ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

カテゴリ: 昭和時代

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 今日は、昭和時代中期の1952年(昭和27)に、壺井栄著の『二十四の瞳』が刊行された日です。
 『二十四の瞳』(にじゅうしのひとみ)は、壺井栄著の長編小説でした。昭和時代中期の1952年(昭和27)に、キリスト教系の青年雑誌『ニュー・エイジ』に連載され、同年12月10日に光文社から刊行されます。
 瀬戸内海のある岬の分教場に勤める若い女性教師大石先生と12人の教え子を主人公として、1928年(昭和3)から戦争に突入し、敗戦に至る時代の受難と心のふれあいを抒情的に描いた作品でした。日本の軍国主義化、中国への侵略、太平洋戦争、そして敗戦へとつながる時代を背景にし、反戦・平和の主題を展開させています。
 1954年(昭和29)に、木下恵介監督で映画化(出演:高峰秀子)され、大ヒットし、第28回キネマ旬報ベストテンの日本映画ベストワン作品、ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞しました。さらに、1987年(昭和62)に朝間義隆監督により、再映画化されます。小豆島には、再映画化時のオープンセットを活用した「二十四の瞳映画村」が出来ました。

〇小説『二十四の瞳』の冒頭部分一小石先生

 一 小石先生

 十年をひと昔というならば、この物語の発端は今からふた昔半もまえのことになる。世の中のできごとはといえば、選挙の規則があらたまって、普通選挙法というのが生まれ、二月にその第一回の選挙がおこなわれた、二か月後のことになる。昭和三年四月四日。農山漁村の名が全部あてはまるような、瀬戸内海べりの一寒村へ、若い女の先生が赴任してきた。
 百戸あまりの小さなその村は、入り江の海を湖のような形にみせる役をしている細長い岬の、そのとっぱなにあったので、対岸の町や村へゆくには小舟で渡ったり、うねうねとまがりながらつづく岬の山道をてくてく歩いたりせねばならない。交通がすごくふべんなので、小学校の先徒は四年までが村の分教場にゆき、五年になってはじめて、片道五キロの木村の小学校へかようのである。手作りのわらぞうりは一日できれ た。それがみんなはじまんであった。毎朝、新らしいぞうりをおろすのは、うれしかったにちがいない。………

  「青空文庫」より

☆壺井栄(つぼい さかえ)とは?

 昭和時代に活躍した小説家・童話作家で、1899年(明治32年)8月5日に、香川県小豆郡坂手村(現在の小豆島町)の醤油樽職人岩井藤吉の五女として生まれました。内海高等小学校卒業後,郵便局や村役場などで働きながら、同郷の黒島伝治,壺井繁治らの影響を受けます。
 1925年(大正14)に上京後、プロレタリア詩人だった壺井繁治と結婚し、プロレタリア文学運動を通じて宮本百合子、佐多稲子を知るようになりました。創作活動を始めて、38歳のとき処女作『大根の葉』を発表、以後小説と童話の多彩な作品を作ります。
 代表作として、小説に『暦』、『妻の座』、『柿の木のある家』、『母のない子と子のない母と』などがあり、『二十四の瞳』は、戦後反戦文学の名作として、後に映画化され大ヒットしました。童話集に『海のたましひ』、『十五夜の月』などがあり、童話風、民話風の作品で認められることになります。しかし、1967年(昭和42)6月23日に、67歳で亡くなっています。

<壺井栄の主要な作品>

・『暦 他五篇』新潮社 1940年
・『祭着 他九篇』河出書房 1940年
・『たんぽぽ』高山書院 1941年
・『ともしび』博文館 1941年
・『船路』有光社 1941年
・『私の雑記帳』青磁社 1941年
・『石 短篇集』全国書房 1942年
・『子熊座』三杏書院 1943年
・『女傑の村』実業之日本社 1943年
・『海のたましひ』講談社 少国民の日本文庫 1944年
・『花のいのち』葛城書店 1944年
・『夕顔の言葉』紀元社 1944年年
・『松のたより』飛鳥書店 1945年
・『ふたたび』万里閣 1946年
・『赤いステッキ』櫻井書店 少年のための純文學選 1947年
・『霧の街』北桜社 1947年
・『三夜待ち』新紀元社 1947年
・『十五夜の月』愛育社 1947年
・『あんずの花の咲くころ』小峰書店 青空文庫 1948年
・『海べの村の子供たち』雁書房 1948年
・『おみやげ』好江書房 1948年
・『渋谷道玄坂』新日本文学会 1948年
・『小さな物語』桜井書店 こどもかい文庫 1948年
・『柳の糸』東西社 1948年
・『柿の木のある家』山の木書店 1949年 
・『たからの宿』弘文堂 アテネ文庫 1949年
・『妻の座』冬芽書房 1949年
・『母のない子と子のない母と』光文社 1951年 
・『右文覚え書』三十書房 1951年
・『港の少女』西荻書店 三色文庫 1951年
・『坂道』中央公論社 ともだちシリーズ 1952年 
・『二十四の瞳』光文社 1952年 
・『花はだれのために』東洋書館 1952年
・『妻の座・暦』角川文庫 1953年
・『私の花物語』筑摩書房 1953年
・『風 連作小説』光文社カッパ・ブックス 1954年 
・『紙一重』中央公論社 1954年
・『岸うつ波』光文社 1954年 
・『月夜の傘』筑摩書房 1954年
・『一本のマッチ 私の人生遍歴』朝日新聞社 1955年
・『美しい生き方を求めて』学風書院 1955年
・『まないたの歌』角川小説新書 1955年
・『続・私の花物語 第1』筑摩書房 1956年
・『裲襠』大日本雄弁会講談社 1956年 
・『雑居家族』筑摩書房 1956年 
・『裾野は暮れて』筑摩書房 1956年
・『寄るべなき人々』新潮文庫 1956年
・『海風』角川文庫 1957年
・『草の実』中央公論社 1957年 
・『極楽横丁』筑摩書房 1957年
・『小さな花の物語』平凡出版 1957年
・『忘れ霜』角川書店 1957年 
・『あたたかい右の手』麦書房 雨の日文庫 1958年
・『潮時計』実業之日本社 1958年
・『風と波と』文芸春秋新社 1958年
・『雨夜の星』講談社 1959年
・『おこまさん』中央公論社 1959年
・『随筆柚の大馬鹿』実業之日本社 1959年
・『いのちかなし』新潮社 1960年
・『大根の葉』角川文庫 1960年
・『どこかでなにかが』中央公論社 1960年 
・『ふたごのころちゃん』実業之日本社 1960年
・『あす咲く花』新潮社 1962年
・『あすの花嫁』東方社 家庭小説選書 1962年
・『若い樹々』講談社 1962年
・『若い娘たち』角川小説新書 1962年
・『まあちゃんと子ねこ』ポプラ社 1963年
・『小豆島 随筆・小説』光風社 1964年
・『母と子の暦』東方社 1964年
・『日めくり』講談社 1964年
・『柚原小はな』新潮社 1964年
・『嫁さん』集英社 1964年
・『袖ふりあう』三月書房 1965年
・『母と娘と』新潮社 1965年

