ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:国家総動員法

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 今日は、昭和時代前期の1942年(昭和17)に、「企業整備令」が公布され、平和的民需産業である中小企業の整理・淘汰が強制されるようになった日です。
 「企業整備令」(きぎょうせいびれい)は、太平洋戦争下に「国家総動員法」に基づいて、中小企業の整理・淘汰について法的強制力を付与した勅令(昭和17年勅令第503号)でした。遊休設備をもつ民需産業の再編・統合、軍需産業への転換を目的としています。
 本法には、整備統合する業種は掲載されていませんが、同法公布前後に業種別、または商業部門について整備統合のための要綱などが出されました。当初は、行政指導による整備が困難な場合に発動するという方針がとられ、自主的な整備を保証する根拠として機能したものの、1943年(昭和18)6月の「戦力増強企業整備基本要綱」の閣議決定以降は、新たな段階に入り、政府の強制的な整備命令の根拠となります。
 太平洋戦争敗戦後の1945年(昭和20)10月24日の「工場事業場管理令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第601号)によって、廃止されました。

〇「企業整備令」(昭和17年勅令第503号) 1942年(昭和17)5月13日公布

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十六条ノ二ノ規定ニ基ク事業ニ属スル設備又ハ権利(水ノ使用ニ関スル権利ヲ除ク以下同ジ)ノ讓渡其ノ他ノ処分、出資、使用又ハ移動ニ関スル命令及国家総動員法第十六条ノ三ノ規定ニ基ク事業ノ委託、讓渡、廃止若ハ休止又ハ法人ノ合併若ハ解散ニ関スル命令ニ付テハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 本令ハ国民経済ノ総力発揮ニ資スル為企業ヲ整備シ又ハ之ガ為事業ニ属スル設備若ハ権利ノ利用ヲ有效ナラシムルコトヲ目的トス

第三条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ物資ノ生產(加工ヲ含ム以下同ジ)、修理、販売、輸出、輸入又ハ保管ノ事業ニシテ主務大臣ノ指定スルモノニ属スル設備又ハ権利ニ付一般的ニ讓渡其ノ他ノ処分、出資、使用又ハ移動ヲ制限又ハ禁止スルコトヲ得
 前項ノ設備又ハ権利ハ主務大臣之ヲ指定ス

第四条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ物資ノ生產、修理、販売、輸出、輸入又ハ保管ノ事業ニシテ主務大臣ノ指定スルモノニ付一般的ニ当該事業ノ全部又ハ一部ノ讓渡、廃止又ハ休止ヲ制限又ハ禁止スルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル事業ヲ営ム法人ノ合併又ハ解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ

第五条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ物資ノ生產、修理、販売、輸出、輸入若ハ保管ノ業ヲ営ム者(以下事業主ト称ス)又ハ主務大臣ノ指定スル法人ニ対シ其ノ事業ニ属スル設備若ハ権利ノ讓渡若ハ貸渡ヲ命ジ又ハ事業主若ハ主務大臣ノ指定スル法人ニ対シ当該設備若ハ権利ノ讓受若ハ借受ヲ命ズルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ハ他ノ法令ニ拘ラズ讓渡又ハ貸借ヲ為スコトヲ得

第六条 前条ノ場合ニ於ケル讓渡又ハ貸借ノ条件ハ当事者゙間ノ協議ニ依ル
 前項ノ協議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
 第一項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ主務大臣ハ讓渡又ハ貸借ニ関シ必要ナル決定ヲ為スコトヲ得

第七条 知レタル担保権ノ目的タル設備又ハ権利ニ付第五条第一項ノ規定ニ依ル讓渡又ハ讓受ノ命令アリタル場合ニ於テ当該担保権ヲ消滅セシムルニ非ザレバ企業ヲ整備シ又ハ当該設備若ハ権利ノ利用ヲ有効ナラシムルコト困難ナルトキハ当事者ハ担保権ノ処理ニ付担保権者ニ協議スルコトヲ得
 前項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ当事者又ハ担保権者ハ当該事項ニ付主務大臣ノ裁定ヲ申請スルコトヲ得

第八条 前条ノ規定ハ知レタル賃借権其ノ他ノ権利ノ目的タル設備又ハ権利ニ付第五条第一項ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ之ヲ準用ス

第九条 讓渡ヲ受クル設備又ハ権利ニ付知レタル担保権ノ存スル場合ニ於テ当該担保権ガ第七条ノ規定ニ依リ消滅スルトキハ当該設備又ハ権利ノ讓渡価格ヲ支払フベキ者ハ其ノ讓渡価格ヲ供託スルコトヲ要ス但シ同条ノ協議又ハ裁定ニ於テ別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
 前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ供託金ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得

第十条 主務大臣ハ第五条第一項ノ規定ニ依リ事業ニ属スル設備ノ讓渡又ハ貸渡ノ命令ヲ為シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第六条ノ協議又ハ決定前ト雖モ当該設備ヲ占有スル者ニ対シ必要ナル事項ヲ指定シテ当該設備ノ讓受又ハ借受ヲ為スベキ者ニ当該設備ヲ使用セシムベキコトヲ命ズルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ当該設備ノ讓受又ハ借受ヲ為スベキ者ヲシテ相当ノ担保ヲ供託セシムルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ供託シタルモノノ処理ニ付テハ第六条ノ協議又ハ決定ニ於テ必要ナル定ヲ為スベシ

第十一条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ其ノ事業ニ属スル設備又ハ権利ヲ株式会社、株式合資会社又ハ有限会社ニ出資スベキコトヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テ主務大臣ハ出資ノ相手方タル会社ニ対シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
 第五条第二項及第六条乃至第八条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
 出資スル設備又ハ権利ニ付知レタル担保権ノ存スル場合ニ於テ当該担保権ガ前項ニ於テ準用スル第七条ノ規定ニ依リ消滅スルトキハ当該担保権者ハ出資ニ対シ割当テラレタル株式又ハ持分ノ上ニ質権ヲ有ス但シ同条ノ協議又ハ裁定ニ於テ別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
 前項ノ質権ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十二条 事業ニ属スル設備ニ付第五条第一項又ハ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ハ当該設備ノ滅失、毀損其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ命令ニ応ズルコト能ハザルニ至ルベキトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ遅滞ナク之ヲ主務大臣ニ報吿スベシ
 前項ノ規定ハ事業ニ属スル権利ニ付第五条第一項又ハ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス

第十三条 第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル讓渡、貸渡又ハ出資ノ命令ヲ受ケタル者ハ讓渡、貸渡又ハ出資ニ支障ヲ及ボス処ナキ場合ヲ除クノ外主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ当該設備又ハ権利ヲ讓渡シ、貸渡シ其ノ他当該設備又ハ権利ニ関シ新ナル処分ヲ為スコトヲ得ズ

第十四条 第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ事業ニ属スル設備又ハ権利ノ讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者当該設備又ハ権利ニ付讓渡其ノ他ノ処分ヲ為サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ

