ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

カテゴリ: 社会

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 今日は、大正時代の1920年(大正9)に、平塚らいてうら70名によって、新婦人協会の発会式が行われた日です。
 新婦人協会(しんふじんきょうかい)は、大正時代に日本で最初に婦人の社会的・政治的地位の向上を求めて活動した婦人団体でした。1919年(大正8)11月24日に平塚らいてうが呼びかけ、市川房枝、奥むめお、坂本真琴、山田わからが応じて、活動を始めます。
 1920年(大正9)3月28日に、70名(内男子約20名)が集まって発会式を行い、宣言、綱領、規約(全21条)を発表し、その後、名古屋、大阪、神戸、福山、三原、広島に支部が出来、会員は400名を数えるようになりました。男女同権、母性保護、女性の権利向上等を掲げ、最初の運動として、女子の政治的活動を封じている「治安警察法」5条の改正と花柳病にかかった男子の結婚制限問題に取り組みます。
 また、機関紙『女性同盟』の発刊や講演会等によって、女性の政治的・経済的・社会的地位の向上に努めました。その結果、1922年(大正11)の第45帝国議会で「治安警察法」5条の一部改正を成立させ、女子も政談演説会を聴く自由とその発起人になる権利を獲得しています。
 しかし、同年12月8日に内部対立のため解散するに至りましたが、約3年間の活動だったものの、日本の婦人参政権運動史上に大きな役割を果たしました。

〇新婦人協会創立当初の役員

<理事>
 平塚明(平塚らいてう)、市川房枝、奥むめお
<評議員>
 坂本真琴、加藤さき子、平山信子、山田わか、吉田清子、田中孝子、矢部初子、塚本なか子、山田美都

〇新婦人協会の宣言

 婦人も亦婦人全体のために、その正しき義務と権利の遂行のために団結すべき時が来ました。今こそ婦人は婦人自身の教養、その自我の充実を期するのみならず、相互の堅き団結の力によって、その社会的地位の向上改善を計り、婦人としての、母としての権利の獲得のため、男子と協力して戦後の社会改造の実際運動に参加すべき時であります。
 若しこの時に於いて、婦人が立たなければ、到来の社会もまた婦人を除外した男子中心のものとなるに相違ありません。そしてそこに世界、人類の禍の大半が置かれるのだと思います。
 私共は日本婦人がいつまで無知無能であるとは信じません。否、既に我が婦人界は今日見るべき学識あり、能力ある幾人かの新婦人を有ってゐます。しかも私共は是等の現われたる婦人以外に、なお多くの更に識見高き、思慮あり、実力ある隠れたる婦人のあることを疑ひません。
 しかるに是等の婦人の力が一つとして社会的に若しくは社会的勢力となって活動して来ないのは何故でありませう。まったく婦人相互の間に何の連絡も無く、各自孤立の状態にあって、少しもその力を婦人共同の目的のために一つにしやうというやうな努力もなく、又そのための機関もないからではないでせうか。私共はさう信ずるものであります。
 是私共が微力を顧みず、同志を糾合し、つとに婦人の団体的活動の一機関として「新婦人協会」を組織し、婦人相互の団結をはかり、堅忍自給の精神をもって、婦人擁護のため、その進歩向上のため、あるいは利益の増進、権利の獲得のため努力し、その目的を達っせんことを期する所以であります。

〇新婦人協会の綱領

一、婦人の能力を自由に発達せしめるため男女の機会均等を主張すること。
一、男女の価値同等観の上に立ちてその差別を認め協力を主張すること。
一、家庭の社会的意義を闡明(せんめい)にすること。
一、婦人、母、子供の権利を雍護し、彼等の利益の増進を計ると共に之に反する一切を排除すること。

〇新婦人協会の規約(事業内容)

一、女子高等教育、小学大学の男女共学、婦人参政権、婦人に不利なる諸法制の改廃、母性保護等の要求をなすために実際運動を開始すること。
一、各地の有力なる婦人団体と連絡を計り、婦人共同の利益に対する日本婦人総同盟を組織すること。
一、婦人に関する諸種の特種問題の研究調査会を設くる事。
一、婦人問題、労働問題、生活問題及其他諸種の社会問題に関する講演会を各地にて開くこと。
一、機関雑誌「女性同盟」の発刊。
一、婦人労働者の教化機関として学校を設置し、婦人労働新聞を発刊し、健全にして実力ある婦人労働組合を組織する基礎を造る事。
一、婦人身上相談、職業紹介、結婚媒介。
一、女子大学講座の開設。
一、事務所、公会所、教室、婦人共同寄宿所、婦人簡易食堂、娯楽所、運動場、図書館等を含む婦人会館の建設。

                 児玉勝子著『婦人参政権運動小史』より

☆平塚らいてふ(ひらつか らいちょう)とは?

 明治時代後期から昭和時代に活躍した評論家・婦人解放運動家です。明治時代前期の1886年(明治19)2月10日に、東京府東京市麹町区土手三番町(現在の東京都千代田区五番町)で、会計検査院高官だった父・平塚定二郎と母・光沢の3女として生まれましたが、本名は明(はる)と言いました。知的で裕福な家庭で、ハイカラで自由な環境で育ち、東京女子高等師範学校附属高等女学校(現在のお茶の水女子大学附属高等学校)を経て、1903年(明治36)に日本女子大学校家政学部へ入学しました。しかし、良妻賢母教育に失望して、文学、哲学、宗教などの本を読み、参禅し自我を追求、1906年(明治39)に卒業します。その後、英語を学びましたが、1908年(明治41)に森田草平との心中未遂事件(煤煙事件)を起こしました。1911年(明治44)に生田長江にすすめられ、母から資金提供を受け、婦人文芸集団青鞜社を興し、雑誌『青鞜』を発刊以後、編集と経営にあたります。その創刊の辞「元始女性は太陽であつた――青鞜発刊に際して――」は、「新しい女」の出現を主張し、今日に至る女権宣言となりました。1914年(大正3)には、5歳年下の画学生奥村博史と法律によらない自由な結婚を実践、1男1女をもうけています。1920年(大正9)に、市川房枝、奥むめおらと新婦人協会を発足させ、婦人参政権運動に取り組みました。1930年(昭和5)に高群逸枝らの無産婦人芸術連盟に参加して『婦人戦線』に関与、また協同自治社会の理想をめざして、成城に消費組合を設立しています。太平洋戦争後は、反戦・平和運動に力を注ぎ、1953年(昭和28)に日本婦人団体連合会会長、1962年(昭和37)には、野上弥生子、いわさきちひろ、岸輝子らとともに「新日本婦人の会」を結成しました。晩年まで、安保条約廃棄やベトナム反戦運動に関わりましたが、1971年(昭和46)5月24日に、東京において、85歳で亡くなっています。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1312年(正和元)京極為兼が『玉葉和歌集』(二十一代集の14番目)を撰進する(新暦5月5日)詳細
1682年(天和2)連歌師・俳人・談林派の祖西山宗因の命日(新暦5月5日)詳細
1868年(慶応4)神祇官事務局達(いわゆる神仏判然令)が出される詳細
1929年(昭和4)「国宝保存法」が公布される詳細
1940年(昭和15)内務省がミス・ワカナ、ディック・ミネ、藤原釜足ら16人に改名を命令する詳細
1993年(平成5)東京都立の「東京都江戸東京博物館」が開館する詳細
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mayakutorishimarihou01
 今日は、昭和時代中期の1953年(昭和28)に、「麻薬取締法」(現在の「麻薬及び向精神薬取締法」)が公布(同年4月1日施行)された日です。
 「麻薬取締法」(まやくとりしまりほう)は、麻薬の取締と麻薬中毒(麻薬、大麻又は阿片の慢性中毒)者についての必要な措置を定めた法律(昭和28年法律第14号)でした。麻薬を製造、譲渡し、譲受け、所持、施用、原料植物の栽培等を規制すると共に、麻薬中毒者に対する入院等の措置及び厚生省の麻薬取締官、都道府県の麻薬取締員の設置、職務を規定しています。
 1987年(昭和62)の国際会議において、6月26日を「国際麻薬乱用撲滅デー」としたことが、1988年(昭和63)に国連で採択された「向精神薬条約」(正式名称:麻薬および向精神薬の不法取引防止条約)の批准を促進し、1990年(平成2)に「麻薬及び向精神薬取締法」と改称して、規制対象に向精神薬を加えました。さらに、1991年(平成3)に、「麻薬及び向精神薬取締法等の一部改正」と「国際的な薬物規制の協力についての法律」(いわゆる麻薬2法)が制定され、薬物犯罪の取締りが強化されています。
 以下に、制定当初の「麻薬取締法」(昭和28年法律第14号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「麻薬取締法」(昭和28年法律第14号)1953年(昭和28)3月17日公布、同年4月1日施行

   第一章 総則

 (目的)
第一条 この法律は、麻薬が医療及び学術研究以外の用途に使用されることによつて生ずる保健衛生上の危害を防止するため、その輸入、輸出、製造、製剤、譲渡、譲受、所持等について必要な取締を行うことを目的とする。