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1186年(文治2)鎌倉幕府が九州の御家人統率・軍事統括の為の鎮西奉行を設置する(新暦1187年1月21日)詳細
1901年(明治34)田中正造が足尾鉱毒問題について、明治天皇へ直訴しようとする詳細
1943年(昭和18)社団法人日本玩具統制協会から子供向けの「愛国イロハカルタ」が発行される詳細
文部省が「疎開ニ伴フ生徒児童取扱ヒ措置ニ関スル新聞発表」を行い、生徒・児童の縁故疎開を促進する詳細
1948年(昭和23)国連総会で「世界人権宣言」が採択される詳細
1997年(平成9)山陽自動車道(神戸JCT~山口JCT)が全通する詳細
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 今日は、昭和時代中期の1955年(昭和30)に、鹿児島県名瀬市(現在の奄美市)で名瀬大火があり、市全体の約1/3にあたる1,365棟が焼失した日です。
 名瀬大火(なぜたいか)は、昭和時代中期の1955年(昭和30)12月3日午前4時50分頃に、鹿児島県名瀬市において起きた大火でした。名瀬市中心街にある歓楽街・屋仁川通の飲食店青柳から、タバコの火の不始末で出火し、季節風の強い北東風が吹くという悪条件の下で、火は瞬く間に燃え広がります。
 当時の名瀬市は1945年(昭和20)4月の大空襲によって市街地の90%を失った後、アメリカ軍に占領されて8年間も施政権を奪われ、2年前に返還されたばかりでした。その中で、何ら建築制限も決められない中で、中心街は狭い3mの道路を挟んで、焦土の跡に雨露をしのぐ程度に建てられた急造の木造バラック(粗末な建築物)が密集する状況となります。
 水利も悪く、市営水道には配水池がないので消火栓はあっても名ばかりで、その上晴天が続いたので川が渇れており、埋め立て工事中だったため海からの取水も満足にできる状態ではありませんでした。さらに、消防車不足で、大型消防車2台は故障、1台ある三輪ポンプ車は使用20分で故障、名瀬海上保安部など行政機関、療養所からの応援隊も含めたわずか8台の小型手挽きポンプ車で対抗せざるを得ない状況となります。
 このため消火に手間取って、火が燃え広がり、市全体の約1/3にあたる1,365棟の建物が焼失しました。これによって、死傷者は出なかったものの、罹災世帯1,462世帯、罹災人員5,851名にも及び、被害総額約16億円という大きな災害となります。
 尚、1ヶ月半前の10月18日にも名瀬市中央通で火災があり、118棟を焼失したばかりでした。

〇太平洋戦争後の日本の大火一覧(500棟以上の焼失で、地震によるものを除く)

・1947年(昭和22)4月20日 - 飯田大火(長野県飯田市)
  死者・行方不明者3名、焼失棟数3,742棟、焼損面積約48ha、罹災戸数4,010戸、罹災人員17,778名
・1949年(昭和24)2月20日 - 第一次能代大火(秋田県能代市)
  死者3名、負傷者132名、焼失家屋2,237棟、焼失面積83.6ha、罹災世帯1,755世帯、罹災人員8,790名
・1952年(昭和27)4月17日 - 鳥取大火(鳥取県鳥取市)
  死者3名、罹災家屋5,228戸、罹災面積約160ha、罹災者2万451人
・1954年(昭和29)9月26日 - 岩内大火(北海道岩内郡岩内町)
  死者35名、負傷者551名、行方不明3名、焼失戸数3,298戸、焼失面積約106ha、罹災者16,622名
・1955年(昭和30)10月1日 - 新潟大火(新潟県新潟市)
  行方不明者1名、負傷者175名、焼失棟数892棟、焼失面積約26ha、罹災世帯1,193世帯、罹災人員5,901名
・1955年(昭和30)12月3日 - 名瀬大火(鹿児島県名瀬市)
  死傷者なし、焼失家屋1,317棟、罹災世帯1,462世帯、罹災人員5,851名、被害総額約16億円 
・1956年(昭和31)3月20日 - 第二次能代大火(秋田県能代市)
  死者なし、負傷者194名、焼失家屋1,475棟、焼失面積約31.5ha、罹災世帯1,248世帯、罹災人員6,087名
・1956年(昭和31)9月10日 - 魚津大火(富山県魚津市)
  死者5名、負傷者170名(うち重傷者5名)、焼失戸数1,583戸、罹災者7,219名
・1965年(昭和40)1月11日 - 伊豆大島大火(東京都大島町)
  死者なし、全焼戸数584棟418戸、焼失面積約16.5ha、罹災世帯408世帯1,273名、被害総額20億7千万円
・1976年(昭和51)10月29日 - 酒田大火(山形県酒田市)
  死者1名、焼失棟数1,774棟、焼失面積約22.5ha、被災者約3,300名、被害総額約405億円