第十五条 事業ニ属スル設備又ハ権利ニ関シ強制競売手続、国税徴収法ニ依ル強制徴収手続、土地收用法ニ依ル使用若ハ收用ノ手続又ハ国家総動員法第十条若ハ第十三条ノ規定ニ基ク使用若ハ收用ノ手続其ノ他此等ノ手続ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ当該設備又ハ権利ニ関シテハ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ハ之ヲ適用セズ

第十六条 工場財団又ハ鉱業財団ニ属スルモノハ第七条(第十一条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ担保権ノ消滅シタル場合ヲ除クノ外第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ讓渡又ハ出資アリタル後ト雖モ仍原財団ニ属スルモノトス

第十七条 主務大臣ハ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ事業ニ属スル設備又ハ権利ヲ讓渡又ハ出資シタル者ヲシテ第十八条ノ規定ニ依リ債務ノ承継アリタル場合ヲ除クノ外讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者ガ担保権ノ実行ニ因リ受クルコトアルベキ損失ノ補償ニ充ツル為命令ノ定ムル所ニ依リ相当ノ担保ヲ供託セシムルコトヲ得
 讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者ハ前項ノ規定ニ依リ供託セラレタルモノノ上ニ質権ヲ有ス

第十八条 主務大臣ハ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依リ事業ニ属スル設備又ハ権利ノ讓渡又ハ出資ヲ命ジタル場合ニ於テ讓渡又ハ出資シタル者ヲシテ当該設備又ハ権利ヲ担保トスル債務ヲ引続キ負担セシメ置クコトヲ適当ナラズト認ムルトキハ国家総動員法第十八条ノ二ノ規定ニ基キ命令ノ定ムル所ニ依リ讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者ヲシテ当該債務ノ全部又ハ一部ヲ承継セシムルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於ケル承継価格其ノ他ノ承継ニ関スル条件ハ当事者間ノ協議ニ依ル
 第六条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第十九条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ事業ノ委託、受託、讓渡若ハ讓受又ハ事業主タル会社ノ合併ヲ命ズルコトヲ得
 第五条第二項、第六条乃至第十条及第十二条乃至前条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ事業ノ讓渡又ハ讓受ノ命令アリタル場合ニ之ヲ準用ス
 第五条第二項及第六条ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ事業ノ委託若ハ受託又ハ会社ノ合併ノ命令アリタル場合ニ之ヲ準用ス

第二十条 第六条(第十一条第二項、第十八条第三項及前条第二項第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ協議若ハ決定、第七条(第八条、第十一条第二項及前条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ協議若ハ裁定又ハ第十八条ノ協議ニ基キ会社ガ事業ノ讓渡、合併其ノ他当該協議、決定又ハ裁定ニ於テ定メラレタル事項ノ実行ヲ為サントスルニ付株主総会又ハ之ニ準ズベキモノノ決議、同意等ヲ必要トスル場合ニ於テ其ノ決議、同意等ヲ得ルコト能ハザルトキハ会社ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ当該事項ノ実行ヲ為スコトヲ得

第二十一条 本令ニ規定スルモノノ外第六条(第十一条第二項、第十八条第三項及第十九条第二項第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ決定及第七条(第八条、第十一条第二項及第十九条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ裁定並ニ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依リ事業ニ属スル設備又ハ権利ノ讓渡又ハ出資ヲ命ジタル場合及第十九条第一項ノ規定ニ依リ事業ノ讓渡ヲ命ジタル場合ニ於ケル讓渡又ハ出資シタル者ノ負担スル債務ノ承継及担保ノ処理ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二十二条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ事業ノ全部又ハ一部ノ廃止又ハ休止ヲ命ズルコトヲ得
 第五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第二十三条 国家総動員法第二十七条ノ規定ニ基キ補償スベキ損失ハ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ因ル通常生ズベキ損失トス
 前項ノ規定ニ依ル損失補償請求ノ時期ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二十四条 主務大臣ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ事業主、第五条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル法人其ノ他関係者ヨリ必要ナル報吿ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ工場、事業場、店舖、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帶セシムベシ

第二十五条 主務大臣ハ本令ニ定ムル職権ノ一部ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)又ハ当該主務大臣ノ所轄スル官衙ノ長ニ委任スルコトヲ得
 前項ノ規定中地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)ニ関スル規定ハ樺太及南洋群島ニハ之ヲ適用セズ

第二十六条 第五条、第六条(第十一条第二項及第十八条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第七条(第八条及第十一条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第十条乃至第十四条、第十七条、第十八条、第二十条(事業ノ委託、受託、讓渡、讓受及会社ノ合併ニ関スル場合ヲ除ク)及第二十四条中主務大臣トアルハ軍事上特ニ必要アル設備又ハ権利ニ付テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トス
 前項ノ場合ヲ除クノ外本令中主務大臣、他ノ大臣、所管大臣又ハ当該大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス
 条中地方長官(東京府ニ在リテハ前警視総監ヲ含ム)トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長トス

第二十七条 主務大臣本令ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該設備若ハ権利ノ属スル事業又ハ当該事業ガ他ノ大臣ノ所管ニ属スルモノナルトキハ当該所管大臣ニ協議スベシ但シ陸軍大臣又ハ海軍大臣軍機保護上特ニ必要アル設備又ハ権利ニ付命令ヲ為サントスル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
 主務大臣本令ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該命令ガ軍事上ニ影響ヲ及ボスベキモノナルトキハ陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ協議スベシ
 主務大臣本令ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該事項ガ他ノ法令ニ基キ他ノ大臣ノ許可、認可、承認、免許等ヲ要スルモノナルトキハ当該大臣ニ協議スベシ

附 則

 本令ハ昭和十七年五月十五日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十七年六月十五日ヨリ之ヲ施行ス