 (用語の定義)
第二条 この法律において左の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 麻薬 別表に掲げる物をいう。
 二 家庭麻薬 別表第二十四号但書に規定する物をいう。
 三 麻薬取扱者 麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者及び麻薬研究者をいう。
 四 麻薬営業者 麻薬施用者、麻薬管理者及び麻薬研究者以外の麻薬取扱者をいう。
 五 麻薬輸入業者 厚生大臣の免許を受けて、麻薬を輸入することを業とする者をいう。
 六 麻薬輸出業者 厚生大臣の免許を受けて、麻薬を輸出することを業とする者をいう。
 七 麻薬製造業者 厚生大臣の免許を受けて、麻薬を製造すること(麻薬を精製すること、及び麻薬に化学的変化を加えて他の麻薬にすることを含む。以下同じ。)を業とする者をいう。
 八 麻薬製剤業者 厚生大臣の免許を受けて、麻薬を製剤すること(麻薬に化学的変化を加えないで他の麻薬にすることをいう。但し、調剤を除く。以下同じ。)、又は麻薬を小分けすること(他人から譲り受けた麻薬を分割して容器に収めることをいう。以下同じ。)を業とする者をいう。
 九 家庭麻薬製造業者 厚生大臣の免許を受けて、家庭麻薬を製造することを業とする者をいう。
 十 麻薬元卸売業者 厚生大臣の免許を受けて、麻薬卸売業者に麻薬を譲り渡すことを業とする者をいう。
 十一 麻薬卸売業者 都道府県知事の免許を受けて、麻薬小売業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者に麻薬を譲り渡すことを業とする者をいう。
 十二 麻薬小売業者 都道府県知事の免許を受けて、麻薬施用者の麻薬を記載した処方せんにより調剤された麻薬を譲り渡すことを業とする者をいう。
 十三 麻薬施用者 都道府県知事の免許を受けて、疾病の治療の目的で、業務上麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付する者をいう。
 十四 麻薬管理者 都道府県知事の免許を受けて、麻薬診療施設で施用され、又は施用のため交付される麻薬を業務上管理する者をいう。
 十五 麻薬研究者 都道府県知事の免許を受けて、学術研究のため、麻薬原料植物を栽培し、又は麻薬を製造し、若しくは使用する者をいう。
 十六 業務所 麻薬取扱者が業務上又は研究上麻薬を取り扱う店舗、製造所、製剤所、薬局、病院、診療所(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第五条第一項に規定する医師又は歯科医師の住所を含む。以下同じ。)、家畜診療施設(往診のみによつて家畜の診療に従事する獣医師の住所を含む。以下同じ。)及び研究施設をいう。但し、同一の都道府県の区域内にある二以上の病院、診療所若しくは家畜診療施設又は研究施設で診療又は研究に従事する麻薬施用者又は麻薬研究者については、主として診療又は研究に従事する病院、診療所若しくは家畜診療施設又は研究施設のみを業務所とする。
 十七 麻薬診療施設 麻薬施用者が診療に従事する病院、診療所及び家畜診療施設をいう。
 十八 麻薬研究施設 麻薬研究者が研究に従事する研究施設をいう。

   第二章 免許

 (免許)
第三条 麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者の免許は、厚生大臣が、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者の免許は、都道府県知事が、それぞれ業務所ごとに行う。
2 左に掲げる者でなければ、免許を受けることができない。
 一 麻薬輸入業者の免許については、薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)の規定により医薬品の輸入販売業の登録を受けている者
 二 麻薬輸出業者の免許については、薬事法の規定により医薬品の製造業又は販売業の登録を受けている者であつて、自ら薬剤師であるか又は薬剤師を使用しているもの
 三 麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は家庭麻薬製造業者の免許については、薬事法の規定により医薬品の製造業の登録を受けている者
 四 麻薬元卸売業者又は麻薬卸売業者の免許については、薬事法の規定により薬局の登録を受けている者又は同法の規定により医薬品の販売業の登録を受けている者であつて、自ら薬剤師であるか若しくは薬剤師を使用しているもの
 五 麻薬小売業者の免許については、薬事法の規定により薬局の登録を受けている者
 六 麻薬施用者の免許については、医師、歯科医師又は獣医師
 七 麻薬管理者の免許については、医師、歯科医師、獣医師又は薬剤師
 八 麻薬研究者の免許については、学術研究上麻薬原料植物を栽培し、又は麻薬を製造し、若しくは使用することを必要とする者
3 左の各号の一に該当する者には、免許を与えないことができる。
 一 第五十一条第一項の規定により免許を取り消され、取消の日から三年を経過していない者
 二 この法律若しくは大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に違反する罪又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十四章に定める罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた後、三年を経過していない者
 三 禁治産者
 四 精神病者又は麻薬若しくは大麻の中毒者
 五 法人又は団体であつて、その業務を行う役員のうちに前各号の一に該当する者があるもの
4 都道府県知事は、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者の免許を行つたときは、すみやかに厚生大臣に報告しなければならない。

 (免許証)
第四条 厚生大臣又は都道府県知事は、前条の規定により麻薬取扱者の免許を行つたときは、当該麻薬取扱者に対して免許証を交付しなければならない。
2 免許証には、麻薬取扱者の氏名又は名称及び住所その他厚生省令で定める事項を記載しなければならない。
3 免許証は、他人に譲り渡し、又は貸与してはならない。

 (免許の有効期間)
第五条 麻薬取扱者の免許の有効期間は、免許の日からその年の十二月三十一日までとする。

 (免許の失効)
第六条 麻薬取扱者の免許は、その有効期間が満了したとき、及び第五十一条第一項の規定により取り消されたときのほか、左の各号の一に該当するときは、その効力を失う。
 一 次条第一項の届出があつたとき。
 二 当該麻薬取扱者が第三条第二項各号の資格を欠くに至つたとき。

 (業務廃止等の届出)
第七条 麻薬取扱者は、当該免許の有効期間中に当該免許に係る業務所における麻薬に関する業務又は研究を廃止したときは、十五日以内に、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に、免許証を添えてその旨を届け出なければならない。
2 前項の規定は、麻薬取扱者が第三条第二項各号の資格を欠くに至つた場合に準用する。
3 麻薬取扱者が死亡し、又は法人たる麻薬取扱者が解散したときは、その相続人若しくは相続人に代つて相続財産を管理する者又は清算人、破産管財人若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者は、十五日以内に、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者の死亡又は解散の場合にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者の死亡又は解散の場合にあつては都道府県知事に、免許証を添えてその旨を届け出なければならない。
4 都道府県知事は、前三項の届出を受けたときは、すみやかに厚生大臣に報告しなければならない。

 (免許証の返納)
第八条 麻薬取扱者は、その免許の有効期間が満了し、又は第五十一条第一項の規定により免許を取り消されたときは、十五日以内に、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に、その免許証を返納しなければならない。

 (免許証の記載事項の変更届)

第九条 麻薬取扱者は、免許証の記載事項に変更を生じたときは、十五日以内に、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に、免許証を添えてその旨を届け出なければならない。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、前項の届出があつたときは、すみやかに免許証を書き替えて当該麻薬取扱者に交付しなければならない。

 (免許証の再交付)
第十条 麻薬取扱者は、免許証をき損し、又は亡失したときは、十五日以内に、その事由を記載し、且つ、き損した場合にはその免許証を添えて、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に、免許証の再交付を申請しなければならない。
2 麻薬取扱者は、前項の規定により免許証の再交付を受けた後、亡失した免許証を発見したときは、十五日以内に、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に、その免許証を返納しなければならない。

 (手数料)
第十一条 左の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める額の手数料を納めなければならない。
一 麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者の免許を申請する者 二千円
二 麻薬卸売業者の免許を申請する者 千五百円 
三 麻薬小売業者、麻薬施用者又は麻薬管理者の免許を申請する者 二百円
四 麻薬研究者の免許を申請する者 百円
五 免許証の再交付を申請する者 百円

2 前項第一号の手数料及び第五号中麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者の免許証の再交付を申請する者の納める手数料は、国庫の収入とし、その他の手数料は、都道府県の収入とする。

   第三章 禁止及び制限

 (禁止行為)

第十二条 ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。但し、麻薬研究施設の設置者が厚生大臣の許可を受けて、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄する場合及び麻薬研究者が厚生大臣の許可を受けて、研究のため、製造し、製剤し、施用し、又は所持する場合は、この限りでない。
2 麻薬原料植物は、何人も、栽培してはならない。但し、麻薬研究者が厚生大臣の許可を受けて、研究のため栽培する場合は、この限りでない。

 (輸入)
第十三条 麻薬輸入業者でなければ、麻薬(前条第一項に規定する麻薬を除く。以下この章において同じ。)を輸入してはならない。

 (輸入の許可)
第十四条 麻薬輸入業者は、麻薬を輸入しようとするときは、そのつど厚生大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した許可申請書を厚生大臣に提出しなければならない。
 一 輸入しようとする麻薬の品名及び数量
 二 輸出者の氏名又は名称及び住所
 三 輸入の期間
 四 輸送の方法
 五 輸入港名
3 第一項の許可を受けた者は、前項各号の事項を変更しようとするときは、厚生大臣の許可を受けなければならない。
4 厚生大臣は、国内における当該麻薬の需要量及び保有量を考慮して適当でないと認めるときは、第一項又は前項の許可を与えないことができる。
5 厚生大臣は、第一項の許可をしたときは、申請者の氏名又は名称及び住所並びに第二項に掲げる事項を記載した輸入許可書及び輸入許可証明書を交付する。
6 厚生大臣は、第三項の許可をしたときは、輸入許可書及び輸入許可証明書を書き替えて交付する。