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

671年(天智天皇10)第38代の天皇とされる天智天皇の命日(新暦672年1月7日)詳細
1859年(安政6)労働運動家・社会主義者・思想家・社会事業家片山潜の誕生日(新暦12月26日)詳細
1879年(明治12)小説家・随筆家永井荷風の誕生日詳細
1926年(大正15)最初の「円本」となる『現代日本文学全集』が、改造社から1冊1円で刊行開始詳細
1942年(昭和17)東京府立美術館で「第一回大東亜戦争美術展」が始まる(~12月25日まで)詳細
1997年(平成9)カナダの首都オタワにおいて、121ヶ国により、「対人地雷禁止条約」が調印される詳細
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toukyoukokuritsukindaibijyu
 今日は、昭和時代中期の1952年(昭和27)に、ブリヂストン創業者の石橋正二郎より旧日活会館の建物の寄贈を受けて改装し、国立近代美術館(現在の東京国立近代美術館)が中央区京橋に開館した日です。
 東京国立近代美術館(とうきょうこくりつきんだいびじゅつかん)は、東京都千代田区北の丸公園内にある近代美術館です。前身は、1952年(昭和27)にブリヂストン創業者の石橋正二郎より旧日活会館の建物の寄贈を受け、改装して中央区京橋に開館した「国立近代美術館」で、1963年(昭和38)に設置した、京都分館が1967年(昭和42)に「京都国立近代美術館」として独立したため、現名称となりました。
 1969年(昭和44)6月11日に、石橋正二郎個人の寄付により、工学博士谷口吉郎設計の新しい建物が出来、現在地に移転開館します。その跡地は改装され、1970年(昭和45)に付設の「フィルムフィルムセンター」(2018年に独立して「国立映画アーカイブ」となった)が出来ました。
 また、1977年(昭和52)に、北の丸公園内の旧近衛師団司令部庁舎 (国指定重要文化財) を利用して、分館として工芸館(陶磁器、ガラス、染織、漆工、木竹工等収蔵)がオープンします。尚、2001年(平成13)からは、「国立西洋美術館」、「京都国立近代美術館」、「国立国際美術館」と共に、独立行政法人国立美術館の運営となりました。
 2016年(平成28)度時点で、全体の収蔵品は日本画839点、油彩画1,254点、版画3,051点、水彩・素描4089点、彫刻(立体造形)458点、映像56点、書21点、写真2,720点、美術資料666点、合計13,154点におよび、近代日本美術を中心に常設展示すると共に、内外の近・現代美術の動向をとらえた企画展が開催されてきています。

〇「東京国立近代美術館」(本館)の主要な収蔵品

<国指定重要文化財>
・絹本著色『賢首菩薩図』 菱田春草筆(1907年)
・『ゆあみ』(石膏原型) 新海竹太郎作(1907年)
・『南風』和田三造筆(1907年)
・『裸体美人』 萬鐵五郎筆(1912年)
・『切通しの写生』 岸田劉生筆(1915年)
・紙本著色『行く春図』六曲屏風一双 川合玉堂筆(1916年)
・絹本著色『湯女図』二曲屏風一双 土田麦僊筆(1918年)
・絹本著色『日高河清姫図』 村上華岳筆(1919年)
・『エロシェンコ像』 中村彝筆(1920年)
・絹本墨画『生々流転図』1巻 横山大観筆(1923年)
・絹本著色『三遊亭円朝像』 鏑木清方筆(1930年)
・絹本著色『母子』 上村松園筆(1934年)
・紙本著色『黄瀬川陣』六曲屏風一双 安田靫彦筆(1940・41年)

☆国立近代美術館関係略年表

・1952年(昭和27)12月1日 「文部省設置法」(法律第168号)により、東京都中央区京橋の旧日活本社ビルの土地と建物を購入し、国立近代美術館(文部省所轄)として開館する
・1963年(昭和38)4月 京都市に京都分館が開館する
・1967年(昭和42)6月 京都分館が京都国立近代美術館として独立し、東京の本館は「東京国立近代美術館」の名称となる
・1969年(昭和44)6月11日 千代田区北の丸公園の一画に新館を建設し、新たに本館として再開館する
・1970年(昭和45)5月 京橋の旧本館がフィルムセンターとして開館する
・1977年(昭和52)11月15日 工芸館が開館する
・1984年(昭和59)9月 フィルムセンター収蔵庫にて出火、建物の一部と外国映画フィルムの一部を焼失するという事故(フィルムセンター火災)があり、非常に損失しやすい映画フィルムの保存に対して特別施設が必要との声が上がる
・1986年(昭和61)1月 1984年(昭和59年)10月に大蔵省から米軍キャンプ淵野辺跡地の土地所管換がなされたのを受けて、神奈川県相模原市にフィルムセンター相模原分館が完成する
・1991年(平成3)1月 フィルムセンター京橋本館老朽化に伴い建て替え工事が開始される
・1995年(平成7)5月 フィルムセンター京橋本館が再開館(工事は前年に完了)し、同時に「写真部門」を設置する
・1999年(平成11) 本館を移設してから30周年を迎えるにあたり、増築・改修工事を開始する
・2001年(平成13) 「国立西洋美術館」、「京都国立近代美術館」、「国立国際美術館」と共に、独立行政法人国立美術館の運営となる
・2002年(平成14)1月16日 本館が再開館(工事は前年8月に完了)する
・2018年(平成30)4月1日 フィルムセンターが国立美術館の映画専門機関となる「国立映画アーカイブ」として分離する
・2020年(令和2)2月28日 工芸館(東京)が閉館する
・2020年(令和2)10月25日 工芸館(正式名称:東京国立近代美術館工芸館)が金沢に移転して、通称「国立工芸館」として再開館する
・2021年(令和3)4月1日 工芸館の通称であった「国立工芸館」が正式名称に変更される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1267年(文永4)第91代の天皇とされる後宇多天皇の誕生日(新暦12月17日)詳細
1903年(明治36)小説家小林多喜二の誕生日詳細
1934年(昭和9)東海道本線の丹那トンネル(熱海~函南)が開通する詳細
1941年(昭和16)昭和天皇臨席の第8回御前会議で「対英米蘭開戦の件」を決定する詳細
1959年(昭和34)南極の非軍事利用を取り決めた「南極条約」に、日・英・米など12ヶ国が調印する詳細
1977年(昭和52)小説家海音寺潮五郎の命日詳細
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 今日は、昭和時代中期の1951年(昭和26)に、「旅券法」(昭和26年法律第267号)が公布(施行は同年12月1日)された日です。
 「旅券法」(りょけんほう)は、旅券(パスポート)の発給、効力その他旅券に関し必要な事項を定めることを目的として制定された法律(昭和26年法律第267号)でした。「日本国憲法」では、外国に移住し、旅行する自由を認めていますが、本法は、一定の場合 (一定の犯罪で訴追された者,刑を受けている者など) には、旅券発給者である外務大臣または領事官に発給拒否の権限を認め (13条1項1~4の2号) ています。
 さらに、外務大臣には「著しくかつ直接に日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に対する発給拒否を認め (13条1項5号)ました。この裁量の是非をめぐって問題となることがありますが、外国人の出入国に関しては「出入国管理及び難民認定法」が適用されています。
 以下に、「旅券法」(昭和26年法律第267号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「旅券法」(昭和26年法律第267号)1951年(昭和26)11月28日公布、同年12月1日施行