   「官報」より

 ※旧字を新字に直してあります。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1401年(応永8)室町幕府第3代将軍足利義滿が遣明使を派遣し、日明貿易への第一歩となる(新暦6月24日)詳細
1829年(文政12)江戸時代の大名・老中で寛政の改革の主導者松平定信の命日(新暦6月14日)詳細
1866年(慶応2)英・米・仏・蘭の4ヶ国と「改税約書」(別名:江戸条約)が結ばれる(新暦6月25日)詳細
1869年(明治2)「出版条令」が制定され、出版許可制と出版取調所が設置される(新暦6月22日)詳細
1884年(明治17)水戸明治17年「下市の大火」が起き、死者2名、焼失1,200余戸を出す詳細
1930年(昭和2)小説家田山花袋の命日(花袋忌)詳細
1972年(昭和47)日本のビル火災史上最悪の惨事である千日デパート火災が起き、死者118名、負傷者81名を出す詳細
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 今日は、昭和時代前期の太平洋戦争下の1942年(昭和17)に、「金属類回収令」に基づく閣令「回収物件の譲渡申込期間指定に関する件」が公布され、寺院の梵鐘、各地の銅像などの強制供出が命令されるようになった日です。
 「金属類回収令」(きんぞくるいかいしゅうれい)は、昭和時代前期の日中戦争中の鉄や銅など、銃や砲弾に使う戦略物資の不足を補うため、政府が1941年(昭和16)8月30日に公布した勅令(昭和16年勅令第667号)で、9月1日より内地で施行され、10月1日に外地(朝鮮、台湾、樺太、南洋群島)で施行されました。その後、太平洋戦争に突入していく中で、昭和16年勅令第1004号による改正がなされ、1942年(昭和17)5月9日には、閣議に於て、閣令「回収物件の譲渡申込期間指定に関する件」が公布され、寺院の梵鐘、各地の銅像などの強制供出が命令できるようになります。
 続いて、昭和18年勅令第342号による改正、さらに、1943年(昭和18)8月12日に、全面改正された「金属類回収令」(昭和18年勅令第667号)の公布・施行により、さらに強化されました。また戦局が悪化する中で、1945年(昭和20)には、回収対象にアルミニウムを追加する改正(昭和20年勅令第62号)が行われ、家庭のなべや寺院の釣り鐘などまでが供出させられます。
 しかし、敗戦後の1945年(昭和20)10月19日、閣議において「戦時法令の整理に関する件」が決定され、「工場事業場管理令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第601号)により廃止されました。
 以下に、「金属類回収令」(昭和16年勅令第835号)と全面改正された「金属類回収令」(昭和18年勅令第667号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「金属類回収令」関係略年表

・1938年(昭和13) 「国家総動員法」で、家庭の金属も動員の対象となり、政府声明で廃品だけではなく現用であっても不要不急の金属回収を呼びかけられる
・1941年(昭和16)8月30日 「金属類回収令」(昭和16年勅令第835号)が公布される
・1941年(昭和16)9月1日 「金属類回収令」が内地で施行される
・1941年(昭和16)10月1日 「金属類回収令」が外地(朝鮮、台湾、樺太、南洋群島)で施行される
・1941年(昭和16)11月26日 改正(昭和16年勅令第1004号)される
・1942年(昭和17)5月9日 閣議に於て、閣令「回収物件の譲渡申込期間指定に関する件」が公布される
・1942年(昭和17)5月12日 閣令「回収物件の譲渡申込期間指定に関する件」が発動される
・1943年(昭和18)3月31日 改正(昭和18年勅令第342号)される
・1943年(昭和18)8月12日 全面改正(昭和18年勅令第667号)され、甲府・施行される
・1945年(昭和20)2月11日 回収対象にアルミニウムを追加する改正(昭和20年勅令第62号)が行われる
・1945年(昭和20)10月19日 閣議において「戦時法令の整理に関する件」が決定され、「工場事業場管理令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第601号)により廃止される

☆「金属類回収令」(昭和16年勅令第835号)1941年(昭和16)8月30日公布

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第八条ノ規定ニ基ク回収物件ノ譲渡其ノ他ノ処分、使用及移動ニ関スル命令並ニ国家総動員法第五条ノ規定ニ基ク回収物件ノ譲受ニ関スル協力命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 本令ニ於テ回収物件トハ鉄、銅又ハ黄銅、青銅其ノ他ノ銅合金ヲ主タル材料トスル物資ニシテ閣令ヲ以テ指定スルモノヲ謂フ

第三条 閣令ヲ以テ指定スル施設ニ備附ケタル回収物件(以下指定施設ニ於ケル回収物件ト称ス)ニシテ閣令ヲ以テ指定スルモノヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ハ当該回収物件ニ付譲渡其ノ他ノ処分ヲ為シ又ハ之ヲ移動スルコトヲ得ズ但シ商工大臣ノ指定スル者(以下回収機関ト称ス)ニ譲渡スル場合及命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

第四条 商工大臣ハ地域ヲ限リ其ノ地域内ノ指定施設ニ於ケル回収物件ニシテ前条ノ規定ニ依リ閣令ヲ以テ指定スルモノ以外ノモノヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ニ対シ一般的ニ当該回収物件ノ譲渡其ノ他ノ処分又ハ移動ヲ制限スルコトヲ得

第五条 地方長官ハ回収物件ノ所有者ニ対シ期限ヲ指定シテ回収機関ニ当該回収物件ノ譲渡ノ申込ヲ為スベキコトヲ勧告スルコトヲ得

第六条 指定施設ニ於ケル回収物件ニシテ第三条ノ規定ニ依リ閣令ヲ以テ指定スルモノヲ所有スル者ハ閣令ヲ以テ指定スル期日迄ニ回収機関ニ対シ当該回収物件ノ譲渡ノ申込ヲ為スベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

第七条 商工大臣ハ地域ヲ限リ其ノ地域内ノ指定施設ニ於ケル回収物件ニシテ第三条ノ規定ニ依リ閣令ヲ以テ指定スルモノ以外ノモノヲ所有スル者ニ対シ期限ヲ指定シテ回収機関ニ当該回収物件ノ譲渡ノ申込ヲ為スベキコトヲ一般的ニ命ズルコトヲ得

第八条 指定施設ニ於ケル回収物件ノ所有者第五条乃至前条ノ規定ニ依リ譲渡ノ申込ヲ為シタルトキハ当該所有者又ハ当該回収物件ヲ権原ニ基キ占有スル者ハ回収機関ノ請求ニ応ジ遅滞ナク当該回収物件ノ引渡ヲ為スベシ
2 前項ノ請求アリタル場合ニ於テ当該回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ハ回収機関ニ対シ当該回収物件ノ撤去又ハ引取ヲ請求スルコトヲ得
3 回収機関前二項ノ規定ニ依リ当該回収物件ノ引渡ヲ受ケタルトキハ受領調書ヲ作リ引渡ヲ為シタル所有者又ハ占有者ニ之ヲ交付スベシ

第九条 撤去費其ノ他回収物件ノ引渡ニ要スル費用及修理費ハ回収機関ノ負担トス
2 回収物件ノ用途又ハ備附ノ状況ニ鑑ミ特ニ代替物件ノ備附ヲ必要トスル場合ニ於テ代替物件ノ価額ト其ノ備附ニ要スル費用トノ合計額ガ当該回収物件ノ価額ヲ超ユルトキハ前項ノ費用ノ他其ノ超過分ハ回収機関ノ負担トス
3 前二項ノ規定ニ依リ回収機関ニ於テ負担スベキ額ハ前条第二項ノ規定ニ依リ撤去又ハ引取アリタル場合ヲ除クノ外第十条ノ規定ニ依ル協議又ハ裁定ニ依リ定マル額トス

