及び技術的発展

1.この条約は,締約国の経済的又は技術的発展及びこの条約によって禁止されていない目的のための化学に関する活動の分野における国際協力(この条約によって禁止されていない目的のための化学物質の生産,加工又は使用に関する科学的及び技術的情報,化学物質並びに装置の国際的な交換を含む )を妨げないように実施する。 。
2.締約国は,この条約の規定に従うことを条件として,かつ,国際法の諸原則及び適用のある国際法の諸規則を害することなく,
(a)単独で又は共同して,化学物質を研究し,開発し,生産し,取得し,保有し,移譲し及び使用する権利を有する。
(b)この条約によって禁止されていない目的のための化学の開発及び利用に関係する化学物質,装置並びに科学的及び技術的情報を可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束し,また,その交換に参加する権利を有する。
(c)工業,農業,研究,医療又は製薬の目的その他の平和的目的のための化学の分野における貿易並びに科学的及び技術的知識の開発及び促進を妨げる制限(国際協定による制限を含む )であって,この条に基づく義務に反するものは,締約国間で維持してはならない。
(d)この条約に規定され又はこの条約が認める措置以外の措置を実施するための根拠としてこの条約を利用してはならず,及びこの条約に適合しない目的を追求するために他のいかなる国際協定も利用してはならない。
(e)この条約の趣旨及び目的に適合したものにすることを目的として,化学物質の貿易の分野における既存の国内法令を検討することを約束する。

第12条 事態を是正し及びこの条約の遵守を確保するための措置(制裁を含む )。

1.会議は,この条約の遵守を確保し並びにこの条約に違反する事態を是正し及び改善するため,2から4までに規定する必要な措置をとる。会議は,この1の規定に基づく措置を検討するに当たり,問題に関し執行理事会が提出するすべての情報及び勧告を考慮する。
2.締約国が,自国によるこの条約の遵守に関して問題を引き起こしている事態を是正する措置をとることを執行理事会により要請され,かつ,一定の期間内に当該要請に応ずることができなかった場合には,会議は,特に,執行理事会の勧告に基づき,当該締約国がこの条約に基づく義務に従うための必要な措置をとるまでの間,この条約に基づく当該締約国の権利及び特権を制限し又は停止することができる。
3.この条約の趣旨及び目的に対する重大な障害がこの条約(特に第1条の規定)によって禁止されている活動から生ずる可能性のある場合には,会議は,締約国に対して国際法に適合する集団的な措置を勧告することができる。
4.会議は,特に重大な場合には,問題(関連する情報及び判断を含む )につき,国際連合総会及び国際連合安全保障理事会の注意を喚起する。

第13条 他の国際協定との関係

この条約のいかなる規定も,1925年のジュネーヴ議定書並びに1972年4月10日にロンドン,モスクワ及びワシントンで署名された細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発,生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約に基づく各国の義務を限定し又は軽減するものと解してはならない。

第14条 紛争の解決

1.この条約の適用又は解釈に関して生ずる紛争は,この条約の関連規定に従い及び国際連合憲章の規定によって解決する。
2.この条約の解釈又は適用に関して2以上の締約国間で又は1若しくは2以上の締約国と機関との間で紛争が生ずる場合には,関係当事者は,交渉又は当該関係当事者が選択するその他の平和的手段(この条約に規定する適当な内部機関に対し提起すること及び合意により国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に付託することを含む )によって紛争を速やかに解決するため,協議する。関係締約国は,いかなる措置がとられるかについて常時執行理事会に通報する。
3.執行理事会は,執行理事会が適当と認める手段(あっせんを提供すること,紛争当事国である締約国に対し当該締約国が選択する解決のための手続を開始するよう要請すること及び合意された手続に従って解決するための期限を勧告することを含む )によって紛争の解決に貢献することができる。
4.会議は,締約国が提起し又は執行理事会が注意を喚起する紛争に関係する問題を検討する。会議は必要と認める場合には,第8条21(f)の規定に従い,これらの紛争の解決に関連して補助機関を設置し又は補助機関に任務を委託する。
5.会議及び執行理事会は,それぞれ,国際連合総会が許可することを条件として,機関の活動の範囲内において生ずる法律問題について勧告的意見を与えるよう国際司法裁判所に要請する権限を与えられる。このため,機関と国際連合との間の協定を第8条34(a)の規定に基づいて締結する。
6.この条の規定は,第9条の規定又は事態を是正し及びこの条約の遵守を確保するための措置(制裁を含む )に関する規定を害するものではない。