(目的)
第一条
この法律は、旅券の発給、効力その他旅券に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 公用旅券 国の用務のため外国に渡航する者及びその者が渡航の際同伴し、又は渡航後その所在地に呼び寄せる配偶者、子又は使用人に対して発給される旅券をいう。
二 一般旅券 公用旅券以外の旅券をいう。
三 各省各庁の長 本邦から公用旅券によつて外国に渡航する者(その者が同伴され、又は呼び寄せられる配偶者、子又は使用人である場合には、その者を同伴し、又は呼び寄せる者)が所属する各省各庁(衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣(内閣府及びデジタル庁を除く。)、内閣府、デジタル庁及び各省をいう。以下同じ。)の長たる衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣をいう。ただし、その者が各省各庁のいずれにも所属しない場合には、外務大臣とする。
四 渡航書 第十九条の三第一項に規定する渡航書をいう。
五 都道府県 本邦から一般旅券によつて外国に渡航する者の住所又は居所の所在地を管轄する都道府県をいう。
六 都道府県知事 前号に定める都道府県の知事をいう。
七 旅券の名義人 旅券の発給を受けた者をいう。

(一般旅券の発給の申請)
第三条 
一般旅券の発給を受けようとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる書類及び写真を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館(領事館が設置されていない場合には、大使館又は公使館。以下同じ。)に出頭の上領事官(領事館の長をいう。以下同じ。)に提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。ただし、国内において申請する場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。
一 一般旅券発給申請書
二 戸籍謄本又は戸籍抄本
三 申請者の写真
四 渡航先の官憲が発給した入国に関する許可証、証明書、通知書等を申請書に添付することを必要とされる者にあつ っては、その書類
五 前各号に掲げるものを除くほか、渡航先及び渡航目的によって特に必要とされる書類
六 その他参考となる書類を有する者にあつては、その書類
2 前項第二号に掲げる書類は、次の各号のいずれかに該当するときは、提出することを要しない。ただし、第一号に該当する場合において、国内においては都道府県知事(直接外務大臣に提出する場合には、外務大臣。以下この条において同じ。)が、国外においては領事官が、その者の身分上の事実を確認するため特に必要があると認めるときは、この限りでない。
一 第十一条の規定に基づき前項の申請をするとき。
二 外務省令で定める場合に該当する場合において、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、その者の身分上の事実が明らかであると認めるとき。
3 都道府県知事は、一般旅券の発給の申請を受理するに当たり、申請者が人違いでないこと及び申請者が当該一般旅券発給申請書に記載された住所又は居所に居住していることを確認するものとし、その確認のため、外務省令で定めるところによりこれを立証する書類の提示又は提出を申請者に求めることができる。
4 第一項の一般旅券の発給の申請に係る書類及び写真の提出は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる者を通じてすることができる。
一 申請者の配偶者又は二親等内の親族
二 前号に掲げる者のほか、申請者の指定した者(当該申請者のために書類及び写真を提出することが適当でない者として外務省令で定めるものを除く。)

(公用旅券の発給の請求)
第四条
公用旅券の発給の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては公用旅券の発給を受けようとする者が最寄りの領事館に出頭の上領事官に、次に掲げる書類及び写真を提出してするものとする。
一 公用旅券発給請求書
二 公用旅券の発給を受けようとする者の写真
三 使用人にあっては、戸籍謄本又は戸籍抄本
四 国外において公用旅券の発給を受けようとする者にあつては、公用旅券の発給を必要とする理由を立証する書類
2 前項の場合において、公用旅券の発給を受けようとする者が本邦と外務大臣が指定する地域以外の地域との間を数次往復しようとするときは、その旨及び理由を公用旅券発給請求書に記載して、数次往復用の公用旅券の発給を請求することができる。

(旅券の二重受給の禁止)
第四条の二
旅券の発給を受けた者は、その旅券が有効な限り、重ねて旅券の発給を受けることができない。ただし、外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。