第十条 回収機関第五条乃至第七条ノ規定ニ依リ指定施設ニ於ケル回収物件ノ所有者ヨリ譲渡ノ申込ヲ受ケタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該回収物件ノ譲渡価額及前条ノ規定ニ依リ回収機関ニ於テ負担スベキ額(第八条第二項ノ規定ニ依ル撤去及引取ノ費用ノ額ヲ除ク)ニ付遅滞ナク当該所有者又ハ当該回収物件ヲ権原ニ基キ占有スル者ト協議スベシ此ノ場合ニ於テ協議調ハザルトキ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ地方長官之ヲ裁定ス
2 前項ノ場合ニ於ケル回収物件ノ譲渡価格、前条第一項ノ費用並ニ同条第二項ノ代替物件ノ価額及其ノ備附ニ要スル費用ノ基準ハ商工大臣之ヲ定ム

第十一条 回収物件ニ関シ強制競売手続、国税徴収法ニ依ル強制徴収手続又ハ土地収用法、工場事業場使用収用令、土地工作物管理使用収用令若ハ総動員物資使用収用令ニ依ル使用若ハ収用ノ手続其ノ他此等ノ手続ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ当該回収物件ニ関シテハ第三条乃至第七条ノ規定ハ之ヲ適用セズ

第十二条 第六条又ハ第七条ノ規定ニ依リ為シタル回収物件ノ譲渡ハ其ノ法令ニ拘ラズ其ノ効力ヲ有ス
2 第六条又ハ第七条ノ規定ニ依リ譲渡スベキ回収物件ニ付存シタル担保権ハ其ノ法令ニ拘ラズ当該回収物件ニ付其ノ譲渡ノ時ヨリ之ヲ行フコトヲ得ズ
3 前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ当該回収物件ノ対価トシテ受クベキ金銭及当該回収物件ニ付第九条第二項ノ超過分トシテ受クベキ金銭ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得

第十三条 回収機関回収物件ヲ譲受ケタルトキハ商工大臣ノ指定スル回収機関ニ対シ譲渡スル場合其ノ他命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外当該回収物件ニ付譲渡其ノ他ノ処分ヲ為シ又ハ之ヲ使用スルコトヲ得ズ

第十四条 商工大臣ハ個人及法人其ノ他ノ団体ヲシテ回収機関ノ行フ回収物件ノ譲受其ノ他之ニ関連スル業務ニ協力セシムルコトヲ得

第十五条 商工大臣又ハ地方長官ハ回収物件ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ回収機関及回収物件ノ所有者其ノ他ノ関係人ヨリ必要ナル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ当該回収物件ノ所在ノ場所其ノ他必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ当該回収物件、書類、帳簿等ヲ検査セシムルコトヲ得
2 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ

第十六条 商工大臣ハ本令ニ規定スル職権ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得

第十七条 本令中地方長官トアルハ鉱業又ハ砂鉱業ニ属スル施設ニ関シテハ鉱山監督局長、電気事業ニ属スル施設ニ関シテハ逓信局長、地方鉄道又ハ専用鉄道ニ属スル施設ニ関シテハ鉄道局長トス
2 逓信局長又ハ鉄道局長本令ニ規定スル事務ヲ行フ場合ニ於テハ商工大臣ノ指揮監督ヲ承ク

第十八条 本令中商工大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事(電気事業ニ属スル施設ニ関シテハ朝鮮総督府逓信局長、私設鉄道又ハ専用鉄道ニ属スル施設ニ関シテハ朝鮮総督府鉄道局長)、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長(電気事業又ハ私設鉄道ニ属スル施設ニ関シテハ台湾総督府交通局総長)、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス
2 本令中閣令トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ総督府令、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ庁令トス

  附 則

本令ハ昭和十六年九月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ昭和十六年十月一日ヨリ之ヲ施行ス

   「官報」より

☆全面改正後の「金屬類回収令」(昭和18年勅令第667号) 1943年(昭和18)8月12日公布・施行

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第八条ノ規定ニ基ク回収物件ノ讓渡其ノ他ノ処分、使用、所持及移動並ニ同法第十六条ノ二ノ規定ニ基ク事業ニ属スル設備タル回収物件ノ出資ニ関スル命令ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 本令ハ戦力ノ增强ニ資スル為鐵、鋼若ハ鉛又ハ此等ノ金属ヲ主タル成分トスル合金ノ供給ノ確保ヲ図ルコトヲ目的トス

第三条 本令ニ於テ回収物件トハ前条ノ金属又ハ合金ヲ主タル材料トスル物資ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノヲ謂フ
 一 命令ヲ以テ指定スル事業ノ用ニ供スル物資ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノ
 二 命令ヲ以テ指定スル施設ニ備附ケタル物資ニシテ命令ヲ以テ指定スルモノ
 三 前二号ニ揭グルモノノ外命令ヲ以テ定ムル物資

第四条 商工大臣ハ回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者(第六条ノ規定ニ依リ商工大臣ノ指定スル者ヲ除ク)ニ対シ一般的ニ回収物件ノ讓渡其ノ他ノ処分、使用又ハ移動ニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得事業ニ属スル設備タル回収物件ノ出資ニ付亦同ジ

第五条 商工大臣ハ回収物件ヲ讓受ケ若ハ賃借シ又ハ事業ニ属スル設備タル回収物件ノ出資ヲ受ケントスル者(第六条ノ規定ニ依リ商工大臣ノ指定スル者ヲ除ク)ニ対シ一般的ニ回収物件ノ讓受、賃借又ハ出資ヲ受クルコトニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得

第六条 商工大臣ハ回収物件ノ所有者ニ対シ期限ヲ指定シテ商工大臣ノ指定スル者(以下囘收機関ト称ス)ニ当該回収物件ノ讓渡ノ申込ヲ為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ讓渡ノ申込ヲ為スベキコトヲ命ゼラレタル所有者同項ノ期限迄ニ讓渡ノ申込ヲ為サザルトキハ其ノ期限到來ノ日ニ於テ讓渡ノ申込ヲ為シタルモノト看做ス

第七条 前条ノ規定ニ依リ回収機関ニ対シ回収物件ノ讓渡ノ申込アリタル場合ニ於テハ当該回収物件ノ撤去、引取及撤去ニ因リ生ジタル破損箇所ノ修理並ニ回収物件ノ用途又ハ備附ノ状況ニ鑑ミ特ニ必要トスル代替物件ノ備附ハ地方長官之ヲ行フ但シ回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ニ於テ当該回収物件ノ撤去、撤去ニ因リ生ジタル破損箇所ノ修理又ハ代替物件ノ備附ヲ行フヲ妨ゲズ
 地方長官前項ノ規定ニ依ル職権ヲ行フニ当リテハ其ノ指揮監督ノ下ニ其ノ指定スル回収機関其ノ他ノ者ヲシテ必要ナル作業ニ従事セシムルヲ例トス
 地方長官第一項ノ規定ニ依リ回収物件ノ撤去又ハ引取ヲ行フ場合ニ於テハ当該回収物件ヲ所有シ又ハ権原ニ基キ占有スル者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
 地方長官第一項ノ規定ニ依リ回収物件ノ撤去又ハ引取ヲ為シタルトキハ讓渡契約ノ履行ニ付テハ当該回収物件ハ讓渡ノ申込ヲ受ケタル回収機関ニ引渡アリタルモノト看做ス