 (輸出許可証明書の提出)
第十五条 麻薬輸入業者は、麻薬を輸入したときは、相手国発給の輸出許可証明書を、その麻薬を輸入した日又は輸出許可証明書を受け取つた日から十日以内に、厚生大臣に提出しなければならない。

 (輸入許可書の返納)
第十六条 麻薬輸入業者は、許可を受けた輸入の期間内に麻薬を輸入しなかつたときは、その期間の満了後十日以内に、輸入許可書を厚生大臣に返納しなければならない。

 (輸出)
第十七条 麻薬輸出業者でなければ、麻薬を輸出してはならない。

 (輸出の許可)
第十八条 麻薬輸出業者は、麻薬を輸出しようとするときは、そのつど厚生大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した許可申請書に相手国発給の輸入許可証明書を添えて、これを厚生大臣に提出しなければならない。
 一 輸出しようとする麻薬の品名及び数量
 二 輸入者の氏名又は名称及び住所
 三 輸出の期間
 四 輸送の方法
 五 輸出港名
3 第一項の許可を受けた者は、前項各号の事項を変更しようとするときは、厚生大臣の許可を受けなければならない。
4 厚生大臣は、第一項の許可をしたときは、申請者の氏名又は名称及び住所並びに第二項各号に掲げる事項を記載した輸出許可書及び輸出許可証明書を交付する。
5 厚生大臣は、第三項の許可をしたときは、輸出許可書及び輸出許可証明書を書き替えて交付する。
6 麻薬輸出業者は、麻薬を輸出するときは、麻薬に輸出許可証明書を添えて送らなければならない。

 (輸出許可書及び輸出許可証明書の返納)
第十九条 麻薬輸出業者は、許可を受けた輸出の期間内に麻薬を輸出しなかつたときは、その期間の満了後十日以内に、輸出許可書及び輸出許可証明書を厚生大臣に返納しなければならない。

 (製造)
第二十条 麻薬製造業者でなければ、麻薬を製造してはならない。但し、麻薬研究者が研究のため製造する場合は、この限りでない。
2 麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は家庭麻薬製造業者でなければ、家庭麻薬を製造してはならない。但し、麻薬研究者が研究のため製造する場合は、この限りでない。

 (製造の許可)
第二十一条 麻薬製造業者又は麻薬製剤業者若しくは家庭麻薬製造業者は、麻薬又は家庭麻薬を製造しようとするときは、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間(以下「四半期」という。)ごとに、製造しようとする麻薬又は家庭麻薬の品名及び数量並びに製造のために使用する麻薬の品名及び数量について、厚生大臣の許可を受けなければならない。
2 第十四条第四項の規定は、前項の許可について準用する。
3 厚生大臣は、第一項の許可を与える場合において、必要があると認めるときは、製造された麻薬を収めるべき容器の容量を指示することができる。

 (製剤)
第二十二条 麻薬製造業者又は麻薬製剤業者でなければ、麻薬を製剤してはならない。但し、麻薬研究者が研究のため製剤する場合は、この限りでない。

 (製剤及び小分けの許可)
第二十三条 麻薬製造業者又は麻薬製剤業者は、麻薬を製剤し、又は小分けしようとするときは、四半期ごとに、製剤し、又は小分けしようとする麻薬の品名及び数量並びに製剤のために使用する麻薬の品名及び数量について、厚生大臣の許可を受けなければならない。
2 第十四条第四項及び第二十一条第三項の規定は、前項の許可について準用する。

 (譲渡)
第二十四条 麻薬営業者でなければ、麻薬を譲り渡してはならない。但し、麻薬診療施設の開設者が、施用のため交付される麻薬を譲り渡す場合は、この限りでない。
2 麻薬輸入業者は、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬元卸売業者及び麻薬卸売業者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。但し、家庭麻薬製造業者にコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を譲り渡す場合は、この限りでない。
3 麻薬輸出業者は、麻薬を輸出する場合を除くほか、麻薬を譲り渡してはならない。
4 麻薬製造業者は、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、麻薬元卸売業者及び麻薬卸売業者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。但し、家庭麻薬製造業者にコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を譲り渡す場合は、この限りでない。
5 麻薬製剤業者は、麻薬輸出業者、麻薬製剤業者、麻薬元卸売業者及び麻薬卸売業者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。
6 家庭麻薬製造業者は、麻薬を譲り渡してはならない。
7 麻薬元卸売業者は、麻薬元卸売業者及び麻薬卸売業者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。
8 麻薬卸売業者は、当該免許に係る業務所の所在地の都道府県の区域内にある麻薬小売業者、麻薬診療施設の開設者及び麻薬研究施設の設置者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。
9 麻薬小売業者は、麻薬施用者の麻薬を記載した処方せん(以下「麻薬処方せん」という。)を所持する者以外の者に麻薬を譲り渡してはならない。
10 前九項の規定は、厚生大臣の許可を受けて譲り渡す場合には、適用しない。

 (麻薬小売業者の譲渡)
第二十五条 麻薬小売業者は、麻薬処方せんを所持する者に麻薬を譲り渡すときは、当該処方せんにより調剤された麻薬以外の麻薬を譲り渡してはならない。

 (譲受)
第二十六条 麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者でなければ、麻薬を譲り受けてはならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。
 一 麻薬施用者から交付される麻薬を麻薬診療施設の開設者から譲り受ける場合
 二 麻薬処方せんの交付を受けた者が、その処方せんにより調剤された麻薬を麻薬小売業者から譲り受ける場合
2 麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者は、第二十四条の規定により禁止される麻薬の譲渡の相手方となつてはならない。

 (施用、施用のための交付及び麻薬処方せん)
第二十七条 麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。
 一 麻薬研究者が、研究のため施用する場合
 二 麻薬施用者から施用のため麻薬の交付を受けた者が、その麻薬を施用する場合
 三 麻薬小売業者から麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り受けた者が、その麻薬を施用する場合
2 麻薬施用者は、疾病の治療以外の目的で、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。
3 麻薬施用者は、前項の規定にかかわらず、麻薬の中毒者の中毒症状を緩和するため、その他その中毒の治療の目的で、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない。
4 麻薬施用者は、麻薬を記載した処方せんを交付するときは、その処方せんに、患者の氏名及び住所(患畜にあつては、その種類並びにその所有者又は管理者の氏名又は名称及び住所)、麻薬の品名、分量、用法用量及び使用期間、発行の年月日、自己の氏名、免許証の番号並びに業務所の名称及び所在地を記載して、押印しなければならない。

 (所持)
第二十八条 麻薬取扱者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者でなければ、麻薬を所持してはならない。但し、麻薬施用者から施用のため麻薬の交付を受け、又は麻薬小売業者から麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り受けた者が、その麻薬を所持する場合は、この限りでない。
2 家庭麻薬製造業者は、コデイン、ジヒドロコデイン及びこれらの塩類以外の麻薬を所持してはならない。

 (廃棄)
第二十九条 麻薬を廃棄しようとする者は、麻薬の品名及び数量並びに廃棄の方法について、厚生大臣の許可を受けなければならない。

   第四章 取扱

 (証紙による封かん)
第三十条 麻薬輸入業者、麻薬製造業者又は麻薬製剤業者は、その輸入し、製造し、又は製剤し、若しくは小分けした麻薬を譲り渡すときは、厚生省令の定めるところにより、麻薬を収めた容器又は容器の直接の被包に、政府発行の証紙で封を施さなければならない。
2 麻薬営業者(麻薬小売業者を除く。)は、前項の規定により封が施されているままでなければ、麻薬を譲り渡してはならない。
3 麻薬施用者又は麻薬小売業者は、第一項の規定により封が施されているまま、麻薬を交付し、又は麻薬を譲り渡してはならない。
4 前三項の規定は、第二十四条第十項の規定による許可を受けて麻薬を譲り渡す場合には、適用しない。

 (容器及び被包の記載)
第三十一条 麻薬営業者(麻薬小売業者を除く。)は、その容器及び容器の直接の被包に「麻」の記号及び左に掲げる事項が記載されている麻薬以外の麻薬を譲り渡してはならない。但し、第二十四条第十項の規定による許可を受けて麻薬を譲り渡す場合は、この限りでない。
 一 輸入、製造、製剤又は小分けの年月日
 二 成分たる麻薬の品名及び分量又は含量
 三 その他厚生省令で定める事項

 (譲受証及び譲渡証)
第三十二条 麻薬営業者(麻薬小売業者を除く。)は、麻薬を譲り渡す場合には、譲受人から譲受人が厚生省令の定める様式により作成し、押印した譲受証の交付を受けた後、又はこれと引換えでなければ、麻薬を交付してはならず、且つ、麻薬を交付するときは、同時に、厚生省令の定める様式により作成し、押印した譲渡証を麻薬の譲受人に交付しなければならない。但し、第二十四条第十項の規定による許可を受けて麻薬を譲り渡す場合は、この限りでない。
2 前項の規定により譲受証又は譲渡証の交付を受けた者は、交付を受けた日から二年間、これを保存しなければならない。