(一般旅券の発行)
第五条
外務大臣又は領事官は、第三条の規定による発給の申請に基づき、外務大臣が指定する地域(第三項及び第四項において「指定地域」という。)以外の全ての地域を渡航先として記載した有効期間が十年の数次往復用の一般旅券を発行する。ただし、当該発給の申請をする者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、有効期間を五年とする。
一 有効期間が五年の一般旅券の発給を受けようとする旨を一般旅券発給申請書に記載して申請する者である場合
二 十八歳未満の者である場合
2 外務大臣又は領事官は、前条ただし書の規定に該当する場合において一般旅券を発行するとき、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録を行つていない一般旅券を発行するとき、又は第十三条第一項各号のいずれかに該当する者に対し一般旅券を発行するとき(第五項において「限定発行の事由があるとき」と総称する。)は、前項の一般旅券につき、渡航先を個別に特定して記載し、又は有効期間を十年(当該一般旅券の発給の申請をする者が同項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、五年)未満とすることができる。
3 前二項の規定にかかわらず、外務大臣又は領事官は、指定地域へ渡航しようとする者が第三条の規定による発給の申請をする場合には、渡航先を個別に特定して記載した有効期間が十年(当該発給の申請をする者が第一項第二号に掲げる場合に該当するときは、五年)の一往復用の一般旅券を発行するものとする。ただし、外務大臣が適当と認めるときは、渡航先を個別に特定して記載した有効期間が十年(当該発給の申請をする者が同項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、五年)以下の数次往復用の一般旅券を発行することができる。
4 前三項の規定にかかわらず、外務大臣又は領事官は、第十条第一項の規定に基づき第三条の規定による発給の申請をする者が当該申請に当たつて返納した一般旅券(以下この条及び第十四条において「返納旅券」という。)の名義人の氏名その他外務省令で定める事項に変更を生じた者であつて、有効期間を当該返納旅券の残存有効期間と同一とする一般旅券の発給を受けようとする旨を一般旅券発給申請書に記載して当該申請をするもの(第十四条において「記載事項変更旅券申請者」という。)である場合には、その有効期間及び種類が当該返納旅券の残存有効期間及び種類と同一である一般旅券であつて、当該返納旅券の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める地域を渡航先として記載したものを発行する。
一 次号及び第三号に掲げる返納旅券以外の返納旅券 指定地域以外の全ての地域
二 第二項、この号又は次項の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載した返納旅券 当該返納旅券に渡航先として記載されていた地域と同一の地域(指定地域を除く。)
三 前項又はこの号の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載した返納旅券 渡航先として個別に特定して記載する地域(当該返納旅券に渡航先として記載されていた指定地域を含み、当該返納旅券に渡航先として記載されていなかつた指定地域を除く。)
5 外務大臣又は領事官は、限定発行の事由があるときは、前項第一号又は第二号に掲げる返納旅券について同項の規定により発行する一般旅券につき、渡航先を個別に特定して記載し、又は有効期間を当該返納旅券の残存有効期間未満とすることができるものとし、同項第三号に掲げる返納旅券について同項の規定により発行する一般旅券につき、有効期間を当該返納旅券の残存有効期間未満とすることができる。

(公用旅券の発行)
第五条の二
外務大臣又は領事官は、第四条の規定による発給の請求に基づき、有効期間が五年の一往復用の公用旅券を発行する。ただし、同条第二項の請求があつた場合において、数次往復の必要を認めるときは、有効期間が五年以下の数次往復用の公用旅券を発行することができる。

(旅券の記載事項)
第六条
旅券には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 旅券の種類、番号、発行年月日及び有効期間満了の日
二 旅券の名義人の氏名及び生年月日
三 渡航先
四 前三号に掲げるもののほか、外務省令で定める事項
2 前項第三号の渡航先を地域名をもつて包括記載する場合の地域の範囲は、外務大臣が官報で告示するところによる。

(旅券の電磁的方法による記録)
第七条
外務大臣又は領事官は、旅券の名義人の写真及び前条第一項に掲げる事項の一部であつて外務省令で定めるものを、旅券に電磁的方法により記録することができる。

(旅券の交付)
第八条
第五条の規定により発行された一般旅券は、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、外務省令で定めるところにより、当該一般旅券の発給につき第三条第一項の申請をした者の出頭を求めて当該申請者に交付する。ただし、同項ただし書の規定により直接外務大臣に申請する場合には、外務大臣が当該申請をした者の出頭を求めて当該申請者に交付する。
2 前項の場合において、病気、身体の障害、交通至難の事情その他の真にやむを得ない理由により申請者の出頭が困難であると認められ、かつ、当該申請者が人違いでないことが明らかであるときは、都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、当該申請者の出頭を求めることなく、当該申請者が確実に受領できると認められる最も適当な方法により一般旅券を交付することができる。
3 第五条の二の規定により発行された公用旅券は、国内においては各省各庁の長を通じて外務大臣が、国外においては領事官が、当該公用旅券の発給を受ける者に交付する。

(渡航先の追加)
第九条
第五条第二項から第五項までの規定に基づいて渡航先が個別に特定して記載された一般旅券の名義人は、当該一般旅券を使用して当該記載された渡航先以外の地域に渡航しようとする場合には、外務省令で定めるところにより、当該一般旅券及び次に掲げる書類を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に提出して、渡航先の追加を申請しなければならない。
一 一般旅券渡航先追加申請書
二 渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類
2 公用旅券の渡航先の追加の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては渡航先の追加を受けようとする者が最寄りの領事館に出頭の上領事官に、公用旅券渡航先追加請求書(国外においては、外務大臣の定めるところにより、渡航先の追加を必要とする理由が新たに生じたことを立証する書類を含む。)及び、公用旅券の交付の後にあつては、当該公用旅券を提出してするものとする。
3 第三条第一項ただし書、第三項及び第四項の規定は第一項の申請の場合について、前条第一項及び第三項の規定は当該申請又は前項の請求に係る旅券の交付について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「当該申請者に交付する」とあるのは、「当該申請者に交付し、又はその指定した者の出頭を求めて交付する」と読み替えるものとする。

(記載事項に変更を生じた場合の取扱い)
第十条
一般旅券の名義人は、当該一般旅券の記載事項に変更を生じた場合には、前条第一項の規定の適用がある場合を除き、遅滞なく、当該一般旅券を返納の上、第三条の規定により新たに一般旅券の発給を申請するものとする。
2 公用旅券の記載事項に変更を生じた場合には、前条第二項の規定の適用がある場合を除き、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては当該公用旅券の名義人が最寄りの領事館の領事官に、遅滞なく、当該公用旅券を返納の上、第四条の規定により新たに公用旅券の発給を請求するものとする。
3 外務大臣又は領事官は、旅券の記載事項に変更を生じ、又は旅券の記載事項若しくは旅券に電磁的方法により記録された事項に誤りがあることを知つた場合において特に必要と認めるときは、申請又は請求に基づかないで、当該旅券の名義人(公用旅券でその名義人が国内に在るものについては、各省各庁の長)に対し、当該旅券の返納を求めて新たに旅券を発行することができる。
4 第八条第一項の規定は前項の規定により発行された一般旅券の交付について、同条第三項の規定は前項の規定により発行された公用旅券の交付について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「当該申請者に交付する」とあるのは、「当該申請者に交付し、又はその指定した者の出頭を求めて交付する」と読み替えるものとする。