第八条 第六条ノ規定ニ依リ回収物件ヲ回収機関ニ讓渡スル場合ニ於ケル讓渡価額ハ商工大臣之ヲ定ム但シ商工大臣必要アリト認ムルトキハ其ノ定ムル基準ニ依リ当事者間ノ協議ニ依リ之ヲ定メシムルコトヲ得
 前項但書ノ規定ニ依ル協議ニ依リ讓渡価額定マリタルトキハ当該讓渡價額ハ商工大臣ノ定メタルモノト看做ス

第九条 第六条ノ規定ニ依リ回収物件ヲ回収機関ニ讓渡スル場合ニ於テハ当該回収物件ノ撤去費其ノ他引渡ニ要スル費用及修理費ハ商工大臣ノ指定スル回収機関ノ負担トスルモノトス回収物件ノ用途又ハ備附ノ状況ニ鑑ミ特ニ代替物件ノ備附ヲ必要トスル場合ニ於テ代替物件ノ価額ト其ノ備附ニ要スル費用ノ額トノ合計額ガ当該回収物件ノ前条ノ規定ニ依ル讓渡価額ヲ超ユル場合ニ於ケル其ノ超過分ニ付亦同ジ
 第七条第一項本文ノ規定ニ依ル代替物件ノ備附ノ場合ニ於テハ代替物件ノ価額及其ノ備附ニ要スル費用ハ前項ノ超過分ヲ除クノ外回収物件ノ讓渡ヲ受クベキ回収機関ノ負担トスルモノトス此ノ場合ニ於テ当該回収物件ノ回収機関ニ対スル讓渡価額ハ前条ノ規定ニ依ル讓渡價額ヨリ当該回収機関ノ負担スル代替物件ノ価額ト其ノ備附ニ要スル費用ノ額トノ合計額ヲ控除シタル額トス
 回収物件ガ都道府県又ハ市町村若ハ之ニ準ズルモノノ所有ニ属スルモノナル場合ニ於テハ修理費並ニ代替物件ノ価額及其ノ備附ニ要スル費用ハ前二項ノ規定ニ拘ラズ当該都道府県又ハ市町村若ハ之ニ準ズルモノノ負担トス
第一項及第二項ノ規定ニ依リ回収機関ノ負担スベキ額ハ商工大臣ノ定ムル基準ニ依リ地方長官之ヲ定ム但シ地方長官必要アリト認ムルトキハ第一項ノ規定ニ依リ回収機関ノ負担スベキ額ニシテ第七条第一項但書ノ規定ニ依リ回収物件ノ所有者又ハ占有者ニ於テ撤去、修理又ハ代替物件ノ備附ヲ爲ス場合ニ於ケルモノニ付商工大臣ノ定ムル基準ニ依リ当該所有者又ハ占有者ト当該回収機関トノ協議ニ依リ之ヲ定メシムルコトヲ得
 前項但書ノ規定ニ依ル協議ニ依リ回収機関ノ負担スベキ額定マリタルトキハ当該額ハ地方長官ノ定メタルモノト看做ス

第十条 回収物件ニ關シ強制競売手続、国税徴収法ニ依ル強制徴収手続き又ハ土地收用法、工場事業場使用收用令、土地工作物管理使用收用令若ハ総動員物資使用收用令ニ依ル使用若ハ收用ノ手続き其ノ他此等ノ手続きニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ当該回収物件ニ関シテハ第四条乃至第六条及第十三条ノ規定ハ之ヲ適用セズ

第十一条 第六条ノ規定ニ依リ為シタル回収物件ノ讓渡ハ他ノ法令ニ拘ラズ其ノ效力ヲ有ス
 第六条ノ規定ニ依リ讓渡スベキ回収物件ニ付存シタル担保権ハ他ノ法令ニ拘ラズ当該回収物件ニ付其ノ讓渡ノ時ヨリ之ヲ行フコトヲ得ズ
 前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ当該回収物件ノ対価トシテ受クベキ金錢又ハ有価証券及其ノ対価ニ関シ企業整備資金措置法第四条ノ規定ニ依リ取得シタル同法第十四条第一項ニ揭グル債権並ニ当該回収物件ニ付第九条第一項ノ超過分トシテ受クベキ金錢ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得

第十二条 第六条ノ規定ニ依リ回収物件ヲ回収機関ニ讓渡シタル場合ニ於テ当該回収物件ガ知レタル担保権ノ目的タル場合ニ於テハ回収機関ハ当該回収物件ノ対価トシテ支払フベキ金錢又ハ有価証券及当該回収物件ニ付第九条第一項ノ超過分トシテ支払フベキ金錢ヲ供託スベシ
 前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ同項ノ規定ニ依リ供託セラレタル金錢又ハ有価証券ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得

第十三条 商工大臣ハ回収機関ニ対シ時期、方法、相手方其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ回収物件ノ讓受、讓渡其ノ他ノ処分、使用、所持及移動ヲ命ジ又ハ回収物件ノ讓渡、使用、所持及移動ニ関シ必要ナル制限ヲ為スコトヲ得

第十四条 国家総動員法第二十七条ノ規定ニ依リ補償スベキ損失ハ第六条及前条ノ規定ニ基ク処分ニ因ル通常生ズベキ損失トス
 前項ノ損失ノ補償ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十五条 商工大臣又ハ地方長官ハ回収物件ニ關シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ依リ回収機関及回収物件ノ所有者其ノ他ノ關係人ヨリ必要ナル報吿ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ当該回収物件ノ所在ノ場所其ノ他必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ当該回収物件、書類、帳簿等ヲ検査セシムルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帶セシムベシ

第十六条 商工大臣ハ本令ニ規定スル職権ノ一部ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得

第十七条 本令中商工大臣トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督又ハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス
 第九条第三項中都道府県又ハ市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ道又ハ府邑面、台湾ニ在リテハ州若ハ庁又ハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス

第十八条 本令ハ所有者若ハ権原ニ基ク占有者又ハ其ノ世帶員ノ日常生活ノ用ニ供スル物資(家庭用物件)ニハ適用ナキモノトス

附 則

 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ昭和十八年九月一日ヨリ之ヲ施行ス
 本令施行前従前ノ罰則ヲ適用スベカリシ行為及本令施行前回収機関ニ対シ讓渡ノ申込アリタル回収物件ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル

   「官報」より

 ※旧字を新字に直してあります。

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 今日は、昭和時代前期の1939年(昭和14)に、「国家総動員法」第6条に基づいて、「工場就業時間制限令」(昭和14年勅令第127号)が公布(施行は同年5月1日)された日です。
 「工場就業時間制限令」(こうじょうしゅうぎょうじかんせいげんれい)は、昭和時代前期の1938年(昭和13)4月1日に公布(同年5月5日施行)された、「国家総動員法」に基づいて、翌年3月31日に公布(施行は同年5月1日)された勅令(昭和14年勅令第127号)でした。「工場法」適用工場で、厚生大臣指定の軍需工場について、労働力の保全を目的とし、16歳以上の男子職工の就業を1日12時間と制限したものです。
 それまでは、1911年(明治44)の「工場法」において、女子と15歳未満の年少者について深夜業を禁止すると共に就業時間を1日12時間に制限していましたが、16歳以上の男子にも1日12時間という規制が設けられたという点では、画期的なものでした。尚、同時に、「国家総動員法」に基づいて、「従業者雇入制限令」(昭和14年勅令第126号)、「賃金統制令」(昭和14年勅令第128号)、「学校技能者養成令」(昭和14年勅令第130号)、「工場事業場技能者養成令」(昭和14年勅令第131号)などが出されています。
 この勅令は、1943年(昭和18)6月16日に「工場法戦時特例」が公布・施行されると、「工場法」の一部の施行停止と共に、「工場就業時間制限令廃止ノ件」(昭和18年勅令第501号)により、同年6月16日をもって廃止され、再び、就業時間の基準がなくなりました。
 以下に、「工場就業時間制限令」(昭和14年勅令第127号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「工場就業時間制限令」(昭和14年勅令第127号)1939年(昭和14)3月31日公布、同年5月1日施行

第一条 国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク工場ニ於ケル就業時間ノ制限ハ本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 本令ハ工場法ノ適用ヲ受クル工場ニシテ厚生大臣ノ指定スル事業ヲ営ムモノニ之ヲ適用ス

第三条 工業主ハ十六歳以上ノ男子職工ヲシテ一日ニ付十二時間ヲ超エテ就業セシムルコトヲ得ズ

第四条 工業主ハ十六歳以上ノ男子職工ニ対シ毎月少クトモ二回ノ休日ヲ設ケ一日ノ就業時間ガ六時間ヲ超ユルトキハ少クトモ三十分、十時間ヲ超ユルトキハ少クトモ一時間ノ休憩時間ヲ就業時間中ニ於テ設クベシ

第五条 十六歳以上ノ男子職工ヲ二組以上ニ分チ交替ニ就業セシムル為又ハ業務ノ性質上特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ工業主ハ予メ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監以下之ニ同ジ)ニ届出デ第三条ノ就業時間ヲ延長スルコトヲ得

第六条 已ムヲ得ザル事由ニ因リ臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ地方長官ノ許可ヲ受ケ期間ヲ限リ第三条ノ規定ニ拘ラズ就業時間ヲ延長シ又ハ第四条ノ休日ヲ廃スルコトヲ得但シ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ地方長官ノ許可ヲ受クルコトヲ要セズ
2 臨時必要アル場合ニ於テハ工業主ハ其ノ都度予メ地方長官ニ届出デ一月ニ付七日ヲ超エザル期間就業時間ヲ二時間以内延長スルコトヲ得
3 第一項但書ノ規定ニ依リ就業セシメタルトキハ遅滞ナク地方長官ニ届出ヅベシ

第七条 厚生大臣又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ就業時間ノ制限ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ工業主ヨリ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ工場、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
2 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ

第八条 本令ハ国ノ事業ニ之ヲ適用セズ

第九条 本令中工場法ノ適用ヲ受クル工場トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ常時十人以上ノ職工ヲ使用スル工場、樺太ニ在リテハ工場取締規則ノ適用ヲ受クル工場トシ十六歳以上ノ男子職工トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ職工トス
2 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス

  附 則

本令ハ昭和十四年五月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮台湾樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十四年八月一日ヨリ之ヲ施行ス

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1939年(昭和14)「国家総動員法」第6条に基づいて、「賃金統制令」(昭和14年勅令第128号)が公布される詳細
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shinbunshi001
 今日は、昭和時代前期の1941年(昭和16)に、「国家総動員法」第20条に基づき、「新聞紙等掲載制限令」(昭和16年勅令第37号)が公布・施行された日です。
 「新聞紙等掲載制限令」(しんぶんしとうけいさいせいげんれい)は、「国家総動員法」第20条(政府は勅令で新聞紙その他の出版物の掲載禁止・制限・差押えができる)に基づき、国策の遂行に重大な支障を生じるおそれのある事項などを掲載した新聞は、内大臣が発売禁止、原版も含めて差し押さえができることとした勅令(昭和16年勅令第37号)でした。本条令の第2条で、官庁の機密や軍事上の秘密事項などの掲載が禁止され、第3条で、内閣総理大臣の掲載制限や禁止の権限が明文化されています。
 これによって、総動員業務に関する官庁の機密、「軍機保護法」規定による軍事上の秘密、「軍用資源秘密保護法」の規定による資源の秘密の掲載が禁止されると共に、総理大臣に「外交に関し重大なる支障を生ずるおそれある事項」(新聞紙法第27条の強化)、「外国に対し秘匿することを要する事項」「財政経済政策の遂行に重大なる支障を生ずるおそれある事項」の制限・禁止権が与えられ、実質的には情報局がその取締権を握ることになりました。これによって、政府に都合の悪いことは書けなくなったとされます。
 さらに、同年12月13日の「新聞事業令」(昭和16年勅令1107号)公布・施行により、国策のための統制団体の設立が命じられ、同年12月19日には、「言論・出版・集会・結社等臨時取締法」を発布し、届出制だった新聞の発行を許可制に改悪しました。これらによって、政府統制下に表現の自由を抑圧し、違反行為には厳罰をもって臨むものとなります。
 本令は、太平洋戦争敗戦後の1945年(昭和20)10月6日に出された、「新聞事業令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第562号)により、「新聞事業令」等と共に廃止されました。
 以下に、「新聞紙等掲載制限令」(昭和16年勅令第37号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「新聞紙等掲載制限令」(昭和16年勅令第37号) 1941年(昭和16)1月11日公布・施行

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第二十条第一項ノ規定ニ基ク新聞紙其ノ他ノ出版物ノ掲載ニ付テノ制限又ハ禁止、同条第二項ノ規定ニ基ク新聞紙其ノ他ノ出版物ノ発売及頒布ノ禁止並ニ其ノ差押及其ノ原版ノ差押ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 左ノ各号ノ一ニ該当スル事項ハ之ヲ新聞紙其ノ他ノ出版物ニ掲載スルコトヲ禁ズ
 一 国家総動員法第四十四条ノ規定ニ依リ当該官庁ノ指定シタル総動員業務ニ関スル官庁ノ機密
 二 軍機保護法ノ規定ニ依ル軍事上ノ秘密
 三 軍用資源秘密保護法ノ規定ニ依ル軍用資源秘密