 (麻薬診療施設及び麻薬研究施設における麻薬の管理)
第三十三条 二人以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設の開設者は、麻薬管理者一人を置かなければならない。但し、その開設者が麻薬管理者である場合は、この限りでない。
2 麻薬管理者(麻薬管理者のいない麻薬診療施設にあつては、麻薬施用者とする。以下この章及び次章において同じ。)又は麻薬研究者は、当該麻薬診療施設又は当該麻薬研究施設において施用し、若しくは施用のため交付し、又は研究のため自己が使用する麻薬をそれぞれ管理しなければならない。
3 麻薬施用者は、前項の規定により麻薬管理者の管理する麻薬以外の麻薬を当該麻薬診療施設において適用し、又は施用のため交付してはならない。

 (保管)
第三十四条 麻薬取扱者は、その所有し、又は管理する麻薬を、その業務所内で保管しなければならない。
2 前項の保管は、麻薬以外の医薬品(覚せい剤を除く。)と区別し、かぎをかけた堅固な設備内に貯蔵して行わなければならない。

 (事故の届出)
第三十五条 麻薬取扱者は、その所有し、又は管理する麻薬につき、滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその麻薬の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者にあつては都道府県知事に届出なければならない。
2 都道府県知事は、前項の届出を受けたときは、すみやかに厚生大臣に報告しなければならない。

 (免許が失効した場合等の措置)
第三十六条 麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者は、麻薬営業者の免許が効力を失い、又は麻薬診療施設若しくは麻薬研究施設が麻薬診療施設若しくは麻薬研究施設でなくなつたとき(麻薬営業者の免許が効力を失つた場合において、引き続きその者が麻薬営業者となつたときを除く。)は、十五日以内に、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者にあつては厚生大臣に、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者にあつては都道府県知事に、現に所有する麻薬の品名及び数量を届け出なければならない。
2 前項の規定により届け出なければならない者については、これらの者が届出事由の生じた日から五十日以内に、同項の麻薬を麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者(同項の麻薬が第十二条第一項に規定する麻薬である場合には麻薬研究施設の設置者に限る。)に譲り渡す場合に限り、その譲渡及び譲受については、第十二条第一項、第二十四条第一項及び第二十六条第二項の規定を適用せず、また、これらの者の前項の麻薬の所持については、同期間に限り、第十二条第一項及び第二十八条第一項の規定を適用しない。
3 前項の期間内に麻薬を譲り渡した者は、譲渡の日から十五日以内に、第一項に規定する区分に従い厚生大臣又は都道府県知事に、その麻薬の品名及び数量、譲渡の年月日並びに譲受人の氏名又は名称及び住所を届け出なければならない。
4 第一項及び前項の規定は、麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者若しくは麻薬研究施設の設置者が死亡し、又は法人たるこれらの者が解散した場合に、その相続人若しくは相続人に代つて相続財産を管理する者又は清算人、破産管財人若しくは合併後存続し、若しくは合併により設立された法人の代表者に準用し、第二項の規定は、これらの者が麻薬を譲り渡す場合の譲渡及び譲受並びにこれらの者の麻薬の所持について、準用する。
5 都道府県知事は、第三項(前項において準用する場合を含む。)の届出を受けたときは、すみやかに厚生大臣に報告しなければならない。

   第五章 業務に関する記録及び届出

 (帳簿)
第三十七条 麻薬営業者(麻薬小売業者を除く。)は、業務所に帳簿を備え、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、麻薬若しくは家庭麻薬の製造若しくは麻薬の製剤のために使用し、又は廃棄した麻薬の品名及び数量並びにその年月日
 二 輸入若しくは輸出又は譲渡若しくは譲受の相手方の氏名又は名称及び住所
 三 第三十五条第一項の規定により届け出た麻薬の品名及び数量
2 麻薬営業者(麻薬小売業者を除く。)は、前項の帳簿を、最終の記載の日から二年間、保存しなければならない。

第三十八条 麻薬小売業者は、業務所に帳簿を備え、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 譲り受けた麻薬の品名及び数量並びにその年月日
 二 譲り渡した麻薬(コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類を除く。)の品名及び数量並びにその年月日
 三 第三十五条第一項の規定により届け出た麻薬の品名及び数量
 四 廃棄した麻薬の品名又び数量並びにその年月日
2 麻薬小売業者は、前項の帳簿を、最終の記載の日から二年間、保存しなければならない。

第三十九条 麻薬管理者は、麻薬診療施設に帳簿を備え、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 当該麻薬診療施設の開設者が譲り受け、又は廃棄した麻薬の品名及び数量並びにその年月日
 二 当該麻薬診療施設の開設者が譲り渡した麻薬(施用のため交付したコデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類を除く。)の品名及び数量並びにその年月日
 三 当該麻薬診療施設で施用した麻薬(コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類を除く。)の品名及び数量並びにその年月日
 四 第三十五条第一項の規定により届け出た麻薬の品名及び数量
2 麻薬管理者は、前項の帳簿を閉鎖したときは、すみやかにこれを当該麻薬診療施設の開設者に引き渡さなければならない。
3 麻薬診療施設の開設者は、前項の規定により帳簿の引渡を受けたときは、最終の記載の日から二年間、これを保存しなければならない。

第四十条 麻薬研究者は、当該麻薬研究施設に帳簿を備え、これに左に掲げる事項を記載しなければならない。
 一 新たに管理に属し、又は管理を離れた麻薬の品名及び数量並びにその年月日
 二 製造し、製剤し、又は研究のため使用した麻薬の品名及び数量並びにその年月日
 三 第三十五条第一項の規定により届け出た麻薬の品名及び数量
2 麻薬研究者は、前項の帳簿を閉鎖したときは、すみやかにこれを当該麻薬研究施設の設置者に引き渡さなければならない。
3 麻薬研究施設の設置者は、前項の規定により帳簿の引渡を受けたときは、最終の記載の日から二年間、これを保存しなければならない。

 (施用に関する記録)
第四十一条 麻薬施用者は、麻薬を施用し、又は施用のため交付したときは、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十四条若しくは歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第二十三条に規定する診療録又は獣医師法(昭和二十四年法律第百八十六号)第二十条に規定する診療簿に、患者の氏名及び住所(患畜にあつては、その種類並びにその所有者又は管理者の氏名又は名称及び住所)、病名、主要症状、施用し、又は施用のため交付した麻薬の品名及び数量並びに施用又は交付の年月日を記載しなければならない。

 (麻薬輸入業者の届出)
第四十二条 麻薬輸入業者は、四半期ごとに、その期間の満了後十五日以内に、左に掲げる事項を厚生大臣に届け出なければならない。
 一 期初に所有した麻薬の品名及び数最並びに容器一個あたりの麻薬の量(以下「容器の容量」という。)及びその容器の数
 二 その期間中に輸入した麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに輸入の年月日
 三 その期間中に譲り渡した麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲渡の年月日
 四 期末に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数

 (麻薬輸出業者の届出)
第四十三条 麻薬輸出業者は、四半期ごとに、その期間の満了後十五日以内に、左に掲げる事項を厚生大臣に届け出なければならない。
 一 期初に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
 二 その期間中に輸出した麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに輸出の年月日
 三 その期間中に譲り受けた麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲受の年月日
 四 期末に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数

 (麻薬製造業者、麻薬製剤業者及び家庭麻薬製造業者の届出)
第四十四条 麻薬製造業者、麻薬製剤業者又は家庭麻薬製造業者は、四半期ごとに、その期間の満了後十五日以内に、左に掲げる事項を厚生大臣に届け出なければならない。
 一 期初に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
 二 その期間中に麻薬の製造若しくは製剤又は家庭麻薬の製造のために使用した麻薬の品名及び数量
 三 その期間中に製造し、製剤し、若しくは小分けした麻薬又は製造した家庭麻薬の品名及び数量並びに製造し、製剤し、又は小分けした麻薬の容器の容量及び数
 四 その期間中に譲り渡し、又は譲り受けた麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲渡又は譲受の年月日
 五 期末に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
 六 その他厚生省省令で定める事項

 (麻薬元卸売業者の届出)
第四十五条 麻薬元卸売業者は、四半期ごとに、その期間の満了後十五日以内に、左に掲げる事項を厚生大臣に届け出なければならない。
 一 期初に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数
 二 その期間中に譲り渡し、又は譲り受けた麻薬の品名及び数量、容器の容量及び数並びに譲渡又は譲受の年月日
 三 期末に所有した麻薬の品名及び数量並びに容器の容量及び数

 (麻薬卸売業者の届出)
第四十六条 麻薬卸売業者は、四半期ごとに、その期間の満了後十五日以内に、前条各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 都道府県知事は、前項の届出を取りまとめ、その期間の満了後五十日以内に、厚生大臣に報告しなければならない。