(有効期間内の申請等)
第十一条
旅券の名義人(公用旅券でその名義人が国内に在るものについては、各省各庁の長)は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第四条の二本文の規定にかかわらず、当該旅券の有効期間内においても当該旅券を返納の上第三条又は第四条の規定により旅券の発給を申請し、又は請求することができる。
一 当該旅券の残存有効期間が一年未満となつたとき。
二 当該旅券の査証欄に余白がなくなつたとき。
三 旅券を著しく損傷したとき。
四 その他外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認めるとき。

(旅券の査証欄の増補)
第十二条
一般旅券の発給を受けようとする者は一般旅券査証欄増補申請書を、一般旅券の名義人は当該一般旅券及び一般旅券査証欄増補申請書を、外務省令で定めるところにより、国内においては都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館の領事官に提出して、当該一般旅券に関して、一回に限り査証欄の増補を申請することができる。
2 公用旅券の査証欄の増補の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては公用旅券の名義人が最寄りの領事館の領事官に、査証欄の増補を受けようとする公用旅券及び公用旅券査証欄増補請求書を提出してするものとする。
3 第三条第一項ただし書及び第四項の規定は第一項の申請の場合について、第八条第一項及び第三項並びに第九条第三項後段の規定は当該申請又は前項の請求に係る旅券の交付について、それぞれ準用する。

(一般旅券の発給等の制限)
第十三条
外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
二 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾こう引状、勾こう留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
三 禁錮こ以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 第二十三条の規定により刑に処せられた者
五 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者
六 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの
七 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
2 外務大臣は、前項第七号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務大臣と協議しなければならない。

(一般旅券の発給をしない場合等の通知)
第十四条
外務大臣又は領事官は、前条の規定に基づき一般旅券の発給若しくは渡航先の追加をしないと決定したとき、又は第五条第二項若しくは第五項の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載し、若しくは有効期間を十年(一般旅券の発給の申請をする者が同条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは五年、記載事項変更旅券申請者であるときは当該返納旅券の残存有効期間)未満とすると決定したとき(第四条の二ただし書の規定に該当する場合において一般旅券を発行するときを除く。)は、速やかに、理由を付した書面をもって一般旅券の発給又は渡航先の追加を申請した者にその旨を通知しなければならない。

(署名)
第十五条
旅券の発給を受けようとする者(以下この条において「発給申請者」という。)は、旅券面の所定の場所(外務省令で定める場合には、旅券面への署名に代えて、一般旅券発給申請書又は公用旅券発給請求書の所定の場所)に署名しなければならない。ただし、当該発給申請者が署名することが困難なものとして外務省令で定める者である場合には、外務省令で定めるところにより、当該発給申請者の記名をもつて代えることができる。

(外国滞在の届出)
第十六条
旅券の名義人で外国に住所又は居所を定めて三月以上滞在するものは、外務省令で定めるところにより、当該地域に係る領事館の領事官に届け出なければならない。

(紛失又は焼失の届出)
第十七条
一般旅券の名義人は、当該一般旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に、その旨を届け出なければならない。ただし、国内において届け出る場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。
2 前項の場合において、一般旅券の名義人が病気、身体の障害、交通至難の事情その他の真にやむを得ない理由により出頭が困難であると認められるときは、外務省令で定めるところにより、次に掲げる者を通じて届出を行うことができる。
一 一般旅券の名義人の配偶者又は二親等内の親族
二 前号に掲げる者のほか、一般旅券の名義人の指定した者(当該一般旅券の名義人のために届出を行うことが適当でない者として外務省令で定めるものを除く。)
3 都道府県知事は、第一項の旅券の紛失又は焼失の届出を受理するに当たり、届出者が人違いでないこと及び届出者が紛失旅券等届出書に記載された住所又は居所に居住していることを確認するものとし、その確認のため、外務省令で定めるところによりこれを立証する書類の提示又は提出を届出者に求めることができる。
4 公用旅券の名義人は、当該公用旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては各省各庁の長を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に、その旨を届け出なければならない。

(旅券の失効)
第十八条
旅券は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その効力を失う。
一 旅券の名義人が死亡し、又は日本の国籍を失つたとき。
二 旅券の発給を申請し若しくは請求した者が当該旅券の発行の日から六月以内に当該旅券を受領せず、又は一往復用の旅券の名義人が当該旅券の発行の日から六月以内に本邦を出国しない場合には、その六月を経過したとき。
三 旅券の有効期間が満了したとき。
四 一往復用の旅券の名義人が本邦に帰国したとき。
五 旅券の発給の申請又は請求に当たつて返納された旅券(第十条第三項の規定により返納された旅券を含む。)にあっては、当該返納された旅券に代わる旅券の発行があつたとき。
六 前条第一項又は第四項の規定による届出があったとき。
七 次条第一項の規定により返納を命ぜられた旅券にあつては、同項の期限内に返納されなかったとき、又は外務大臣若しくは領事官が、当該返納された旅券が効力を失うべきことを適当と認めたとき。
2 外務大臣は、旅券が前項第六号又は第七号に該当して効力を失つたときは、遅滞なくその旨を官報に告示しなければならない。