第三条 内閣総理大臣ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事項ニ付示達ヲ以テ新聞紙其ノ他ノ出版物ニ対スル掲載事項ノ制限又ハ禁止ヲ為スコトヲ得
 一 外交ニ関シ重大ナル支障ヲ生ズル虞アル事項
 二 外国ニ対シ秘匿スルコトヲ要スル事項
 三 財政経済政策ノ遂行ニ重大ナル支障ヲ生ズル虞アル事項
 四 其ノ他国策ノ遂行ニ重大ナル支障ヲ生ズル虞アル事項

第四条 前二条ノ制限又ハ禁止ニ違反シタル新聞紙其ノ他ノ出版物ノ発売及頒布ノ禁止並ニ其ノ差押及其ノ原版ノ差押ハ内閣総理大臣之ヲ行フ

第五条 本令中内閣総理大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス

  附 則

本令ハ公布ノ日ヨリ施行ス

   「官報」より

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zeitakuzenpaikyouchyoudaiko
 今日は、昭和時代前期の1940年(昭和15)に、「奢侈品等製造販売制限規則」(七・七禁令)の実践のために、大阪で女子モンペ部隊が、「贅沢全廃強調大行進」を行った日です。
 「奢侈品等製造販売制限規則」(しゃしひんとうせいぞうはんばいせいげんきそく)は、近衛文麿が中心となって、新体制運動が行われる中で、当時の商工省(現在の経済産業省)及び農林省(現在の農林水産省)が「国家総動員法」を根拠に、1940年(昭和15)7月6日に発布(昭和15年商工省・農林省令第2号)し、翌7月7日より施行した省令でした。不急不用品・奢侈贅沢品・規格外品等の製造・加工・販売を禁止するもので、一般には施行日をとって「七・七禁令」(しちしちきんれい)とも呼ばれています。
 戦時下に於いては、不要不急な生活用品よりも戦争必需品を優先に製造せよということで、例えば金銀を使う織物(西陣織り・友禅など)、宝石類、そして一定金額以上の娯楽関係品(人形・レコード)、カメラ、シャープペンシル、果物(メロン・イチゴ)などが対象となりました。「ゼイタクは敵だ」がスローガンとして叫ばれ、製造・販売の面でも国民生活が統制されていくことになります。
 さらに、同年8月16日に、「国民奢侈生活抑制方策要綱」と「贅沢全廃運動」が制定され、国民に「七・七禁令」の実践を呼びかけました。「奢侈不健全ナル生活ヲ刷新シ質実剛健ニシテ且明朗なる新生活様式」の達成に向け、新聞でも、すでに所持している贅沢品を使用してはならない、などと呼びかけられ、「パーマネントはやめませう」が流行語になり、「モンペ普及運動」として婦人会などでモンペが奨励されます。
 その中で、「防空壕を作るモンペ部隊」、「大阪で、女子モンペ部隊が、贅沢全廃強調大行進を行う」などの実践が示されました。
 以下に、「奢侈品等製造販売制限規則」を掲載しておきますから、ご参照下さい。

〇「奢侈品等製造販売制限規則」 (全文)  1940年(昭和15)7月6日 

奢侈品等製造販売制限規則 (昭和十五年七月六日 商工農林省令第二号)

昭和十二年法律第二十九号第二条の規定に於依り奢侈品等製造販売制限規則左の通定む
  奢侈品等製造販売制限規則

第一条
 物品の製造(加工を含む以下同じ)を業とする者は主務大臣の指定したる物品を製造することを得ず、但し主務大臣(主務大臣特に定めたるときは地方長官)の許可を受けたる場合及当該物品指定の際、現に製造中のものについては此の限に在らず

第二条
 物品の生産(製造及加工を含む以下同じ)または販売を業とする者は主務大臣の指定したる年月日以後は左に揚ぐる物品及びその中古品を売渡すことを得ず、但し主務大臣(主務大臣特に定めたるときは地方長官)の許可を受けたる場合はこの限に在らず
 (一) 前条の規定により主務大臣の指定したる物品
 (二) 他の法令により製造を禁止されたる物品(当該法令に依る製造の許可ありたるものを除く)
 (三) 主務大臣の指定したる物品前項第二号の他の法令は主務大臣之を定む
 第一項の規定は前条但書の許可を受け製造したる物品を売渡しまたはこれを買受けて売渡す場合及び第一項但書の許可ありたる物品を買受けて売渡す場合には之を適用せず

第三条
 主務大臣前条第一項の指定をなしたる場合において必要ありと認むるときは物品の生産又は販売を業とする者に対し同条同項の指定したる年月日前に於ける同条同項に揚ぐる物品の売渡に関し売渡数量または売渡先の制限、その他必要なる命令をなすことあるべし

第四条
 物品の生産又は販売を業とする者は主務大臣の指定したる物品については主務大臣の定めたる規格または品質に該当するもの(価格統制令第七条の規定により額の指定ありたる種類の物品にして主務大臣の指定したるものに付いては該当額の指定において定めたる規格又は品質に該当するもの)を除くの外これを売渡すことを得ず、但し主務大臣(主務大臣特に定めたるときは地方長官)の許可を受けたる場合はこの限にあらず
 前項の規定は前項但書の許可ありたる物品を買受けて売渡す場合にはこれを適用せず

第五条
 第一条但書、第二条第一項但書または前条第一項但書の許可の申請は輸出せらるること明なる物品を製造しまた売渡す場合その他やむを得ざる事由ある場合に限りこれをなすことを得

第六条
 前条の申請をなさんとする者は左に揚ぐる事項を記載したる申請書二通を主務大臣または地方長官に提出すべし
 (一) 申請者の住所または主たる事務所の所在地及び業務の種類
 (二) 製造または売渡さんとする物品の名称、品種及び数量(第四条第一項但書の許可を受けんとする場合にありては当該物品の規格または品質を併せ記載すべし)
 (三) 許可を受けんとする事由の詳細
 主務大臣または地方長官必要ありと認むるときは前項の申請書を提出すべき者に対し前項の申請書の外必要なる書類の提出を命ずることを得
 前二項の規定に依り提出すべき申請書及び必要なる書類にして主務大臣に提出すべきものは地方長官を経由すべし

第七条
 依託製造、委託販売其の他何等の名義を以てするを問わず第一条、第二条又は第四条の規定に依る禁止を免るる行為をなすことを得ず

第八条
 第二条及び第四条の規定は物品の生産または販売を業とする者該当物品を関東州満洲及び支那以外の地に輸出する場合にはこれを適用せず

【附則】本則は昭和十五年七月七日よりこれを施行す
【参照】昭和十二年九月十日公布法律第二十九号は輸出入品等に関する臨時措置に関する件なり

「官報」より

〇モンペ(もんぺ)とは?