第15条 改 正

1.いずれの締約国も,この条約の改正を提案することができるものとし,また,4に規定するこの条約の附属書の修正を提案することができる。改正のための提案は,2及び3に規定する手続に従う。4に規定する修正のための提案は,5に規定する手続に従う。
2.改正案については,すべての締約国及び寄託者に対して回章に付するため事務局長に提出する。改正案は,改正会議においてのみ検討する。改正会議は,改正案の回章の後30日以内に,3分の1以上の締約国が改正案を更に検討することを支持する旨を事務局長に通報する場合に開催される。改正会議は,改正案の検討を要請する締約国が早期の開催を要請する場合を除くほか,会議の通常会期の後直ちに開催される。いかなる場合にも,改正会議は,改正案の回章の後60日を経過するまで開催されない。
3.改正は,次の(a)及び(b)の要件が満たされる場合には,(b)に規定するすべての締約国が批准書又は受諾書を寄託した後30日で,すべての締約国について効力を生ずる。
(a)改正会議において,いかなる締約国も反対票を投ずることなく,すべての締約国の過半数の賛成票により採択されること。
(b)改正会議において賛成票を投じたすべての締約国が批准し又は受諾すること。
4.この条約の実行可能性及び実効性を確保するため,附属書の規定は,修正案が運営上の又は技術的な性質の事項にのみ関連する場合には,5の規定に従って行われる修正の対象とする。
化学物質に関する附属書のすべての修正は,5の規定に従って行われる。秘密扱いに関する附属書のA及びCの規定,検証附属書第10部の規定並びに検証附属書第1部に規定する定義であって申立てによる査察にのみ関係するものは,5の規定に従って行われる修正の対象としない。
5.4に規定する修正については,次の手続に従って行う。
(a)修正案は,必要な情報と共に事務局長に送付する。すべての締約国及び事務局長は,当該修正案を評価するための追加の情報を提供することができる。事務局長は,すべての締約国,執行理事会及び寄託者に対し,当該修正案及び情報を速やかに通報する。
(b)事務局長は,修正案の受領の後60日以内に,この条約の規定及び実施に及ぼし得るすべての影響を把握するために当該修正案を評価するものとし,その結果についての情報をすべての締約国及び執行理事会に通報する。
(c)執行理事会は,すべての入手可能な情報に照らして修正案を検討する(当該修正案が4に定める要件を満たすか否かについての検討を含む 。執行理事会は,当該修正案の受領の 。)後90日以内に,適当な説明を付して,執行理事会の勧告を検討のためにすべての締約国に通報する。締約国は,10日以内にその受領を確認する。
(d)執行理事会がすべての締約国に対し修正案を採択することを勧告する場合において,いずれの締約国もその勧告の受領の後90日以内に異議を申し立てないときは,当該修正案については,承認されたものとみなす。執行理事会が修正案を拒否することを勧告する場合において,いずれの締約国もその勧告の受領の後90日以内に異議を申し立てないときは,当該修正案については,拒否されたものとみなす。
(e)執行理事会の勧告が(d)の規定に従って締約国によって受け入れられない場合には,会議は,次の会期において実質事項として修正案の承認についての決定(当該修正案が4に定める要件を満たすか否かについての判断を含む )を行う。 。
(f)事務局長は,この5の規定に基づく決定をすべての締約国及び寄託者に通報する。
(g)この5に定める手続に従って承認された修正は,他の期間を執行理事会が勧告し又は会議が決定する場合を除くほか,すべての締約国につき,事務局長が当該承認を通報した日の後180日で効力を生ずる。

第16条 有効期間及び脱退

1.この条約の有効期間は,無期限とする。
2.締約国は,この条約の対象である事項に関係する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には,その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。この権利を行使する締約国は,他のすべての締約国,執行理事会,寄託者及び国際連合安全保障理事会に対しその90日前にその旨を通告する。その通告には,自国の至高の利益を危うくしていると認める異常な事態についても記載する。
3.この条約からの締約国の脱退は,国際法の関連規則,特に1925年のジュネーヴ議定書に基づく義務を引き続き履行することについての国の義務に何ら影響を及ぼすものではない。

第17条 附属書の地位

附属書は,この条約の不可分の一部を成す 「この条約」というときは,附属書を含めていうものとする。

第18条 署 名

この条約は,効力を生ずる前はすべての国による署名のために開放しておく。

第19条 批 准

この条約は,署名国により,それぞれ自国の憲法上の手続に従って批准されなければならない。

第20条 加 入

この条約が効力を生ずる前にこの条約に署名しない国は,その後はいつでもこの条約に加入することができる。

第21条 効力発生

1.この条約は,65番目の批准書が寄託された日の後180日で効力を生ずる。ただし,いかなる場合にも,署名のための開放の後2年を経過するまで効力を生じない。
2.この条約が効力を生じた後に批准書又は加入書を寄託する国については,その批准書又は加入書の寄託の日の後30日目の日に効力を生ずる。

第22条 留 保

この条約の本文については,留保は付することができない。この条約の附属書については,この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は付することができない。

第23条 寄託者

国際連合事務総長は,ここに,この条約の寄託者として指名されるものとし,特に,次のことを行う。
(a)すべての署名国及び加入国に対し,各署名の日,各批准書又は各加入書の寄託の日,この条約の効力発生の日及びその他の事項に係る通告の受領を速やかに通報すること。
(b)この条約の認証謄本をすべての署名国政府及び加入国政府に送付すること。
(c)国際連合憲章第102条の規定に従ってこの条約を登録すること。

第24条 正 文

この条約は,アラビア語,中国語,英語,フランス話,ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とし,国際連合事務総長に寄託する。

以上の証拠として,下名は,正当に委任を受けてこの条約に署名した。

1993年1月13日にパリで作成した。

    「外務省ホームページ」より

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