(返納)
第十九条
外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
一 一般旅券の名義人が第十三条第一項各号のいずれかに該当する者であることが、当該一般旅券の交付の後に判明した場合
二 一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合
三 錯誤に基づき、又は過失により旅券の発給、渡航先の追加又は査証欄の増補をした場合
四 旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合
五 一般旅券の名義人の渡航先における滞在が当該渡航先における日本国民の一般的な信用又は利益を著しく害しているためその渡航を中止させて帰国させる必要があると認められる場合
2 第十三条第二項の規定は、一般旅券の名義人が前項第一号又は第二号の場合において、第十三条第一項第七号に該当するかどうかを認定しようとするときについて準用する。
3 第一項の規定に基づき同項第一号又は第二号の場合において行う一般旅券の返納の命令(第十三条第一項第一号又は第六号に該当する者に対して行うものを除く。)については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。
4 外務大臣又は領事官は、第一項の規定に基づき一般旅券の返納を命ずることを決定したときは、速やかに、理由を付した書面をもつて当該一般旅券の名義人にその旨を通知しなければならない。
5 旅券の名義人が現に所持する旅券が前条第一項第一号から第四号まで又は第六号のいずれかに該当してその効力を失つたとき、及び公用旅券の場合においてその発給に係る国の用務がなくなり又は終了したときは、国内においては、一般旅券にあつてはその名義人が都道府県知事又は外務大臣に、公用旅券にあつては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては旅券の名義人が領事官に、遅滞なくその旅券を返納しなければならない。
6 返納すべき旅券(第一項の規定に基づき返納を命ぜられた旅券を除く。)の名義人がこれを保有することを希望するときは、返納を受けた都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、その旅券に消印をしてこれを当該旅券の名義人に還付することができる。

(返納に係る公告)
第十九条の二
外務大臣又は領事官は、前条第四項の規定により一般旅券の返納を命ずる旨の通知(以下この条において「通知」という。)をする場合において、当該旅券の名義人の所在が知れないときその他通知をすべき書面を送付することができないやむを得ない事情があるときは、通知をすべき内容を外務大臣が官報に掲載することをもって通知に代えることができる。
2 外務大臣が通知をすべき内容を官報に掲載した場合においては、その掲載した日から起算して二十日を経過した日に、通知が当該旅券の名義人に到達したものとみなす。
3 外務大臣は、通知をすべき内容を官報に掲載したときは、遅滞なく、必要と認める地域に係る領事館の領事官に対しその旨を通報するものとし、当該通報を受けた領事官は、その所属する領事館の適当な場所に当該通報の内容を掲示するものとする。

(帰国のための渡航書)
第十九条の三
外務大臣又は領事官は、外国にある日本国民のうち次の各号のいずれかに該当する者で本邦に帰国することを希望するものに対し、その者の申請に基づいて、必要があると認める場合には、旅券に代えて渡航書を発給することができる。
一 旅券を所持しない者であって緊急に帰国する必要があり、かつ、旅券の発給を受けるいとまがないもの
二 旅券の発給を受けることができない者
三 第十九条第一項の規定による旅券の返納の命令に基づいて旅券を返納した者
2 渡航書の発給を受けようとする者は、渡航書発給申請書その他外務省令で定める書類及び写真を最寄りの領事館に出頭の上領事官に提出して、渡航書の発給を申請するものとする。この場合において、その者の現住する地方に領事館が設置されていないとき、その他その者が当該申請をすることができないやむを得ない事情があるときは、その者の親族その他外務省令で定める関係者が外務省又は最寄りの領事館に出頭の上外務大臣又は領事官に申請するものとする。
3 前項の申請に基づいて発行された渡航書は、外務大臣又は領事官が、当該渡航書の発給を申請した者の出頭を求めて当該申請者に交付する。
4 外務大臣又は領事官は、第一項各号のいずれかに該当する者の帰国のため特に必要があると認める場合には、前三項の規定にかかわらず、渡航書を申請に基づかないで発行し、又は出頭を求めることなく渡航書が確実に受領されると認められる最も適当な方法によりこれを交付することができる。
5 外務大臣又は領事官は、第一項又は前項の規定に基づき渡航書を発給する場合には、渡航書の有効期間及び帰国の経由地を指定することができる。

(手数料)
第二十条
国内において次の各号に掲げる処分の申請をする者は、政令で定めるところにより、当該各号に定める額の手数料を国に納付しなければならない。
一 第五条第一項本文の一般旅券の発給 一万四千円
二 第五条第一項ただし書の一般旅券の発給 九千円(処分の申請をする者が十二歳未満であるときは、四千円)
三 前二号に掲げる一般旅券以外の一般旅券の発給 四千円
四 一般旅券の渡航先の追加 千三百円
五 一般旅券の査証欄の増補 二千円
六 渡航書の発給 二千五百円
2 都道府県は、国内において前項第一号から第五号までに掲げる処分の申請をする者から条例で定めるところにより手数料を徴収することができる。この場合において、都道府県は、都道府県における当該事務に要する実費を勘案して政令で定める額を標準として、当該手数料の額を定めなければならない。
3 第一項第一号から第五号までに掲げる処分の申請をする者が、第三条第一項ただし書(第九条第三項、第十条第四項又は第十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定により直接外務大臣に申請する場合には、当該各号に定める額に政令で定める額を加えた額の手数料を、国に納付しなければならない。
4 国外において第一項各号に掲げる処分の申請をする者は、当該各号に定める額に前項の政令で定める額を加えた額に相当するものとして政令で定める額の手数料を、政令で定めるところにより国に納付しなければならない。
5 一般旅券の発給を必要とする原因が関係官庁の過失によって生じた場合には、前各項の規定にかかわらず、手数料を納付することを要しない。
6 永住を目的とする外国への渡航その他特別の事由がある場合には、政令で定めるところにより、第一項、第三項及び第四項の規定による国に納付すべき手数料を減額することができる。

(事務の委任)
第二十一条
外務大臣は、第十九条第四項の規定による通知に係る書面の交付に関する事務を入国審査官に委任することができる。

(都道府県が処理する事務)
第二十一条の二
この法律に規定する外務大臣の一般旅券に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

(事務の区分)
第二十一条の三
第三条、第八条第一項及び第二項、第九条第一項及び第三項、第十条第四項、第十二条第一項及び第三項、第十七条第一項から第三項まで並びに第十九条第五項及び第六項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(外務大臣の指示)
第二十一条の四
外務大臣は、国内外の情勢の急激な変化、人道上の理由その他の事由により必要と認めるときは、都道府県知事に対し、この法律又はこの法律に基づく政令の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示を行うことができる。