 多くは農山村における男女が、仕事着に用いる山袴の一種でしたが、太平洋戦争中に婦人標準服の活動衣として着用が奨励されてから、全国的に一般化しました。和服における袴の形状をした下半衣で、腰、膝にゆとりがあり、裾が細く絞られています。
 1942年(昭和17)2月19日に厚生省が、婦人標準服の活動衣としてこれを定め、「モンペ普及運動」として奨励されました。その後の戦局悪化に伴い、空襲時の防空用に女性の着用が義務付けられ、半ば強制されます。戦後は、その機能性から農作業着として全国的に使用されました。
 
〇新体制運動(しんたいせいうんどう)とは?

 近衛文麿が中心となり、ドイツのナチ党やイタリアのファシスト党を模して、ファッショ的政治体制樹立のため、一国一党の国民組織を結成しようとした政治運動でした。日中戦争の泥沼化、1939年9月のドイツ軍によるポーランド侵攻による第2次世界大戦の突発、それに伴うインフレ、物資不足、労農争議の増加など、政治・経済上の危機の増大、国民の不満の鬱積等の中で、現状を打開する方策がいろいろと検討されます。
 近衛文麿の側近の後藤隆之助、有馬頼寧、風見章らは,官僚や学者等を集めた「昭和研究会」をつくり、新しい国民組織をつくり上げて国民を統合し、新しい社会体制を建設する構想をまとめました。それに基づいて、1940年(昭和15)6月24日に、近衛文麿が枢密院議長を辞任し、記者会見において声明を出して、「新体制運動」が開始されます。
 軍部も「米内内閣打倒、近衛内閣樹立」運動を行い、その結果、7月22日に発足した第2次近衛内閣は、これをうけて基本国策要綱で「国内体制の刷新」と「強力な新政治体制の確立」をうたい、新体制準備会が結成されました。そして、各政党、労働組合も自発的に解散し、10月12日には、「大政翼賛会」が発足して、日本型のファシズム体制の確立へと向かいます。
 この過程で、国民は隣組、部落会、町内会などの地方自治組織と官製国民運動団体という2つのルートを通じ、ファシズム体制に組織されていくことになりました。 

☆「新体制運動」関係年表(新体制運動開始~太平洋戦争開戦まで)

<1940年(昭和15)>
・6月24日 近衛文麿による新体制運動が開始される
・7月6日 「奢侈品等製造販売制限規則」(七・七禁令)が交布され、翌日施行される
・7月22日 第2次近衛内閣が発足する
・7月 日本労働総同盟が解散される
・8月1日 東京府が食堂・料理屋などでの米食使用を禁止し、販売時間制を実施する
・8月1日 東京に「ぜいたくは敵だ!」の立看板1,500本が立てられる
・8月15日 立憲民政党が解党、大日本農民組合が解散される
・8月19日 新協・新築地両劇団員100余人が検挙される
・8月30日 文部省が学生生徒の映画・演劇鑑賞を土曜・休日に限ると通達する
・9月 鉄道省によって駅構内の英語表記が全面撤廃される
・9月11日 内務省が「部落会町内会等整備要領」を通達し、隣組(隣保班)が制度化される
・9月27日 日独伊三国同盟が調印される
・10月6日 大阪で、女子モンペ部隊が、贅沢全廃強調大行進を行う
・10月10日 「牛乳および乳製品配給統制規則」が交布される
・10月12日 「大政翼賛会」が発足する
・10月24日 農林省令「米穀管理規則」が交布される
・10月31日 東京でダンスホールが完全閉鎖される
・10月31日 タバコの改名が発表される(ゴールデンバット→金鵄、チェリー→桜、カメリア→椿など)
・11月1日 砂糖・マッチ切符制の全国実施がされる
・11月2日 「国民服令」が公布施行され、男子の服装として国民服が定められる
・11月10日 紀元2600年祝賀行事が行われる(昼酒が許可されもち米が特配される)
・11月23日 大日本産業報国会が結成される

<1941年(昭和16)>
・1月1日 全国の映画館で、ニュース映画の強制上映が実施される
・1月11日 「新聞紙等掲載制限令」が公布される
・1月16日 大日本青少年団が結成される
・1月23日 「人口政策要綱」が閣議決定される(「生めよ殖やせよ」の推進)
・1月25日 東京などの商店で午後9時閉店を実施する
・3月1日 「国民学校令」が交布され、尋常小学校(6年)・高等小学校(2年)が、国民学校(初等科6年・高等科2年)に変更される
・3月7日 「国防保安法」が交布される
・3月10日 「治安維持法」改正(予防拘禁制を追加)が交布される
・3月19日 時間外電報が廃止され、慶弔電報の取扱い中止される
・3月19日 厚生省が婦人標準服研究会を組織する
・3月31日 朝鮮総督府、朝鮮語を学習科目から外す
・4月1日 「生活必需物資統制令」が交布される
・4月1日 六大都市で米穀配給通帳制(1日1人2合3勺=約330g)実施、米の配給受け取りに必要となる
・4月上旬 中学校新入生の制服が男子は国民服に戦闘帽、女子は襟を右前にしたへちま型となる
・5月8日 初の「肉なしデー」が実施され、以後月2回とされる(肉屋・食堂で肉の不売実施)
・5月19日 東京市が夏季ビールの配給は1世帯8本と決定する
・6月7日 家庭用食用油の切符制が実施される
・7月1日 全国の隣組、いっせいに常会を開く(以後毎月1日実施)
・7月21日 文部省教学局から『臣民の道』が刊行される
・8月10日 鉄道省がガソリン節約のためガソリンカーの運転を削減する
・8月30日 「金属類回収令」が交布される
・8月30日 大学に教練担当現役将校が配属される
・9月1日 東京市で砂糖・マッチ・小麦粉・食用油の集成配給切符制が実施される
・9月1日 ガソリンを使用するタクシーが禁止される
・10月1日 一般家庭用ガスの使用制限が実施される
・10月4日 「臨時郵便取締令」が公布され、外国郵便を開封検閲するようになる
・10月10日 農林省が芋類の増産と桑園の整理を通牒する
・10月19日 婦人国民服が公募され、入選発表される
・11月 たばこが値上げされる(敷島35銭、朝日25銭、光18銭)
・11月22日 「国民勤労報国協力令」が交布され、14~40歳の男子と14~25歳の未婚女子の年30日以内の勤労奉仕が義務化される
・12月8日 米英両国に宣戦布告、太平洋戦争始まる
・12月8日 日米開戦により、新聞・ラジオの天気予報、気象報道が中止される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1559年(永禄2)戦国時代の絵師狩野元信の命日(新暦11月5日)詳細
1831年(天保2)棋士・将棋十二世名人小野五平の誕生日(新暦11月9日)詳細
1920年(大正9)小説家・評論家・翻訳家・ジャーナリスト黒岩涙香の命日詳細
1933年(昭和8)「社会政策ニ関スル具体的方策案」が閣議決定される詳細
1938年(昭和13)北炭夕張炭鉱(天龍坑)で炭塵爆発が起こり、死者161人、負傷者21人が出る詳細
1942年(昭和17)「戦時陸運ノ非常体制確立ニ関スル件」が閣議決定される詳細
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