 (麻薬小売業者の届出)
第四十七条 麻薬小売業者は、毎年十一月三十日までに、左に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 一 前年の十月十六日に所有した麻薬の品名及び数量
 二 前年の十月十六日からその年の十月十五日までの間に譲り渡し、又は譲り受けた麻薬の品名及び数量
 三 その年の十月十五日に所有した麻薬の品名及び数量

 (麻薬管理者の届出)
第四十八条 麻薬管理者は、毎年十一月三十日までに、左に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 一 前年の十月十六日に当該麻薬診療施設の開設者が所有した麻薬の品名及び数量
 二 前年の十月十六日からその年の十月十五日までの間に当該麻薬診療施設の開設者が譲り受けた麻薬及び同期間内に当該麻薬診療施設で施用し、又は施用のため交付した麻薬の品名及び数量
 三 その年の十月十五日に当該麻薬診療施設の開設者が所有した麻薬の品名及び数量

 (麻薬研究者の届出)
第四十九条 麻薬研究者は、毎年十一月三十日までに、左に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 一 前年の十月十六日に管理した麻薬の品名及び数量
 二 前年の十月十六日からその年の十月十五日までの間に新たに管理に属した麻薬及び同期間内に製造し、製剤し、又は研究のため使用した麻薬の品名及び数量
 三 その年の十月十五日に管理した麻薬の品名及び数量

 (麻薬中毒患者に関する届出)
第五十条 医師は、診察の結果受診者が麻薬に中毒していると診断したときは、すみやかにその中毒患者の氏名、住所、年齢、性別及び中毒している麻薬の名称を、その中毒患者の居住地の都道府県知事に届け出なければならない。
2 都道府県知事は、前項の届出を受けたときは、すみやかに厚生大臣に報告しなければならない。

   第六章 監督

 (免許の取消等)
第五十一条 厚生大臣は、麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者又は麻薬元卸売業者について、都道府県知事は、麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者について、これらの者がこの法律の規定若しくはこの法律の規定に基く厚生大臣若しくは都道府県知事の処分に違反したとき、又は第三条第三項第二号から第五号までの各号の一に該当するに至つたときは、その免許を取り消し、又は期間を定めて、麻薬に関する業務若しくは研究の停止を命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定により免許を取り消し、又は業務若しくは研究の停止を命じたときは、すみやかに厚生大臣に報告しなければならない。

 (聴聞)
第五十二条 厚生大臣又は都道府県知事は、前条第一項の規定により免許を取り消し、又は業務若しくは研究の停止を命じようとするときは、あらかじめ、当該麻薬取扱者又はその代理人の出頭を求めて、公開による聴聞を行わなければならない。
2 前項の場合において、厚生大臣又は都道府県知事は、処分をしようとする事由並びに聴聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに、当該麻薬取扱者に通知し、且つ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
3 聴聞においては、当該麻薬取扱者又はその代理人は、自己又は本人のために釈明をし、且つ、証拠を提出することができる。
4 厚生大臣又は都道府県知事は、当該麻薬取扱者又はその代理人が正当の理由がなくて出頭しないときは、聴聞を行わないで前条第一項の規定による処分を行うことができる。

 (報告の徴収等)
第五十三条 厚生大臣又は都道府県知事は、麻薬の取締上必要があると認めるときは、麻薬取扱者から必要な報告を徴し、又は麻薬取締官若しくは麻薬取締員その他の吏員に、業務所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小限度の分量に限り、麻薬、家庭麻薬若しくはこれらの疑のある物を収去させることができる。
2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (麻薬取締官及び麻薬取締員)
第五十四条 厚生省に百五十名以内の麻薬取締官を、都道府県に通じて百名以内の麻薬取締員を置く。
2 麻薬取締員の都道府県別の定数は、政令で定める。
3 麻薬取締官及び麻薬取締員の資格について必要な事項は、政令で定める。
4 麻薬取締官は、厚生省の職員のうちから、厚生大臣が命じ、麻薬取締員は、都道府県の吏員のうちから、都道府県知事が、その者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議して命ずる。
5 麻薬取締官は、厚生大臣の指揮監督を受け、麻薬取締員は、都道府県知事の指揮監督を受けて、この法律若しくは大麻取締法に違反する罪、刑法第二編第十四章に定める罪又は麻薬中毒により犯された罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。
6 前項の規定による司法警察員とその他の司法警察職員とは、その職務を行うにつき互に協力しなければならない。
7 麻薬取締官及び麻薬取締員は、司法警察員として職務を行うときは、小型武器を携帯することができる。
8 麻薬取締官及び麻薬取締員の前項の武器の使用については、警察官等職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第七条の規定を準用する。

 (麻薬取締官の職務執行の場所)
第五十五条 麻薬取締官は、別に法律の定めるところにより置かれる地区麻薬取締官事務所に属し、当該地区麻薬取締官事務所の管轄区域内において、その職務を行う。
2 麻薬取締官は、捜査のため必要があるときは、その属する地区麻薬取締官事務所の管轄区域外においても、その職務を行うことができる。

 (麻薬取締官と麻薬取締員の協力)
第五十六条 厚生大臣は、捜査上特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、特定の事件につき、当該都道府県の麻薬取締員を麻薬取締官に協力させるべきことを求めることができる。この場合においては、当該麻薬取締員は、捜査に必要な範囲において、厚生大臣の指揮監督を受けるものとする。
2 都道府県知事は、捜査上特に必要があると認めるときは、厚生大臣に対し、特定の事件につき、当該都道府県の区域を管轄する地区麻薬取締官事務所に属する麻薬取締官の協力を申請することができる。この場合においては、厚生大臣は、適当と認めるときは、当該麻薬取締官を協力させるものとする。

 (麻薬取締員と都道府県の区域)
第五十七条 麻薬取締員は、前条に規定する場合のほか、捜査のため必要がある場合において、厚生大臣の許可を受けたときは、当該都道府県の区域外においても、この職務を行うことができる。

 (麻薬取締官及び麻薬取締員の麻薬の譲受)
第五十八条 麻薬取締官及び麻薬取締員は、麻薬に関する犯罪の捜査にあたり、厚生大臣の許可を受けて、この法律の規定にかかわらず、何人からも麻薬を譲り受けることができる。

   第七章 雑則

 (都道府県の支弁及び国庫の負担)
第五十九条 都道府県は、この法律に基き都道府県知事が行う免許その他麻薬取締に要する費用を支弁しなければならない。
2 麻薬取締員に要する費用は、政令の定めるところにより、国庫が負担する。
3 第五十六条第一項の規定により、麻薬取締員が当該都道府県の区域外において職務を行つたときは、これに直接要した費用は、政令の定めるところにより、国庫が負担する。

 (国庫に帰属した麻薬の処分)
第六十条 厚生大臣は、法令の規定により国庫に帰属した麻薬について、大蔵大臣と協議して必要な処分をすることができる。

 (証紙の代価)
第六十一条 麻薬輸入業者、麻薬製造業者又は麻薬製剤業者は、第三十条第一項に規定する証紙の交付を申請するときは、実費の範囲内において厚生省令で定める額の代価を国庫に納めなければならない。

 (同一人が二以上の免許を有する場合の取扱)
第六十二条 同一人が二以上の麻薬取扱者の免許を有する場合には、この法律中麻薬の譲渡及び譲受に関する規定の適用については、免許ごとに、それぞれ別個の麻薬取扱者とみなす。

 (実施命令)
第六十三条 この法律で政令に委任するものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。

   第八章 罰則

第六十四条 第十二条第一項の規定に違反した者は、七年以下の懲役に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。

第六十五条 第十二条第二項、第十三条、第十七条、第二十条、第二十二条、第二十四条第一項から第九項まで、第二十六条、第二十七条第一項から第三項まで又は第二十八条の規定に違反した者は、五年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
3 前二項の場合において、刑法に正条があるときは、同法による。

第六十六条 営利の目的で前二条の違反行為をした者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

第六十七条 常習として第六十四条又は第六十五条の違反行為をした者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の規定にあたる行為が前条の規定に触れるときは、その行為者を一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

第六十八条 前四条の場合においては、犯人が所有し、又は所持する麻薬は、没収する。但し、犯人以外の所有に係るときは、没収しないことができる。

第六十九条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。但し、刑法に正条がある場合には、同法による。
 一 第十四条第一項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬を輸入した者
 二 第十八条第一項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬を輸出した者
 三 第二十一条第一項の規定に違反して、許可を受けないで麻薬又は家庭麻薬を製造した者
 四 第二十三条第一項の規定に違反して、許可を受けないで、麻薬を製剤し、又は小分けした者
 五 第二十五条の規定に違反した者
 六 第五十一条第一項の規定による業務又は研究の停止の命令に違反した者