(外務省令への委任)
第二十二条
この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、外務省令で定める。

(罰則)
第二十三条
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者
二 他人名義の旅券又は渡航書を行使した者
三 行使の目的をもつて、自己名義の旅券又は渡航書を他人に譲り渡し、又は貸与した者
四 行使の目的をもつて、他人名義の旅券又は渡航書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
五 行使の目的をもつて、旅券又は渡航書として偽造された文書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
六 第十九条第一項の規定により旅券の返納を命ぜられた場合において、同項に規定する期限内にこれを返納しなかつた者
七 効力を失つた旅券又は渡航書を行使した者
2 営利の目的をもつて、前項第一号、第四号又は第五号の罪を犯した者は、七年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 第一項(第四号及び第五号の所持に係る部分並びに第六号を除く。)及び前項(第一項第四号及び第五号の所持に係る部分を除く。)の未遂罪は、罰する。
4 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 一般旅券に記載された渡航先以外の地域に渡航した者
二 渡航書に帰国の経由地が指定されている場合において、経由地以外の地域に渡航した者

(国外犯罪)
第二十四条
前条の規定は、国外において同条の罪を犯した者にも適用する。

(没取)
第二十五条
第二十三条の罪(第一項第一号の未遂罪を除く。)を犯した者の旅券若しくは渡航書又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書は、外務大臣が没取することができる。

附 則 (省略)

    「ウィキソース」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1185年(文治元)源義經追討のため、「文治の勅許」により、諸国に守護・地頭を置くことを許可する(新暦12月21日)詳細
1835年(天保6)幕末の志士・政治家井上馨の誕生日(新暦では1836年1月16日)詳細
1872年(明治5)「徴兵令詔書及ヒ徴兵告諭」が発布される(新暦12月28日)詳細
1878年(明治11)物理学者・随筆家・俳人寺田虎彦の誕生日詳細
1883年(明治16)鹿鳴館が開館する詳細
1897年(明治30)小説家・随筆家宇野千代の誕生日詳細
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 今日は、昭和時代前期の1930年(昭和5)に、警視庁が「エロ演劇取締規則」を制定した日です。
 「エロ演劇取締規則」(えろえんげきとりしまりきそく)は、東京の警視庁保安部が、風紀取締りのためと称して発出した通牒でした。股下二寸未満のズロースなどを禁止し、レヴューの脚本は警視庁の認可制となり、衣装の露出具合や色、照明の当て方に至るまで演出面で厳しい制限を加えられることとなります。
 この結果、浅草の興行は「レヴュー」を主体とするものから軽演劇を主体とするものに移行し、規模の縮小にも拍車がかかりました。この取り締まりは、全国へ拡大していき、戦時色が強まる中で厳しくなり、太平洋戦争が終わるまで続きます。
 以下に、「エロ演劇取締規則」(抄)を掲載しておきますから、ご参照下さい。

〇「エロ演劇取締規則」(抄) 1930年(昭和5)11月24日警視庁制定

一、レヴュー、ナンセンス、キャバレー、ヴァラエテ等名称の如何を問はず演劇の形式をとり台詞叉は歌を用ふるものは規則の演劇興行に相当するものなるを以て凡て警視庁の認可を受けたる脚本を提出するに非ざれぼ興行を認可せざること
二、演劇演芸興行における所作、服装証明等については、左の各号により、厳重取り締まりにあたること
(イ)ヅロースは股下二寸未満のもの及び肉色のものはこれを禁ずること
(ロ)背部は上体の二分の一より以下を露出せしめざること
(ハ)胸腹部は乳房以下の部分を露出せしめざること
(ニ)静物と称し全身に肉襦袢を着し、裸体の曲線美を表すものは、腰部をスカートその他これに類するものを以て覆はしむること
(ホ)片方の脚のみ股まで肉体を露出するが如きものはこれを禁ずること
(ヘ)照明を以て腰部の着衣を肉色に反射せしむることはこれを禁ずること
(ト)ダンス(例えばインデアンダンス、ハワイダンス等)にして腰を部分的に前後左右に振る所作はこれを禁ずること
(チ)観客に向かい脚ほ挙げ股が継続的に観客に見ゆる如き所作はこれを禁ずること
(リ)日本服の踊りにおいて大腿を観客に顕はすが如き所作はこれを禁ずること
(ヌ)全各項に抵触せざるも著しく性的劣情を挑発するが如き所作、服装をなし又は必要以上に残酷なる所作をなすものを発見したる時は保安部の指揮を受け相当処置を取ること
三、玩具用活動写真機及びこのフイルムを販売するために又はあめ売行商等の手段として道路もしくは店ばたにおいて活動写真に映写するものを禁ずること
四、道路、公園、百貨店、遊園地に傍へ付たフイルム又は絵葉書の自動写真機はこれを撤去せしむること
五、興行の有料無料を問はず有料の場合は入場料以外に種々の名目(下足料、座布団料、火鉢代、煙草盆代等)にて中銭を徴収することはこれを禁ずること
六、二種以上の興行において規則第五十八条〔「興行場及興行取締規則」のこと〕の興行時間の刻限は大なる方の興行時間を標準としてこれを定めてその範囲内において小なる方の興行時間をその種興行時間の最高限度とすること
七、興行中請手続につき省略

   「東京朝日新聞」 1930年(昭和5)11月25日付より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1842年(天保13)佐久間象山が藩主真田幸貫に対して、「海防に關する藩主宛上書」を行なう(新暦12月25日)詳細
1871年(明治4)日本画家山元春挙の誕生日(新暦1872年1月4日)詳細
1873年(明治6)日本画家河合玉堂の誕生日詳細
1909年(明治42)大之浦炭鉱(福岡県)で爆発事故が起こり、死者・行方不明者259人を出す詳細
1919年(大正8)平塚らいてうにより新婦人協会の設立が発表される詳細
1945年(昭和20)GHQが「戦時利得の除去及び国家財政の再編成に関する覚書」を出す詳細
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