第七十条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 一 第四条第三項の規定に違反した者
 二 第二十七条第四項の規定による処方せんの記載にあたり、虚偽の記載をした者
 三 第二十九条の規定による許可を受けないで麻薬を廃棄した者
 四 第三十条第一項から第三項まで又は第三十一条の規定に違反した者
 五 第三十二条第一項の規定による譲受証の交付を受けないで、又はこれと引き換えないで麻薬を交付した者
 六 第三十二条第一項の規定による譲渡証を交付しないで麻薬を交付した者
 七 第三十二条第一項の規定による譲受証又は譲渡証に虚偽の記載をした者
 八 第三十二条第二項、第三十三条又は第三十四条の規定に違反した者
 九 第三十五条第一項又は第三十六条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による届出にあたり、虚偽の届出をした者
 十 第三十七条第一項、第三十八条第一項、第三十九条第一項又は第四十条第一項の規定に違反して、帳簿を備えず、又は帳簿に記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者
 十一 第三十七条第二項、第三十八条第二項、第三十九条第三項又は第四十条第三項の規定に違反して、帳簿の保存をしなかつた者
 十二 第四十一条の規定による診療録又は診療簿の記載にあたり、虚偽の記載をした者
 十三 麻薬処方せんを偽造し、又は変造した者

第七十一条 第三十五条第一項、第三十六条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)若しくは第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十九条第二項、第四十条第二項、第四十一条又は第五十条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは一万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第七十二条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
 一 第四十二条から第四十五条まで、第四十六条第一項又は第四十七条から第四十九条までの規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 第五十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第七十三条 第七条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三項、第十五条又は第十八条第六項の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。

第七十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第六十五条第一項若しくは第二項、第六十六条、第六十七条第二項又は第六十九条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第七十五条 第八条又は第十条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)
1 この法律は、昭和二十八年四月一日から施行する。

 (麻薬取締法の廃止)
2 麻薬取締法(昭和二十三年法律第百二十三号。以下「旧法」という。)は、廃止する。

 (経過規定)
3 旧法に基いて厚生大臣のした免許、許可その他の行為で、この法律に各相当する規定のあるものは、それぞれこの法律に基いて厚生大臣又は都道府県知事のしたものとみなす。
4 旧法に基いて交付された麻薬取扱者の免許証は、この法律に基いて交付されたものとみなす。
5 旧法第二十九条第一項の規定に基き発行された証紙及び同条同項の規定により施された封は、それぞれこの法律第三十条第一項の規定に基き発行され、及び同条同項の規定により施されたものとみなす。
6 旧法第十三条第一項の規定により交付された譲受証及び譲渡証は、それぞれこの法律第三十二条第一項の規定により交付されたものとみなす。
7 この法律の施行の際、現に二人以上の麻薬施用者が診療に従事する家畜診療施設の開設者については、この法律の施行後三月間は、第三十三条第一項の規定を適用しない。
8 前項の開設者が自ら麻薬管理者となり、又は麻薬管理者一人を置くまでの間は、同項の家畜診療施設で診療に従事する麻薬施用者は、当該施設において自己が施用し、又は施用のため交付する麻薬をそれぞれ管理しなければならず、且つ、その管理する麻薬以外の麻薬を当該施設において施用し、又は施用のため交付してはならない。
9 前項の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
10 この法律の施行の際は、現に旧法第十四条第三項の規定により保存されている帳簿は、この法律第三十七条第一項、第三十八条第一項、第三十九条第一項又は第四十条第一項の帳簿とみなす。
11 この法律の施行の際、現に前項の帳簿を保存している麻薬施用者若しくは麻薬管理者又は麻薬研究者は、すみやかにその帳簿を、当該麻薬診療施設の開設者又は当該麻薬研究施設の設置者に引き渡さなければならない。
12 前項の規定に違反した者は、六月以下の懲役若しくは一万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
13 麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者は、第十一項の規定により帳簿の引渡を受けたときは、これを最終の記載の日から二年間、保存しなければならない。
14 前項の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
15 第七十四条の規定は、前項の違反行為があつた場合に準用する。
16 この法律の施行前にした違反行為(旧法による麻薬でこの法律により麻薬及び家庭麻薬のいずれにもされないもの並びに旧法による家庭麻薬に関する違反行為を除く。)に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
17 この法律の施行の際、現に旧法第五十二条の二の規定により都道府県に駐在する麻薬取締官である職員が引き続き都道府県の麻薬取締員となつた場合には、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十二年法律第七十七号)附則第十条の規定の適用がある場合を除き、その職員が引き続き麻薬取締に関する事務に従事する間に限り、同条の規定を準用する。
18 国の所有に属する動産で、都道府県に駐在する麻薬取締官が、この法律の施行の際現にその事務の用に供しているものは、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十九号)第三条の規定にかかわらず、当該都道府県に譲与することができる。この場合においては、同法第五条第二項の規定を準用する。
19 昭和二十八年度に限り、第十一条第一項の規定により納められる手数料は、同条第二項の規定にかかわらず、全部国庫の収入とし、また、国庫は、第五十九条第二項及び第三項並びにこの法律による改正後の地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十条第六号の二の規定にかかわらず、予算の定めるところにより、この法律に基き都道府県知事が行う免許その他の事務に要する費用を都道府県に交付する。

 (薬事法の一部改正)
20 薬事法の一部を次のように改正する。
  第四十一条第六号中「、コカ葉、コカイン、コデイン、モルヒネ、阿片」を削る。

 (厚生省設置法の一部改正)
21 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
  第五条第四十九号を次のように改める。
  四十九 麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者及び麻薬元卸売業者の免許を行い、その免許を取り消し、並びに業務の停止を命ずること。

 (地方財政法の一部改正)
  地方財政法の一部を次のように改正する。
  第十条中第六号の次に次の一号を加える。

  六の二 麻薬取締員に要する経費

別 表

 一 阿片及びコカ葉
 二 モルヒネ及びその塩類
 三 ジアセチルモルヒネその他モルヒネのエステル及びその塩類
 四 コデイン、エチルモルヒネその他モルヒネのエーテル及びその塩類
 五 ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルヒノン、メチルジヒドロモルヒノン、ジヒドロデスオキシモルヒネ、エヌーアリルノルモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノン、ジヒドロヒドロオキシコデイノン、テバイン及びこれらのエステル
 六 前号に掲げる物の塩類
 七 モルヒネーエヌーオキシドその他の五価窒素モルヒネ及びその誘導体
 八 エクゴニン及びその塩類
 九 コカインその他エクゴニンのエステル及びその塩類
 十 一―メチル―四―フエニルピぺリジン―四―カルボン酸エチルエステル及びその塩類
 十一 四―(三―ヒドロオキシフエニル)―一―メチル―四―ピペリジールエチルケトン及びその塩類
 十二 一―メチル―四―(三―ヒドロオキシフエル)―ピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル及びその塩類
 十三 アルファ―一―三―ジメチル―四―フエニル―四―プロピオンオキシピペリジン及びその塩類
 十四 べータ―一―三―ジメチル―四―フエニル―四―プロピオンオキシピペリジン及びその塩類
 十五 四・四―ジフエニル―六―ジメチルアミノヘプタノン―三及びその塩類
 十六 四・四―ジフエニル―五―メチル―六―ジメチルアミノヘキサノン―三及びその塩類
 十七 四・四―ジフエニル―六―ジメチルアミノヘプタノール―三及びその塩類
 十八 四・四―ジフエニル―六―ジメチルアミノ―三―アセトオキシヘプタン及びその塩類
 十九 四・四―ジフエニル―六―モルフオリノヘプタノン―三及及びその塩類
 二十 ベータ―一―メチル―三―エチル―四―フエニル―四―プロピオンオキシピペリジン及びその塩類
 二十一 三―ヒドロオキシーエヌーメチルモルヒナン及びその塩類
 二十二 三―メトオキシーエヌーメチルモルヒナン及びその塩類
 二十三 前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、且つ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの
 二十四 前各号に掲げる物のいずれかを含有する物。但し、千分中十分以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有し、これら以外の前各号に掲げる物を含有しない物を除く。

(内閣総理・法務・大蔵・厚生大臣署名)

   「衆議院ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

806年(延暦25)第50代天皇である桓武天皇の命日(新暦4月9日)詳細
1880年(明治13)国会期成同盟が発足する詳細
1893年(明治26)埼玉県入間郡川越町(現在の川越市)において、川越大火が発生する詳細
1898年(明治31)小説家・俳人・評論家横光利一の誕生日詳細
1945年(昭和20)B29爆撃機309機が神戸へ来襲(最初の神戸大空襲)し、神戸の西半分が焼失、死者2,598名を出す詳細
1985年(昭和60)筑波研究学園都市で、国際科学技術博覧会(略称:科学万博、つくば '85)が開幕する詳細
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ymashitakouen01
 今日は、昭和時代前期の1930年(昭和5)、神奈川県横浜市に山下公園が開園した日です。
 山下公園(やましたこうえん)は、神奈川県横浜市中区山下町にある臨海都市公園です。1923年(大正12)の関東大震災後の市の復興計画案の中で海岸公園として計画され、1925年(大正14)に震災投棄物の上を山手隧道掘削土砂と大岡川などの河川浚渫土砂で埋立整地する公園造成が着工されました。
 1930年(昭和5)3月15日に山下公園として開園し、1935年(昭和10)には、公園内にて復興記念横浜大博覧会が開催(3月26日~5月24日)されます。太平洋戦争後の1945年(昭和20)に、進駐してきたアメリカ軍により接収され、進駐軍の住宅用地として利用されましたが、1954年(昭和29)には、返還されて再整備が開始されました。
 1959年(昭和34)にアメリカ軍による接収が全面解除され、1960年(昭和35)に公園地の全域が市民に開放されます。横浜港に面して約750mにわたり、約100mの幅で設けられ、面積は7.4haあり、公園沿いには氷川丸が係留され、公園内には数多くの記念碑があり、サンディエゴ市から贈られた「水の守護神」、童謡でおなじみの「赤い靴はいてた女の子像」などが見どころとなってきました。
 尚、1989年(平成元)に「日本の都市公園100選」、2001年(平成13)に「かながわ未来遺産100」、2003年(平成15)に「東京湾100選」に選定され、2007年(平成19)には、登録記念物に登録されています。また、2017年(平成29)には、第33回全国都市緑化よこはまフェア(愛称:ガーデンネックレス横浜2017)が開催されました。

〇山下公園関係略年表

・1863年(文久3)頃 フランス波止場が完成する(現在の山下公園中央部)
・1923年(大正12) 震災後の市の復興計画案の中で海岸公園として計画され、その名称が山下公園に決まる
・1925年(大正14) 震災投棄物の上を山手隧道掘削土砂と大岡川などの河川浚渫土砂で埋立整地する公園造成が着工される
・1930年(昭和5)3月15日 山下公園として、開園する
・1935年(昭和10) 公園内にて復興記念横浜大博覧会が開催(3月26日~5月24日)される。
・1939年(昭和14) 震災時に受けた恩恵への返礼として、横浜印度商組合が公園の西端部に水飲場(インド水塔)を寄贈する
・1945年(昭和20) 太平洋戦争における日本の降伏に伴い、進駐してきたアメリカ軍により接収され、米国進駐軍の住宅用地として利用される
・1954年(昭和29) アメリカ軍から返還され、再整備が開始される
・1957年(昭和32) 沈床花壇の再整備が完了する
・1959年(昭和34) アメリカ軍による接収が全面解除される
・1960年(昭和35) 公園地の全域が市民に開放される
・1961年(昭和36) 再整備が終了、岸壁に氷川丸が係留され、公園内を通る臨港鉄道(山下臨港線・高架の貨物線)が着工する
・1965年(昭和40) 臨港鉄道線が開通する
・1971年(昭和46) リカルテ将軍記念碑が建立される
・1986年(昭和61) 臨港鉄道線が廃止、第1回神奈川新聞花火大会が開催される
・1988年(昭和63) 横浜博覧会の際して東側一帯が再整備され、駐車場や世界の広場などができる
・1989年(平成元) 緑の文明学会と日本公園緑地協会により「日本の都市公園100選」に選定される
・2001年(平成13) 2001年「希望の年」記念事業の一環として、「かながわ未来遺産100」実行委員会により、「かながわ未来遺産100」に選定される
・2002年(平成14) 山下臨港線跡が「山下臨港線プロムナード」として整備され、新港地区から当公園まで遊歩道によって直結される
・2003年(平成15) 東京湾100選選定委員会により、「東京湾100選」に選定される
・2005年(平成17) 横浜トリエンナーレ2005が隣接する山下埠頭で開催(9月28日~12月18日)
・2007年(平成19) 登録記念物に登録される
・2009年(平成21) 横浜港開港150周年記念事業「開国博Y150」を開催(4月28日~9月27日)する
・2016年(平成28) バラ園を再整備し、「未来のバラ園」としてリニューアルする
・2017年(平成29) 第33回全国都市緑化よこはまフェア(愛称:ガーデンネックレス横浜2017)が開催(3月25日~6月4日)される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1868年(慶応4)明治政府が、民政方針を示す「五榜の掲示」の高札を設置する(新暦4月7日)詳細
1875年(明治8)詩人蒲原有明の誕生日詳細
1884年(明治17)「地租条例」が公布される詳細
1890年(明治23)琵琶湖疎水の第一期工事が完成し、全線通水が完了する詳細
1914年(大正3)秋田県内陸南部を震源とする秋田仙北地震(マグニチュード7.1)が起き、大きな被害を出す詳細
1958年(昭和33)劇作家・演出家・小説家・批評家久保栄の命日詳細
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ishiokataika01
 今日は、昭和時代前期の1929年(昭和4)に、茨城県新治郡石岡町(現在の石岡市)で石岡大火が発生し、606戸・1,700棟を焼失した日です。
 石岡大火(いしおかたいか)は、この日の午後7時30分頃に、茨城県新治郡石岡町中町(現在の石岡市)から出火した大火でした。ろくな雨もなく町中が乾燥しきっていた中で、折しも15mの強風に煽られて、火が燃え広がり、炎は大通りを隔てた風下の東側に飛び移ります。
 ガソリンタンクが誘爆した影響もあり、中町・守横町が全焼し、金丸町・富田町・守木町・守横町・貝地町・木之地の一部地域も燃えました。ようやく、翌日の午前2時10分に鎮火しましたが、市街の3分の1が焼失し、焼失家屋は606戸・1,700棟に及び、罹災人員約3,000名、被害総額2千万円以上になります。
 これによって、主要な建物では、常磐銀行、高喜呉服店、国分館、西之宮醤油店、常光院、華園寺、石岡劇場、村上裁縫女学校、家政女学校、明愛貯蓄銀行、松の湯、商華会館などが焼失しました。火災後は、防火対策として、目抜き通りの中町通りが拡幅され、当時東京で流行していた看板建築や、ガス灯風の街路灯やプラタナスが並ぶ、洒落た通りとして復興し、焼失した多くの建物は2階建の洋風建築や木造モルタル建築へと建て替えられています。

〇今泉哲太郎・義文著『あゝ石岡大火災』(抜粋)

 忘れんとして忘れる事の出来ぬ昭和4年3月14日!・・・朝から吹きつけた西北の風は、午後になってますます勢いを加え、石岡の空は、もうもうと巻き上がる砂塵の煙におおわれて、太陽の光も陰惨な色に曇っていた。ちょうどこの日は、旧暦2月4日の初午にあたり”初午が早い年は火早い”という俗説をなす者もあって、各町内は稲荷祭りの社にさえ灯明を点さず、商家はもちろん、工場、浴場に至るまで1年1度の今日の日に限って焚き物を禁じ、全町はほとんど因襲的に火の戒厳令がしかれた日である。・・・・各戸はようやく夕飯を済ました7時30分ごろ、突然!電線を渡る風の響き?! そは何ぞ図らん。石岡町の心臓-中町の一角にあたって鮮血のような炎が天に向かってほとばしり出んとは。

☆昭和時代の日本の大火(500棟以上の焼失で、戦災・地震によるものを除く)

・1929年(昭和4)3月14~15日 - 石岡大火(茨城県新治郡石岡町)
 焼失家屋606戸・1,700棟、罹災人員約3,000名、被害総額2千万円以上
・1934年(昭和9)3月21日 - 箱館大火(北海道函館市)
 死者2,166名、負傷者9,485名、焼失家屋11,105棟、罹災世帯22,667世帯、罹災人員約102,001名
・1940年(昭和15)1月15日 - 静岡大火(静岡県静岡市)
 死者1名、負傷者788名、焼失家屋5,275戸、羅災人員27,518名
・1947年(昭和22)4月20日 - 飯田大火(長野県飯田市)
 死者・行方不明者3名、焼失棟数3,742棟、焼損面積約48ha、罹災戸数4,010戸、罹災人員17,778名
・1949年(昭和24)2月20日 - 第一次能代大火(秋田県能代市)
 死者3名、負傷者132名、焼失家屋2,237棟、焼失面積83.6ha、罹災世帯1,755世帯、罹災人員8,790名
・1952年(昭和27)4月17日 - 鳥取大火(鳥取県鳥取市)
 死者3名、罹災家屋5,228戸、罹災面積約160ha、罹災者2万451人
・1954年(昭和29)9月26日 - 岩内大火(北海道岩内郡岩内町)
 死者35名、負傷者551名、行方不明3名、焼失戸数3,298戸、焼失面積約106ha、罹災者16,622名
・1955年(昭和30)10月1日 - 新潟大火(新潟県新潟市)
 行方不明者1名、負傷者175名、焼失棟数892棟、焼失面積約26ha、罹災世帯1,193世帯、罹災人員5,901名
・1956年(昭和31)3月20日 - 第二次能代大火(秋田県能代市)
 死者なし、負傷者194名、焼失家屋1,475棟、焼失面積約31.5ha、罹災世帯1,248世帯、罹災人員6,087名
・1956年(昭和31)9月10日 - 魚津大火(富山県魚津市)
 死者5名、負傷者170名(うち重傷者5名)、焼失戸数1,583戸、罹災者7,219名
・1965年(昭和40)1月11日 - 伊豆大島大火(東京都大島町)
 死者なし、全焼戸数584棟418戸、焼失面積約16.5ha、罹災世帯408世帯1,273名、被害総額20億7千万円
・1976年(昭和51)10月29日 - 酒田大火(山形県酒田市)
 死者1名、焼失棟数1,774棟、焼失面積約22.5ha、被災者約3,300名、被害総額約405億円

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

800年(延暦19)富士山延暦噴火が始まる(新暦4月11日)詳細
1789年(寛政元)哲学者・経済学者・思想家三浦梅園の命日(新暦4月9日)詳細
1868年(慶応4)「五箇条の御誓文」が出される(新暦4月6日)詳細
1885年(明治18)数学者・数学史家・数学教育家・随筆家小倉金之助の誕生日詳細
1899年(明治32)正岡子規が根岸短歌会を創始する詳細
1970年(昭和45)大阪で日本万国博覧会(大阪万博)の開会式が行われる詳細
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jyoukiponpushya01
 今日は、明治時代中頃の1890年(明治23)に、東京の明治浅草大火が起き、死者1名、負傷者7名、全焼1,469戸を出した日です。
 東京の明治浅草大火(とうきょうのめいじあさくさたいか)は、東京の浅草区三軒町(現在の東京都台東区)で発生した大火でした。この日の午前0時55分頃、浅草三軒町の薪炭商、木村喜太郎方から出火、折からの北西の強風にあおられて、瞬く間に周辺に燃え移ります。
 さらに、寿町から新福富町、新猿屋町、諏訪町、黒船町、三好町、駒形町、西仲町に延焼し、ようやく午後5時45分に鎮火しました。これによって、12,828坪(42,332㎡)を延焼し、死者1名、負傷者7名、全勝1,469戸という大きな被害を出しています。
 また、この大火では常備されて間もない蒸気ポンプが使用されていて、東京日日新聞では、その情景を「(消防組が)鋭き風火の勢いには勝つ由もなくて、各々はあぐみ果てて見えたるところ、汽笛の響きに先を払わせて三台の蒸気ポンプは馳せ来たり、駒形堂の河岸に陣を取りて(中略)川水を滝の如くに注ぎかくる。」「殊に風下なる厩橋際に二台の蒸気ポンプありて、力の限り食い止めんと働きたれば火先は此処にて止まりたる」と報道しました。尚、大正時代の1921年(大正10)に、大正浅草大火が起き、負傷者544名、全焼1,227戸、半焼73戸を出しています。

〇明治時代の大火一覧(焼失1,000戸以上で、戦火によるものを除く)

・1871年(明治4)9月12日 函館の「切見世火事」(焼失1,123戸)
・1872年(明治5)2月26日 東京の銀座大火(焼失4,879戸)
・1873年(明治6)3月22日 函館の「家根屋火災」(焼失1,314戸)
・1873年(明治6)3月22日~23日 横浜の「相生町の大火」(重軽傷者20余名、焼失1,577戸)
・1874年(明治7)4月27日 浜松明治7年の大火「小野組火事」(焼失家数1,318軒)
・1875年(明治8)4月24日 飛騨高山明治8年の大火(死亡者1名、焼失1,032戸)
・1879年(明治12)1月26日~27日 高崎明治13年の大火(消失2,500余戸)
・1879年(明治12)3月3日 高岡明治12年の大火(焼失2,000余戸)
・1879年(明治12)12月6日 明治12年函館大火(焼失2,326戸)
・1879年(明治12)12月26日 東京の日本橋大火(全焼10,613戸)
・1880年(明治13)5月15日 弘前明治13年の大火(焼失1,000余戸)
・1880年(明治13)5月21日 三条の大火「糸屋万平火事」(死者34名、焼失2,743戸)
・1880年(明治13)8月7日 新潟明治13年の大火(死者3名、負傷名37名、焼失6,175戸)
・1880年(明治13)12月24日 明治13年大阪南の大火「島の内出火」(死者8名、負傷者350~60名、焼失3,388戸)
・1881年(明治14)1月26日 東京の神田の大火(全焼10,673戸)
・1881年(明治14)2月11日 東京の神田区の大火(全焼7,751戸)
・1881年(明治14)4月25日 福島明治の大火「甚兵衛火事」(死者7名、焼失1,785戸)
・1882年(明治15)5月15日 富山県氷見明治の大火(焼失1,600余戸)
・1884年(明治17)5月13日 水戸明治17年「下市の大火」(焼失1,200余戸)
・1884年(明治17)11月7日~8日 盛岡明治17年の大火(焼失1,432戸)
・1885年(明治18)5月31日~6月1日 富山明治18年の大火「安田焼」(死者9名、焼失5,925戸) 
・1886年(明治19)4月30日~5月1日 秋田明治19年の大火「俵屋火事」(死者17名、負傷者186名、焼失3,554戸) 
・1886年(明治19)12月30日 水戸明治19年「上市の大火」(焼失1,800余戸)
・1888年(明治21)1月4日 松本明治21年南深志の大火(死者5名、焼失1,553戸)
・1888年(明治21)1月31日 横浜明治21年野毛の放火による大火(重軽傷者数10人、焼失1,121戸)
・1889年(明治22)2月1日~2日 静岡明治22年の大火(焼失1,100余戸) 
・1890年(明治23)2月27日 東京の明治浅草大火(死者1名、負傷者7名、全焼1,469戸)
・1890年(明治23)9月5日 明治23年大阪大火「新町焼け」(死者1名、軽傷者206名、全焼2,023戸、半焼60戸)
・1893年(明治26)3月17日~18日 川越大火(焼失1,302戸、土蔵60棟焼失)
・1893年(明治26)3月29日~30日 松阪明治の大火(焼失1,460戸)
・1894年(明治27)5月26日 山形明治27年「市南の大火」(死者15名、負傷者69名、焼失1,284戸) 
・1895年(明治28)4月29日 石川県七尾の大火(焼失1,000余戸)
・1895年(明治28)6月2日~3日 新潟県新発田明治28年の大火(死者4名、負傷者24名、焼失2,410戸)
・1895年(明治28)10月3日 根室明治28年の大火(焼失1,334戸)
・1896年(明治29)4月13日~14日 福井県勝山町明治29年の大火(死者5名、負傷者2名、焼失1,124戸) 
・1896年(明治29)8月26日 函館の「テコ婆火事」(焼失2,280戸)
・1897年(明治30)4月3日 柏崎明治30年の大火「日野屋火事」(焼失1,230戸)
・1897年(明治30)4月22日 八王子大火(死者42名、焼失3,500余戸)
・1898年(明治31)3月23日 東京の本郷大火(死者2名、負傷者42名、焼失1,478戸)
・1898年(明治31)6月4日 直江津(上越市)明治31年の大火「八幡火事」(焼失1,595戸)
・1899年(明治32)8月12日 富山明治32年の大火「熊安焼」(全焼4,697戸、半焼9戸) 
・1899年(明治32)8月12日~13日 横浜明治32年の大火(死者14名、全焼3,124、半焼49戸)
・1899年(明治32)9月15日 明治32年函館大火(焼失2,294戸)
・1900年(明治33)4月18日 福井「橋南大火」(死者11名、負傷者131名、全焼1891軒、半焼3軒)
・1900年(明治33)6月27日 高岡明治33年の大火(死者7名、負傷者46名、全焼3,589戸、半焼25戸)
・1902年(明治35)3月30日 福井明治35年「橋北の大火」(焼失3,309戸)
・1903年(明治36)4月13日 福井県武生町明治の大火(死者7名、重傷者2名、全焼1,057戸)  
・1904年(明治37)5月8日 小樽明治37年「稲穂町の火事」(焼失2,481戸)
・1906年(明治39)7月11日 直江津町(上越市)明治39年の大火「ながさ火事」(焼失1,041戸)  
・1907年(明治40)8月25日 明治40年函館大火(死者8名、負傷者1,000名、焼失12,390戸)
・1908年(明治41)3月8日 新潟明治41年3月の大火(焼失1,198戸)
・1908年(明治41)9月4日 新潟明治41年再度の大火(全焼2,071戸、半焼18戸)
・1909年(明治42)7月31日~8月1日 大阪明治42年「北の大火」(焼失11,365戸)
・1910年(明治43)4月16日 輪島町の大火(全焼1,055軒、半焼15軒)    
・1910年(明治43)5月3日~4日 明治43年青森大火(死者26名、負傷者163名、焼失7,519戸、半焼5戸)
・1911年(明治44)4月9日 東京の吉原大火(全焼6,189戸、半焼69戸)
・1911年(明治44)5月8日 山形明治44年「市北の大火」(全焼1,340戸)
・1911年(明治44)5月16日 小樽明治44年の大火(焼失1,251戸)
・1912年(明治45)1月16日 大阪明治45年「南の大火」(死者4名、全焼4,750戸、半焼等29戸)   
・1912年(明治45)3月21日 東京の州崎大火(全焼1,149戸、半焼11戸)
・1912年(明治45)4月22日 松本明治「北深志の大火」(死者5名、焼失1,341戸)

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1594年(文禄3)豊臣秀吉による吉野の花見が開宴される(新暦4月17日)詳細
1657年(明暦3)徳川光圀が『大日本史』の編纂に着手する(新暦4月10日)詳細
1754年(宝暦4)江戸幕府の命で薩摩藩が木曾川の治水工事(宝暦治水)に着手(新暦3月20日)詳細
1875年(明治8)日本初の近代的植物園・小石川植物園が開園する詳細
1946年(昭和21)GHQより「社会救済に関する覚書」(SCAPIN-775)が出される詳細
1987年(昭和62)東京で開催された環境と開発に関する世界委員会(WCED)で、「東京宣言」が採択される詳細
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